<■2808行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 高市早苗氏、追加利上げに反対 「消費マインド下がる」 自身のユーチューブ番組で言及 2024/9/13 23:40 https://www.sankei.com/article/20240913-WCATE3XMU5NPXKAP2E36M7ZH7Y/ 高市早苗経済安全保障担当相は13日、自身のユーチューブ番組で、経済に力強さが足りないとして、日銀の追加利上げに反対する姿勢を示した。 「政府と日銀がしっかり目標を立てて、金利をまだ上げてはいけない」 「企業が設備投資をしにくくなる」 「絶対に消費マインドを下げてはいけない」 と述べた。 同時に 「緩やかに物価が上がり、給料も上がり、消費が増えるまでは財政出動をしっかりとして、経済を強くしないといけない」 と語った。企業が選ぶ「次のトップ」、自民は高市早苗氏が最多 立民は野田佳彦氏も「いない」が半数 2024/9/13 17:25 https://www.sankei.com/article/20240913-IOKNG27GBRMMPOFHI3URT776HA/ 論戦が続く自民党総裁選(27日投開票)と立憲民主党代表選(23日投開票)を巡り、東京商工リサーチ(TSR)は企業に 「景気や自社ビジネスの発展に寄与すると思う候補」 を尋ねるアンケートを行った。 自民では、高市早苗経済安全保障担当相(63)が最も支持を集め、石破茂元幹事長(67)が続いた。 立民では野田佳彦元首相(67)が最多の支持を集めた。 調査は9月4〜9日にかけ、両党で出馬への準備を進めた議員について、インターネットで答える形式で行われた。 自民は今回出馬した9候補と、出馬準備を進めた青山繁晴参院議員、斎藤健経済産業相、野田聖子元総務会長を含む12人を選択肢に入れた。 有効回答の5921社を集計、分析した。 自民では、高市氏が24・4%(1447社)を集めて首位。 次いで石破氏の16・9%(1005社)、小泉進次郎元環境相(43)の8・3%(492社)、青山氏(72、立候補せず)の6・1%(367社)と続いた。 「寄与すると思う人物はいない」 とする回答も、21・7%(1286社)あった。 立民は出馬した4候補と江田憲司衆院議員の5人を対象とした。 最も支持を集めたのは野田氏の36・3%(1976社)だった。 次いで枝野幸男前代表(60)が4・9%(269社)、江田憲司元代表代行(68、立候補せず)が3・9%(215社)と続き、泉健太代表(50)は2・4%(132社)にとどまった。 半数の50・8%(2761社)が 「寄与すると思う人物はいない」 と回答し、政権獲得を目指す同党に冷ややかな見方が目立ったといえる。 TSRでは 「それぞれの党が抱える政策とイメージが浮き彫りになった」 と分析する。 立民に関する問いは5433社が答えた。 自民総裁選出馬会見視聴数ダントツの高市氏、続く小林氏、小泉氏は3位 立民代表選は低迷 2024/9/11 17:05 https://www.sankei.com/article/20240911-SCBTPYDO2JDF7A5T54ZEP6AOXU/ 11日までに計9人が出馬表明した自民党総裁選(12日告示、27日投開票)。 立候補を表明した記者会見の配信動画の視聴数を巡って、候補予定者間の差異が顕著となっている。 日本最大級の動画サービス「ニコニコ」が動画投稿サイト「ユーチューブ」で配信した会見動画では、トップは9日に表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)の約27万回。 2位で8月19日に会見した小林鷹之前経済安全保障担当相(49)の約4・4万回の約6倍となる。 会見時期が異なるため単純比較はできないが、高市氏の突出ぶりが窺える。(数字は11日午後) 3位、4位はそれぞれ6日に会見した小泉進次郎元環境相(43)で約2・4万回、8月24日に会見した石破茂元幹事長(67)の約2・1万回。 小泉、石破両氏は 「次の総裁に相応しい人」 を尋ねる報道各社の世論調査で1位と2位を占める傾向にあるが、インターネット上で記者会見に対する関心は高市、小林両氏を下回った。 5位は8月26日に会見した河野太郎デジタル相(61)で約1万回。 6位は9月10日に会見した加藤勝信元官房長官(68)で0・7万回。 7位が3日会見した林芳正外相(63)で約0・6万回。 僅差で4日に会見した茂木敏充幹事長(68)が約0・6万回で続いた。 上川陽子外相(71)は11日午後に出馬表明記者会見に臨んだ。 一方、4氏が立候補を届け出た立憲民主党代表選(23日投開票)を巡っては、枝野幸男前代表(60)が8月21日に行った出馬表明会見の動画視聴数は約0・5万回で、自民の茂木氏に及ばなかった。 9月6日に出馬表明会見した泉健太代表(50)は約0・2万回だった。 野田佳彦元首相(67)が8月29日に地元・千葉県習志野市で記者団に出馬する意向を表明した際の「ニコニコ」の動画は確認できなかった。 吉田晴美衆院議員(52)は告示締め切り直前の立候補届け出となったためか、正式な出馬表明記者会見は行っていない。 高市早苗氏、小泉氏支援の菅義偉氏「強力でうらやましい」も「安倍氏の教え肝に銘じ臨む」 2024/9/10 14:42 https://www.sankei.com/article/20240910-P2EVYKNMN5AJ7COPEJ2ZHIAAHI/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BS日テレ番組で、小泉進次郎元環境相(43)への支援を表明した菅義偉前首相について、 「ネットワークが凄い。」 「役所を動かしていく、若い人の面倒を見る力が凄い」 と述べ、 「衆院選などで(自身が)何度も応援に入った人も (支援を呼びかけたが)『恩知らずで、すいません』 『(菅氏に近い)菅グループなので、菅先生の了解がない限り応援できない』 『陣営には行けない』 と謝ってきた人も何人もいる」 と語った。 番組の司会者が小泉氏について 「若さを売りにしているが、バックに小泉純一郎元首相や森喜朗元首相ら長老が付いている」 「自民党のイメージとしていいのか」 と指摘した質問に答えた。 高市氏は 「バックに強力な人が付いているのは羨ましい」 「私は緩いメンバーで‥緩いといったら選対の皆さん、ごめんなさい」 「私の場合は政策に共鳴して、自然発生的に集まってくれた皆さんと一緒にやっている」 と強調。 令和3年総裁選で高市氏を支援し、その後死去した安倍晋三元首相については、 「いてくれたら良かったとは思う」 「だが、けっこう前回も叱られてばかり」 「私がとろいので、『あれやれ』『これやれ』『あれやれ』…」 と述べた上で 「その時に教わったことは学んだ」 「安倍氏が3年前に教えてくれたことを肝に銘じて、今回の総裁選に臨みたい」 と語った。 アクセサリーなら不要 拉致問題の解決意思「ブルーリボン」自民総裁選出馬会見で6人着用 2024/9/10 13:17 https://www.sankei.com/article/20240910-GEAHYD73MVAEVJYAX6Z2N534RY/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)は、10日に加藤勝信元官房長官が正式な出馬表明を行った。 これまでに、出馬に必要な推薦人20人の目途をつけた8人が正式な記者会見を開いたが、安倍晋三、菅義偉、岸田文雄の直近3政権が 「最重要課題」 に掲げてきた北朝鮮による日本人拉致問題は、埋没感が否めない。 各候補の出馬会見をチェックすると、8人中6人が拉致被害者救出の意思表示である 「ブルーリボンバッジ」 を胸元に付けていた。 ■問われる具体的な行動 10日までに正式な出馬会見を開いた8人のうち、ブルーリボンを付けていたのは、小林鷹之前経済安全保障担当相、林芳正官房長官、茂木敏充幹事長、小泉進次郎元環境相、高市早苗経済安保担当相、加藤氏の6人だった。 ブルーリボンは、北朝鮮に捕らわれた被害者と家族を結ぶ「青い空」と、日朝を隔てる「日本海の青」をイメージしている。 平成14年に北朝鮮から5人の被害者が帰国し、残る被害者を救出する運動が本格化するのに合わせ、支援組織「救う会」の青年有志が発案。 救出に向けた決意表明のシンボルとして官民問わず広がってきた。 北朝鮮はブルーリボンに対して厳しい感情を抱いているため、あえて着用せずに情報収集などをする関係者もいる。 着用の有無よりも、具体的な行動を取っているかどうかが重要で、 「アクセサリーではない」(関係者)。 いわゆる免罪符のような取り扱いも、被害者家族らは望んでいない。 着用した6人の過去の拉致問題関連の言動では、拉致問題担当相を兼ねる林氏が国民大集会などの関連行事で、被害者家族の高齢化を念頭に 「(拉致問題は)時間的制約がある人道問題」 との認識を重ねて表明した。 茂木氏は外相時代、家族会などが求める被害者の 「即時一括帰国」 の実現に向け、米国など主要国に協力を呼びかけてきた。 2024年9月5日の政策発表会見では 「拉致被害者の一日も早い帰国の実現に向け、米国をはじめ国際社会との連携をしつつ、早期のトップ会談を実現し、拉致問題の解決を図る」 と訴えた。 安倍氏を 「最も尊敬する政治家」 と仰ぐ小林氏は2024年8月の出馬表明の直前、拉致被害者の横田めぐみさん(59)=拉致当時(13)=の新潟市内の拉致現場周辺を視察した。 出馬表明後に出演したインターネット番組では 「国家としての最重要課題」 「総理、総裁になったら当然、あらゆる手段を排除することなく、解決に向けて全力を尽くしたい」 などと述べた。 小泉氏は、過去に目立った言及はない。 ただ、2024年9月6日の出馬会見では、 「これまでと同じアプローチでは何も変わらない」 とした上で、現在40歳とみられる北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記と 「同年代のトップ同士、胸襟を開いて直接向き合う適切な機会を模索したい」 などと意気込みを示した。 また、高市氏は9日の出馬会見で、 「(日朝)首脳会談の実現、同盟同志国との協力などあらゆる手段を通じ、1日も早い拉致被害者の帰国のため働いていく」 と強調。 税金が投入されているNHKの国際放送を通じ、拉致問題解決に向けて国際世論を喚起していくなどと具体案を提示した。 拉致問題担当相を長く務め、現在は党の拉致問題対策本部長を担う加藤氏は、かねて、事態の膠着が続き問題が風化しかねないとして、子供や若者への啓発活動にも力を注ぐよう訴えており、10日に発表した政権公約にも 「日朝首脳会談の早期実現」 などを盛り込んだ。 ■着けないからやらないではない 一方、未着用は石破茂元幹事長と河野太郎デジタル相の2人だった。 石破氏は訪朝経験があり、超党派の 「拉致議連」 の会長を務めたこともある。 平成14年9月17日、日朝首脳会談で北朝鮮がめぐみさんらを 「死亡」 と説明してきたことを受けて東京で開催された会見で、涙に暮れるめぐみさんの父の滋さん=令和2年に87歳で死去=や母の早紀江さん(88)のすぐ隣で、険しい表情で佇んでいた姿も印象的だ。 石破氏は問題解決への道筋として、従前から、東京と平壌に連絡事務所を開設して成果を逐次検証する仕組みの導入を主張している。 まずは信頼関係構築が重要との立場だ。 ただ、連絡事務所の設置については、関係者の間で、 「北朝鮮は『被害者は既に死んでいる』などとするこれまでの主張を維持してくるのは必至で、日本がそれを追認する形に追い込まれかねない」 と危惧する意見もある。 河野氏も北朝鮮との意思疎通や信頼関係構築の必要性を強調しており、今月5日の政策発表会見では 「ご家族が様々な思いを抱かれているのはよく分かっているが、それを一方的に言ったからといって向こうが(対話に)出てくるわけではない」 「そうした気持ちを受け止めながら、一歩一歩議論を進めていくことが大事だろうと思う」 などと述べた。 河野氏を巡っては、令和3年9月の前回総裁選への出馬会見の際はブルーリボンを付けていたが、1週間後に実施された各候補者による演説会では外した経緯がある。 河野氏は当時、自民党のインターネット番組で 「アトピーが酷く、顔の皮などがポロポロ落ちる」 「それを手で払う時、(胸元の)バッジ類が手にぶつかってしまう」 と釈明した。 ただし、 「リボンバッジを着けているからやる、着けていないからやらないという問題でない」 とも指摘。 外相時代、北朝鮮の外相へ国際会議などの場で声をかけ続け、国連総会に合わせて対面の会談に持ち込んだことなどを紹介した。 今回の総裁選では、上川陽子外相が11日にも出馬会見する見通しで、上川氏は最近の記者会見などではブルーリボンを着用している。 ■家族会、11日に会見へ 早紀江さんら家族会メンバーや救う会は告示日前日の11日、東京都内で記者会見を予定。 既に告示された立憲民主党代表選(23日投開票)も併せ、拉致問題に関する活発な議論が行われるよう求める。 一部高齢家族らは、論戦が低調のまま推移することに強い危機感を抱いているという。 高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」 2024/9/10 12:15 https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。 「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」 と指摘した。 高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。 その上で、高市氏は 「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」 と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。 総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。 高市氏は 「そういう方向もあるのだろう」 と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても 「(党議拘束)かけなくてもいい」 と語った。 高市早苗氏「大切にしてきたこと変わらない」 首相就任後の靖国参拝に改めて意欲 2024/9/9 22:52 https://www.sankei.com/article/20240909-3KDEHWF7RBOAVATIVTZMFG3DNY/ 9日に自民党総裁選への出馬を正式に表明した高市早苗経済安全保障担当相は同日夜、BSフジ番組に出演し、首相に就任後も靖国神社を参拝したい意向を改めて示した。 「国策に殉じられた方に尊崇の念を持って感謝の思いを捧げることは、私が大切にしてきたことなのでこれは(首相就任後も)変わらない」 と述べた。 党総裁選への立候補を表明した9日の記者会見でも 「国策に殉じられ、祖国を守ろうとした方々に敬意を表し続けるのは希望するところだ」 と語っていた。 自民総裁選出馬表明の高市早苗氏、「保守」への期待で支持拡大 課題は国会議員票 2024/9/9 20:33 https://www.sankei.com/article/20240909-JMOGQWOTSVICLKO6242LC7WFA4/ 9日に自民党総裁選への出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相は、憲法改正や伝統的な男系による皇位継承の維持、選択的夫婦別姓制度導入への反対姿勢などが保守層の支持を集めてきた。 前回の総裁選で支援を受けた安倍晋三元首相を失った今、党員票に加え、国会議員票をどれだけ集められるかが焦点になる。 「少しでも早く(憲法改正の賛否を問う)国民投票をして頂ける環境を作るために頑張っていきたい」 高市氏は9日の会見でこう述べ、早期の改憲に意欲を見せた。 また、男系による皇位継承の堅持が重要だと指摘。 「1つの血統の下で126代も続いた皇室は日本にしかない宝物だ」 「皇統を守るために皇室典範改正を行う」 と表明した。 産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が8月下旬に実施した合同世論調査で、誰が総裁に相応しいかを尋ねたところ、高市氏との回答は10・8%で小泉進次郎元環境相、石破茂元幹事長に次ぐ3位だった。 自民支持層に限れば15・3%に上昇する。 小泉氏や石破氏ら選択的夫婦別姓制度導入に前向きな候補が目立つ中、保守的な訴えに期待が集まっているとみられる。 高市氏を支持する中堅議員は 「政策や国家観は一級品だ」 と絶賛する。 実際、全国各地で開催しているトークイベントは聴衆で満席状態だ。 側近議員は 「党員票は初挑戦した令和3年の前回総裁選よりも多く獲得できるだろう」 と手応えを口にする。 懸念は国会議員票だ。 4人が挑んだ前回総裁選は党内に影響力を持っていた安倍氏の支えもあり、1回目の投票で2番目となる114票の国会議員票を獲得した。 だが、安倍氏が凶弾に倒れ、国会議員の支持基盤は揺らいだ。 さらに今回は、前回は高市氏の推薦人になり政治信条も近い小林鷹之前経済安保担当相も出馬を表明し、保守系議員の票の分散が指摘される。 「サナエあれば、憂いなし。」 記者会見会場に設置したボードにこう記した高市氏だが、保守層の支持を国会議員に広げる戦略が求められる。 高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立 2024/9/9 20:30 https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる 「選択的夫婦別姓制度」 の導入について、立候補予定者の意見が割れている。 9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。 党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。 「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」 高市氏は9日の記者会見で、こう語った。 念頭にあるのは6日の会見で 「旧姓では不動産登記ができない」 と発言した小泉氏だ。 高市氏は 「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」 と指摘した。 高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、 「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」 と述べた。 小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、 「旧姓の併記が認められる制度がある」 「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」 と述べている。 小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。 経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。 小泉氏は面会後、記者団に 「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」 と語った。 石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に 「実現は早ければ早いに越したことはない」 と小泉氏に同調した。 河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で 「認めた方がいい」 と述べている。 一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では 「国民の間でも様々な意見がある」 「更なる検討を進めていきたい」 と述べるにとどめた。 林芳正官房長官(63)も 「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」 としている。 高市早苗氏、「首相と閣僚の給与廃止する」「信頼する自民党を作る」 総裁選出馬会見 2024/9/9 18:46 https://www.sankei.com/article/20240909-34NT3NQLGJBEXNFO5VWKOJ7NJI/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、派閥の政治資金パーティー収入不記載事件に関する信頼回復策の一環として、首相就任時に首相や閣僚が特別職の国家公務員として受給している給与を廃止する考えを示した。 「首相給与も閣僚給与も廃止する」 「国民から信頼してもらえる強い自民党を作っていく」 と語った。 国家公務員特別職に関する給与法によれば、首相の給与は月額201万6千円で、閣僚は同147万円となる。 高市氏 総裁選 立候補表明「日本をもう一度世界のてっぺんに」 2024年9月9日 17時21分 https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014576891000.html 高市経済安全保障担当大臣(63)は岸田総理大臣の後任を選ぶ自民党総裁選挙に立候補することを表明し、総合的な国力の強化が必要だとした上で 「経済成長をどこまでも追い求め、日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」 と述べました。 高市氏は9日午後2時から、国会内で記者会見しました。 冒頭、 「総裁選挙に立候補する」 「国の究極の使命は、国民の生命と財産、領土・領海・領空・資源、そして国家の主権と名誉を守り抜くことだ」 と述べました。 その上で 「総合的な国力の強化が必要だ」 「それは外交力、防衛力、経済力、技術力、情報力であり、全てに共通する人材力だ」 「何よりも経済成長が必要だ」 「経済成長をどこまでも追い求め、日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」 と強調しました。 そして、危機管理分野への投資によって国民の安心と安全を確保し、成長分野などに戦略的な財政出動を行って、強い経済を実現すると説明しました。 更に安全保障政策を巡り、宇宙やサイバー空間などを含めた国防体制を構築する他、主体的な外交によって同盟国や同志国との連携を進める考えを示しました。 また、北朝鮮による拉致問題について 「解決が困難になっている現状は否めないが、あらゆる手段を尽くして全ての被害者の帰国を追い求めていく」 と述べました。 一方、政治とカネの問題を受けた党改革を巡っては 「カネの入りと流れから属人性を徹底的に排し、使途の公平性と公正性を担保できる仕組みを作る」 と述べました。 収支報告書に不記載のあった議員を次の選挙で公認するか問われたのに対しては、 「党の調査で決着した処分を総裁が代わったからといって、ちゃぶ台返しをするのは独裁だ」 「党で決めた処分をひっくり返すような行動は取らない」 と述べました。 更に党に適材適所の人事システムを整備すると共に、総理大臣や閣僚の給与を廃止する考えを示しました。 また 「令和の省庁再編」 に挑戦するとして、インテリジェンスの司令塔となる 「内閣情報局」 や、サイバーセキュリティー対策などに一元的に取り組む機関の設置に意欲を示しました。 憲法改正については 「自衛官の名誉と誇りを守り実力組織として揺るぎない位置付けをするため、憲法を改正する」 「少しでも早く国民投票が出来る環境を作るため頑張りたい」 と述べました。 皇位継承を巡っては 「1つの血統の下で126代も続いた皇室は日本にしかない宝物だ」 「皇統をお守りするため皇室典範を改正する」 と述べました。 そして総理大臣になっても靖国神社に参拝するか問われ、 「国策に殉じられ自分たちの祖国を守ろうとした方に敬意を表し続けることは希望するところだ」 と述べました。 