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国家安全保障チームや情報機関は偽情報でトランプ大統領を操っている
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202505300000/
2025.05.30 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプ米大統領は5月25日、ウラジーミル・プーチン露大統領に「何かが起こった。完全に狂ってしまった」と非難した。ロシア軍がウクライナに対してドローンやミサイルを発射したことを受けての発言だが、プーチン大統領暗殺未遂事件についての情報は持っていなかった。ウクライナがロシアに対するドローン攻撃を強化したことを受けて、ロシアはウクライナへの爆撃を強化したにすぎない。トランプはこうしたことについて知らないのか、嘘をついているのか、どちらかだが、軍や情報機関からこうした情報を知らされていなかったと見られている。
ウクライナでの戦闘でロシアは大きな被害を出し、ロシア経済は大きな負担に耐えられないとトランプは信じ、圧力を加えたり、脅せばロシアは屈すると思っているようだが、勿論、事実はそれが間違いであることを示している。そうした間違いは取り返しのつかない計算違いを生み出す。
ジョージ・W・ブッシュ大統領がアメリカ主導軍を使ってイラクを先制攻撃する直前、統合参謀本部の少なからぬ将軍たちは大義がなく、計画が無謀だとして、その計画に反対していた。結局、そうした意見は退けられ、軍の中枢は軍需産業と結びついた軍人が目立つようになる。
アメリカの情報機関はイギリスの情報機関のアドバイスを受けて組織されたが、いずれも金融界と関係が深い。第2次世界大戦中、アメリカはイギリスの情報機関MI6を教師役にしてOSSを組織、大戦の終盤にはイギリスのSOE(特殊作戦執行部)とアメリカのSO(秘密工作部/OSSの部局)はレジスタンス対策でジェドバラという破壊活動の組織を作った。
大戦後にCIAが組織されるが、この新情報機関は当初、情報の収集と分析に専念するとされていたが、支配層の内部には破壊活動を継続したいと考える人たちがいた。そこでアメリカではジェドバラをベースにして破壊活動を目的とするOPCが組織され、1950年にはCIAの内部へ入り込み、52年には破壊工作を担当する計画局が設置された。1973年にこの部局は作戦局へ名称は変更、2005年にはNCS(国家秘密局)へ、そして15年には再び作戦局へ戻っている。計画局の核はOPCだ。その後、CIAの内部で破壊工作部門が肥大化、その一方で分析部門は冷遇される。
1972年のアメリカ大統領選挙で民主党の候補には、戦争に反対していたジョージ・マクガバン上院議員が一般党員に支持され、選ばれた。この結果に慌てた民主党の幹部はマクガバンを潰すため、党の内部にヘンリー・ジャクソン上院議員を中心とする反マクガバン派グループを編成する。
このジャクソン議員のオフィスには、後に「ネオコン」と呼ばれる若者が研修を受けていた。その中にはリチャード・パール、ポール・ウォルフォウィッツ、エリオット・エイブラムズ、ダグラス・フェイス、エイブラム・シュルスキーなども含まれている。
こうした工作もあり、選挙では共和党のリチャード・ニクソンが当選する。ニクソンはアレン・ダレスの影響下にあった人物ということもあり、好戦派とみなされていたのだが、デタント(緊張緩和)政策を打ち出す。支配層内部の好戦派はそれを快く思わない。
そのニクソンはウォーターゲート事件で1974年に失脚、CIAやFBIと緊密な関係にあり、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件を調べたウォーレン委員会のメンバーだったジェラルド・フォードが大統領に就任、デタント派の粛清を始める。CIA長官はウィリアム・コルビーからジョージ・H・W・ブッシュに交代、CIAの内部にソ連脅威論を宣伝するチームBが作られる。そのチームを率いていたハーバード大学のリチャード・パイプス教授はジャクソン議員の顧問で、メンバーにはウォルフォウィッツも含まれていた。
このチームがしていたのは事実に基づかないプロパガンダであり、分析ではない。その背後には国防総省内のシンクタンクONAが存在、その室長を務めていたアンドリュー・マーシャルはシオニスト。マーシャルの師と言われている人物はイギリスの歴史学者バーナード・ルイスだ。ルイスはサミュエル・ハンチントンと同じように「文明の衝突」を主張、シオニストだった。(Robert Dreyfuss, “Devil’s Game”, Henry Holt, 2005)
2001年1月から大統領を務めたジョージ・W・ブッシュはイラク攻撃を正当化するため、イラクのサダム・フセイン政権が大量破壊兵器を開発しているという偽情報を広めたが、そうした偽情報を広めるための部署OSPが2002年、国防総省内に設置されている。OSPの室長に就任したエイブラム・シュルスキーはウォルフォウィッツと同じようにシカゴ大学で政治科学の博士号をレオ・ストラウス教授の下で取得している。この政権以降、CIAの分析部門はホワイトハウスが喜ぶような話を伝えるだけになった。今回、トランプ大統領はCIAや国家安全保障チームから正確な情報が伝えられなかった可能性が高いのだが、これは構造的な問題だ。
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