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イスラエルの覇権拡大(田中宇)中東から中央アジアへ―多極化を揺るがすイスラエルの戦略
http://www.asyura2.com/24/kokusai35/msg/712.html
投稿者 てんさい(い) 日時 2025 年 7 月 26 日 09:03:42: KqrEdYmDwf7cM gsSC8YKzgqKBaYKigWo
 

田中宇の国際ニュース解説 無料版 2025年7月25日 https://tanakanews.com/

■要約 Perplexity AI

イスラエルは近年、中東・北アフリカ・コーカサスにわたる広範囲で独自の覇権拡大を進め、多極型世界を目指す米中露の既存の枠組みをかき乱している。軍事攻撃によってイランやイエメンの反撃力を弱体化し、シリア・レバノンにも傀儡的政権が樹立された。イスラエルは米国からの自立色も強めており、今後イラン政権転覆や、トルコ・中央アジアへの影響拡大が進めば、米露は黙認しそうだが中国の出方が注目される。イスラエルが中国の勢力圏にも干渉を強めるなか、中共が黙認すれば単独覇権国化もありうるとの見方が語られている。

■全文

イスラエルが、中東から北アフリカ、コーカサスまでの広範囲で、独自の覇権拡大を続けている。今後の多極型世界において、イスラエルが属する中東は、イランやアラブ、トルコとの4大国間の平衡体制が予定されてきた。だが最近のイスラエルは、アラブやトルコを手なづける半面、仇敵のイランとその傘下の勢力を軍事攻撃してへこませ、荒っぽいやり方で予定調和を破壊し、多極化を推進する米中露を困惑させている。
イスラエルが今後、イランを再攻撃して政権転覆したり、トルコやアゼルバイジャンを押し立てて中央アジアで中露を押しのけて覇権拡大を試みた場合、米露は黙認するだろうが、これまで傍観してきた中国がどうするかも注目点だ。

https://tanakanews.com/250715israel.htm
イスラエル中東覇権の隠然性

https://tanakanews.com/250702armenia.htm
コーカサスをトルコに与える

中東では、イスラエルに反撃してきた最後の諸国であるイランとイエメン(イラン傘下)が、イスラエルからの攻撃の結果、反撃力を失いつつある。
かつてイスラエルと戦っていたシリア(アサド政権)とレバノン(ヒズボラ)は、昨年末に相次いでイスラエルに潰され、イスラエルの傀儡もしくは中立的な政権に転換している。報道されていないが、HTSやシャラアのシリア新政権はイスラエルの傀儡だ。

https://tanakanews.com/250518sharaa.htm
表裏あるシリアとの和解

イスラエルは最近、シリアのシャラアHTS政権のダマスカスの拠点を空爆している。シリア新政権の軍隊が、シリア南部に住むドルーズ派を弾圧したことに対する制裁として、イスラエルがシリアを攻撃した。
この攻撃を見て、シリア新政権はイスラエルの傀儡じゃなくて敵だぞと思う人がいるかもしれないが、そうではない。
ドルーズ派はイスラエルにも住んでおり、兵役などもこなしてユダヤ人に重宝がられている。ドルーズ派はシリアでも、アサド政権から重宝がられていた。独裁者のアサド家は同じく少数派のアラウィー派で、アサド政権はドルーズ派などと少数派連合を作り、多数派であるスンニ派アラブ人を支配し続けていた。

https://www.ynetnews.com/article/skwgekhixx
Chaos on border: Some 1,000 Israeli Druze cross border into Syria, IDF strikes Damascus for second time

昨年シリアで政権をとったシャラアのHTSはスンニ派アラブ人(アルカイダやムスリム同胞団)であり、政権奪取後、スンニ派アラブ人たちはHTS新政権に対し「ドルーズ派やアラウィー派を潰せ」と加圧した。
年初来、アラウィー派は弾圧され、かなり殺された。次はドルーズ派だ。しかし、HTSがシリアのドルーズ派を殺すと、イスラエルのドルーズ派が激怒する。

https://www.jpost.com/middle-east/article-861235
Druze clashes in Syria escalate as Israel faces tough border choices

https://thecradle.co/articles/in-syria-an-unhinged-massacre-of-alawite-civilians
In Syria, an unhinged massacre of Alawite civilians