一方、 「選択的夫婦別姓」 については、過去に旧姓を使用できる環境整備を国などに義務付ける法案を作成したことに触れ、 「法案が通ればほとんどの不便は解消される」 と述べ、導入に慎重な姿勢を示しました。 高市氏が総裁選挙に挑戦するのは、前回・3年前に続いて2回目です。 また今回の選挙に、女性が立候補を表明したのは初めてです。 ■高市氏のこれまで 高市氏は、衆議院奈良2区選出の当選9回で63歳。 無派閥で現在は経済安全保障担当大臣を務めています。 総裁選挙への挑戦は前回・3年前に続き2回目です。 大学卒業後、松下政経塾で学び、アメリカ連邦議会での勤務やテレビ番組のキャスターなどを経て、1993年の衆議院選挙に無所属で立候補し、初当選しました。 旧新進党などに所属した後、1996年に自民党に入党。 その後、2003年の衆議院選挙で議席を失いましたが、2年後の選挙で郵政民営化に反対した相手候補の 「刺客」 として立候補し勝利しました。 保守的な政治信条で知られ、初当選が同期の安倍元総理大臣とも近く、2006年の第1次安倍内閣で沖縄・北方担当大臣として初入閣しました。 2012年に発足した第2次安倍内閣では、政務調査会長に就任。その後、総務大臣を歴代最長の在任期間となる1438日に渡り務めました。 前回・3年前の総裁選挙では、安倍氏の支援も受けて初めて立候補し、1回目の投票で岸田総理大臣、河野デジタル大臣に次ぐ3位でした。 岸田内閣の発足に伴って再び政務調査会長に就任し、2022年からは経済安全保障担当大臣として、重要な情報へのアクセスを限定する 「セキュリティークリアランス」 制度の創設などに取り組んできました。 今回の総裁選挙に向けては、2023年11月から自身に近い議員らと定期的に勉強会を重ねてきていて、2024年8月末にはその内容をまとめた書籍を出版するなど準備を進めていました。 ■ヘビメタバンドのドラム担当も 奈良県内の共働きの家庭で育った高市氏は、地元の県立高校を経て神戸大学へ入り、アルバイトで学費を稼ぎながら学びました。 目標とする政治家はイギリスのサッチャー元首相。 「不人気な政策でも、国家のために必要と思ったら信念を持って取り組む姿勢が好きだ」 としています。 熱心な阪神ファンで2023年のリーグ優勝時、記者会見で感想を聞かれた際には 「18年ぶりということで、死ぬまでにあと何度こういう経験ができるか数えた」 などと満面の笑顔で応じ、笑いを誘っていました。 趣味は音楽、オートバイ、ドラマ鑑賞など多岐にわたります。 学生時代にヘビーメタル・バンドでドラムを担当したこともあり、アーティストとの親交を深めてきました。 前回の総裁選挙の時もデーモン閣下さんらと面会し、新型コロナの影響を受けたエンターテインメント業界への支援をめぐって要望を受ける場面がありました。 高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対 2024/9/9 17:23 https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、 「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」 と述べ、 「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」 と指摘した。 ■「正しい知識を」 選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、 「旧姓では不動産登記ができない」 などと語っていた。 その上で、高市氏は 「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」 「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」 と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。 高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 を提出した。 しかし、党議決定には至っていない。 旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。 そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は 「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」 との回答は42・2%で、 「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」 の28・9%を上回っている。 高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。 ■解雇規制「日本は緩い方」 また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。 「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない] 「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」 と語った。 高市早苗氏 首相就任時の靖国参拝に強い意欲「希望する」 不記載事件巡る再処分は否定 2024/9/9 16:12 https://www.sankei.com/article/20240909-FGOBSYTK65EOHAW5MNYOLSOVCY/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、首相在任中の靖国神社参拝に強い意欲を示した。 「国策に殉じられ、祖国を守ろうとした方々に敬意を表し続けるのは希望するところだ」 と強調した。 高市氏は終戦の日の8月15日に靖国参拝を重ねてきた。 派閥パーティー収入不記載事件を巡る所属議員の再処分については 「決着した処分を総裁が変わったからといってちゃぶ台返しすると独裁になる」 「党で決めた処分をひっくり返す独裁的な行動はとらない」 と語った。 自民党は4月、不記載事件を受けて安倍派(清和政策研究会)、二階派(志帥会)の議員ら39人に対し、離党勧告2人、党員資格停止3人を含む処分を決めている。 高市早苗氏、「一日も早い被害者の帰国を」拉致問題解決に意気込み NHK国際放送も活用 2024/9/9 14:56 https://www.sankei.com/article/20240909-F7HKDX5HWRD2RDRQM3OTCTLA6E/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、北朝鮮による日本人拉致問題について 「(日朝)首脳会談の実現、同盟同志国との協力などあらゆる手段を通じ、一日も早い拉致被害者の帰国のため働いていく」 と強調した。 税金が投入されているNHKの国際放送を通じ、拉致問題解決に向けて国際世論を喚起していくとした。 高市早苗氏、「令和の省庁再編」 内閣情報局や対日外国投資委員会を設置 総裁選出馬会見 2024/9/9 14:31 https://www.sankei.com/article/20240909-DYNOHOX4NFCNNCVRXASOXGAL7Q/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への出馬を表明した記者会見で、 「令和の省庁再編」 への挑戦を掲げ、 「議論を尽くした上で、政治がリーダーシップを発揮しなければならない」 と意気込んだ。 具体的にはインテリジェンスに関係する省庁の司令塔として、 「内閣情報局」 と最高意思決定機関として閣僚らで構成する 「内閣情報会議」 を設置する。 また、懸念のある国からの投資を精査する 「対日外国投資委員会」 を設け、 「情報通信省」 や 「環境エネルギー省」 に既存省庁を改編するとした。 高市早苗氏「サナエあれば、憂いなし」自民総裁選出馬表明「日本をもう一度てっぺんに」 2024/9/9 14:07 https://www.sankei.com/article/20240909-6JL6XLRG25HRXGMN6XNPKUO3KE/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、国会内で記者会見を開き、総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を正式に表明した。 高市氏は 「日本をもう一度世界のてっぺんに押し上げたい」 と強調した。 「国の究極の使命は国民の生命と財産を守り抜くこと」 「そして、国家の主権と名誉を守り抜くこと」 「この究極の使命を果たすためにも、総合的な国力の強化が必要だ」 と語った。 高市氏は会見場に国旗を掲げ、背面のボードには 「サナエあれば、憂いなし。」 「日本列島を、強く豊かに。」 とメッセージを書き込んだ。 自民・高市早苗氏が新著を出版 防衛費の増額などを主張、総裁選出馬の際の政策土台に 2024/8/30 16:47 https://www.sankei.com/article/20240830-KTMKJ52UPBKYZKZGWH3PVLA65Y/ 高市早苗経済安全保障担当相は30日、新著 「国力研究 日本列島を、強く豊かに。」 を出版した。 「『総合的な国力』の強化が必要」 だとして、防衛費の増額の必要性などを訴えた。 自民党総裁選へ出馬した際の政策の土台になるとみられる。 新著では令和4年12月の国家安全保障戦略改定を巡り、 「非核三原則を堅持する」 という文言の削除を求めていたことを明かした。 「『持ち込ませず』については『米国の拡大抑止の提供』を期待するのであれば、現実的ではありません」 と記した。 また、中国やロシア、北朝鮮によって日本を取り巻く安全保障環境が厳しくなっていることにも言及。 「政治的なリスクを恐れず、最も深刻な脅威を想定した上でリアルな処方箋を書き、防衛力を抜本的に強化するべき時代なのです」 と主張した。 <独自>高市早苗氏、9月9日に自民総裁選への出馬を正式表明へ 2024/8/28 18:12 https://www.sankei.com/article/20240828-I5UCQZXB6ZOP7C72FN4UVDVH2U/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9月9日に記者会見を開き、党総裁選(9月12日告示、27日投開票)への出馬を正式表明する方向で最終調整に入った。 28日、高市氏の周辺が明らかにした。 高市氏は立候補に必要な推薦人20人の確保に目途が立ち、出馬する意向を周囲に伝えていた。 当初は、今週中の出馬表明を想定していたが、台風10号の影響を考慮し、先送りしていた。 閣僚としての公務日程と調整の上、9月9日に正式表明することにした。 高市氏は平成5年の衆院選で初当選。現在9期目で、これまで総務相や党政調会長などを歴任した。 令和3年の前回総裁選は安倍晋三元首相の支援を受けて善戦。 政策通として知られ、特に保守層からの期待が大きい。 高市早苗氏「国家経営を担うべく心を固めている」と投稿 総裁選出馬、重ねて意欲 2024/8/19 0:51 https://www.sankei.com/article/20240819-DHPUIZG2N5PV7OQ2VJVHFOMGE4/ 9月の自民党総裁選をめぐり、高市早苗経済安全保障担当相(63)は18日、自身のX(旧ツイッター)に 「国家経営を担うべく、心を固めている」 と投稿し、重ねて意欲を見せた。 高市氏はこの日、都内で保守系団体 「日本会議」 の関連会合で講演。 出席者によると 「日本を強く豊かにするため働く決意だ」 と訴えたという。 総裁選は10人程度の出馬が取り沙汰されている。 中国に立ち向かえるのは高市早苗 いつまで”中国の言いなり”を続けるのか 「高市総理」でなければ日本は破滅の道を歩むだろう WiLL2024年4月号 作家・ジャーナリスト 門田隆将 ■存続すら危ぶまれる日本 日本にとって「運命の時」が迫っている。 2024年9月に予定される自民党総裁選である。 3年前の2021年のように、もし選択を誤って岸田文雄氏のような覚悟なき国家の領袖を選べば、最早日本の存続は難しくなる。 その理由は「緊縮財政」であり、「移民推進政策」であり、LGBT法を代表とする「国内分裂」であり、日本に迫る中国等の脅威に対する「覚悟の無さ」である。 岸田政権の情けない国家運営は、安倍時代に史上初の国家選挙6連勝を成し遂げた岩盤支持の保守・現実層から完全に見放され、内閣支持率が16.9%、自民党の支持率も16.3%(時事通信、2024年2月15日配信)となった。 一部の”アベガー”を除いて国民の間に絶大な人気を誇った安倍晋三氏の遺産を岸田氏は見事に 「食い潰してしまった」 のである。 3年前の2021年9月、岸田文雄、河野太郎、高市早苗、野田聖子の4氏で争われた総裁選を思い出してほしい。 岸田氏は河野氏との決選投票の末に自民党総裁となり、衆参の首班指名を経て第100代の日本国総理大臣となった。 総裁選で急激に人気を増し、国会議員票114票を集めて河野氏に28票差を付けた高市氏は”時間切れ”で党員投票が3位に終わり、初の女性首相誕生はならなかった。 そして、その後の3年間、日本がどうなったかは周知の通りである。 中国に侮られ、EEZ内にミサイルを撃ち込まれても国家安全保障会議さえ開けず、連日、尖閣領域に中国公船が押し寄せ、あざ笑うかのように海上ブイもぶち込まれている。 何カ月経っても 「どう対処するか検討中」 との答弁しかできない覚悟なき政権。 ”増税メガネ”の呼称を頂戴するほどステルス増税に熱心で、減税と名の付くものには法律で定められたトリガー条項の凍結解除さえ発動せず、また議論を尽くさないまま国民を分断するLGBT問題をゴリ押しした。 欧州では社会問題化し、各国が四苦八苦している移民問題で特殊技能制度や留学支援制度を拡充するなど日本の根幹は次々壊されている。 安倍晋三氏が暗殺されて僅か2年近くで、日本はこんな情けない有り様となってしまったのである。 このままでは、日本の存続が危ぶまれるというのは、大袈裟でも何でもない。 安倍時代の最大の支持層は18歳から29歳までの若者層であり、朝日新聞(2020年9月12日付)によれば、安倍在任中のこの年齢層の平均支持率は実に57%だった。 その後継者であり、ネットでは常に人気ナンバーワンの高市早苗氏。 安倍氏亡き今、なぜ高市政権誕生が日本にとって不可欠なのか、中国問題を例に取って論じてみたい。 ■国益を守る執念 高市氏が政権を担わなければならない理由はいくつもあるが、最大は何と言っても「中国」である。 高市氏が政治生命を懸けて取り組んでいるセキュリティ・クリアランス(SC)制度は、多くの貴重な情報や技術を日本から抜いていく中国が念頭にある。 2年前の2022年に成立した経済安全保障推進法の中で反対が多かったのがSC制度である。 経済安全保障に関わる機密・機微情報の取扱資格を認定するのが同制度で、日本企業が国際ビジネスや先端技術の共同開発に参入するには不可欠だ。 G7で同制度を導入していないのは日本だけである。 しかし、中国は得意の工作の手を日本の政界に伸ばし、今では自民党の8割と言われる議員を親中派にし、野党も多くがその軍門に下っている中、成立には数々の困難が待ち受けている。 中国の影響は絶大で、2023年来の政治資金パーティー問題でも、宏池会のパーティーへの異常な数の中国人の参加者を含め、外国人の政治資金パーティー券購入が大きな問題となった。 だが、本質とも言うべきこの事柄に、岸田首相は前向きの姿勢を一切示さなかった。 事の深刻さを浮き彫りにすると共に 「中国問題」 が日本の政界にとって如何に厄介かを物語っている。 前述のように中国による海上ブイは2カ月間も国民に隠され、いつまで経っても 「関係省庁間で検討の上、可能かつ有効な対応を適切に実施していく」(上川外相) と言うばかりで中国に対して 「何も出来ない」 ことが露呈した。 閣僚の中で 「これは撤去すべきだ」 と発信したのは高市早苗経済安全保障担当相だけだったのである。 中国を知る専門家の間では、 「中国に譲歩したら、その時点でアウト」 「どこまでもツケ込まれ、尖閣の場合なら海域全体が中国のブイだらけになる」 という見方が専らだった。 その言葉通り、2024年1月には、2個目の海上ブイも発見された。 媚中政治家だらけの岸田政権で、どこまでも中国に譲歩を続けなければならないのである。 ■日本への「核攻撃」動画 私は、講演会で日本が如何に危機の淵に立っているかを知ってもらうために、2023年の「8月24日」以降、中国で流れている動画を実際に聴衆に観てもらうように心掛けている。 2023年の8月24日とは、福島の処理水の海洋放出を始めた日だ。 日本がIAEA(世界原子力機関)の監視と協力によって慎重に進めてきた処理水の放出計画は緻密で、世界中で中国以外は全て容認した。 だが、中国は、 「これは決して日本だけの問題ではない」 「日本政府は、利害関係者との十分な協議も尽くしておらず、認められない」 と反発し、日本を責め立てた。 南シナ海に年間112兆ベクレルものトリチウムを流し続ける広東省の陽江原発、東シナ海へ約102兆ベクレルのトリチウムを流す福建省の寧徳原発、同じく143兆ベクレルものトリチウムを流し続ける浙江省の泰山第3原発・・・等々、福島処理水の何倍ものトリチウムを海洋放出する国が 「何を言うか」 と世界の原子力関係者から声が上がったのである。 だが、この日以来、中国でどんな「動画」が喝采を浴びているかご存じだろうか。 代表的な2本を紹介しよう。 まず1つはこういうものだ。 <日本は2つの戦争で中国人民に死傷者3500万人を生んだ国である> <中国人民は、古い仇と新しい仇を両方、打つ> <日本に対して、我が国が原則とする”核先制不使用”は適用しない> <我々は、必ず日本に核兵器を使用する> 過激な表現と共に2分余りの動画は続く。 そして、もう1本は更に過激だ。 <広島や長崎で使用された原爆では日本を消滅させるのに420発もの数が必要になる> <しかし、我が国が持つ東風(トンフォン)41型核ミサイルなら、7発で日本を地上から消し去ることができる> 映像では核ミサイルが爆発して人々が焼け、溶けて死んでいくおどろおどろしい光景が次々と登場する。 そして2023年の12月には、1188万人ものフォロワーを持つ中国の有名インフルエンサーがこんな主張を行い、これまた拍手喝采を浴びた。 「古い因縁を清算するのが私たちの世代の中国人の使命だ」 「彼らを赦すのは神の仕事だ」 「私たちの義務は彼らを神の元に送ることだ」 「古い因縁を清算することこそ、我々世代の使命なのだ」 必死で訴えるこのインフルエンサーの声には、発信から2カ月が経った2024年2月上旬、”いいね”が3.9万も付いている。 中国版SNSでは、 「小日本に核ミサイルを撃ち込め」 とか 「日本を地上から消滅させろ」 との文言は日常の如く現れるので、私にとっては驚くべき事ではない。 しかし、明らかにその度合いは、強さを増している。 周知のように中国では政府の意向に反する主張や動画は許されない。 つまり、日本を核攻撃するという主張は中国で 「当たり前」 であり、逆に言えば中国政府がその事へのコンセンサスを人民の間に創り上げることを 「容認している」 ということなのである。 ■身も凍り付く中国の教育現場 こんな動画が喝采を浴びるのは、中国が徹底的に日本を攻撃し、憎悪する教育を天安門事件後の江沢民政権が1990年初頭から続けてきたからに他ならない。 どんな教育がなされているのかは、中国版SNSにいくらでもアップされている。 そこに分け入っていくと、驚きの教育を知ることができる。 小学校高学年のクラスでは、福島処理水の海洋放出を教える中で、岸田首相の顔写真を出し、 「数十年後、君たちの子孫は人魚になるかもしれません」 「作文で罵りましょう」 「日本を批判、批判、再批判するのです」 「ペンを武器として持ちなさい」 と、作文での罵りを指導する映像だ。 「天と地をコントロールしようとする、これが日本の首相の顔です」 「彼は人間のウンコやおならまでコントロールしようとしている」 「徹底的に批判するのです」 確信に満ちた女性教師の姿は凄まじい。 またそれより下の3〜4年生のクラスでは、中国の主張する日本軍の悪行が教え込まれている。 例えば、日本軍の 「10の犯罪を挙げなさい」 と先生に言われ、暗記した日本軍の犯罪を生徒たちが発表していく。 生徒1人1人が立って日本軍の悪行(注=あくまで教え込まれたもの)を1つずつ口に出していく。 慰安婦や南京大虐殺、731石井部隊、済南事件(注=中国では「5・3惨案」)などが次々と発表されるのだ。 そして全てが揃うと 「歴史を心に銘記せよ」 「恨みを絶対に忘れるな」 とクラス全員で唱和するのである。 こんな動画がネットには次々と登場するのだ。 他にも幼稚園の運動会で日本兵に物を投げ付けるものや、同じく日本兵の腹を突き刺す訓練など、物事の道理も分からない子供たちの頭を 「日本への憎しみ」 で染め上げていく。 背筋が寒くなる教育現場である。 ■誰が中国と対峙できるか では、一体、日本のどの政治家ならこの中国と渡り合えるのだろうか。 私は日中首脳会談の中で忘れられないエピソードがある。 安倍首相が習近平国家主席との会談で必ず、 「この島(注=尖閣)への私の覚悟を見誤らないように」 と、伝えていたという事実である。 こんな言葉を宏池会出身の覚悟なき岸田首相に言えるはずもない。 先に述べたように閣僚の中で海上ブイに 「撤去」 の意思を示したのは、高市早苗氏だけなのである。 毛沢東の号令1つで近衛兵たちによって、数千万人に及ぶ迫害死を生んだ中国。 私たちに必要なのは、平和ボケして現実を直視できない首相ではなく、国民の生命・財産・そして領土を守り、 「平和を守る抑止力」 をきちんと構築できる国家の領袖に他ならない。 かつてフジテレビの「日曜報道」が <なぜ中国は高市氏を警戒するのか> との話題を取り上げたことがある。 そこでフリップに書かれたのは、以下の4点だった。 「國神社”参拝"継続」 「憲法9条に”国防軍”明記」 「中国などへの技術流出を阻止する」 「敵基地を無力化する法整備」 ・・・これらは、どれを取っても日本に不可欠なものである。 逆に言えば、なぜこれまでの首相は、これを実現できなかったのか問いたいものである。 高市氏は國神社に際して、いつもこう語る。 「国策に殉じられた方々の御霊(みたま)に尊崇の念を以って感謝の誠を捧げて参りました」 「国のために命を捧げられた方をどのようにお祀(まつ)りし、慰霊するかは、それぞれの国民が判断することで、決して外交問題にしてはなりません」 日本人として当然の言葉である。 ペリー来航以来の国事殉難者246万6000柱の英霊に対して、後世の政治家として頭(こうべ)を垂れようともしない政治家の方が私には信じられない。 力による現状変更への中国の強い意志が明らかになる中、日本はそれに負けない強い意志で中国と対峙しなければならない。 フィリピンが中国の海上ブイを切断し、強い意志を示したのに、日本はなぜ出来ないのか。 このままでは、尖閣領域は、ブイどころか、中国の公船や武装民兵で溢れるだろう。 「この島(尖閣)への私の覚悟を見誤らないように」 先の安倍首相のこの言葉を言える総理候補がいるだろうか。 石破茂、河野太郎、上川陽子・・・どこを向いても 「親中政治家」 しか見当たらない。 しかも、いずれも財務省が操り易い緊縮派、もしくはそれに近い政治家たちである。 その対極にいるのが高市早苗経済安全保障相である。 日本は、中国に頭の上がらない、そして緊縮派の総理を戴いて、存続できる状態にあるのだろうか。 迫る中国、北朝鮮の脅迫、更にはロシア・・・失われた30年の末に、積極財政派の牙城・清和会が解体され、勝ち誇る財務省を中心とする緊縮勢力に立ち向かえるのは、高市早苗政権しかないことを、国民が理解するべき「時」が来ているのである。 岸田内閣支持20.1%で過去最低 不記載問題、説明責任果たさず91% 共同通信世論調査 世論調査 2024/3/10 18:11 https://www.sankei.com/article/20240310-5DS6RIAUZBLDZGTPZ4UX6SNLYQ/ 共同通信社が2024年3月9、10両日に実施した全国電話世論調査で、自民党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件を受けて衆院政治倫理審査会に出席した安倍派と二階派の幹部5人について 「説明責任を果たしていない」 との回答が91.4%に上った。 