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●トランプの基本戦略は、拡大中国包囲網での中国封じ込めである事に変わりはない
●だが、中国のレアアース輸出制限や米国の大豆輸出維持等でままならない。一方、習近平はG2を目指す
●プーチンは米中露三国鼎立を狙う。トランプは中国封じ込めが失敗すれば、中露分断を死守しこれで妥協せざるを得ない
◆トランプの拡大中国包囲網と封じ込め戦略◆
10月30日、ドナルド・トランプ米大統領と習近平中国国家主席が釜山で首脳会談を行い、「一時休戦」を軸とした暫定合意に到達した。中国はレアアース輸出規制を1年間凍結し、米国は中国製品に対する追加関税の一部を保留する事で、両国間の摩擦を一時的に緩和した。この枠組みは、トランプが掲げる“中国封じ込め”戦略が足止めを余儀なくされた事を示す。
トランプのメイン戦略は、インドを含めた拡大中国包囲網を形成し、中国の軍事・経済的覇権拡大を封じ込める事である。半導体やAI、量子通信などの戦略技術の切り離し、インド太平洋地域での同盟国との連携強化、中露分断維持が柱である。しかし、米国側もレアアースや半導体材料、大豆等の農産物輸出依存などの現実制約に直面し、全面封じ込めを理想通りに実行する事は困難となっている。
一方、中国の景気減速は米国にとって交渉カードとして作用する。輸出過剰や製造能力過剰による景気減速を背景に、米国は関税や技術制限を圧力材料として活用できる。封じ込め理念と現実的圧力を組み合わせ、トランプ外交は柔軟に舵を取って行くのだろう。
なお、ウクライナ戦争は、プーチンのNATO不信と欧州諸国のロシアフォビアが絡み、長期化し収束の目途が立たない。欧州はLGBTや多様性の偽善から目覚め切れず、当面主要プレイヤーと成り得ないだろう。
◆習近平のG2戦略と三国鼎立の現実◆
習近平は、グローバルサウス諸国や拡大BRICSを活用したG2戦略を推進し、中国の国際的影響力を米国に対抗する事を狙う。米国の封じ込めに対抗し、経済・軍事・外交でのパワーバランスを形成する事で、米国に圧力をかける構図である。
中東でも火種がくすぶる状況で、この先の状況次第で第三次世界大戦の緊急回避のために中国の協力を求めトランプがG2を容認する可能性は否定できない。
プーチンは、資源食料大国、軍事大国であるポテンシャルを利用して、世界の主要プレイヤーの地位への復帰を宿願としている。このため、米中の間でバランスを取り、得意の柔道の寝技に持ち込み米中露の三国鼎立に持ち込むのを理想モデルとしているのだろう。
こうした中、トランプは中国封じ込めを維持しつつも、苦肉の妥協策としてプーチンの目論む米中露三国鼎立の構造を容認せざるを得ない所に追い込まれる可能性がある。
しかし鼎立構造は、中国に於ける三国志の史実や卑近な所では男女間の三角関係のように非常に不安定で、各国の利害や偶発的事件によって容易に崩れる可能性を孕む。
◆日本・高市外交の岐路と潜在リスク◆
この不安定な国際構図の中で、日本は戦略的に極めて脆弱な立場にある。高市首相はロシア敵視、ウクライナ絶対正義の冷戦頭的思考を持つ一方、サハリン2のLNG輸入継続を周囲の助言に基づき維持する判断を下した。これにより、日本のエネルギー安定は確保されたが、首相本人が冷戦頭の硬直から抜け出せていないのでは先行きに希望はない。
米中露鼎立もトランプにとって妥協策であるが極めて不安定ではある。更に、もし中露が結んだままG2体制に突入すれば、トランプは台湾問題で譲歩し、台湾を中国に差し出す事態も生じる可能性はある。その場合、日本の安全保障、経済は一気に危うくなるだろう。
こうした流動的で激動の国際状況の中で日本はどう対処すべきか。一言で言えば主体性を失うなという事である。主体性を失えば、その先には必ず滅亡か隷属の定めが待っている。
高市首相にはこの難しい局面に際して、トランプの「中露分断死守」の意図を正確に理解した上で、ステレオタイプの冷戦思考を脱し、「外交とは国際的大義を伴う長期的国益の追及である」という大原則に則し、主体的かつ大局的な判断が求められる。
各局面で、在野の我々も具体的かつ責任ある提言を上げて行く必要があるだろう。
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