イスラエル当局は、傀儡のHTSがシリア国内で政治的な人気を維持するためにアラウィーやドルーズを殺すのを仕方がないと考えている。だが、イスラエル国内のドルーズ派は、そう思っていない。シリアの同胞が殺されるなら、イスラエルのドルーズが民兵団を作ってシリアに越境し、シリア政府軍と戦争するぞと動き出した。
イスラエル当局は困った挙げ句、ダマスカスのHTS政府の建物などを空爆して「制裁」したことにした。ドルーズ派の件は、イスラエルによるシリア傀儡化策の難しさを示しているが、シリアがイスラエルの傀儡ではないことの理由でない。
この件を2行ぐらいで説明しようとしたが、全く無理だ。中東は複雑だ。

https://www.ynetnews.com/article/skwgekhixx
IDF strikes Damascus; Hundreds of Israeli Druze attempt to cross Syrian border

話を戻す。中東で今後とくに世界的・地政学的な問題になりそうなのはイランについてだ。私の見立てだと、今後の中東のあり方について米中露は、イランが今のイスラム共和国体制のまま、イスラエルと和解もしくは冷たい和平を構築し、イラン・イスラエル・アラブ・トルコの4極体制で中東を安定させようとしている。
イスラエル以外の中東の3極のうち、長期的にイスラエルのライバルになりうるのはイランだけだ。トルコとアラブは、イスラエルとの協調関係が長い。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/kremlin-teases-possible-trump-putin-xi-meeting-beijing
Kremlin Teases Possible Trump-Putin-Xi Meeting In Beijing

対照的にイランは、イスラム革命以来45年間イスラエルの敵だ。単独覇権国だった英米が、イランを革命政権にしてイスラエルと戦わせる中東分断支配策をとり、対抗してイスラエルが諜報力で米政界を脅して極度のイラン敵視をやらせてきたという構図もある。
イスラエルは、米中露の姿勢と異なり、英米が衰退したが多極型も安定していない今の好機に、イランの現体制を破壊してイスラエルの傀儡政権を作る「シリア方式」をやりたい。だがそれは、米中露といった多極派のシナリオの中にない話だ。

私はこれまで、イスラエルが米中露の言うことを聞いて現体制のイランを容認するだろうと考えてきたが、最近、どうもイスラエルはイランを政権転覆する気でないかと感じている。その理由は最近、トランプの側近らが「イスラエルは米国の思惑を超えて好戦的なので困る」と困惑しているからだ。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/trump-officials-frustrated-trigger-happy-madman-netanyahu-who-just-wont-behave
Trump Officials Frustrated At Trigger-Happy 'Madman' Netanyahu, 'Who Just Won't Behave'

イスラエル軍はこれまで米国の軍事資産に頼って戦争してきたが、最近は自前の空中給油機を作って米軍の空中給油に頼らないようにするとか、人工衛星の管理を国有化して米国の民間企業への発注をやめるなど、対米自立する動きをしている。

https://www.ynetnews.com/business/article/bjcw4a9igg
Following Iran campaign, Israel rethinks foreign reliance for refueling planes

https://www.ynetnews.com/health_science/article/rj0rbswuee
Israel enters new space era with first state-owned communications satellite

米中露のうち、トランプの米国とプーチンのロシアは、かなりイスラエルの言いなりだ。イスラエルがイランを潰したり、ロシアの影響圏であるコーカサスや中央アジアでトルコ系を強化する覇権乗っ取り策をやっても米露は容認しそうだ。
従来の感じだと、習近平の中国も、パレスチナ国家を支持する原則論を言いつつも、イスラエルとの対立を避けてきた。だが今後、イスラエルがイランを潰そうとする場合、中国は黙認する態度を変えないのだろうか。変えないなら、イランは潰される。

https://www.clingendael.org/publication/armenias-changing-relationship-russia
Armenia’s Changing Relationship With Russia