内閣支持率は20.1%で、前回調査(2024年2月3、4両日)の24.5%を4.4ポイント下回り、岸田文雄内閣として過去最低を更新した。 不支持率は64.4%で、前回調査を5.5ポイント上回った。 自民の政党支持率は24.5%で、2023年12月調査の26.0%を下回り、平成24年12月の政権復帰以降、最低となった。 裏金事件に関与した安倍、二階両派の幹部には 「重い処分が必要だ」 が77.3%だった。 内閣支持16.9%、最低更新 不支持初の6割台―時事世論調査 2024年02月15日16時31分配信 https://www.jiji.com/jc/article?k=2024021500726&g=pol 時事通信が2024年2月9〜12日に実施した2024年2月の世論調査によると、岸田内閣の支持率は前月比1.7ポイント減の16.9%となり、発足以来の過去最低を更新した。 不支持率は同6.4ポイント増の60.4%で、初めて6割を超えた。 支持率は、2012年12月の自民党の政権復帰後で最低。 「危険水域」とされる2割台以下は7カ月連続で、直近3カ月は1割台に落ち込む。 一方、不支持率が6割台に達するのは安倍内閣の2020年5月以来。 自民党派閥の裏金事件などが影響したとみられる。 自民党の政党支持率は前月比1.7ポイント増の16.3%。 過去最低を記録した2024年1月から微増したものの、4カ月連続で1割台と低迷が続いている。 自民党は先に、政治改革の中間取りまとめを決定。 派閥について、政治資金パーティー開催や人事関与を禁じたが、政策集団としての存続は認めた。 この内容を「評価しない」は67.3%で、「評価する」の14.1%を大きく上回った。 派閥の存廃については、「解散すべきだ」が63.8%。 「存続すべきだ」は10.3%にとどまった。 能登半島地震の政府対応は、「評価する」29.6%(前月比2.4ポイント減)、「評価しない」37.6%(同2.9ポイント増)だった。 内閣を支持しない理由(複数回答)は「期待が持てない」36.9%がトップ。 「政策がだめ」26.8%、「首相を信頼できない」25.1%と続いた。 支持する理由(同)は「他に適当な人がいない」8.4%が最も多かった。 政党支持率は自民党が首位で、立憲民主党4.1%(前月比0.6ポイント増)、公明党3.6%(同0.5ポイント増)、日本維新の会3.3%(同0.5ポイント減)の順。 23年ぶりにトップが交代した共産党は0.5ポイント増の2.4%だった。 以下、れいわ新選組0.9%、国民民主党0.4%、社民党0.3%、参政党0.3%で、教育無償化を実現する会はゼロ。 「支持政党なし」は64.7%。 調査は全国18歳以上の2000人を対象に個別面接方式で実施。 有効回収率は59.1%。 日本への「核攻撃」世論高める中国 おどろおどろしい動画がSNSで喝采「滅ぼされるべき」とも 門田隆将氏が憂う安倍派崩壊もたらす危機 2023.12/31 10:00 https://www.zakzak.co.jp/article/20231231-7ISS67GXYFIPXL3TW5JWN6BXTI/ 安倍派(清和政策研究会)の崩壊――パーティー券事件で狙い打ちされ、分裂が取り沙汰されるニュースを見ながら、私は溜息をついている。 理由を一言で表すなら、 「日本の危機が分かっているのか」 ということである。 政治資金に対する意識の低さ、危機感の欠如など、この事案に呆れることは多いが、それとは別に親台派や積極財政派が多い清和会が狙われたことに、いよいよ日本という国自体が危うくなってきたことを実感する。 安倍晋三―岸信夫兄弟は、台湾の自由と民主、人権、法治を重んじた政治家だ。 東アジアで同じ価値観を共有する台湾を愛し、そして台湾人からも、こよなく愛された。 しかし、岸氏が病気で政界を引退し、安倍氏は暗殺された。 武力行使を隠さない中国から台湾を守ることは、言うまでもなく 「東アジアの平和」 ひいては 「世界平和」 を守ることに他ならない。 しかし、安倍氏死去後、清和会は 「後継」 すら決められず、烏合の衆≠ニ化した。 この有り様を生き馬の目を抜く政界が見逃すはずもなく、やがて派閥が検察に狙い打ちされたのである。 今後、親中派閥ばかりになった自民党で左翼リベラル政治家によって政権がたらい回しされるなら、日本の存続は極めて難しい。 その理由は 「中国」 にある。 福島第1原発の処理水が海洋放出された2023年8月24日以降、中国でどんな 「動画」 が喝采を浴びているかご存じだろうか。 代表的な2本を紹介しよう。 1本目は <日本は2つの戦争で中国人民に死傷者3500万人を生んだ国である> <中国人民は、古い仇と新しい仇を両方、打つ> <日本に対して、我が国が原則とする核先制不使用≠ヘ適用しない> <我々は、必ず日本に核兵器を使用する> というものだ。 2本目は <広島や長崎で使用された原爆では日本を消滅させるのに420発もの数が必要になる> <しかし、我が国が持つ東風(トンフォン)41型核ミサイルなら、7発で日本を地上から消し去ることができる> という内容である。 いずれも、映像では核ミサイルが爆発して人々が焼け、溶けて死んでいくおどろおどろしい光景が表現されている。 この動画が喝采を浴び、同時に中国版SNSには、小学校での授業風景もよくアップされ、これまた反響を呼んでいる。 例えば、日本軍の 「10の犯罪を挙げなさい」 と先生に言われ、暗記した日本軍の犯罪を生徒たちが得意げに発表していくもの。 また、福島処理水の海洋放出に当たり、岸田首相の顏写真を出して、 「数十年後、君たちの子孫は人魚になるかもしれません」 「作文で罵りましょう」 「日本を批判、批判、再批判するのです」 「ペンを武器として持ちなさい」 と、作文での罵りを指導する映像だ。 他にも幼稚園で日本兵に物を投げ付けるものや、同じく日本兵の腹を突き刺す訓練など、物事の道理も分からない子供たちの頭を 「日本への憎悪」 で染め上げていく様が映される。 まさに背筋が寒くなる光景である。 私は中国が民主化するかもしれなかった胡耀邦元総書記時代の1980年代から中国をよく訪問した。 日本に学び、技術や理論を吸収しようとした中国は、日本人を重んじ、こんな教育をする時代が来ることなど想像もできなかった。 しかし、胡耀邦氏の死と、その追悼のために天安門広場に集まった大学生たちが一網打尽にされる 「天安門事件(6・4事件)」 を経て、1990年代から江沢民元総書記の下で徹底した 「反日教育」 が行われた。 子供たちは日本への憎悪で洗脳されていったのだ。 そして2023年12月13日、1188万人ものフォロワーを持つ中国の有名インフルエンサーがこんな主張を行い、これまた拍手を浴びた。 「古い因縁を清算するのが私たちの世代の使命だ」 「日本は歴史を歪曲する教育の下で、日本の侵略戦争は全て自衛戦争、解放戦争、正義の戦争として美化された」 「だから戦争で死んだ軍人や靖国神社の戦犯たちは国を守った英雄となっているのだ」 「我々は謝罪を待っているのではない」 「謝罪が役に立つなら、なぜ東風ミサイルが必要なのだ?」 「彼らが謝罪しても私はそれを受け入れない」 「私たちは憎しみを手放す立場にはない」 「なぜアメリカ人は日本人への憎しみを捨てられたのか?」 「なぜなら彼らは自らの手で広島と長崎を焼き払ったからだ」 「なぜロシア人はドイツ人に対する憎しみを捨てられたのか?」 「それは彼らが自らの手でベルリンの地に赤旗を立てたからだ」 「では我々はどうなのだ?」 「謝るも謝らないもない」 「仇敵が謝ることが重要なのか?」 「いいや!」 「仇敵は滅ぼされるべきだ」 「彼らを赦すのは神の仕事だ」 「私たちの義務は彼らを神の元に送ることだ」 「古い因縁を清算する事こそ我々世代の使命なのだ」 周知のように中国では政府の意向に反する主張や動画は許されない。 つまり、日本を核攻撃する──との人民へのコンセンサスを創り上げることに 「中国は邁進している」 ということである。 毛沢東の号令1つで紅衛兵をはじめ革命の戦士≠スちによって、数千万人に及ぶ迫害死を生んだ中国。 私たちに必要なのは、平和ボケして現実を直視できない総理ではなく、国民の生命・財産、そして領土を守り、 「平和を守る抑止力」 をきちんと構築できる国家の領袖に他ならない。 東京地検特捜部の動きを見ながら、私はそんな事を考えている。 高市早苗で真っ当な歴史を取り戻せ 中川昭一・安倍晋三の遺志を継ぎ、子供たちが日本に誇りを持てる歴史教育を! WiLL20204年4月号 政治学者 岩田温 ■自民党「腐敗」の本質 自民党は腐っている。 根底から腐り切っている。 一般庶民であれば 「脱税」 として厳しく処罰される行為が、白昼堂々、国会議員によって為されていた。 簡単に言えば、裏金作りが行われていた。 政治資金規正法を厳格化せよという国民の怒りの声は当然と言う他ない。 イデオロギーの左右を問わず、自民党の腐敗に多くの国民は憤っている。 政治資金規正法の問題だけではない。 腐敗の元凶は他にもある。 多くの庶民は相続税の問題に頭を悩ませる。 相続税とは、考えてみれば恐ろしい制度だ。 生前、税金を納めなかった人間が罰せられるのは当然だろう。 だが、税金を納め続けた人間が死んだことを理由に課税されるのだ。 国民の常識としてみれば、葬式には香典を持っていくのが当然だ。 しかし、死んだから金を寄越せと堂々と叫ぶのが相続税である。 理不尽な制度だと思うが、悪法も法であり、従うしかない。 だが、政治家だけは違う。 政治資金団体を作り、そこに財を投じておけば、非課税で後継者に相続することが可能になる。 こうして腐り切った世襲議員が誕生する。 私は世襲議員の全てを否定するわけではない。 しかしながら、政治制度として無能な世襲議員でも国会議員になれるという仕組みは正すべきである。 世襲議員が圧倒的に有利になる政治制度そのものの変革を望んでいるだけだ。 例えば、奈良3区を見てみよう。 自民党選出の田野瀬太道(たのせ・たいどう)という政治家がいる。 コロナ禍において、国民に自粛を求めながら銀座で遊び歩き、銀座3兄弟と揶揄された1人である。 彼は自民党を離党したものの、無所属で当選後、自民党に復党した。 腐敗という言葉が存在するならば、これほど腐敗した政治家はいない。 そんな政治家を自民党は擁護し続けている。 実際に会ったこともあるが、何をしたいのか分からない。 理念もなければ理想もない。 夜な夜な銀座で飲んでいたいぐらいの男だろう。 父親が衆議院議員でなければ、政治家を志すこともなかった類の人物である。 こういう人物を政治家にしてしまう制度設計そのものが間違っている。 ■腐った林檎とサリン 議会制民主主義の国家であるならば、こうした腐敗は政権交代によって正されるのが常識だ。 腐り切った与党に鉄槌を下し、野党が政権を獲得するわけである。 だが、我が国では議会制民主主義の常識が機能していない。 野党が余りに愚かだからである。 与党は驚くほど腐敗し、野党は目を覆いたくなるほど愚昧。 これが我が国の現状である。 未だに集団的自衛権の限定的な行使を違憲であると主張する立憲民主党。 党員が党首を選ぶという至極真っ当な主張が排除される日本共産党。 彼らに政権を任せようとしない日本国民は紛れもなく正しい。 我々は究極の選択を迫られている。 あなたの前にマフィアが現れたとしてほしい。 どちらかを必ず食べろと命令された。 1つは、吐き気を催すほどの異臭を放つ林檎である。 誰も食べたくない。 眼を背けたくなるほど醜悪で腐り切っている。 よく見れば、蛆も湧いている。 もう1つはサリンである。 オウム真理教が国家の転覆を狙って散布したあの薬物だ。 腐った林檎か、サリンか。 どちらかを食べろと脅迫された時、多くの人は腐り切った林檎を選ぶだろう。 それが今の日本の現状である。 腐り切った林檎など食べたくないが、サリンを飲むわけにはいかない。 泣きの涙で自民党を支持している。 悲劇の現状である。 自民党の腐敗は金銭の問題だけではない。 思想的にもいかがわしい。 最早狂っていると言ってもいい。 保守政党の看板を掲げながら、LGBT理解増進法などという一般国民の常識からかけ離れた法を制定した。 この時、安倍派(清和研)は良識ある国民の期待を裏切った。 よもや自民党がこのような法律を制定するはずがあるまい。 安倍派が必死にこの愚昧な法の制定を押しとどめてくれるだろう。 心ある国民の声を裏切ったのは誰だっただろうか。 萩生田光一政調会長をはじめとする安倍派の政治家だった。 彼らは良識ある国民の声を無視し、裏金作りに勤しんでいた。 思想信条以前に金が欲しい。 それが自民党の政治家の姿だった。 端的に言って、卑しい。 ■第2の河野談話 つい最近も、思想的に堕落した自民党を象徴する出来事があった。 岸田総理が 「共生社会と人権に関するシンポジウム」(2024年2月3日) に送ったビデオメッセージが余りに自虐的な内容であるため、批判が殺到した。 <残念ながら、我が国においては、雇用や入居などの場面やインターネット上において、外国人、障害のある人、アイヌの人々、性的マイノリティの人々などが不当な差別を受ける事案を耳にすることも少なくありません> 「聞く力」 を持つと自負している岸田総理だが、実際の差別の場面を目撃したわけでも、確認したわけでもないようだ。 その耳に差別の現状を報告しているのは、一体誰なのだろうか。 この発言を聞けば、我が国は不当な差別が横行している暗黒国家のような誤解を受ける。 差別が全く存在しないと主張するつもりはない。 だが、1国の総理大臣が 「我が国においては」 と強調している点が気にかかる。 中国における、ウイグルやチベットの人々の現状、イスラム諸国における性的マイノリティ、その他各国における外国人に対する取扱い。 我が国の人権状況が殊更に異常であると騒ぎ立てる根拠など存在しないはずだ。 岸田総理はこうも発言している。 <近年、外国にルーツを有する人々が、特定の民族や国籍等に属していることを理由として不当な差別的発言を受ける事案や、偏見等により放火や名誉棄損等の犯罪被害にまで遭う事案が発生しており、 「次は自分が被害に遭うのではないか」 と、日々、恐怖を感じながら生活することを余儀なくされている方々もおられます> 岸田総理に問いたい。 自らの政治信条が右派であるために迫害されている学者が我が国には厳然と存在する。 「リベラルにあらずんば、人にあらず」 とのアカデミズムの異様な保守派排除について、総理は如何にお考えなのか。 あなたが真に守らなければならないのは 「外国にルーツを有する人々」 だけなのか。 あなたが認識している差別が全てではない。 左派による右派に対する迫害。 こうした事例も差別として認定し、その是非に取り組むべきであろう。 右派の人権についてはなぜ語らないのか。 結局のところ、差別の現状などまるで認識していないのである。 ■安倍晋三への怨念 自民党の思想的堕落の背景に何があるのか。 杉田水脈衆院議員を巡るメディアの報道を観察すると、その正体が浮かぶ上がってくる。 杉田議員はLGBTを巡り、 「生産性がない」 などと雑誌に寄稿して物議を醸した。 確かに、粗雑で誤解を招きかねない表現だった。 だが、彼女の主張は国民の常識から乖離していたわけではない。 こうした杉田議員に対して、左派のマスメディアが醜悪なほど露骨な名指しの批判を繰り返した。 以下は朝日新聞の社説からの抜粋である。 <いったんは杉田氏を政務官に起用した、岸田首相の人権感覚もまた問われている> (2023年9月23日) <差別はあってはならない。そう言いながら差別に居直る発言を繰り返し、他者をあおっている国会議員が、放置され続けている。とうに個人の資質の問題ではない。岸田首相や自民党は、差別扇動者と決別する意志を示すべきだ> <研修中にエッフェル塔前で写真を撮り投稿した松川るい参院議員は党内で注意された。それなのになぜ、市民の尊厳を平気で踏みにじり続ける杉田氏は問題にしないのか> (2023年11月22日) <性的少数者を差別したり、ジェンダー平等を否定したり、人権感覚が疑われる言動を繰り返す人物を、なぜ政府の職に就けたのか。「多様性の尊重」は口先だけで、差別を容認していると批判されても仕方あるまい。岸田首相の責任を厳しく問う> 朝日新聞の社説でここまで個人攻撃を受ける杉田議員はむしろ立派である。 心ある日本国民からの 「頑張れ!」 というエールと受け取るべきだろう。 朝日新聞が讃えたポルポトは虐殺者であり、地上の楽園と賛美した北朝鮮はこの世の地獄だった。 朝日新聞に差別扇動者と罵られた杉田議員は愛国者そのものだろう。 芥川龍之介は書いた。 「誰よりも民衆を愛した君は、誰よりも民衆を軽蔑した君だ」。 芥川を模倣すれば、こう言えるはずだ。 「誰よりも朝日新聞に攻撃された君は、誰よりも日本を愛した君だ」・ 杉田議員はなぜ、ここまで攻撃されるのだろうか。 朝日新聞はその答えを赤裸々に吐露している。 社説で次のように叙述しているのだ。 <こうした価値観の持ち主と知ったうえで、自民党に引き込んだのが安倍元首相やその側近だ。衆院選の比例中国ブロックの名簿で優遇され、当選を重ねた。杉田氏の処遇で、党内外の保守層にアピールもできるという読みがあったのだとしたら、見当違いである> 見当違いなのは朝日新聞である。 過剰な杉田批判は煎じ詰めれば、過剰な安倍批判と重なり合う。 安倍憎しの思いが杉田憎しへと移ろっている。 それだけの話だ。 自民党が今突き付けられているのは、実に簡潔な問いである。 安倍晋三亡き後、安倍的なるものを徹底的に排除せよという左派の主張に屈するか否か。 そこが問われているのだ。 そして、岸田政権と自民党は揺らいでいる。 ■保守主義とは無縁の政党 多くの人は自由民主党を保守政党だと思っている。 あるいは、そう信じ込んでいる。 だが、冷静に分析してみると、自民党が保守政党と誇れた時代はごく僅かな期間である。 端的に言うならば、安倍晋三という不世出の指導者が存在した時、自民党は保守政党だった。 それ以前の自民党とは、聞くも哀れ、語るも哀れ、見るも無残な政党といった惨状だった。 河野洋平、加藤紘一、野中広務、古賀誠。 こういった面々が自民党の主流派として跋扈していた。 余りに醜悪な古賀の発言を引用しておく。 <戦後74年、我が国は1度として、まだ他国との戦火を交えたことはありません> <平和の国として不戦を貫くことが出来ています> <これは憲法9条の力であり、だからこそ憲法9条は世界遺産なのです> <これはどんな事があっても次の世代に繋いでいかねばならない、我々の世代だけのものであってはいけないと思っています> <私は最初に国会に出る時から、憲法9条を守ろうという立場でした> <それだけを言おうと思って国会に出てきたと言っても過言ではありません> <憲法9条を私は守り抜くのだ、それを貫くのが私の使命だ、それが政治家として一番大事な志だとして、私は国会に来たわけです> (古賀誠『憲法9条は世界遺産』かもがわ出版) 言葉だけ読めば、社民党の福島瑞穂による発言だと思うだろう。 だが、福島の発言ではない。 自民党の幹事長を務めた古賀誠の発言なのである。 自主憲法の制定を掲げる自民党の国会議員でありながら、憲法9条に対する信仰心を露骨に口にしている。 煎じ詰めてみれば、自民党は保守政党を標榜しながら、保守主義とは無縁の政党であった。 時には、左に傾き過ぎている政党ですらあった。 ■カネと権力だけが友達 ここまで左傾化していた自由民主党とは一体何だったのだろうか。 簡単な話である。 アンパンマンは 「愛と勇気だけが友達さ」 と言う。 「金と権力だけが友達」 なのが自由民主党の本質である。 更に掘り下げるならば、 「権力から金が生まれる」 と信じていた。 だから、権力に対する異常な執着がある。 毛沢東は、 「政権は銃口から生まれる」 と説いた。 露骨なリアリズムと言ってよい。 自民党は 「金は権力から生まれる」 と信じ込んできた。 理念や理想を欠いた拝金集団、それが自民党の本性だった。 自民党が本性を露わにした瞬間がある。 水と油と例えられた自民党と社会党が手を組んだ瞬間に他ならない。 自衛隊の存在を否定し、日米同盟の意義すら否定してきた社会党の村山富市を総理大臣に迎え、政権奪取を実現したのだ。 権力を掌握するためであるならば、理念も理想も不要であると表明した瞬間だろう。 若き日の私は次の政治家の叙述に目を疑った。 ここまで羞恥心もなく権力至上主義を告白できる神経が分からなかった。 自社さ政権誕生によって、自民党が権力を奪還した瞬間を綴った興味深い文章である。 <社会党の委員長を自民党が首班指名することになろうとは誰が考えたであろうか> <拘泥する思いを振り切ったのは、1日も早い政権復帰を願う噴き上がるような自民党員の願いだった> (小里貞利『秘録・永田町』講談社) 露骨な自民党議員の権力至上主義を告白した著作に、若き日の私は次のように感想を綴っていた。 青年の憤りを率直に表現している。 <如何に自民党が堕落した政党であるかを自民党の代議士が赤裸々に綴った本> <しかも、懺悔や後悔が書かれているのではなく、淡々と政権獲得への道が書かれている> <罪の意識に苛まれ、告白した本ではない> <政策や至上命題に動いていたことが何の反省もなしに赤裸々に綴られているんのだ> 自社さ連立政権 https://ja.wikipedia.org/wiki/%E8%87%AA%E7%A4%BE%E3%81%95%E9%80%A3%E7%AB%8B%E6%94%BF%E6%A8%A9 ■「守るもの」と「変えるもの」 自民党を変えなくてはならない。 保守政党にしなければならない。 一途なまでにその信念で動いてきた政治家、それが安倍晋三だった。 私はかねて、 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」 の存在に注目してきた。 代表は中川昭一、事務局長は安倍晋三だった。 彼らこそが、自民党を巣くう左翼勢力を一掃し、本格的な保守政党にしようと願った政治家だった。 近代国民国家において、最も重要なのは歴史教育だ。 我が国の来歴を我が事として真剣に感じることができる。 その国民の姿勢を培うのが歴史教育だ。 事件の年号を記憶したり、事件の名称を覚えたりすることに大きな意味はない。 1789年にフランス革命が起きたのは事実だが、年号を覚えることに深い意味など存在しない。 最も大切なのは日本国民としての私という自覚を養うことだろう。 我が国の為に身を捧げた先人の決断に涙をもって応えられる。 そうした教育こそが国民教育だ。 窮地に陥った青年の祖国を救おうと願った特攻隊の青年の熱誠に正面から向き合う覚悟を持つこと。 これが歴史教育だのあるべき姿勢だ。 歴史教育について、若き日の安倍晋三は次のように語っている。 <私は、小中学校の歴史教育のあるべき姿は、自身が生まれた郷土と国家に、その文化と歴史に、共感と健全な自負を持てるということだと思います> <日本の前途を託す若者への歴史教育は、作られた、捻じ曲げられた逸聞を教える教育であってはならないという信念から、今後の活動に尽力してゆきたいと決意致します> (日本の前途と歴史教育を考える議員の会『歴史教科書への疑問』展転社) 歴史教育こそが国民国家の要であることを安倍晋三は理解していた。 だからこそ、安倍は腐り切った自民党を立て直そうと尽力してきた。 志半ばで非業の最期を遂げた安倍の殉国の思いは忘れるべきではない。 憂国の志を抱いた安倍の同志こそ、中川昭一だった。 中川は保守主義とは何かについて、極めて真面目に研究した政治家だった。 彼の結論は次の通りだ。 <真の保守主義は「守るべきもの」と「変えるべきもの」をしっかり認識し、バランスを取りながら「守るべきもの」はしっかり守り、「変えていくべきもの」は変える> <更に言えば、「守るべきもの」にしても単に「いい部分」を残すのではなく、更に生き生きとしたものに進化させていく> <18世紀イギリスの政治家エドマンド・パークの言葉にある「保守するための改革」だ> <従って、常に改革と改善に取り組むことこそが「保守」の姿勢である> (中川昭一『飛躍する日本』講談社インターナショナル) 保守主義とは何かを極めて簡潔に言い表した言葉と言ってよい。 彼もまた歴史教育の重要性について認識していた。 中川は歴史教育について、次のように論じている。 <歴史教育では、日本の子供たちのための教科書を作るのは当たり前のことだ> <自国の視点がなく、「一体、どこの国の教科書か」と思うようなものが存在する> <これでは日本人としての誇りも、自覚も生まれないのは当然だろう> <日本の教科書の内容は近隣諸国に配慮しなければならないという近隣諸国条項という規制は廃止すべきである> 『飛翔する日本』 中川昭一が首相の座に就く日を見たかったというのが率直な思いである。 しかし今や、中川昭一も安倍晋三もいない。 そんな現状の中、一縷の望みを託すとすれば、高市早苗以外にはあり得ない。 彼女もまた、 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」 に参加した政治家の1人だった。 幹事長代理という要職に就いていた。 ■「高市総理」しか道はない 高市早苗は派閥に属していない。 それ故に、総裁選では圧倒的な不利を強いられるとされてきた。 だが、政治とは実に難しい。 情勢が一変した。 自民党の裏金作りに勤しんできた政治家たちが次々と失脚する。 無派閥である高市早苗こそ、自民党の指導者に相応しいとの声が澎湃( 物事が盛んな勢いでわき起こるさま)と湧き上がってきた。 高市はなぜ 「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」 に参加していたのか。 自ら説明している。 <会の設立に参加した理由は、日本の前途への言いようのない危機感を覚え始めていたからだ> <リベラルな政治家や一部マスコミによって宣伝される「社会の空気」なるものが、政治の判断に多大な影響を与え、時には国益を損ない、日本の主権や名誉を侵される状況を作り出しているのではないか、との恐怖心を抱いていたのだ> 『歴史教科書への疑問』 いかがわしいマスメディアに対する真っ当な感覚と言えるだろう。 我が国の存亡に興味を抱かずに、浅薄な左翼イデオロギーを優先させる。 一体、どこの国のメディアなのかと眼を疑いたくなる報道が満ち満ちている。 彼女もまた、歴史教育の重要性について論じている。 <平成9年4月より使用されている社会科教科書の記述は、余りにも屈辱的・自虐的であり、これを教材として使い成長していく若者たちが、日本人として愛国心も誇りも持ち得なくなってしまうのは自明の理である> <日本の罪ばかりが強調される一方、祖国の発展に活躍した偉人の紹介は少なくなっている> 『歴史教科書への疑問』 祖国を守り抜いた先人への敬意を欠き、事実とは思えぬ先人の悪行を強調し、指揮する。 これは国家の教育ではなく、左翼による洗脳工作だ。 健全な愛国心を育むどころの話ではない。 子供たちが祖国を呪詛(じゅそ:神仏や悪霊などに祈願して相手に災いが及ぶようにすること。呪うこと)するように嗾(けしか)けられている。 呪いの使嗾(しそう:人に指図して、悪事などを行うように仕向けること。指図して唆すこと)は教育ではない。 中川昭一、安倍晋三は 「金と権力だけが友達」 の自民党を変革し、我が国を蝕む左翼勢力と全力で闘う気概を持った保守政治家だった。 中川、安倍亡き自民党は再び左翼への道を歩まんとしている。 これでは国が滅びる。 狂瀾を既倒に廻らす(崩れかけた大波を、元来た方へ押し返す。形勢がすっかり悪くなったのを、再び元に返す)政治家を日本国民が望んでいる。 高市早苗総理の誕生を心から願う次第である。 <主張>自民総裁選告示 日本を守る政策競い合え 「夫婦別姓」には賛成できない 社説 2024/9/13 5:00 https://www.sankei.com/article/20240913-3EWZIUNIWVKNJGCH5AYNPRJ2LM/ 自民党総裁選が告示され、過去最多の9人が立候補した。 多くの派閥が解散を決め、名乗りを上げやすい環境になったことなどが背景にある。 投開票は27日で、岸田文雄首相の後継選びだ。 有権者である自民党の国会議員と党員・党友には、1億2千万人が暮らす日本の舵取り役には誰が最も相応しいかを考え、投票してもらいたい。 目先の人気投票は禁物である。 世界は激動の時代を迎えている。 日本は、反日的で核武装している専制国家の中国とロシア、北朝鮮に囲まれている。 ■転換期を担う自覚持て ロシアが侵略するウクライナ、紛争の絶えない中東を除き日本は世界で最も厳しい安全保障環境にある。 冷戦期の東西対立の最前線は欧州だったが、現代のそれは日本を含む北東アジアである。 先進7カ国(G7)の一員である日本には、自国の防衛に加えて、地域と世界の平和と秩序を守る責務がある。 経済では、成長力強化が急務だ。 「失われた30年」 とされる長期停滞から真に脱却できるかが問われている。 人口減少への対応や持続可能な社会保障制度の改革も待ったなしだ。 候補者は重大な転換期に政権を担う自覚を持ち、志と具体的な政策を語らねばならない。 早期の衆院解散・総選挙が想定されるが、聞こえのよい政策を羅列するだけでは無責任の誹りを免れない。 選挙後の政権運営の構想と実行力こそが重要だ。 今や、誰が首相になっても同じという時代ではない。 安倍晋三元首相は 「自由で開かれたインド太平洋」 構想を世界に提示し、限定的ながら集団的自衛権の行使容認を実現した。 菅義偉前首相は米国と共に 「台湾海峡の平和と安定の重要性」 を打ち出した。 岸田文雄首相は5年間の防衛費43兆円、反撃能力の保有を決め、防衛力の抜本的強化を開始した。 彼らの決断と行動がなければ日本は中国や北朝鮮の脅威、ロシアのウクライナ侵略を前に立ち往生していただろう。 候補者は岸田氏が語った 「ウクライナは明日の東アジアかもしれない」 という危機感を共有し、安倍氏以来の外交安保政策の確実な継承と発展を約束すべきである。 高市早苗経済安全保障担当相が提案した内閣情報局、内閣情報会議創設は日本と国民の安全を高めるだろう。 台湾有事は令和9(2027)年までにあるかもしれないと懸念されている。 抑止力と対処力向上へ残された時間は短く、理念的な法改正に走っている余裕はない。 米国との同盟や有志国との協力を強めつつ、地に足の着いた防衛、国民保護策を推進すべきである。 一方で、千年、二千年の視野で日本を守るため、安定的な皇位の継承策を整えたい。 岸田内閣は、男系男子による継承を堅持する内容の報告書を国会へ提示した。 自民は報告書に賛同している。 男系(父系)継承を一度の例外もなく貫いてきた皇統を守らねばならない。 ■男系継承の皇統を守れ 憲法改正は自民の党是だ。 自衛隊明記や緊急事態条項創設などをいつまでに実現したいかを語ってほしい。 首相になっても憲法改正を論ずるのは何の問題もない。 公明など他党を説得していく決意も披露すべきだ。 北朝鮮による拉致被害者全員救出の強い決意を示すことが求められよう。 争点の1つに選択的夫婦別姓導入の是非がある。 家族や社会の有り様に関わる問題だ。 国民的合意を欠いたまま結論を急げば、社会に分断を招く。 選択的夫婦別姓が導入されれば、姓は砂粒のような個人の呼称へと変貌しかねない。 世代を重ねていく家族の呼称としての姓でなければ、姓を名乗る必要があるのだろうか。 夫婦別姓は片方の親と子の別姓でもある。 祖父母らも絡み、家族の歴史や絆が断ち切られ、戸籍制度も揺らぐ。 「選択的」 と言っても個人の自由の問題ではない。 小泉進次郎元環境相は1年以内に実現したいと語ったが、賛成できない。 旧姓使用の充実で対応できる話だ。 「政治とカネ」 を巡る問題は重要だ。 信頼を回復しなければ自民は強い政策推進力を保てまい。 再発防止や政治資金の透明性確保はもちろん、派閥解散に伴う党内統治の在り方も含め政治改革論議を深めてほしい。 国内外で政治家を狙うテロが相次いでいる。 遊説警備に万全を尽くしてもらいたい。 自民党総裁選で急浮上の夫婦別姓、経団連の間違い 阿比留瑠比の極言御免 2024/9/12 1:00 https://www.sankei.com/article/20240912-6AWPKWND65P33HQYWVB3XSBWSI/ 国会議員と一般国民との意識の乖離を感じることは少なくない。 2023年のLGBT理解増進法騒動の時もそうだったが、議員たちは時に、国民の関心がさほど高くもない問題について、まるで最優先課題であるかのように熱心になる。 今回の自民党総裁選での選択的夫婦別姓問題の急浮上も、その1つだろう。 「旧姓使用のままだと、多くの金融機関では銀行口座やクレジットカードを作ることはできない」 「そして、旧姓では不動産登記ができない」 小泉進次郎元環境相は2024年9月6日の出馬表明記者会見でこう述べ、首相に就いたら夫婦別姓を認める法案を国会に提出すると明言した。 そしてこの小泉氏の意気込みに押され、選択的夫婦別姓問題が総裁選の大きなテーマになった感があるが、国民の関心はどうか。 NHKが2024年9月9日に発表した世論調査で、自民党総裁選で最も深めてほしい政治課題として6つの選択肢を挙げた結果が興味深い。 それによると 「年金など社会保障制度」が35% でトップで 「経済・財政政策」(26%) が続き、 「選択的夫婦別姓」は僅か1% で最下位だった。 1%だから無視していいというわけではないが、優先的に取り組むべき喫緊の課題だとは言えない。 また、小泉氏の言葉に対しては高市早苗経済安全保障担当相がこう事実誤認を指摘し、話題となった。 「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓では)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、2024年4月から不動産登記は旧姓でできる」 更に、高市氏の指摘に関して自民の長尾敬前衆院議員がX(旧ツイッター)で、こんな補足をしていた。 「小泉氏は法改正されていることを知らなかった」 「因みに銀行口座も金融庁からの通知で順次作れるように移行されているのに作れないと説明していました」 「間違って作られた経団連の資料をそのまま説明したからです」 そこで、経団連が2024年6月に公表した選択的夫婦別姓の実現を求める提言 「選択肢のある社会の実現を目指して」 を見ると、 「ビジネスの現場における通称利用の弊害が生じる場面(例)」 という図表に、確かに 「口座やクレジットカードの作成時」 「不動産登記を行う時」 と書かれていた。 小泉氏が本当に経団連の資料を基に発言したかどうかは分からない。 ただいずれにしろ、経団連の提言自体が誤った認識に基づいていたことになる。 この2024年9月10日には、立憲民主党の4人の代表選候補者と党所属女性議員との討論会が開かれた。 4人全員が選択的夫婦別姓に賛成している点が立民らしいが、その中で野田佳彦元首相がこう述べているのが気になった。 「経団連も早期実現を主張するようになった」 「チャンスを逃してはいけない」 この経団連の提言に関しては、2024年7月14日の共産党の機関紙『しんぶん赤旗』も1面トップで 「経団連本部訪ねて聞いてみた 選択的夫婦別姓」 と大きく取り上げていた。 国会は、与野党共に経団連の事実誤認が含まれた提言に影響されているように見える。 このまま国民の42・2%(令和3年の内閣府調査)が求める 「旧姓の通称使用についての法制度」 を無視した形で、 「選択的夫婦別姓」 実現へと突き進むのであれば、国民との意識のズレはさらに増すばかりだろう。 岸田内閣 支持は20%で発足後最低 不支持は60% 政党支持率は https://www3.nhk.or.jp/news/html/20240909/k10014577111000.html#:~:text= 選択肢のある社会の実現を目指して 〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜 2024年6月18日 一般社団法人 日本経済団体連合会 https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html 高市早苗氏、通称使用に根拠与える法案を 「選択的夫婦別姓賛成の人は議員立法なかった」 2024/9/10 12:15 https://www.sankei.com/article/20240910-JZ4633HTQJD2FAIGT4GLEI5Y5I/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)に出馬する高市早苗経済安全保障担当相(63)は9日夜、BSフジ番組で、首相就任時に旧姓を通称使用できる措置を国や地方公共団体、公私の団体、事業者に義務付ける 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 を政府提出法案として国会に提出する考えを示した。 「この法案が通れば、ほぼほぼ結婚で姓が変わることによる不便はなくなる」 と指摘した。 高市氏は平成14年、令和2年の過去2回、同法案を議員立法として党法務部会に提出したが、党議決定には至らなかった。 その上で、高市氏は 「これまで選択的夫婦別姓に賛成だと仰っていた方々が、自ら議員立法の形で法案を書いて、党政調会に提出していたなら、ともかく、これまで提出されていなかった」 と述べ、選択的夫婦別姓の制度化を主張する党所属議員の手法を疑問視した。 総裁選では、出馬表明した小泉進次郎元環境相(43)が首相就任時の選択的夫婦別姓制度の導入法案の国会提出を明言し、党議拘束をかけない考えを示している。 高市氏は 「そういう方向もあるのだろう」 と述べた上で、婚姻前の氏の通称使用に関する法律案についても 「(党議拘束)かけなくてもいい」 と語った。 高市氏は小泉氏念頭に皮肉も 選択的夫婦別姓導入巡り自民総裁選の立候補予定者が対立 2024/9/9 20:30 https://www.sankei.com/article/20240909-2YNDBMGC35ILBDLNK4HLK6TJDQ/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で、夫婦同姓か夫婦別姓を選べる 「選択的夫婦別姓制度」 の導入について、立候補予定者の意見が割れている。 9日に出馬を表明した高市早苗経済安全保障担当相(63)は反対の立場で、早期実現方針を表明した小泉進次郎元環境相(43)の事実誤認を指摘した。 党内には慎重論も根強く、賛成派が押し切ろうとすれば分断を生む可能性がある。 「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」 高市氏は9日の記者会見で、こう語った。 念頭にあるのは6日の会見で 「旧姓では不動産登記ができない」 と発言した小泉氏だ。 高市氏は 「選択的夫婦別氏制度を実現するという候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」 と指摘した。 高市氏は住民票などへの旧姓併記が広がっていることや、旧姓の通称使用の拡大に向けた法案作りに取り組んできたことを挙げ、 「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」 と述べた。 小林鷹之前経済安保担当相(49)も8月19日の会見で、 「旧姓の併記が認められる制度がある」 「ただ、周知されていないと思うので、もっと周知を徹底する形でニーズに応えたい」 と述べている。 小泉氏は9日、経団連の十倉雅和会長と東京都内で面会した。 経団連は選択的夫婦別姓の実現を政府・与党に働きかけている。 小泉氏は面会後、記者団に 「家族の中で名字が違うことが、家族の絆の崩壊に繋がるというのは必ずしも違うと思う」 と語った。 石破茂元幹事長(67)は6日、東京都内で記者団に 「実現は早ければ早いに越したことはない」 と小泉氏に同調した。 河野太郎デジタル相(61)も8月26日の会見で 「認めた方がいい」 と述べている。 一方、過去に前向きな発言をしたことがある茂木敏充幹事長(68)は今月4日の会見では 「国民の間でも様々な意見がある」 「更なる検討を進めていきたい」 と述べるにとどめた。 林芳正官房長官(63)も 「個人的にはあってもいいが、色々な意見がある」 としている。 高市早苗氏、選択的夫婦別姓で小泉進次郎氏に反論「不動産登記できる」解雇規制緩和も反対 2024/9/9 17:23 https://www.sankei.com/article/20240909-TZREDMPC75CKZNZKXM66THI7RU/ 自民党の高市早苗経済安全保障担当相(63)=衆院奈良2区=は9日、党総裁選(12日告示、27日投開票)への立候補を表明した記者会見で、選択的夫婦別姓の制度化に慎重な考えを示した上で、 「少し正しく皆さまに知識を持ってもらいたい」 と述べ、 「選択的夫婦別氏制度を実現すると言う候補予定者に『(旧姓で)不動産登記ができない』と答えた人がいたが、4月から不動産登記は旧姓でできる」 と指摘した。 ■「正しい知識を」 選択的夫婦別姓を巡っては、小泉進次郎元環境相が総裁選に出馬表明した6日の記者会見で、制度の導入法案を提出する考えを明言し、 「旧姓では不動産登記ができない」 などと語っていた。 その上で、高市氏は 「婚姻で姓が変わることによる不自由を解消したい」 「私が提出したような法案が通れば、ほとんどの不便は解消される」 と述べ、旧姓の通称使用に法的根拠を与える法整備の必要性に重ねて言及した。 高市氏は平成14年と令和2年、それぞれ党法務部会に、旧姓の通称使用に法的根拠を与える 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 を提出した。 しかし、党議決定には至っていない。 旧姓の通称使用の法制度化を重視する理由には世論調査の結果を上げた。 そのうち、内閣府の令和3年12月の調査は 「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方がよい」 との回答は42・2%で、 「選択的夫婦別姓制度を導入した方がよい」 の28・9%を上回っている。 高市氏は、旧姓の通称使用に関する総務相時代の自身の取り組みもアピールし、「総務省関係でやることができる全ての手続き1142件について、婚姻前の姓で対応できるように変えた」などと語った。 ■解雇規制「日本は緩い方」 また高市氏は、小泉氏が掲げる大企業の解雇規制の緩和に関しても「反対だ」と明言した。 「G7(先進7か国)と比較しても、日本の規制はきつくない] 「(規制は)労働者を守る意味だが、様々な指標を見ると、(日本は)緩い方だ」 と語った。 <産経抄>多様性、多様性というけれど 2024/9/7 5:00 https://www.sankei.com/article/20240907-KZZFCTKANRNW7JW2QWLUV7TBFI/ 世は多様性の時代と言われる。 「首相になったら選択的夫婦別姓を認める法案を国会に提出し、国民的議論を進める」。 小泉進次郎元環境相は6日、自民党総裁選への出馬表明記者会見でこう述べ、 「多様な人生」 「多様な選択肢」 の拡大を訴えた。 ▼いつしか日本社会に、多様性を主張されると異議は唱えにくい 「空気」 が醸成されてしまった。 国会質疑からテレビコマーシャルまで、多様性という言葉を聞かない日はない。 とはいえ抄子は天邪鬼(あまのじゃく)なので、 「猫もしゃくしも多様性を礼賛する社会のどこが多様なのか」 と言いたくなる。 ▼レオナルド・ダビンチの名画「最後の晩餐」を揶揄した性的少数者の宴らしきものや、切り落とされた自らの生首を手に持つマリー・アントワネットが登場して物議を醸したパリ五輪開会式も、多様性を表現したものだった。 評価は分かれようが、少なくとも抄子の目にはグロテスクに映った。 ▼選択的夫婦別姓については、自民党総裁選への出馬を表明している者の中で小泉氏の他に石破茂元幹事長や河野太郎デジタル相も前向きである。 経団連も選択的夫婦別姓の早期実現を求め、まるでそれが時代の趨勢であるかのような提言も発表したが、本当にそうなのか。 ▼NHK放送文化研究所が中高校生を対象に令和4年に実施した調査(1183人回答)では、結婚後に夫婦別姓を望む回答はわずか7・0%しかいない。 調査自体が見当たらないので確たることは言えないが、子供たちが夫婦別姓に伴う 「片親との別姓」 や 「兄弟別姓」 を歓迎するだろうか。 ▼世界の潮流に乗り遅れるとの意見も承知しているが、こう愚考している。 日本は日本のやり方でいいと認めるのもまた多様性ではないかと。 夫婦別姓、LGBT問題でも共産党と似てきた経団連 自民党も加われば「多様性の統一」 阿比留瑠比の極言御免 2024/7/4 1:00 https://www.sankei.com/article/20240704-ORCW5C7MEFIC7EJPSH6XFP45ZI/ 前回、2024年6月27日付の当欄『夫婦別姓で失う自民の価値』で筆者は、選択的夫婦別姓制度を巡る議論には当事者である子供の視点が欠けていると指摘した。 その際、次のように記し、過去の調査では両親が別姓となることに否定的な意見を持つ中高生が3分の2に及んだことに言及していた。 「平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する」 「子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい」 すると、親切な読者がNHK放送文化研究所が令和4年に実施した調査(1183人回答)があると教えてくれた。 その 「中学生・高校生の生活と意識調査」 を見ると、別姓に関する設問は1問だけだったが、こんな問いがあった。 「結婚後、名字をどのようにしたいか」 これに対する回答で一番多かったのは 「相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない」 で58.7%に上り、姓への拘りの薄さを示している。 「自分の名字を相手の名字に変えたい」 という積極的な改正派も14.8%いた。 その一方で、夫婦別姓を求める 「自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい」 は僅か7.0%に留まっていたのである。 やはり、こうした子供たちの意見を無視すべきではないのではないか。 国会や司法、経済界やマスコミでの議論は、この点が欠落していて余りに功利的に見える。 夫婦別姓は必然的に片方の親と子供の姓が異なる親子別姓となるし、制度の構築の仕方によっては兄弟別姓にもなり得る。 ■高市法案の提出を そもそも今回、またぞろ夫婦別姓問題が浮上したのは2024年6月、経団連が選択的夫婦別姓制度の早期実現を求める提言を発表したからだが、そこには案の定、子供の視点や立場は全く取り入れてられていなかった。 その 「はじめに」 の部分には一読、呆れた。 「ダイバーシティ(多様性)、エクイティ(公平性)、インクルージョン(包摂性)、(DEI)は、イノベーションの源泉であり、社会・経済のサスティナブルな成長に欠かせない要素であるとともに、先き不透明な時代の中で、企業のレジリエンスを高めるうえでも必要不可欠である」 短い一文の中に、6つも片仮名言葉が出てくる。 こんな不自然な言葉遣いをする者は普通、社会では敬遠されて相手にされない。 「我が国経済の自立的な発展と国民生活の向上に寄与すること」 を使命とするはずの経団連は、LGBT問題でも夫婦別姓問題でも、段々と日本共産党と似てきたのではないか。 その輪の中にもし自民党も加わるとしたら、それは多様性ではなく共産党が主張する 「多様性の統一」 だろう。 実際、共産党の田村智子委員長は2024年6月19日の党首討論で、経団連が政府に選択的夫婦別姓制度の早期実現を要請したことに言及し、 「長年に渡る女性たちの訴えが遂に経済界も動かした」 と胸を張った。 自民党はまず、高市早苗経済安全保障担当相が平成14年と令和2年の2度に渡り、党法務部会に提出した 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 を審議し、国会に提出すべきである。 これにより、 「国、地方公共団体、事業者」 などは通称使用のために 「必要な措置を講ずる責務を有する」 と定めて通称使用に法的根拠を与えれば、経団連が懸念する 「職業生活上の不便・不利益」 の多くは解消するのではないか。 