イスラエルがトルコ系を押し立てて中央アジアに割り込む流れは、中国の中央アジア覇権を侵害している。イスラエルは中共に脅威を感じさせる挑発策をわざと採っているようにも見える。
南アジアでは、中国のライバルでもある印度が、親イスラエルの姿勢を強めている。印度(ヒンドゥー原理主義のモディ)とイスラエルは、イスラム教徒と対立しているので同盟を組める。印度はイスラエルから軍事諜報を得て、中国傘下であるパキスタンを攻撃し、優勢を強めている。
イスラエルは、トルコと印度を押し立てて、中国の影響圏である中央アジアを侵食できる。習近平は、イスラエルの横暴を黙認するのかどうか。

https://sputnikglobe.com/20250722/iran-russia-china-to-hold-trilateral-nuclear-talks-amid-rumblings-of-us-dialogue-resumption-1122471392.html
Iran, Russia, China to Hold Trilateral Nuclear Talks Amid Rumblings of US Dialogue Resumption

先日、中露がイランと核問題について協議した。その後イランは「イスラエルが攻撃してきたら反撃する」と改めて宣言している。この動きは、中露とくに中共からイスラエルに対する、イラン潰しを許さずイランをテコ入れするぞという意思表示なのか??。攻撃されたら報復するというイランの言い方は従来と同じなので、中共の新姿勢とかではない感じもするが・・・。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/irans-president-ready-war-israel-will-not-halt-nuclear-program
Iran's President 'Ready' For War With Israel, Will Not Halt Nuclear Program

プーチンは、イスラエルと中共の両方の言うことを聞く「両属」の状態だ(この姿勢により、プーチンはウクライナ戦争を長期化して欧英の自滅を徹底させ、最終的に欧州に言うことを聞かせられる利得を得ている)。
習近平は、国際政治に関する戦略を何も言わない策(孫子の兵法?)を採っており、イスラエルの横暴拡大と、イランが潰されることをどう思っているのかわからない。しかし中共は今後、イスラエルを黙認するか抑止に動くのか、どちらかの態度をとらざるを得ない。

https://theins.ru/en/politics/283331
Putin sidelined: Russia fails to stop Turkey from reconciling Azerbaijan and Armenia

中共が黙認し、誰も止める者がいないと、イスラエルは中東の極の一つという与えられた地位に満足せず、拡張戦略を激化しそうだ。
イスラエル(諜報の元祖ユダヤ人)は、米英の覇権崩壊によって諜報界(覇権の運営担当)を丸ごと居抜きで継承し、強力な国際政治力と軍事力を持ちつつある。イスラエルに自制を期待するのは難しい。
下手をすると、米英の覇権が崩壊して世界が多極型に転換するのでなく、イスラエルが米英を継承する単独覇権国になっていきかねない。小さなイスラエルに世界支配などできるはずないと思う人は、かつて小さな英国が世界を支配していたことを忘れている。

https://www.zerohedge.com/geopolitical/battle-middle-east-going-global
The Battle For The Middle East Is Going Global

BRICSの事実上の盟主で多極型世界のまとめ役である中共が、多極型世界の秩序を乱すイスラエルの横暴を黙認せず抑止しようとすると、中共とイスラエルの覇権争いになる。
そうなると、今は米国の覇権衰退を受け、自分たちだけで中国に立ち向かう力量がないので中国敵視をしたがらない日本と豪州が、今後イスラエルにテコ入れされ、従来の対米従属の一環でない微妙に独自な新たな中国敵視の姿勢を採り始めるかもしれない。日本にとっては奇しくも、参議院選挙後の首相交代の時期と重なっている。

https://www.rt.com/news/621829-american-vassal-defies-master/
Australia has refused to go to war with China over Taiwan



この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/250725israel.htm
 

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コメント
1. てんさい(い)[1559] gsSC8YKzgqKBaYKigWo 2025年7月26日 09:59:16 : 0kUGInjLpY : ZUJoU1c2MzFGUzY=[579] 報告
この記事をNotebookLMに読ませて自動生成した音声解説

2. 氷島[2397] lViThw 2025年7月26日 11:10:45 : Gtr2IYWwBE :TOR Zmo0dHduamFxTVk=[1] 報告
G7初の決断 フランスがパレスチナを国家承認へ イスラエルは反発
https://youtu.be/yUm6yP70V6E?si=9cBFcSTEu5UDH-bV

日本も台湾を国家承認しようぜ!

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