調査概要・グラフについて 「中学生・高校生の生活と意識調査」とは? https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/about.html 回答者数 中高生の結果:中高別の全調査結果はこちら(PDF)から https://www.nhk.or.jp/bunken/yoron-isiki/tyuko/assets/pdf/cyukousei.pdf ―結婚後、名字をどのようにしたいか― 第51問〔全員に〕あなたは、将来、結婚したとしたら、名字をどのようにしたいと思いますか。次の中から、あてはまるものに、1つだけ〇を つけてください。 @1982年A1987年B1992年C2002年D2012年E2022年 1.相手の名字を、自分の名字に変えてほしい 中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E19.6 高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.0 2.自分の名字を、相手の名字に変えたい 中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E13.1 高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E16.2 3.相手が自分の名字になっても、自分が相手の名字になっても、どちらでも構わない 中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.2 高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E59.9 4.自分も相手も、名字を変えずにそのままでいたい 中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E7.0 高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E6.1 5.無回答 中学生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.0 高校生@ ――A ――B ――C ――D ――E1.8 別姓で自己否定する自民 阿比留瑠比の極言御免 2024/6/27 1:00 https://www.sankei.com/article/20240627-TWC52YKBYNKC7DKHOP5EBO4BQU/ 自民党が性懲りもなく選択的夫婦別姓に関する党内議論を再開させるという。 経団連や経済同友会のビジネス的見地からの要請に後押しされた形だが、不必要だったLGBT理解増進法に続いて夫婦別姓にまで突き進むとしたら、自民の存在価値をまた1つ自己否定することになろう。 「多様性」 というはやりの聞こえのいい掛け声に目が眩み、安易に取り込もうとするのでは、立憲民主党や共産党、社民党と最早選ぶ所がない。 もっとも、岸田文雄首相は2024年6月21日の記者会見で、選択的夫婦別姓については次のように慎重だった。 「様々な立場の方に大きな影響を与える問題だ」 「だからこそ世論調査でも意見が分かれている」 「前向きな意見の方の一方、家族の一体感や子供の姓をどうするかなどに関心を持つ消極的な意見もある」 LGBT法を巡っては、元首相秘書官の性的少数者差別とも受け取られかねない発言や米民主党政権の圧力に屈して成立に前のめりになった首相だが、今度はぶれないでもらいたい。 安倍晋三元首相もかつてこの問題に関し、首相にこう信頼を示していた。 「岸田さんはそうリベラルではないんだ」 「以前、夫婦別姓の議論が高まった時に 「子供の視点が全然ない」 と話していた。 ■アンケートでは やはりこの点が重要だと考えるので、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を紹介する。 子供対象の世論調査自体が珍しく、古い調査だが寡聞にして他に知らないのでご容赦願いたい。 それによると、両親が別姓となったら 「嫌だと思う」(41.6%) 「変な感じがする」(24.8%) の否定的な意見が、合わせて3分の2に達した。 一方で 「嬉しい」 は僅か2.2%しかいなかった。 また、成人を対象とした令和3年実施の内閣府の 「家族の法制に関する世論調査」 結果を見ても、選択的夫婦別姓制度導入を求める回答は28.6%に留まった。 「夫婦同姓制度を維持した方が良い」が27.0%、 「夫婦同姓制度を維持した上で、旧姓の通称使用についての法制度を設けた方が良い」が42.2%で、 夫婦同姓維持派が7割近くに達している。 夫婦の姓が異なることでの子供への影響に関しては 「好ましくない影響があると思う」と答えた者の割合が69.0%で 「影響はないと思う」は30.3% に留まっている。 留意すべきは 「兄弟の姓が異なっても構わない」が僅か13.8%で、 「姓は同じにするべきだ」が63.5% に上ることだろう。 夫婦どちらの姓を名乗らせるかを巡り、親族間のトラブルも予想される。 ■フェミニストの議論 選択的夫婦別姓については、 「選択的」 だから別に同性を選びたい人はそうすればいいだけだという意見もあるが、事はそう単純ではないだろう。 既に平成17年刊行の 「ザ・フェミニズム」(上野千鶴子、小倉千加子著) で、フェミニスト【フェミニストとは、全ての性が平等な権利を持つべきだという理由から女性の権利を主張する行為(フェミニズム)を支持する人のことだと、英オックスフォード辞書で定義されている】である小倉氏がこんな議論をしている。 「(選択的)夫婦別姓になったら、まるで夫婦別姓をしている人の方が進んでいて、夫婦同姓の人の方が遅れているみたいになりかねない」 「そこでまた1つの差別化が行われるわけじゃないですか」 女優でタレントの橋本マナミさんが2024年6月 「私は一緒の名字がいいです」 「好きで結婚したから」 とテレビで発言しただけでニュースとして取り上げられる現状を見ると別姓導入で同性夫婦が肩身の狭い思いをする日が来るかもしれない。 (論説委員兼政治部編集委員) 阿比留瑠比の極言御免 日経、朝日のコラムに異議あり 夫婦別姓論議に欠ける子供の視点 2015/11/9 5:00 https://www.sankei.com/article/20151109-Q7P53O3IFNNVLFLL3DOXYENVFM/ 2015年11月4日は最高裁大法廷で夫婦別姓(氏)を巡る訴訟の弁論が開かれるとあって、日経新聞と朝日新聞の朝刊1面コラムが、それぞれこの問題を取り上げていた。 夫婦別姓に賛成・推進する立場で書かれたこの2つのコラムを読んで感じたのは、立論の前提、出発点が異なり、議論が噛み合わないもどかしさだった。 「誰かに迷惑もかけない」 「コストも知れている」 「歩みの遅さを合理的に説明するのは難しい」 日経はこう書いていたが、夫婦別姓論議でいつも気になるのが、当事者である子供の視点の欠落だ。 子供の意見を反映した調査がなかなか見当たらないので少し古くなって恐縮だが、平成13年に民間団体が中高生を対象に実施したアンケート結果を引用したい。 それによると、両親が別姓となったら 「嫌だと思う」(41.6%) と 「変な感じがする」(24.8%) との否定的な意見が、合わせてほぼ3分の2に達している。 一方、 「嬉しい」は僅か2.2% しかいなかった。 また、20歳以上の成人を対象とする内閣府の世論調査(平成24年12月実施)でも、夫婦の名字が違うと 「子供にとって好ましくない影響があると思う」と答えた人が67.1% に上り、 「影響はないと思う」(28.4%) を大きく上回った。 夫婦別姓と言うと、両性が納得すればいいと思いがちだが、夫婦が別姓を選択した場合、子供は必ず片方の親と別姓になる。 事は夫婦の在り方だけの問題ではなく、簡単に 「誰かに迷惑もかけない」 と言い切れるような話ではない。 日経コラムは更に、こうも書いている。 「反発する人の声から『自分と違う価値観を持つ人間が、とにかく許せない』との響きを感じることがある」 どう感じようと自由ではあるが、この見解はかなり一方的だろう。 10年以上前のことだが、夫婦別姓を議論していた自民党の会議を取材した同僚記者は、夫婦別姓推進派で、現在は党総裁候補の1人と言われる議員から、こう面罵された。 「(夫婦別姓に慎重論を唱える)産経新聞は、新聞じゃない」 当たり前のことだが、自分と違う価値観が許せないのは、何も夫婦別姓に 「反発する人」 に限らないということである。 多様な価値観を説く人が、異なる価値観を否定するという矛盾を犯すのは珍しくない。 ちなみに、朝日のコラムにはこうあった。 「結婚や家族の多様化、個の尊重という冒頭に引いた変化(※国民意識の多様化、個人の尊重)は、別姓の議論にもそのまま当てはまる」 「社会は旧姓使用を広げる方向に動く」 確かに一般論としては、社会の多様化は歓迎すべきことなのだろう。 多様性を失えば硬直化し、やがては行き詰まっていく。 とはいえ、何でもかんでも 「多様化」 という言葉で正当化しても、そこで思考停止することになる。 また、夫婦別姓を法的に位置付ける事と、旧姓使用は全く別物である。 現在、夫婦同姓制度の下で通称使用が大きく緩和され、旧姓使用が広がっていることがその証左だと言える。 いずれにしてもこの問題を考える時は、直接影響を受けることになる子供の意見をもっと聞いた方がいい。 政府にも、今度調査する時は是非その視点を盛り込むようお願いしたい。 (論説委員兼政治部編集委員) 安倍元総理の三回忌を前に 「夫婦別氏」よりも「婚姻前の氏の使用」の利便化で WiLL2024年8月号 経済安全保障担当大臣 高市早苗 ■安倍元総理が夢に 2024年7月8日には、2022年の参議院選挙応援中に凶弾に倒れ、逝去された安倍晋三元総理の三回忌を迎えますね。 度々つまらない口喧嘩をしたり、仲直りをしたりの繰り返しでしたが、それも叶わなくなった今は、しみじみ淋しくなります。 先般、疲労が極限に達した時に、亡き両親と安倍元総理が一緒に夢に出てきたので、 「迎えに来たのかな」 と感じましたが、その夢には昭恵夫人も登場していたことを思い出して一安心! 安倍元総理も懸命に応援して下さった2021年9月の自民党総裁選以降、土日は党務か政務で地方講演、平日は仕事、深夜には大量の資料読みや原稿書き・・・と休みなく働き続けていて、人間ドックなど健康診断も3年以上は受けていないので、注意喚起のために夢に出て来て下さったのかなとも思いました。 2024年夏は、各方面との調整がつけば、安倍元総理の御命日に出国して、G7科学技術大臣会合に出席しますが、イタリアから帰国したら、1日だけは休みを確保して健康診断に行ってみようと考えています。 ■経済界が夫婦別氏制度導入を要望 安倍元総理が何度も仰っていたことがありました。 「選択的夫婦別氏だけどさ、あれは駄目だよ」 「高市さんが法務部会に提出している法案を早く成立させればいいんだよ」 私が自民党政調会長の法務部会に提出した法律案というのは、 『婚姻前の氏の通称使用に関する法律案』 のことです。 この法律案では、戸籍上の夫婦親子の氏が同一であること(ファミリー・ネーム)は維持しつつ、 「婚姻前の氏を通称として称する旨の届出をした者」 について、 「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」 は 「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」 としたものです。 この法律案を、2002年と2020年の2回に渡って法務部会に提出しましたが、1回目は 「戸籍の氏も住所も別々にするべきだ」 といった強烈な反対意見が出て党議決定には至らず、2回目は、審査もされないまま放置されています。 私は、足掛け約4年の総務大臣任期期間の後半(2019年9月からの約1年間)で、『住民基本台帳法』『地方自治法』『公職選挙法』『消防法』『放送法』『電気通信事業法』をはじめ総務省が所管する全法令をチェックし、資格や各種申請など事務手続きに戸籍氏しか使えなかったものを、全て婚姻前の氏の単記か併記で対応できるように変更しました。 総務省単独の判断で変更できたものだけでも、合計1142件でした。 仮に全府省庁が阻害と同じ取り組みを実施し、地方公共団体や公私の団体や企業も同じ取り組みを実施すれば、婚姻による戸籍氏の変更によって社会生活で不便を感じることはなくなると考えます。 例えば、金融庁や厚生労働省。 私自身の経験では、銀行の預金通帳でしたが、婚姻前の氏のままで使える銀行と戸籍氏に作り直すよう求める銀行が混在していました。 数年前に年金受給者の方から伺った話ですが、通称使用届けを出して戸籍氏と婚姻前の氏が併記された住民票を提示したのに、厚生労働省の方針として 「戸籍氏の通帳でなければ年金を振り込めない」 とされ、通帳を作り直したということです。 こういった所管府省庁によってバラバラの対応が残っている現状を改善するためにも、私が起草した法律案によって、 「国、地方公共団体、事業者、公私の団体」 が 「婚姻前の氏を通称として称するために必要な措置を講ずる責務を有する」 ことを明確にするべきだと思っていました。 2024年6月、経団連会長が 「選択的夫婦別氏制度の導入」 を要望する 「提言」 を公表されました。 報道で知る限りの理由は、働く女性の不便解消や国際社会での活躍のためにということらしいのですが、先ずは前記したような法整備を行うということでは不十分でしょうか。 既に、マイナンバーカード、パスポート、運転免許証、住民票、印鑑登録証明書は、戸籍氏と婚姻前の氏の併記が可能になっています。 仕業・師業と呼ばれる国家資格の殆どで、免許証などへの婚姻前の単記や併記が可能になっています。 国際社会での活躍についても、同氏や別氏だけではなく、複合氏を使う国もあれば、氏が無い国もあり、様々です。 ■「子の氏の安定性」 最近は、 「夫婦別氏制度」 の導入に賛成する政治家は 「改革派=善」、 反対する政治家は 「守旧派=悪」 といったレッテル貼りがされているように感じますので、私のような考え方は変だと思われる方も多いのかもしれません。 私が選択的であったとしても 「夫婦別氏制度」 の導入に慎重な姿勢を続けてきた最大の理由は、 「子の氏の安定性」 が損なわれる可能性があると思うからです。 現行制度では、婚姻届けを提出した夫婦の戸籍は全て同氏ですから、子も出生と同時に両親と同氏になることが確定しています。 法改正によって戸籍上も別氏の夫婦が出現した場合、子の氏の決め方について、 「全ての別氏夫婦が納得できるルール」 が必要になります。 仮に 「別氏夫婦が子の氏を取り合って、協議が調わない場合」 には子の氏が定まらないので、『戸籍法』が規定する 「出生の届出は、14日以内」 というルールも見直す必要があるのではないでしょうか。 これまでに衆議院に提出された 「夫婦別氏制度」 の導入を可能にする 「民法の一部を改正する法律案」(立憲民主党案) を拝見すると、 「別氏夫婦の子は、その出生の際に父母の協議で定める父又は母の氏を称する」 「協議が調わない時は、家庭裁判所は、協議に代わる審判をすることができる」 とされています。 同法律案でも、別氏夫婦が子の氏を取り合って決められないケースを想定しているわけですが、果たして、この争いを持ち込まれる家庭裁判所は、一体どのような判断基準で審判を行うのでしょうか。 離婚の際に子の親権を争う裁判でしたら、法律に判断基準は明記されていないものの、過去の裁判例では 「子を養う経済力」 「子と過ごす時間を確保できるのか」 「子との関わりや愛情」 「子の年齢によっては子の意思」 「健康状態」 「教育・居住環境」 などの要素を総合的に考慮して判断されているようです。 しかし、出生直後の子の氏を争っている場合、家庭裁判所が如何なる審判をしたとしても、夫婦双方が納得できる理由を示すことができるとは考えられません。 裁判官、検事、法務省大臣官房審議官としても活躍された小池信行弁護士は、 「夫婦の協議で決まらない時の補充的な決定方法を定めておく必要がある」 として、スウェーデンでは 「出生から3カ月以内に決まらない時は母の氏を称するとしている」 ことを例示しておられました。 私は、幸せであるはずの出産直後に、子の氏を巡る争いの種を作ることを、特に懸念していました。 「夫婦別氏制度」 の導入を求める方々からは 「余計なお世話だ」 と批判されるのでしょうが・・・。 ■世界に誇れる日本の戸籍制度 「そもそも、戸籍制度を廃止するべきだ」 と主張される方々もおられますが、私は、日本の 「戸籍制度」 は、世界に誇れる見事なシステムだと思っています。 戸籍は、重要な身分関係を明確にするために、血族・姻族・配偶関係を記載した公簿です。 新戸籍と旧戸籍の双方に相手方戸籍を特定表示することから、相手方戸籍を相互に索出でき、両戸籍を連結する記載が可能で、無限の親族関係の広がりを証明することができます。 よって、戸籍の 「公証力」 は、非常に強いものです。 例えば、遺産相続の分割協議手続きでは、 「隠れた法定相続人」 の存否を確認するため、死亡者の戸籍謄本を全て遡ることによって親族関係を確定できます。 重要な契約事も、戸籍で証明するものが多くあります。 この他、戸籍は、近親婚の防止、婚姻要件の調査、出生、死亡、離婚、任意認知、母子家庭の児童扶養手当、障害児童の特別児童扶養手当、母子父子寡婦福祉資金貸付、戦没者遺族に対する特別弔慰金、成年後見の申立手続き、家事調停事件手続きなど、様々な場面で行政・司法の基礎となっています。 20年以上婚姻関係を継続している夫婦間で居住用不動産を贈与した時の配偶者控除の制度でも、戸籍によって、20年以上に及ぶ婚姻関係を把握し立証します。 「他国に例を見ない戸籍制度だから、廃止するべき」 なのではなくて、 「他国に誇れる極めて優れた制度だから、守り抜くべき」 だと考えています。 愚か者! 経団連「夫婦別姓」提言 WiLL2024年8月号 副県立大学名誉教授 島田洋一 2024年6月10日、経団連がいわゆる 「選択的夫婦別姓」 の 「早期実現」 を政府に求める提言を出した(具体的には民法750条の改正)。 経団連は、夫婦が妻の姓を選ぶことも可能ではあるものの、 「実際には95%の夫婦が夫の姓を選び、妻が姓を改めている」 「そのため、アイデンティティの喪失や自己の存在を証することが出来ないことによる日常生活・職業生活上の不便・不利益といった、改姓による負担が、女性に偏っている」 と言う。 経団連によれば、 「女性のエンパワーメント(強化)において、我が国は世界に大きく立ち遅れており」、 その背後に、 「各社の取り組みだけでは解決できない、女性活躍を阻害する社会制度」 がある。 その代表的なものが夫婦同氏制度だというのである。 まず最初の疑問だが、女性の活躍に関して日本が 「世界に大きく立ち遅れて」 いるというのは本当か。 経団連・十倉雅和会長の頭にある 「世界」 がどの範囲なのか知らないが、少なくとも相当怪しい 「世界観」 だろう。 実際日本において、実力ある女性の活躍が、男の場合以上に阻害されているとすれば、 「女を下に見る」 不見識な経営者や重役が各所に残るでいではないか。 だとすれば、経済界の頂点に位置する経団連会長の責任が相当大きいと言わざるを得ない。 まずは自らの指導力不足を反省すべきだろう。 経団連提言で最も問題なのは、従来 「夫婦別姓」 法制化論で常に論点となってきた、 @親子や兄弟姉妹の間で姓が異なって良いのか A明治以来の戸籍制度を崩すことにならないか といった懸念に全く答えていないことである。 そもそも言及自体ない。 これは無責任だろう。 近年、パスポート、マイナンバーカードを始め、旧姓の通称使用が拡大されてきた。 経団連提言も、 「官民の職場では、女性の社会進出の進展を踏まえ、改姓によるキャリアの分断等を避けるため、職場における旧姓の通称としての使用を推進してきた」 「公的証明書や各種国家資格等でも婚姻前の姓(旧姓)の併記が可能になるなど、政府の施策としても通称使用が拡大され、経済界においても、通称使用は定着している」 と述べている。 「経団連調査では91%の企業が通称使用を認めている」 とも言う。 まだ不十分と言うなら、100%になるよう、経団連が強い姿勢で 「立ち遅れている」 経営者を叱咤すべきだろう。 そのための経済団体ではないか。 この問題で慎重論の先頭に立ってきた高市早苗議員は次のように言う。 「結婚すると、夫婦やその間に生まれる子供は同じ戸籍に登載され、姓は『家族の名称』という意味を持つ」 「だが、別姓になれば姓は単なる『個人の名称』になる」 「たとえ『選択制』にしても、家族の呼称を持たない存在を認める以上、結局は制度としての家族の呼称は廃止せざるを得なくなるだろう」 「事は家族の根幹に関わる」 (産経新聞・2021年3月18日) 「国際的トレンド」 云々についても高市氏は、 「日本は日本」 と一蹴する。 経団連は、旧姓の通称使用では問題解決にならない例として次のような 「トラブル」 を挙げる。 カッコ内は私のコメントである。 ・クレジットカードの名義が戸籍上の場合、ホテルの予約等もカードの名義である戸籍姓に合わせざるを得ない。 (合わせたら良いではないか。合わせると女性活躍が阻害されるのか)。 ・国際機関で働く場合、公的な氏名での登録が求められるため、姓が変わると別人格として見做され、キャリアの分断や不利益が生じる。 (結婚したから姓が変わったと言えば済む話、国際機関を馬鹿にし過ぎてはいないか) ・社内ではビジネスネーム(通称)が浸透しているため、現地スタッフが通称でホテルを予約した。 その結果、チェックイン時にパスポートの姓名と異なるという理由から、宿泊を断られた。 (現地スタッフとの意思疎通をより密にすれば良いだけ。あるいはパスポートに旧姓を併記すればよい。令和3年4月1日以降、申請が非常に簡略化された) これが、女性にとって 「アイデンティティの喪失」 や 「自己の存在を証することができない」 ほどの不条理であり、家族別姓しか解決策がない次元の 「トラブル」 だろうか。 この程度の事象にも効果的に対処のマニュアルを示せない経団連では、日本経済停滞も無理はない。 民法 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=129AC0000000089 第七百五十条 夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する。 選択肢のある社会の実現を目指して 〜女性活躍に対する制度の壁を乗り越える〜 2024年6月18日 一般社団法人 日本経済団体連合会 https://www.keidanren.or.jp/policy/2024/044_honbun.html 選択的夫婦別姓 経団連・十倉雅和会長「スピーディーに議論を」自民に要求 2024/6/25 23:24 https://www.sankei.com/article/20240625-GN2CKAAVRFIKFERTR7RAD7JTXQ/ 経団連の十倉雅和会長は2024年6月25日の定例記者会見で、自民党が 「選択的夫婦別姓制度」 に関する党内議論を本格化する意向を示したことについて、 「女性の社会進出、社会での活躍を進めたいという思いは一緒だと思う」 「オープンでスピーディーに議論してほしい」 と述べた。 経団連は結婚後も希望すれば夫婦それぞれが生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる同制度の早期実現を求める提言を2024年6月10日に発表し、2024年6月21日に自民党に提言を提出していた。 経済同友会の新浪剛史代表幹事も2024年6月18日の定例会見で、 「1つの姓を選ばなくてはいけないという非常に不都合なことがずっと放置されたままだ」 と指摘。 「政治が解決しないのであれば経済界がモノを言っていかなければならない」 との認識を示していた。 選択的夫婦別姓議論、自民が3年ぶり再開 慎重派は懸念「保守離れ加速する」 2024/6/25 22:34 https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/ 選択的夫婦別姓を巡る議論の経緯 https://www.sankei.com/article/20240625-SMJK6OPPEZNVLKMZIZFF2O5VYQ/photo/TNK63PLFCRO4BDS2LNDI5YSMIU/ 自民党は近く選択的夫婦別姓を巡る党内議論を3年ぶりに再開させる。 経団連が早期実現を求める提言を発表するなど、家族の多様性を尊重する風潮が背景にある。 とはいえ、保守層を中心に家族の一体感が失われるとして慎重論も少なくない。 保守層が求める早期の憲法改正が一向に進まない中で推進論に傾けば、 「自民離れ」 が加速するのは必至だ。 自民の茂木敏充幹事長は2024年6月25日の記者会見で、 「多様な人材の活躍は社会活力の源だ」 「選択的夫婦別姓は社会全体にも関わる問題であり、国民の幅広い意見も踏まえて、しっかり議論を進めていきたい」 と述べた。 自民の渡海紀三朗政調会長は2024年6月21日、選択的夫婦別姓を含む 「氏制度のあり方に関するワーキングチーム(WT)」 で議論に着手すると表明した。 新たな座長には逢沢一郎党紀委員長を起用する方針だ。 党幹部は 「政権与党として、いつまでも夫婦別姓の議論を棚ざらしというわけにはいかない」 と議論再開の必要性を強調する。 自民は菅義偉政権下の令和3年4月にWTの初会合を開催。 令和3年6月に論点整理をまとめたが、議論が紛糾したため制度導入の是非には踏み込まず、結論を先送りしていた。 しかし、経団連が2024年6月10日、早期実現を訴える政府への提言を発表したことを受け、党内では再び推進派と慎重派が動きを活発化させている。 自民の有志議員で作る 「選択的夫婦別氏制度を早期に実現する議員連盟」(会長・浜田靖一国対委員長) は2024年6月21日、国会内で会合を開き、経団連から提言を受け取った。 浜田氏は 「大変心強い」 「時代の要請として受け止めていく」 と語った。 一方、慎重派で作る 「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」(会長・中曽根弘文元外相) は2024年6月19日に党本部で会合を開き、結婚前の氏を通称として幅広く使用できる環境整備を進めることを確認。 慎重派の議員は 「拙速に議論を進めれば『岩盤保守層』の更なる離反を招きかねない」 と不安を口にする。 岸田文雄首相(自民総裁)も2024年6月21日の会見で、慎重な姿勢を示した。 対立の激化は自民分断の芽となりかねず、党重鎮は 「経団連の手前、議論はしなければならないが、明確な方向性を示すことは難しいのではないか」 と述べた。 <主張>経団連「夫婦別姓」 家族の呼称をなくすのか 社説 2024/6/19 5:00 https://www.sankei.com/article/20240619-I4Q7IU7X5FJQTNZ3V4LDQESQHQ/ 結婚後に夫婦が同じ姓を名乗るか、旧姓を維持するか選べる 「選択的夫婦別姓」 について経団連が早期実現を提言した。 十倉雅和会長は、女性の社会進出が進む中で 「国会でスピーディーに議論してほしい」 と述べたが、国民の合意を欠いたまま、急ぐ問題ではない。 経団連は従来、夫婦同姓の下で職場での通称使用で対応できるとの立場だった。 別姓推進に転じたのは 「ビジネス上のリスク」 などが理由だ。 経団連が行ったアンケートなどでは職場で旧姓の通称使用が増えている一方、通称では銀行口座などが作れないことや海外渡航、契約で戸籍上の姓と異なることでトラブルが生じていることを指摘した。 だが夫婦が同じ姓を名乗る民法の規定を変えることは、家族や社会の有り様に関わる。 岸田文雄首相が2024年6月17日の衆院決算行政監視委員会で、選択的夫婦別姓の早期導入の提言に慎重な考えを示し、 「家族の一体感や子供の利益に関わる問題であり、国民の理解が重要だ」 と述べたのは、もっともだ。 夫婦別姓を認めない民法の規定を 「違憲」 だとする訴えに対し、最高裁は平成27年と令和3年に合憲の判断を示し、夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。 別姓制が導入されれば、こうした姓の意義が、砂粒のような個人の呼称へと大きく変わる。 専門家によると姓は血縁血統を表すもので、家族の歴史や絆が断ち切られかねない。 同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要がある。 「選択」 と言っても別姓を希望しない人も含め社会に関わる問題だ。 別姓推進論は子供からの視点にも欠ける。 夫婦別姓では、どちらかの親と子が別姓になる。 子供の姓をどうするのか。 祖父母らも絡み、いさかいや分断が起きるのは見たくない。 最高裁の判決では、姓の在り方について国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきだ、としている。 深く理解すべきだ。 住民票や運転免許証、パスポートなどで旧姓を併記できる制度も広がっている。 経団連は、トラブルを嘆くより、我が国の夫婦同姓の意義を国際的に発信し、問題を解消してほしい。 <産経抄>経団連の「夫婦別姓提言」に異議あり 2024/6/17 5:00 https://www.sankei.com/article/20240617-BKNKSTIQ3FJ2DDKD2AI3HWGCEQ/ 夫婦別姓が叶わなくとも、パートナーを守る方法はある 経団連は 「選択的夫婦別姓」 の早期実現を求める提言を発表したが、法制化には国民の合意が必要だ 2024年6月の第3日曜は 「父の日」 だったが、 「母の日」 に比べ影が薄い。 父親の地位低下が指摘され久しい。 ▼ゲームに押されて、子供のおままごと遊びはあまり見かけなくなったが、やってみてもパパ役はママに叱られ、オタオタする様子を真似するのだとか。 「正論」 を重んじる同僚も、家では言いたいことを言えず、妻や娘たちに阿る日々だという。 それも平和を守る知恵か。 ▼だがこちらは黙って見過ごせない問題だ。 経団連が 「選択的夫婦別姓」 の早期実現を求める提言を先日、発表した。 十倉雅和会長は 「国会でスピーディーに議論してほしい」 と述べたが、拙速に進めては禍根を残す。 ▼選択的夫婦別姓は夫婦で同じ姓(氏)にするか、旧姓を名乗るかを選べる制度だ。 民法の改正などが必要となる。 女性の社会進出に伴い、平成8年に法制審議会が導入を求める答申をした。 30年近く経っても法制化に至らないのは、国民の合意が得られないからだ。 財界が 「急げ」 と号令をかける話なのか。 ▼最高裁は平成27年と令和3年に、夫婦別姓を認めない民法の規定について 「合憲」 とする判断を示した。 夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めている。 選べるならいいじゃないか、別姓を希望しない人には関係ない、と考えるのは早計だ。 専門家からは、姓について家族の呼称から個人の呼称へと大きく変質することが指摘されている。 ▼同じ戸籍に同じ姓の人を記載する戸籍の編製方法も見直す必要があり、社会全体に関わる。 夫婦同姓は子供も両親と姓を同じくすることで利益を享受しやすい意義もある。 別姓では子の姓をどうするか。 双方の祖父母も絡み、決まらない混乱も予想される。 「国民の意見さまざま」 法相、選択的別姓に慎重 2024/6/11 11:24 https://www.sankei.com/article/20240611-JHRCRF76CFIA3LM3MAVGM7R5GY/ 小泉龍司法相は2024年6月11日の閣議後記者会見で、選択的夫婦別姓制度の早期実現を求めた経団連の提言に対し 「国民の間にまださまざまな意見がある」 とした上で 「積極的に動きを見極め、対応を検討していくことが必要だ」 と述べ、慎重な姿勢を示した。 法相の諮問機関の法制審議会は1996年、結婚後もそれぞれ婚姻前の名字を使える選択的別姓制度の導入を含む民法改正案を答申。 だが、保守系議員の反対などで法案は提出されなかった。 小泉氏はこの点にも触れ 「国会議員の方々の間でもしっかりと議論をし、幅広い理解を得ていただくため、法務省として積極的な情報提供をしたい」 とした。 「夫婦別姓制度、早期実現を」経団連が初の提言 通称は海外で理解得られずトラブルも 2024/6/10 18:29 https://www.sankei.com/article/20240610-PLZOKGZSLVKTZKDUTL3OBW74UQ/ 経団連は2024年6月10日、選択的夫婦別姓制度の実現を求める提言を発表した。 希望すれば生まれ持った姓を戸籍上の姓として名乗り続けられる制度の早期実現を要求。 政府に対し 「一刻も早く改正法案を提出し、国会で建設的な議論を期待する」 とした。 経団連による同制度に関する提言は初めて。 十倉雅和会長は2024年6月10日の定例記者会見で 「世の中は大きく変わっている」 「国会でスピーディーに議論してほしい」 と述べた。 現在は婚姻時に夫か妻のいずれかの姓を選べるが、妻が改姓することが圧倒的に多い。 提言では 「生活上の不便、不利益といった改姓による負担が女性に偏っているのが現実」 と訴えた。 経団連の調査では、国内の91%の企業は旧姓などを通称として使用することを認めているものの、通称は海外では理解されづらく、トラブルの原因になることがあると指摘。 「企業にとってもビジネス上のリスクとなり得る」 とした。 主張 夫婦同姓は合憲 家族制度の原則を守った 2021/6/24 5:00 https://www.sankei.com/article/20210624-BGWW7J52VRJMJFEQ5FVP7KQAZQ/ 最高裁大法廷は、 「夫婦別姓」 を認めない民法の規定を再び 「合憲」 と判断した。 夫婦同一の姓は社会に定着し、家族の呼称として意義があることを認めた平成27(2015)年の最高裁判決を踏襲した。 妥当な判断である。 事実婚の男女3組が、夫婦別姓を希望して婚姻届を提出したが、不受理となり、家事審判を申し立て、最高裁に特別抗告していた。 女性の社会進出や世論など最近の情勢変化を踏まえた判断が注目されたが、最高裁は決定理由で、社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、6年前の判断を変更すべきとは認められない―と判示した。 平成27(2015)年の最高裁の判断を通し、夫婦同一の姓について、男女差別を助長したり、人格を傷付けたりする制度ではないことも明確になっている。 最高裁はこの時と同様、 「制度の在り方は国会で論ぜられ判断されるべき事柄」 と指摘した。 平成8(1996)年に法制審議会が、夫婦で同じ姓にするか、旧姓をそれぞれ名乗るか選べる選択的夫婦別姓の導入を答申して25年経つ。 法制化に至らなかったのは、立法府が問題を放置しているというより、国民の十分な合意が得られないからである。 選択的夫婦別姓について、個人の自由で選択の幅が広がる―などと歓迎するのは考え違いである。 導入されれば夫婦同一姓を原則とした戸籍制度が崩れかねず、全国民に影響が及ぶ。 親子が別々の姓になる事態も起きる。 子供の姓を両親どちらの姓にするかなど、諍いや混乱も予想される。 平成29(2017)年に行われた内閣府の世論調査では、夫婦別姓が子供に与える影響について、6割以上が 「子供にとって好ましくない影響があると思う」 と答えていた。 社会情勢の変化と言うなら、旧姓が通称使用できる企業は増えている。 2年前の2019年には住民票やマイナンバーカードなどで旧姓を併記できるようにするため、政令改正が行われた。 パスポート(旅券)についても旧姓併記の申請が容易になるよう緩和された。 日本の伝統や文化に根差した家族制度の原則を崩す必要はなく、更に働きやすい職場作りなどに知恵を絞る方が現実的だ。 国や社会の基盤である家族の意義に理解を深くしたい。 夫婦別姓認めぬ規定、再び「合憲」 最高裁 2021/6/23 21:54 https://www.sankei.com/article/20210623-WTZ3HHNALJO5RNCEOMMHNPXNAI/ 夫婦別姓を認めない民法と戸籍法の規定は違憲として、東京都内に住む事実婚の男女3組が起こした家事審判の特別抗告審で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人長官)は2021年6月23日、規定は 「合憲」 とする判断を示した。 最高裁は平成27(2015)年にも夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲としており、今回は2度目の判断。 15人中4人は違憲とする意見や反対意見を出した。 決定理由で最高裁は、家族が同じ姓を名乗るのは日本社会に定着しており、規定に男女の不平等はないとした平成27(2015)年の判断について 「社会や国民の意識の変化といった諸事情を踏まえても、変更すべきとは認められない」 と指摘。 一方で、夫婦の姓を巡りどのような制度が妥当なのかという問題と、憲法違反かどうかを審査する問題とは 「次元が異なる」 とした上で 「国会で論じられ、判断されるべき事柄だ」 と、前回判断に続き、改めて立法での議論を促した。 合憲とした深山卓也裁判官、岡村和美裁判官、長嶺安政裁判官の3人は 「今回の判断は、国会での選択的夫婦別姓制度を含む法制度の検討を妨げるものではなく、国民の様々な意見や社会の状況変化などを十分に踏まえた真摯な議論がされることを期待する」 と、共同補足意見で述べた。 一方、違憲とした宮崎裕子裁判官と宇賀克也裁判官は 「結婚に対する当事者の意思決定は自由かつ平等であるべきで、規定は不当な国家介入に当たる」 などと述べた。 事実婚の3組は、婚姻届に 「夫は夫の氏、妻は妻の氏を希望します」 と付記して自治体に提出したが不受理となり平成30(2018)年3月、東京家裁などに家事審判を申し立てたが、却下された。 2審東京高裁でも棄却され、最高裁に特別抗告していた。 結婚後の姓を巡っては、平成8(1996)年に法相の諮問機関・法制審議会が、選択的夫婦別姓制度を盛り込んだ民法改正案を答申したが、法案提出には至らなかった。 2021年に入り自民党がワーキングチームを設置し本格的な議論が始まったが、実現への目処は立っていない。 ◇ ■夫婦同姓の規定 民法750条は、結婚した夫婦は 「夫または妻の氏」 を名乗るよう規定。 戸籍法でも、結婚時に 「夫婦が称する氏」 を提出書類に記載するよう定めている。 昭和22(1947)年に改正される前の明治民法では 「家の姓を名乗る」 とされていた。 厚生労働省の統計では、平成27(2015)年に結婚した夫婦のうち、96%が夫の姓を選択。 改姓による社会的な不便・不利益が指摘されてきたことなどを背景に、夫婦が希望する場合には結婚後に姓を変えない 「選択的夫婦別姓制度」 の導入を求める声が強まっている。 夫婦別姓認めぬ最高裁判断「家族に一体感」安堵の声も 2021/6/23 20:45 https://www.sankei.com/article/20210623-CEFJAVRIAZIRPHCEU6S7ZFUAEI/ 最高裁大法廷が2021年6月23日、6年前に続き、 「夫婦別姓」 を認めない民法の規定を 「合憲」 とする判断を示した。 この間の社会情勢や国民の意識の変化を踏まえつつ、国会に議論を委ねた形に。 「違憲」 となれば、新たな対応を迫られる現場からは安堵の声も聞かれた一方、申立人からは決定に不満が漏れた。 「結婚して姓が一緒になることで、家族としての一体感が生まれる」。 結婚生活40年以上になる東京都江東区の男性(71)は、合憲判断に納得の表情を浮かべた。 「子供のことを考えれば、両親が違う姓だと違和感を覚えるのではないか」 とも指摘した。 内閣府の平成29年の調査では、選択的夫婦別姓の導入に向けた法改正42.5%が賛成と答え、反対の29.3%を上回った。 ただ、賛成派に実際に別姓とするかを尋ねたところ、希望するが19.8%、希望しないが47.4%だった。 夫婦別姓が認められれば、子供への心理的影響も懸念される教育現場。 最高裁の決定に注目していた千代田区の幼稚園園長は 「途中で姓が変わった場合に、子供たちの間に動揺が広がらないようにケアするなど、新たな対応が必要になってくるだろうと思っていた」 と打ち明ける。 一方、先祖代々の墓を管理する寺院は、家族観の変化に危機感を抱いていた。 豊川稲荷(愛知県豊川市)によると、旧姓と結婚後の姓の両方を墓石に刻む女性が増えてきているといい、同寺の男性役員(53)は 「夫婦別姓になると、家という概念が失われる可能性がある」 「別姓が認められるのは難しいと思っていた」 と話した。 夫婦別姓には、財産をめぐる問題が持ち上がる可能性もある。 生命保険の受取人は原則戸籍上の配偶者や2親等以内の血縁者に限られており、ライフネット生命保険(東京)の担当者は 「姓が異なる場合、配偶者であることの確認が課題になる」。 同社では事実婚のパートナーらを保険金の受取人にできる仕組みを作っており、 「今後も社会の変化に合わせて検討していきたい」 と話した。 選択的夫婦別姓 社会混乱の引き金に 八木秀次×小島新一・大阪正論室長 ラジオ大阪ぶっちゃけ正論 2021/6/17 8:00 https://www.sankei.com/article/20210617-C2ELAEDPJ5MIHI5KLUORROEF4A/ ■家族名が消える 小島 選択的夫婦別姓制度を導入すべきだという議論が昨年から国会で盛んになりました。 八木 選択的夫婦別姓とは、夫婦同姓、親子同姓という民法の考え方をふまえ、同姓にしたい人はこれまで通り同姓だけど、別姓にしたい夫婦は別姓を選んでもいい。 選択ができるという仕組みです。 一見よさそうに思えるんですよ。 小島 自分たち夫婦、家族は同姓でいたいと考えている人たちも、自分たちの同姓が守られるのならと考えてしまいますよね。 八木 ところが選択的であったとしても、その影響は別姓夫婦にとどまりません。 別姓では、1つの戸籍の中に2つの姓が存在することになります。 戸籍から、家族に共通の姓、ファミリーネーム、家族名がなくなるわけです。 小島 家族名がある戸籍とない戸籍、ある人とない人が共存することはないので、全体として家族名はなくなると。 八木 「氏名」の性格が根本的に変わるんです。 氏名とは、家族名に個人の名前を合わせたものです。 家族名がなくなれば、氏名は純粋な個人の名前になる。 すべての家族から家族名が奪われ、戸籍上、姓が同じ夫婦や子供も、各人の名前の上の部分が重なっているにすぎなくなる。 小島 たまたま上の名が同じということですね。 八木 ええ。 たいした問題ではないと思う人がいるかもしれませんが、社会制度や慣行に影響が及びます。 家族単位、世帯単位で主になされてきたものが崩れて個人単位になる。 ■3つの姓から選択も 八木 別姓夫婦だと、子供の姓をいつ決めるのかという問題もあります。 兄弟姉妹で姓は統一なのか、バラバラなのか。 子供が1人だけだと、夫婦で子供の姓の取り合い、押し付け合いにならないか。 すでに結婚して同姓の夫婦も、1年あるいは3年の経過措置期間を設けて別姓を選ぶことができるとしています。 妻、あるいは夫が旧姓を名乗りたいとなった場合、夫婦の間に生まれた子供の姓の選び直しも行われることになる。 複数世代にわたる姓の変更を認めるのかという問題も想定されます。 子供のいる夫婦の妻側の母親、おばあちゃんが実家の姓に戻すという選択をした場合、連動して、妻の姓もおばあちゃんの旧姓に変えられるのか。 旧姓に戻す決断をしたおばあちゃんの娘である妻や孫は3つの姓から選ぶということになりかねない。 おばあちゃんの旧姓、夫の姓、妻の旧姓です。 小島 社会が大混乱しますね。 八木 自民党内では一時、選択的夫婦別姓の導入機運が高まりましたが、こうした現実的な問題点への理解が広まり、賛成意見はしぼみつつあります。 櫻井よしこ氏「保守政党らしからぬ提言に危機感」 2021/5/19 16:40 https://www.sankei.com/article/20210519-FRWVDCNTRVN7PLO57QDGPU2CK4/ 選択的夫婦別姓制度の導入に慎重な自民党有志議員を中心に作る 「婚姻前の氏の通称使用拡大・周知を促進する議員連盟」 が2021年5月19日、ジャーナリストの櫻井よしこ、麗澤大学教授の八木秀次の両氏を講師に招いて国会内で会合を開いた。 櫻井氏は 「保守政党としての自民党の矜持」 と題して講演。 安倍晋三政権から菅義偉政権に代わったことで党内に変化が生じていると指摘し、 「保守政党らしからぬ政策提言、法案の提出、そしてそれを通そうとする非常に強い動きに大変な危機感を感じている」 と強調した。 「保守は、よりよい社会や国をつくるために変化はするが、その本質は変えず守っていくことだ」 とも語った。 八木氏は、選択的夫婦別姓を導入した場合の課題について 「多くの人は子供の氏が決まらないことや、氏の取り合いが起こることを懸念して結婚や出産を躊躇する」 「逆に少子化が進む可能性がある」 と指摘。 「現在の戸籍制度の下では、旧姓の通称使用を拡充することが最も現実的な解決策だ」 と訴えた。 一方、会合ではLGBTなど性的少数者をめぐる 「理解増進」 法案についても取り上げられた。 法案をめぐっては、稲田朋美元防衛相が委員長を務める 「性的指向・性自認に関する特命委員会」 が中心となり、立憲民主党などと協議して今国会での成立を目指している。 これについて、山谷えり子参院議員は 「もともとの自民党案は国柄に基づいた内容だったが、超党派の議員立法でガラッと哲学がかわってしまった」 「自民党として認めるには大きな議論が必要だ」 と語った。 異論暴論 正論6月号好評販売中 やるべきことは「夫婦別姓」か? 2021/5/3 10:00 https://www.sankei.com/article/20210503-QHTMRK3OE5KWVOEUGDN5FVJWZE/ 自民党内で選択的夫婦別姓をめぐる論議が起きている。 推進論者からは結婚に伴う改姓によって生じる生活上の不都合や不便が強調されるのだが、そもそも夫婦が別姓になれば親子は別姓を余儀なくされる。 これまでの家族観や結婚観は変わり、子供に与える影響も無視できないはずだ。 正論2021年6月号では 「やるべきことは『夫婦別姓』か?」 を特集した。 高市早苗衆院議員(自民党)は、自民党のこれまでの選挙公約の実現に向け、自身が起草した 「婚姻前の氏の通称使用に関する法律案」 の成立の必要性を強調する。 高橋史朗・麗澤大学大学院客員教授と池谷和子・長崎大学准教授の論文は、推進者たちの主張の見せ方がいかに一面的で、良い面ばかりが強調されたものかを考えさせられる。 ジャーナリスト、平野まつじ氏は夫婦別姓が現実になると、何がもたらされ、どんな弊害が起こるのか、具体的に考えた。 子供の最善の利益をどうするか、という視点がいかに蔑ろにされ、議論のあり方として極めて危ういかがわかる。 党内で提唱される 「婚前氏続称制度」 「ミドルネーム案(結合氏制度)」 など歯牙にかけるに値しない。 選択的であろうが、夫婦別姓の導入は必要ない。 正論 国民の大多数は夫婦別姓望まず 国士舘大学特任教授 日本大学名誉教授・百地章 2021/7/6 8:00 https://www.sankei.com/article/20210706-2KVYJSZJQNPT3OSBPGFYEMTHXA/ ■最高裁は合憲判断を維持 2021年6月23日、最高裁大法廷は予想通り夫婦同姓(氏)制は憲法に違反しないと判断した。 しかも合憲とした裁判官は11人と前回の平成27年判決より1人増えている。 平成27年の最高裁判決は、氏には 「家族の呼称」 としての意義があり、その呼称を一つに定める夫婦同姓制には合理性があるとして現行制度を合憲とした。 その上で、夫婦の姓の在り方は国会で判断すべきだとして、国会の立法政策に委ねた。 今回の最高裁決定は、この平成27年判決の立場を維持し、夫婦同姓を定めた民法750条や戸籍法を合憲とした上で、その後の社会の変化や国民の意識の変化を踏まえても、合憲判断を変更する必要はないとした。 これも妥当と言えよう。 ところがマスメディアの中には各種世論調査を引き合いに、別姓支持が国民多数の声であり、夫婦別姓の実現へと誘導するような報道があふれている。 そのため同姓支持を主張することがはばかられるような雰囲気さえある。 確かに内閣府の調査でも別姓支持が平成24年には35.5%だったものが、平成29年には42.5%に増加しており、その傾向は否定できない。 しかし、平成29年の調査でも、 「夫婦は必ず同じ名字(姓)を名乗るべきだ」が29.3%、 「夫婦は必ず同じ名字を名乗るべきだが旧姓を通称として使用するのは構わない」が24.4% あった。 つまり、同姓支持は計53.7%もあり、別姓支持を上回っている。 ■別姓望む国民はわずか8% さらに、別姓支持者の中で自ら 「別姓を希望する」と答えた者は19.8% にとどまる。 つまり、別姓希望者は支持者(42.5%)の19.8%だから全体でいえば0.08、つまり国民のわずか8%が別姓を希望しているだけである。 平成24年の調査でも別姓希望者は全体の8%にすぎないから、別姓希望者は全く増えていないことが分かる。 そのようなごく少数の希望者のために、明治以来120年以上の伝統を有し、国民の中に広く定着している夫婦同姓制度を改正してしまうのは乱暴ではないか。 この問題は慎重な上にも慎重に対処すべきだ。 夫婦別姓希望者のために、現在では運転免許証、パスポート、さらにマイナンバーカードまで、旧姓を通称として併記することが認められている。 だから、日常生活における彼らの不便はほぼ解消しているはずだ。 にもかかわらず彼らが別姓にこだわるのはなぜか。 今回の決定において反対意見を述べた裁判官の中には、 「家族」 の定義は不明確であるとして否定的に解し、 「姓」 を 「個人の呼称」 の一部と考えて、夫婦同姓制度は 「個人の尊厳」 の侵害に当たると主張する者もいる。 ■「家族呼称」か「個人呼称」か 確かに、憲法24条2項は家族について 「個人の尊厳と両性の本質的平等」 に立脚して制定するよう定めているが、憲法は 「家族の保護」 を否定するものではない。 それどころか、憲法制定時の議会においては 「従来の良き意味の家族制度はどこまでも尊重していかなければならぬ」 (木村篤太郎司法大臣) との答弁がある。 わが国が批准している国際人権規約でも 「できる限り広範な保護及び援助が、社会の自然かつ基礎的な単位である家族に対し…与えられるべきである」 としている。 それ故、わが国の家族制度は、 「個人の尊厳」 と 「家族の保護」 によって支えられていると見なければならない。 だからこそ、平成27年の最高裁大法廷判決も、 「家族は社会の自然的かつ基礎的な集団単位であり、氏には家族の呼称としての意義があり、氏の在り方については国の伝統や国民感情を含め総合的な判断によって定められるべきである」 とした。 それでは、家族制度の基本にかかわる 「姓(名字)」 について、国民はどのように考えているだろうか。 先の内閣府の調査(平成29年)によれば、国民の56.9%は姓を 「先祖から受け継がれてきた名称」 ないし 「夫婦を中心とした家族の名称」 と答えている。 これに対して姓は 「他の人と区別して自分を表す名称の一部」 と考える者は、全体のわずか13.4%にすぎない。 つまり、姓を 「個人の呼称」 の一部と考え、 「個人の尊厳」 を強調する反対意見は、姓を先祖伝来の 「家」 や 「家族」 の呼称と考える多数国民の意識と相当ズレていることが分かる。 以前、本欄で述べたように夫婦の姓をどう決めるかは、個人個人の問題であると同時に、わが国の家族制度の基本にかかわる公的制度の問題である。 しかも選択的夫婦別姓制は 「ファミリー・ネームの廃止」 につながり 「戸籍解体」 の恐れさえある(「『戸籍の解体』を招く夫婦別姓制」2021年3月29日)。 したがって、自らは希望しないにもかかわらず、 「選択的だから」 「望む人が別姓を名乗るだけだから」 などといった安易な発想で賛成してしまうのは、推進派を利するだけであり、非常に疑問といわざるを得ないであろう。 次世代の党、夫婦同姓規定「合憲」判断を「歓迎」 2015/12/16 19:12 https://www.sankei.com/article/20151216-JTCPST5AN5IUNNFTBEMB2AHLCU/ 次世代の党は2015年12月16日、最高裁が夫婦別姓を認めない民法の規定を合憲と判断したことについて、中野正志幹事長名で 「判断を歓迎する」 との談話を出した。 談話では 「日本社会においては、夫婦、親子が同じ姓を名乗ることが家族の基本であり、家族の一体感を高めてきた」 「一方、夫婦別姓を求める運動では、家族が同じ姓を名乗ることを子供が望んでいることは省みられていない」 と指摘。 その上で 「日本は、既に職場などでの通称使用(旧姓使用)が否定されない社会になった」 「旧姓に拘りを持つ方は通称を用いることが可能であるし、結婚時に夫が妻の姓を選択することも可能である」 としている。 夫婦同姓規定は合憲 再婚禁止6カ月は違憲 最高裁が初判断 2015/12/16 15:24 https://www.sankei.com/article/20151216-EIZGWR6BTRIYTNB6YH7JAHKFYU/ 【産経新聞号外】夫婦同姓「合憲」[PDF] https://www.sankei.com/module/edit/pdf/2015/12/20151216iken.pdf 民法で定めた 「夫婦別姓を認めない」 とする規定の違憲性が争われた訴訟の上告審判決で最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は2015年12月16日、 「規定は合憲」 とする初めての判断を示した上で、原告側の請求を棄却した。 原告は 「時代の変化に従って選択的夫婦別姓を認めるべきだ」 などと主張したが、 「夫婦や親子など家族の在り方が損なわれる」 との慎重論は多く、世論調査も賛成・反対が拮抗してきた。 一方、 「女性は離婚後6カ月間、再婚できない」 とする規定を巡る訴訟で、大法廷は 「規定は違憲」 と初判断。 100日間を超える部分は違憲だとしたことで、国は法改正を迫られる。 最高裁が法律を違憲と判断したのは戦後10件目。 夫婦の姓について原告側は 「選択的夫婦別姓を認めないことは、婚姻の自由を不合理に制約していて、両性の本質的平等に立脚していない」 と主張。 「規定は違憲で、国会の高度な立法不作為に当たる」 と指摘していた。 国側は 「民法では、結婚後にどちらの姓を名乗るかについて、夫婦の協議による決定に委ねている」 「婚姻の自由や男女の平等を侵害していない」 と反論。 規定に違憲性はなく国会の立法不作為にも当たらないと主張していた。 両規定を巡っては、法相の諮問機関の法制審議会が平成8年、選択的夫婦別姓を導入し、再婚禁止期間も100日に短縮するよう答申した。 しかし、国会や世論の反対が多く、改正は見送られた。 民主党政権時代にも改正の動きがあったが、閣内の反対などで法案提出には至っていない。 自民党総裁選 候補者が改憲アピール 首相が道筋付けるもなお高いハードル 実現への突破口開けるか 2024/9/11 6:00 https://www.sankei.com/article/20240911-KAT27QWRFJOQFKMOTX3KSCJT5M/ 自民党総裁選(12日告示、27日投開票)で憲法改正が主要テーマの1一つになっている。 自民は2日、自衛隊明記など改憲の指針となる論点整理を公表した。 岸田文雄首相(党総裁)は論点整理を新総裁に引き継ぐ考えを強調し、次の総裁候補たちも改憲に向けた発信を強めている。 改憲は来年結党70年を迎える自民の党是であるにもかかわらず、足踏みを続けてきた。 総裁選を通じて機運を高め、実現への突破口を開くことができるのか。 ■「全身全霊で臨む」と小泉氏 「憲法論議の推進に全身全霊で臨み、憲法改正発議の環境が整えば、直ちに発議の後、国民投票に移る」 6日に総裁選への立候補を表明した記者会見で、小泉進次郎元環境相は改憲についてこう断言した。 「現在の憲法は日本が米国に占領されていた昭和21年に連合国軍総司令部(GHQ)が原案を起草し、日本政府に受け入れを迫ったものだ」 とも訴えた。 突然の改憲への傾斜は、自民から剝がれた保守層を取り戻す狙いがあるのは明らかだ。 同時に、歴史的背景にも触れ、 「広く国民に発信する」(小泉陣営関係者) 戦略も透ける。 改憲に前向きな候補者たちも盛んに発信している。 党憲法改正実現本部の事務総長を務め、論点整理に奔走した加藤勝信元官房長官は10日の記者会見で改憲実現を訴えた。 保守的な政治信条を持つ小林鷹之前経済安全保障担当相は6日、改憲が宿願だった安倍晋三元首相の墓参りをし、 「何としても成し遂げる」 と誓った。 10日の記者会見でも 「先頭に立って実現していく」 と強調した。 「少しでも早く国民投票していただける環境を作るために頑張る」。 保守層に支持される高市早苗経済安保担当相は9日の記者会見で力強くこう訴え、茂木敏充幹事長や河野太郎デジタル相も前向きだ。 戦力不保持を謳った9条2項を削除した上で、自衛隊を 「国防軍」 に改め憲法に明記すべきとの持論を持つ石破茂元幹事長は10日の記者会見で 「党で決めた路線を維持していく」 との姿勢を示した。 ■「保守の失望」で議論加速 改憲は岸田首相にとっても思い入れのあるテーマだ。 首相が会長を務めた旧岸田派(旧宏池会)は伝統的にリベラルなイメージがあり名誉会長を務めた古賀誠元幹事長も9条改正に否定的だった。 当初は改憲に慎重な姿勢を示してきたが、首相の座を目指すに当たり支持拡大のため改憲にシフト。 首相が初めて意欲を表明したのは政調会長時代の令和元年9月のことだった。 3年の前回総裁選の出馬表明後、産経新聞の単独インタビューで 「国会での議論を進め、国民投票に持ち込む」 と明言。 以降、総裁任期中の改憲に前向きな姿勢を示してきた。 しかし、衆参両院の憲法審査会では立憲民主党が消極姿勢を崩さず議論は停滞。 自民党派閥パーティー収入不記載事件も議論にブレーキをかけた。 事態が動き出したのは任期中の改憲が絶望的となった2024年6月30日、東京都内で営まれた安倍元首相の三回忌。 首相は、会場で保守派のジャーナリストから改憲を先送りするならば 「首相の座から身を引くべきだ」 と迫られた。 保守層の失望を突き付けられ、保守言論人に人脈を持つ旧岸田派の側近が動き始めた。 2024年7月19日、加藤氏を官邸の裏動線から密かに呼ぶ算段を付けた。 自民内には緊急事態下での国会機能維持のための改憲を巡り、衆院側と参院側との間に意見の隔たりがあり、党内の意見さえまとめられない状況だった。 首相は加藤氏に意見の集約を指示。 衆院側の加藤氏と参院側の岡田直樹事務総長代行が休日返上で協議し、スピード合意に至った。 さらに首相は2024年8月7日、同本部の全体会合に出席。緊急事態条項の創設に加え、ハードルが高いと思われていた9条への自衛隊明記に取り組む考えを示し、2024年8月末までに論点整理を取りまとめるよう指示した。 総裁選に向けた保守層へのアピールとの見方もあったが、首相は2024年9月14日、再選不出馬を表明した。 総裁選への立候補を目指していた加藤氏をはじめ党内は浮足立ち、 「2024年8月末の論点整理の取りまとめが先送りされそうになった」(首相側近)。 首相は党改憲実現本部の副本部長を務める中谷元・元防衛相に2024年8月中の取りまとめを改めて指示。 30日の当初のスケジュール通りに滑り込んだ。 ■改憲へ熱量高まる議論を 「(改憲の)議論を振り出しに戻すようなことはあってはならない」 首相は2024年9月2日、論点整理が了承された同本部の全体会合でこう述べ、議論を後退させないよう求めた。 首相が初めて改憲への意欲を示してから5年。 「なぜもっと早く取り組まなかったのか」 との批判もあるが、退陣を目前に党内の改憲議論に道筋を付け、新総裁に引き継ぐ体制は整えた形だ。 改憲実現に向けては衆参両院の3分の2以上の賛成を得た改憲原案の国会発議、国民投票での過半数の賛成など高いハードルが待ち受ける。 総裁選では改憲に向け国民の機運が高まるような熱量のある議論を期待したい。 <主張>自民党と憲法改正 総裁候補は実現の約束を 社説 2024/9/3 5:00 https://www.sankei.com/article/20240903-SMBD3HZRGVKEZFZHNPTDRBULFI/ 自民党は憲法改正実現本部の会合を開き、憲法に 「第9条の2」 の条文を新設して自衛隊を明記することや、緊急政令の根拠規定創設を盛り込んだ論点整理を了承した。 会合には岸田文雄首相(党総裁)が出席し 「自衛隊の明記を含む複数のテーマを一括して国民投票にかけるべく議論を加速させる準備が整った」 「一気呵成に議論を進めなければならない」 と語った。 新総裁が論点整理を引き継ぐことも要請した。 自衛隊明記などを一括して国民投票にかけることは妥当だ。 そのために、改憲に前向きな政党に呼び掛け、改憲原案の条文化作業を担う与野党協議の場を急ぎ設ける必要がある。 憲法改正は自民の党是であり、党総裁選の重要な争点の1つだ。 全ての候補者は総裁になった場合、いつまでに憲法改正を実現するのかを国民の前で明確に語ってもらいたい。 論点整理では、 「9条の2」 への自衛隊明記について 「基本的に堅持すべきことが共通認識として確認された」 とした。 首相や内閣の職務を規定した第5章への自衛隊明記に関し 「選択肢の1つとして排除されるものではない」 との意見が出たことを記した。 条文の置き場所について議論の余地を残した格好だが、自衛隊を第5章に明記するだけでは不十分だ。 9条または 「9条の2」 に必ず書き込むべきである。 「戦力不保持」 を定めた第9条2項の削除と軍の規定が憲法改正の最終ゴールであるべきだが、途中段階として自衛隊を明記する意義は大きい。 緊急政令も憲法に必ず規定しなければならない。 改憲発議で国会議員の任期延長を優先するか、緊急政令とセットで進めるかは意見が分かれ、結論を出さなかった。 緊急政令に後ろ向きな公明党に阿っているとしたら残念だ。 国会が開けないような国難の際には、緊急政令などの権限を内閣に一時的に与えなければ事態を乗り切ることは難しい。 自民は国民を守り抜く改正を実現すべきであり、公明を説得しなければならない。 首相は自民党総裁選への不出馬を表明し、 「新たなリーダーを一兵卒として支える」 と語っている。 次期総裁は岸田氏を憲法改正実現本部長に起用してはどうか。 「新総裁で議論やり直し」はさせない 改憲へ見せた岸田首相の意地、「遅すぎ」との指摘も 2024/9/2 19:44 https://www.sankei.com/article/20240902-FZSTLCTR5ZLUZP4PITHDXKEVXY/ 2日開かれた自民党憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)の全体会合で、岸田文雄首相(自民党総裁)は 「議論を加速させる準備が整った」 と力を込めた。 退陣まで約1カ月に迫る中で党の憲法改正の論点整理を急いだのは、党総裁選で選ばれる新総裁の下でも改憲議論を停滞させず、早期の国会発議を実現するためだ。 党派閥の政治資金パーティー収入不記載事件が直撃し、自らの手による改憲こそかなわなかったが、最低限のレガシー(遺産)を残すことで意地を見せた。 「(改憲の)議論を振り出しに戻すようなことはあってはならない」 「議論だけの時代は終わった」 「具体的な前進を図っていきたい」 首相は憲法改正実現本部の全体会合でこう述べ、新総裁は了承された論点整理を土台に改憲に向けた取り組みを加速すべきだと訴えた。 論点整理は改憲の国会発議を見据えた他党との折衝の土台となる。 首相は8月7日の同本部の全体会合で同月内の取りまとめを指示していた。 ところが、14日に総裁選への再選不出馬を表明し、党内が次の総裁選び一色になると、目標は有耶無耶になりかけた。 同本部内には論点整理を取りまとめるWT(ワーキングチーム)会合の開催を9月5日に先送りする動きもあった。 緩んだネジを締め直したのは首相本人だった。 「何としても8月中にやってくれ」。 首相は同本部の中谷元副部長にこう指示し、当初のタイムスケジュールに拘った。 その結果、30日のWT会合で論点整理を仕上げ、9月2日の全体会合で正式決定するという日程が整った。 首相は改憲議論を後戻りさせないことを重視した。 周囲には 「総裁が変わったら議論を一からやり直しなんて、そんな馬鹿なことはさせない」 と漏らす。 自らの退陣で早期の衆院解散・総選挙も囁かれる中、新総裁の下でも改憲を目指す姿勢を支持層に示す狙いも見え隠れする。 ただ、不記載事件の影響で目算が大幅に狂ったとはいえ、リーダーシップの発揮が遅すぎた感は否めない。 日本維新の会や国民民主党などは事件とは一線を画して改憲論議に前向きだった。 党内議論にもっと早く着手していれば、首相が目指した総裁任期中の憲法改正に光明を見いだせた可能性がある。 自民は来年、結党70年を迎える。 節目の年に改憲を実現果たしたいところだが、これまでは足踏みを続けてきた。 首相のレガシーが突破口を開く端緒となるのか。 答えはそう遠くない未来に明らかになる。 自民が改憲「論点整理」を了承 自衛隊明記、緊急政令も可能に 首相「一気呵成に進める」 2024/9/2 18:54 https://www.sankei.com/article/20240902-47KJ3HKGHNJPZMJDAV543A2A2Y/ 自民党は2日、憲法改正実現本部(古屋圭司本部長)の全体会合を開き、自衛隊明記など改憲の指針となる論点整理を了承した。 平成30年にまとめた改憲4項目の見解を引き継ぎ、現行の9条を維持した上で 「9条の2」 を新設して自衛隊を追記する案を軸とした。 岸田文雄首相(自民総裁)は 「(自衛隊明記など)複数のテーマを一括して国民投票にかけるべく議論を加速させる準備が整った」 「一気呵成に進めなければならない」 と述べた。 論点整理は 「自民党らしさ」 を重視。 連立を組む公明党が懸念する9条への自衛隊明記、緊急事態の際に政府の権限を一時的に強める 「緊急政令」 の導入を可能にする改憲を打ち出した。 また、緊急時に国会議員の任期延長を可能にする改憲と共に、 「条文化作業を加速化し、速やかな憲法改正原案の起草・国会提出に繋げていくべきだ」 とまとめた。 一方、古屋氏は次期総裁選(12日告示、27日投開票)の候補者に対し、論点整理の範囲内での議論を要求した。 議論が振り出しに戻ることを避ける狙いがある。 小泉進次郎元環境相は2日、記者団に 「自衛官が憲法に位置付けられ、誇りを持って任務を遂行できる環境を作ることは極めて重要だ」 と強調。 抜本的な9条改正を重視する石破茂元幹事長は記者団に自衛隊明記の意義を認めつつ、 「これで終わりではない」 と語った。 自民総裁選岸田首相不出馬 日米の黄金期惜しむ米紙、欧州「次期首相は国民信頼回復を」 世界の論点 2024/9/2 10:00 https://www.sankei.com/article/20240902-HRXERRFTGVPARML2D6KGE67JH4/ 今月行われる自民党総裁選で、岸田文雄首相は不出馬を表明している。 米欧メディアは岸田氏の実績をどう評価し、日本の次期首相選びとなる総裁選に、どのような視線を向けているのか。 米国では、日米同盟を強化した岸田氏が評価され、次期首相の課題が指摘される。 欧州では、欧州連合(EU)などとの関係強化が讃えられる一方で、経済政策への厳しい見方もみられる。 ◇ ■経済不振で退場はバイデン氏と共通 岸田文雄首相の不出馬表明はバイデン米大統領の選挙戦撤退の後でもあり、米主要紙は、両氏の親密な関係の成果でもあるインド太平洋地域の同盟網の強化を改めて評価した。 先行き不透明な米国政治や東アジア情勢を踏まえ、次期首相が背負う課題の大きさを案じる分析もあった。 8月14日付のワシントン・ポストは岸田氏不出馬を伝える記事で 「危うさを増すアジア太平洋地域において、日米を最強の同盟関係に導き、日本の防衛費を増強させた」 とまず成果を強調した。 ロシアのウクライナ侵略を受けて従来の対露姿勢を転換し西側諸国の制裁に参加したことは特筆すべき実績と指摘。 ウクライナ情勢は中国の台湾侵攻などアジアの危機に連鎖するとの認識から岸田氏が繰り返した 「今日のウクライナは明日の東アジア」 は、 「米国の同盟友好国によって同調された」と 評価した。 また、日米韓首脳会談で合意した3カ国の安全保障協力は 「日米韓関係に新たな時代を記した」 と回想。 対中国を念頭に同盟友好国との重層的な枠組みを推進した米国のアジア戦略において、岸田氏は 「中核的な役割を果たした」 とべた褒めだった。 同紙は 「ともに不出馬を決断したが、バイデン−岸田時代は日米同盟の黄金期として記憶される」 とのエマニュエル駐日米大使の談話も紹介。 米政権関係者には、岸田氏の引き際は先に選挙戦から撤退したバイデン氏の姿と重なって見えたようだ。 しかし、バイデン氏と同様に岸田氏を不出馬に追い込んだ1つの要因は物価上昇など経済不振による支持率の低迷だった。 14日付ウォールストリート・ジャーナルは 「日本は新型コロナ禍後の沈滞と経済的混乱が有権者を不幸にした主要民主主義国の1つ」 と指摘。 バイデン氏の撤退、英労働党の政権奪還、左派連合が最大勢力となった仏議会下院選に通じる先進国共通の政治現象と分析した。 13日付ニューヨーク・タイムズは、次期首相が 「海外、特に米国内の政治不安定への対処と日本国民の支持獲得に繋がる国内政策の促進」 に直面すると解説。 日本には引き続き強い指導力が必要だとし、後継者が長期的な政権を築けるかには疑問を呈した。 外交実績には同盟国から最大級の評価が寄せられた岸田氏だが、米外交誌フォーリン・ポリシーは15日付の解説で、 「経済政策運営に対する国民の怒りに加え、防衛費増額や少子化対策に充てる資金をどう調達するかという未回答の問題も残した」 と指摘。 国内的には負の遺産が目立つという厳しい評価だ。 ◇ ■欧州外交称賛も経済に辛口 欧州メディア(電子版)は岸田文雄首相の外交・防衛政策の功績を認めつつ、物価上昇や自民党派閥のパーティー収入不記載事件は 「与党への国民の不信感を煽った」 と厳しく評価した。 総裁選では不透明な国際情勢に対応できる外交手腕にとどまらず、国内経済の改善やクリーンな政治を推し進められる次期首相を選ぶ重要性を強調した。 英誌エコノミストは8月14日、反撃能力保有や防衛費増額など防衛力の抜本的強化を決断した岸田氏を 「安全保障政策の歴史的な改革を推進した」 と称賛。 「日米同盟の新時代の幕開けに貢献した」 とするエマニュエル駐日米大使の発言を引用し、米との防衛協力を進めたことに触れた。 英紙フィナンシャル・タイムズ(FT)は15日の社説で、温厚そうな岸田氏が意外にも 「驚くほど大胆不敵だった」 とする人物評を紹介。 持ち前の大胆さを防衛や外交の分野で発揮したことで 「世界における日本の立場は歴史的な変化を遂げた」 とした。 欧州連合(EU)や北大西洋条約機構(NATO)との関係強化を歴代の首相より積極的に進め、いわゆる徴用工訴訟問題で悪化した日韓関係の修復にも貢献したと評価した。 ただ、経済政策には厳しい指摘が目立つ。 仏紙ルモンドは14日、日本の家計を襲うインフレが岸田氏の支持率低下の一因であると指摘。 物価と賃金が共に上昇する好循環を目指した政権の経済政策が道半ばとなったことを受け、仏紙フィガロは14日、 「(政策は)実現しない呪文に過ぎなかった」 と批判した。 経済的苦境が広がる中、派閥のパーティー収入不記載事件を巡る 「政治とカネ」 問題が直撃。 英BBC放送は14日、 「野党が弱体化し分裂しているにもかかわらず、与党の自民党は国民に強い不信感を持たれた」 と分析。 エコノミスト誌は、自民党内の混乱を受け 「(岸田氏の)退陣は必然だった」 とする有権者の発言を紹介した。 「ポスト岸田」 が直面する課題は多い。 英紙ガーディアンは16日、次期首相は 「物価の上昇や中国や北朝鮮との緊張の高まりの他、トランプ前米大統領が大統領に返り咲く可能性にも対処しなければならない」 と指摘。 その上で、最優先課題は 「(パーティー収入不記載事件で失った)国民の信頼を取り戻すことだ」 とした。 FTは16日の社説で 「混乱する日本の政界に必要なのは、党の長老におもねる弱いリーダーではなく、それを超える存在だ」 と強調。 自民党の年功序列体制を根底から覆す若いリーダーの選出や初の女性総裁の誕生に期待を寄せた。 ◇ ポイント ・米紙「岸田氏は日米を最強の同盟関係に」 ・次期首相は海外の政治的不安定に直面と指摘 ・英紙「世界での日本の立場は歴史的な変化」 ・仏紙「経済政策は実現しない呪文に過ぎず」 <独自>自民の憲法改正「論点整理」の内容判明 9条改正と「緊急政令」導入打ち出す 2024/8/30 18:30 https://www.sankei.com/article/20240830-2ANHHSK5EJJFZPGZMX7WNZHM7Q/ 自民党の憲法改正の指針となる論点整理の内容が30日、判明した。 9条への自衛隊明記や、緊急事態の際に政府の権限を一時的に強める 「緊急政令」 の制度導入の必要性を打ち出した。 衆参両院の実務者でつくる党憲法改正実現本部のワーキングチーム(WT)が同日、取りまとめた。 9月2日に岸田文雄首相(自民総裁)が出席する全体会合で正式決定する。 自衛隊に関しては、安倍晋三政権下の平成30年にまとめた自衛隊の9条明記▽緊急事態への対応強化▽参院の合区解消▽教育環境の充実−の改憲4項目で 「既に議論が決着」 と指摘。 4項目の 「枠組みを前提とすべきだ」 と記した。 連立を組む公明党はシビリアンコントロール(文民統制)を明確化するためとして、首相や内閣の職務を規定した「第5章」の72条や73条への明記を主張している。 論点整理では9条明記に関して 「基本的に堅持すべきことが共通認識として確認された」 としつつ、文民統制に関しては第5章への規定も 「選択肢の一つとして排除されるものではない」 との意見を紹介し、議論の余地を残した。 妥協案として9条と第5章の双方を改憲する案が浮上している。 緊急時に内閣が法律に代わり発出する緊急政令に関しては、論点整理で 「根拠を憲法に規定することは必要」 と打ち出した。 対象とする緊急事態の類型は 「異常かつ大規模な災害」 に加え、武力攻撃、テロ・内乱、感染症の蔓延などを挙げた。 一方、公明などが緊急政令に慎重な構えを示していることから、緊急時に国会議員の任期延長を可能にする改憲を優先すべきか否かなどを引き続き議論する方針も確認した。 公明・石井氏、改憲論議で自民にくぎ刺し「自民単独で発議できぬ」 自衛隊明記で隔たり 2024/8/30 17:08 https://www.sankei.com/article/20240830-VR5RBZNXYNMPLEGL4GDDI4HMBY/ 公明党の石井啓一幹事長は30日の記者会見で、自民党で進む憲法改正の議論に釘を刺した。 改憲発議には衆参両院で総議員の3分の2以上の賛成が必要であるとして 「自民だけでは発議は叶わない」 「他の政党にもどう働きかけて発議案をまとめていくのかが課題だ」 と述べた。 自民は憲法9条への自衛隊明記を含めた改憲発議を目指しているが、公明党は首相や内閣の職務を規定した72条や73条への明記を提唱し、立場に隔たりがある。 自衛隊を行政組織に位置付ける危うさ 正論2024年8月号 三重中京大学名誉教授 浜谷英博 憲法改正論議は衆議院と参議院の憲法審査会で進められているが、所属委員の一部に憲法改正自体に同意しない勢力が存在するため、いくつかの論点が煮詰まりつつあるものの、未だ具体的条文案の作成には至っていない。 憲法調査会の後継機関である憲法審査会は、2007年8月に衆参両院に設置され、2024年で17年が経過する。 この間、紆余曲折を経ながら一進一退を繰り返し、現在も具体的成果を生み出せない姿には、議論自体が目的化している印象さえ受ける。 ただ、その中でも緊急事態条項と並んで議論が収斂されつつあるのが、憲法に自衛隊を明記する改正案である。 改憲に前向きな政党が公表した自衛隊の憲法明記に関する各党案を見てみる。 まず自民党は2018年3月に憲法9条の2項を 「前条(現行9条)の規定は、わが国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置を取ることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」 と加筆するという 「叩き台」 となる素案を示している。 日本維新の会は2022年6月に憲法9条の2項を 「前条(現行9条)の範囲内で、法律の定めるところにより、行政各部の一として、自衛のための実力組織としての自衛隊を保持する」 と加筆する 「憲法改正原案」 を公表した。 一方、公明党からは2023年5月に 「72条(内閣総理大臣の権限)もしくは73条(内閣の職権)に自衛隊を明記」 する北側一雄副代表案が、 また、国民民主党からは2023年4月に憲法第5章の 「内閣」 の中に 「必要な自衛の措置を取るための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する」 とする玉木雄一郎代表の案が示された。 大きく分けて 「戦力」 との関係で自衛隊との関連条項である憲法9条に加筆する案と内閣総理大臣が自衛隊の最高指揮監督者であることから、憲法第5章の内閣、とりわけ72条もしくは73条に加筆する案などが提示されている。 しかしながら、憲法9条に加筆する改正案でも 「行政各部の1つとして」 との条件を付していること、そしてとりわけ内閣の章内に自衛隊を明記する主張には、その根底に行政組織としての自衛隊の法的位置付けを変更しない意図が垣間見えている。 ここで問題は、憲法への自衛隊の書きぶりはともあれ、現在の自衛隊が国家行政組織法上の行政組織の1つとの従来の政府解釈から、一歩も踏み出そうとしない改憲姿勢である。 平時に活動する 「一般行政組織」 と非常時に武力行使を伴う 「軍事組織」 との根本的相違を放置したまま自衛隊を憲法に明記したとしても、任務の遂行に多くの制約が課され、目的の完遂に困難を極めることは明らかだ。 自衛隊を正規の軍隊もしくはそれに準ずる独立した組織とし、それに伴って自衛官に軍人としての国際法上の法的地位があることを確認し、その活動について最高指揮監督者の存在を明記するのでなければ、自衛隊の本来の創設目的に沿った任務と行動を担保することにはならないのではないか。 諸外国における自国防衛のための軍事組織(一般に軍隊もしくは国軍)は、一般の行政組織とは一線を画した組織として機能している。 理由は、その運用に関して、一般行政組織とは異なる原理を適用しなければ、求められる本来の任務を遂行できない場合が多々想定されるからである。 通常、軍隊は、自国の独立と安全を確保し、国民の生命と財産を保護することを目的とし、国家の存亡を賭けた非常時に最後の手段として出動を命じられる組織である。 従って、そのための行動に国内法的制約はない。 あるのは国際法(武力紛争法や国際人道法と称され、捕虜の扱いや非交戦の個人の保護など戦時における人間の保護を目的としている)上の制約のみである。 一般の行政組織とは明らかに異なる軍隊の行動や任務の目的が明確である以上、必然的な措置であろう。 本稿では、自衛隊を行政組織の1つとする解釈から派生する危険性や矛盾、同盟国との共同行動やPKO参加時における支援など、関連する諸点について考えてみたい。 ■任務を完遂させない頸木( くびき:自由を束縛するもの) まず、既に提起されている憲法改正案のいくつかを検討してみたい。 その内、72条への明記案は、72条が 「内閣総理大臣は、内閣を代表して議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告し、並びに行政各部を指揮監督する」 と規定していることから、行政組織としての自衛隊を新たに書き込むことによって、その法的地位の変更までを含まない意図が読み取れる。 この明記の結果、確かに自衛隊が憲法違反との主張はなくなるかもしれないが、行政各部と横並びに規定することによって、自衛隊が行政組織の一部であるとの意味合いも同時に強めかねない。 強いて72条に書き込むのであれば、新たな1項を追加し、一般行政組織とは一線を画した組織であることを明確にした書き方にしなければ改正の意味がない。 また、憲法73条は、内閣という合議体が一般行政事務と共に行う7項目の各事務を規定している。 ここに自衛隊を書き込む改正案は、自衛隊法7条にある 「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」 との規定を、憲法条項に引き上げようとする意図であろう。 しかし国家の存亡の危機に際して、合議体に決断を求めること自体が迅速性の要請に反し、合理的とは言えない。 憲法73条に自衛隊を明記することで、72条に明記するよりも内閣総理大臣の独断の可能性が弱まる、との主張もあるくらいだ。 その理由は、72条の主語が 「内閣総理大臣」 であるのに対し、73条は 「内閣」 であり、合議体の決定事項に 「自衛隊の行動」 を入れることで、少しでも内閣総理大臣個人の決断の歯止めにしたい思惑が窺える。 しかし、軍事組織の出動の決断は、国家の存亡を賭けた最後の手段の選択であり、その際には当然、決断の的確性と迅速性が求められる。 つまり合議体による長引く議論自体が決断を遅延させ、取り返しのつかない結果を導く恐れがあるからだ。 ちなみに制度的には、内閣の決定に反対の大臣を罷免し、内閣総理大臣自らが罷免した大臣の職務を兼務して閣議決定することも可能である以上、非常時の決断は迅速性を重視することがことのほか重要である。 一方、憲法9条に自衛隊を明記する案にも、自衛隊を 「行政各部の1つとして」 保持するなどの文言があり、行政組織の1つとの認識に変更のない改正案もある。 明記する場所、書き方はともかく、自衛隊を行政組織の1つと位置付ける発想から脱しない限り、危機に際しての自衛隊の任務の完遂は困難を極める。 ■行政は逐一法的根拠を求める 改めて確認するが、現在の政府解釈によれば、自衛隊は国内法上、国の行政組織(防衛省)に属する1組織であり、少なくとも諸外国で言う 「軍隊」 ではない。 法制上も、自衛隊は防衛省設置法5条に規定され、 「自衛隊の任務、自衛隊の部隊及び機関の組織及び編成、自衛隊に関する指揮監督、自衛隊の行動及び権限等は、自衛隊法(これに基づく命令を含む。)の定めるところによる」 とされている。 更に防衛省設置法第4条は防衛省の所掌事務に関し、 「防衛及び警備に関すること」(同条1号) 「自衛隊の行動に関すること」(同条2号) 「陸上自衛隊、海上自衛隊及び航空自衛隊の組織、定員、編成、装備及び配置に関すること」(同条3号) 「前三号の事務に必要な情報の収集整理に関すること」(同条4号) などの規定が置かれている。 そして自衛隊が行政組織の1つであれば、その行動はあくまで 「行政作用」 であって、行政法学で言う 「法律による行政」 の原理が適用される。 つまり自衛隊の 「行動」 及び 「権限」 の両方に法律の根拠が必要とされることになり、自衛隊関連法がポジティブリスト方式で規定(出来る事のみを条文化する、条文にないことは行動出来ない)されていることとも相まって、緊急事態等などを含め国内法上の大きな制約になっている。 自衛隊に対するこの姿勢は、国内法上の制約を課さない諸外国の軍隊と大きく異なり、自衛隊の異質性を象徴する実態を示している。 一般に諸外国では、軍事組織の創設目的が国の独立と安全及び国民の生命と財産の保護にある以上、その規定の範囲内の正当な行動に国内法的制約を課す理由はない、と考えられている。 もちろん 「法律による行政」 の原理が、民主的な法治国家において、とりわけ重要な法原理であることは論を待たない。 即ち行政作用が法律を根拠に行われるべき理由は、国民の自由・権利を公権力の恣意的な介入から守り、公権力を民主的にコントロールするため、国民の代表者で構成される国会が制定する法律によって統制を徹底することが重要だからである。 しかし自衛隊の行動は平時の一般行政組織のそれとは性格と実態を大きく異にする。 国家の存亡を賭けた武力行使によって、国の独立と安全及び国民の生命と財産を保護する任務の遂行には、一般行政組織の活動にはない多くの特殊性が認められる。 諸外国で独立した組織として、任務を完遂する活動が認められているのはこのためである。 例えば一般行政組織では、通常の活動に 「透明性」 が重視され、関係書類や各種資料は 「情報公開」 の対象となる。 また折に触れ、実施された行政活動について 「説明責任」 を課され、度重なる記者会見や国会における関係大臣及び官僚の答弁が求められる。 これに対し通常の軍隊は、防衛政策上の機密事項を取り扱い、同盟軍との防衛機密の共有やその保全義務などの遵守を求められる。 これらが担保されない限り、国家間の信頼は醸成され得ず、同盟関係の根幹を揺るがしかねないし、そもそも軍事組織同士の相互の連携や強固な団結も生まれない。 つまり一般の行政組織の作用には馴染まない部分が多くあるのが普通である。 それでは何故自衛隊が現在まで、諸外国にはない発想で、一般行政組織として位置付けられてきたのだろうか。 それには歴史経緯の中でいくつかの理由があると同時に、その解釈を変更する複数回の機会があったことも事実である。 上記理由の1つは、自衛隊の出自の問題である。 周知のように、自衛隊の前身は、1952年に創設された保安隊であり、更にその前身は、朝鮮戦争を背景にして1950年に創設された警察予備隊である。 これら2組織は、あくまで警察力を補完し国内治安を維持する目的で創設され、ポジティブリスト方式で規定された根拠法と共に、国の防衛を任務とする組織ではなかった。 しかし、1954年に創設された自衛隊は、その主たる任務も 「我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、我が国を防衛すること」(自衛隊法第3条) と明記されており、諸外国における軍隊の創設目的及び任務と同様になった。 本来は、この時点で行政組織の1つとの法的位置付けを脱し、民主的な独立国の軍事組織として、関係法の規定方式も抜本的な変更について十分検討した上で、ネガティブリスト方式(行ってはいけない事を条文化。禁止された事以外のあらゆる行動が可能)に変えなければならなかったはずである。 しかし国際情勢の推移や日本を取り巻く安全保障環境の激変を敏感に捉えず、戦後間もない国内政治状況などから、従来からの憲法解釈を自衛隊にもそのまま踏襲してきたのである。 この点はそのまま、自衛隊を一般行政組織と位置付けてきた今1つの理由にも重なっている。 つまり一般行政組織を脱して自衛隊を国際法上の軍事組織として解釈するには、憲法上の 「戦力」 規定との関係で、憲法9条の解釈変更もしくは改憲を伴うことが想定された。 従来から政府は、自衛隊が憲法で保持を禁ずる 「戦力」 には該当せず、 「自衛力」 を具現する行政組織として説明してきたからである。 従来の解釈の見直しは、当時の国内政治状況や国民意識等の社会情勢を幅広く考慮して回避され、その歪みを残したまま現在に至っている。 ■有事に矛盾が噴出 自衛隊の法的位置付けを見直す機会は、日本が国連平和維持活動(PKO)への参加を決断した1992年にもあったと見るべきである。 つまり自衛隊は軍隊ではなく、従って自衛官は軍人ではなく特別職の国家公務員であるとの政府解釈は、自衛隊が任務として海外に派遣されることのなかった時代には、あまり切実な問題とは考えずに済まされてきた。 しかし、日本の国際貢献策として自衛隊のPKO参加が積極的に実施されるようになったPKO協力法の制定(1992年)以降、自衛官が海外で捕虜や人質になる可能性も現実に想定されるようになっている。 危険な場所には派遣されないとの前提や政府説明はあるにせよ、海外のPKO派遣地域は紛争後の安定化に向けた過渡期であることが多く、状況の一変は日常茶飯の出来事である。 その際、不幸にも捕虜になった自衛官が軍人ではなく、1公務員に過ぎないとなれば、国際法上の捕虜の待遇を求めることが事実上出来なくなる恐れはないか。 もちろん人道上の配慮や対応は想定されるにせよ、国際法上の権利として相手国に要求することの根拠は希薄になるだろう。 まして悪意のある相手国又は民度の低い武装集団が自衛官を捕虜として身柄を確保し、日本政府に対し、軍人ではない自衛官の地位を確認してきたとすれば、政府はどのように返答するのだろうか。 その時になって、自衛官は軍人であるから国際法上の捕虜の待遇を要求するとして、初めて従来の政府解釈を変更するのだろうか。 ■既に軍隊と評価される自衛隊 ちなみに自衛隊及び自衛官の国際法上の地位は、一般にジュネーブ諸条約第1追加議定書第43条1項(1977年)の 「軍隊」 の定義に照らし理解され、評価される。 それによれば、軍隊とは 「部下の行動について当該紛争当事者に対して責任を負う司令部の下にある組織され及び武装した全ての兵力、集団及び部隊」 を言うとされ、その構成員は 「戦闘員であり、即ち、敵対行為に直接参加する権利を有する」(同条2項) と規定されている。 つまり戦闘員は、戦時において敵国戦闘員を殺傷し、軍事目標を破壊する権利を有し、その法的責任を負わないことに国際的合意が形成されている。 つまり自衛隊及び自衛官は、その名称にかかわらず、ジュネーブ諸条約第1項追加議定書第43条の軍隊の定義にも合致し、人員、組織、編成並びに装備及び規模や訓練状況などから、軍隊としての要件を十分に満たしていると言える。 この基準に従えば、国際法上自衛隊は軍隊であり、自衛艦は軍艦であり、自衛隊機は軍用航空機である。 また自衛官は軍隊構成員(戦闘員)であり、活動中に敵国の権力内に陥った場合には、捕虜の待遇を受ける国際法上の権利を有していると解釈される。 これはPKOに参加した自衛官が捕虜になった場合も、自衛官が軍隊構成員としての法的地位を有していれば、捕虜待遇を受けると解釈されよう。 肝心な問題は、現在の政府解釈である。 つまり 「自衛隊は国内法上軍隊ではないが、国内法上軍隊扱いされる」 との法的論理矛盾と曖昧さを解決することが、政府にとっての喫緊の課題であろう。 国際法上の法的根拠を国内法で受容することに、特段の支障があるとは思えない。 そして将来的に日本が、PKOをはじめとする国際貢献を積極的に展開する上でも法的矛盾を放置することなく、自衛隊及び自衛官が心置きなく国際貢献活動に専念できるよう、自衛隊及び自衛官の地位に関し、国際標準に沿った解釈に変更することが急がれる。 また自衛隊及び自衛官については、国内法的にも長年積み重ねてきたガラス細工のような法解釈ではなく、民主国家に必要かつ重要な機関として憲法上位置付けられることが必要である。 ■安全確保に何が必要か 成熟した民主国家において、政治と軍事のバランスの取れた関係は、国家の積極果敢な活動を担保し、国民の安全を確保する上で極めて重要である。 そのためにはまず、軍事に対する正確な知識と見識を有し、的確かつ迅速な決断力を持った政治家が必要である。 その背景として、国はもちろん地域社会や個人の将来について関心を持つ民主的意識の高い国民の存在が不可欠で、かかる資質のある政治家を見極め、正当な選挙で選出しておくことが肝要である。 他方で、文民統制を正確に理解し、徹底した政治の優位の下で、知見や経験、多方面の情報やデータを駆使した軍事情勢の確かな分析を、政治的判断材料として提供するプロ集団としての軍事組織も欠かせない。 両者のいずれが欠けても、国際社会のあらゆる分野でリーダーシップを発揮できる強靭な国家とはなり得ない。 ロシアのウクライナ侵略、イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの出口の見えない紛争、台湾有事と言われる日本近隣での中台武力衝突の可能性など、国際安全保障環境は混沌として先行き不透明だ。 国は非常時における的確かつ迅速な決断を誤らないよう法的整備や防衛手段を万全とし、国民としても日頃からの関心と心構えを忘れるべきではない。 2013.12.7 12:00 【中高生のための国民の憲法講座】 第23講 なぜ憲法に軍隊明記が必要か 百地章先生 http://www.sankei.com/life/news/131207/lif1312070030-n1.html なぜ自衛隊を 「軍隊」 としなければならないのか。 本質的な理由は次の点にあります。 つまり戦力の不保持を定めた憲法第9条の下では法制度上自衛隊は軍隊ではなく警察組織に過ぎないとされているからです。 ◆軍隊と警察の違い それでは軍隊と警察の違いは何でしょうか? 軍隊の権限は 「ネガティブ・リスト」 方式で規定されています。 つまり行ってはならない事柄、例えば、毒ガス等の非人道的兵器の使用禁止や捕虜の虐待禁止などを国際法に列挙し禁止されていない限り軍隊の権限行使は無制限とされます。 だからネガティブ・リスト方式と言います。 なぜなら国際社会ではもし武力紛争が発生した場合、国連安保理事会が対処することになっていますがそれが出来ない時は各国とも自分で主権と独立を守るしかないからです。 これに対し警察の権限行使は 「ポジティブ・リスト」 方式です。 つまり国家という統一秩序の中で国民に対して行使されるのが警察権ですから制限的なものでなければなりません。 だから行使して良い権限だけが法律に列挙されており、これをポジティブ・リスト方式といいます。 それ故、もし自衛隊が法制度上、軍隊であれば、領海を侵犯した軍艦や潜水艦に対しては、国際法に従って、まず 「領海からの退去」 を命じ、それに従わない時は 「警告射撃」 を行うことが出来ます。 更に、相手側船舶を 「撃沈」 することさえ可能です。 現に、冷戦時代、スウェーデン海軍は領海を侵犯したソ連の潜水艦を撃沈していますが、ソ連は何も言えませんでした。 ◆尖閣諸島を守るために ところが、自衛隊は 「軍隊」 ではありませんから、自衛隊法に定められた 「防衛出動」 の場合を除き、武力行使はできません。 また、自衛隊法には 「領域警備規定」 がありませんから、もし中国の武装漁民が尖閣諸島に強行上陸しても、防ぎようがないのです。 相手が発砲してくれば、 「正当防衛」 として 「武器使用」 が出来ますが、場合により 「過剰防衛」 で起訴されかねません。 従って速やかに憲法を改正して、自衛隊を 「軍隊」 とする必要があります。 そうしなければ尖閣諸島も守れませんし、中国の軍事的脅威を前に、我が国の主権と独立を保持することは難しくなります。 自民党の憲法改正に対する姿勢はヤルヤル詐欺だ。 <主張>自民党と憲法改正 他党と協議の場を設けよ 社説 2024/8/8 5:00 https://www.sankei.com/article/20240808-OK5ZWIDIZFKCJMM5G36ZE5QJPE/ 岸田文雄首相(自民党総裁)が党憲法改正実現本部の会合で、憲法への自衛隊明記と緊急政令の規定について今月中に論点整理を行うよう指示した。 首相は、最初の憲法改正国民投票で、自衛隊明記と緊急事態条項創設を問う考えを示した。 来年11月の自民結党70年に言及し 「大きな節目に向けて党是である憲法改正の議論を進めるよう願う」 と語った。 自衛隊明記や緊急事態条項創設を初回の憲法改正で実現しようという姿勢は妥当だ。 だが進め方が緩慢だ。 首相の節目発言は年内の改憲発議を目指さないようにも聞こえる。 首相と自民は肝心なことに及び腰だ。 それは、憲法改正に前向きな政党に呼びかけ、改憲原案の条文化作業を担う協議の場を設けることである。 同本部の会合では、傘下のワーキングチームの報告が示された。 報告は、自衛隊明記▽緊急事態対応▽合区解消・地方公共団体▽教育充実―の改憲4項目について早急に取り組むべき論点と指摘した。 古屋圭司本部長は 「公明党や他党とも水面下で交渉する」 と語った。 水面下だけでは足りない。 協議の場を設け話し合いを始めてほしい。 そもそも、自民の改憲4項目は安倍晋三政権時の平成30年に決まった。 安倍、菅義偉、岸田の歴代総裁と自民はこれまでの6年間、何をしていたのかという思いを禁じ得ない。 党是の実現へギアを上げるべきだ。 南海トラフ地震などの大規模災害、台湾有事に伴う日本有事の懸念が高まっている。 国民を守るため緊急事態条項創設は急務だ。 現憲法は国防の明示的な規定がない欠陥がある。 防衛に足かせをはめる憲法9条2項の削除と、軍の規定が改正のゴールだが、まず自衛隊を憲法に明記する意義は大きい。 同本部はこの夏、参院の緊急集会について論議した。 だが、備えるべきは、緊急集会では対応できなかったり、国会自体が開けなかったりするような国難だ。 緊急政令、緊急財政処分の権限を内閣に一時的に与える規定がなければ国民を救えなくなる。 自衛隊明記は、9条またはその直後の条文(9条の2)として書き込むべきである。 最大政党の自民はこれらについて、公明党や日本維新の会、国民民主党の同意を得るよう、積極的に働きかけるときだ。
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