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※2025年5月3日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
あだ名は「カブトムシ」(代表撮影・共同)
2回目の関税交渉を終えて、赤沢は早期決着の見通しを喜々として語っていたが、成果を急いでいるのは米国だ。今月中旬にも再び訪米し、6月決着のスケジュールが敷かれている中、相手は「選挙前合意」をやりたい石破政権の足元を見ているぞ。
◇ ◇ ◇
「トランプ関税」をめぐる2回目の日米閣僚交渉が終わった。日本側は石破首相最側近の赤沢経済再生相。米国側はベッセント財務長官、ラトニック商務長官、USTR(米通商代表部)のグリア代表。自動車や鉄鋼、アルミニウムに対する25%の追加関税、現在10%が課されている相互関税の撤廃を求めた協議は予定時間を上回る約130分に及んだが、むろん決着はつかなかった。
4月中旬の訪米から2週間。再びワシントンへ飛んだ赤沢は2日の会見で「非常に突っ込んだ話ができた。両国の貿易拡大、非関税措置、経済安全保障面での協力などについて議論を進めることができた」と手応えをアピールしたが、「突っ込んだ話ができた」というフレーズは眉唾ものだ。米国隷従を徹底した安倍元首相の常套句。イヤ〜な感じが漂う。取材に応じた石破も「一致点を見いだせる状況には今のところなっていないが、非常に前向きな建設的な議論だったと(赤沢から)報告を受けた」としたが、ともに詳細は明かさなかった。
石破政権は「日本で米国車が1台も走ってない」と因縁をつけるトランプ大統領に忖度した輸入車審査に関する特例拡充に加え、米国産のコメ、大豆、トウモロコシの輸入拡大を検討中だ。造船分野の技術協力も想定しているという。一時停止している相互関税第2弾の猶予は7月8日まで。何ら進展がなければ、24%へ引き上がる。
2回目の閣僚交渉で、日米は今月中旬以降、閣僚交渉を集中的に開催することで一致。会見で赤沢は「首脳に上げる直前に閣僚レベルの交渉の頻度が増えたり、時間を長く取ったりすることはよくあること。根を詰めて行う時期が今月中旬以降に来ると思っている」とも言い、6月の首脳合意が念頭にあるかとの質問に「そういう段階に入れればいいと思っている」と大いににおわせた。6月中旬にカナダで開かれるG7サミットでの首脳合意に期待を膨らませているようだ。
歴代最低「100日」支持率
7月には自公与党が惨敗濃厚な参院選が実施される。
野党の攻撃材料を減らしたい石破政権からすれば、一刻も早くケリをつけるのが得策。ボスも子分も早期決着の見通しに喜々としているが、成果を急いでいるのはむしろトランプの方だ。インドや韓国との関税交渉も焦って進めている。朝令暮改のデタラメ大統領に歩調を合わせるなんて愚の骨頂だ。
第2次政権発足から100日を過ぎたトランプを取り巻く状況は厳しさを増している。就任初日から連発する大統領令によって、そこかしこで大混乱。メディアや教育機関などが実施した世論調査では、主な政策についてほぼ半数が不支持と回答した。ワシントン・ポストの調査によると、就任100日の支持率は歴代大統領の中で最低の39%。バイデン前大統領は52%、オバマ元大統領の2期目は50%で、敵視する前任者を大きく下回った。半世紀ほど前にいわくつき弁護士から伝授された「勝つための3つのルール」(攻撃、非を絶対認めない、勝利を主張し続ける)をひたすら実践し、国家元首まで上り詰めたトランプからすれば、決して受け入れられない現実だ。挽回するために、悪魔との取引にだって手を出しかねない。
「就任初日に戦争を止める」と豪語していたロシアによるウクライナ侵攻は、プーチン大統領に主導権を握られっぱなし。出口は見えない。2カ月前にはゼレンスキー大統領とホワイトハウスで大ゲンカしたものの、両国は宙に浮いた経済協定を締結。トランプが大幅に譲歩したからだ。軍事情報を流出させたウォルツ大統領補佐官(国家安全保障担当)を事実上更迭するなど、失態ばかりだ。
米企業にも大打撃、時価総額激減
対等な日米関係はどこへ(C)共同通信社
そもそも、追加関税は保護対象の米企業にまでダメージを与えている。自動車大手のゼネラル・モーターズ(GM)は2025年の通期業績予想を下方修正。トランプ関税の影響で40億〜50億ドル(約5800億〜7300億円)の追加費用を見込むとし、純利益予想は従来の112億〜125億ドルから82億〜101億ドルに引き下げた。国内販売する完成車の5割程度をメキシコ、カナダ、韓国から輸入しているため、打撃を受けやすいという。アップルのクックCEOは「2025年4〜6月期の関税の影響は9億ドルのコスト増と推計している」と発言。IT大手の時価総額も激減している。
一方、対米輸出額の約3割弱を占める日本の自動車勢は堅調だ。大手4社が発表した4月の米新車販売台数は計46万4372台。前年同月比11.8%増加し、全社とも前年実績を上回った。トヨタ自動車は10.0%増の23万3045台、ホンダは18.1%増の13万7656台、スバルは0.3%増の5万6011台、マツダは21.0%増の3万7660台だった。トランプ関税に伴う新車価格上昇を懸念した駆け込み需要の後押しを受けた格好だ。赤沢は訪米前、「ある自動車メーカーのトップに話を聞くと、1時間に100万ドルずつ損をしていってる状況だ」と危機感をあおっていたが、しっかりと利益を先食い。そうでなくても、自民党への多額献金が奏功し、アベノミクスによる円安誘導や、消費税が還付される輸出戻し税などで潤ってきた業界だ。言うまでもなく、そのシワ寄せは庶民に及んでいる。
着地点織り込み物価対策拒否
経済評論家の斎藤満氏はこう指摘する。
「トランプ政権が要求しているのは円安の是正、非関税障壁とみなしている消費税の撤廃です。日本が利上げ圧力に屈すると読んだ投機筋は円を買いまくり、円買い越しが過去最高を更新する中、日銀は金融政策決定会合で金利引き上げを見送った。求心力を失いつつあるトランプ大統領を見くびった官邸の意向をくんだようです。しかし、ゼロ回答で関税交渉を前に進められるのか。石破首相をはじめ、閣僚や自民党執行部には農水族が多く、聖域であるコメは譲りそうにない。無関税で輸入するミニマムアクセスの米国枠の割り当てを拡大し、ごまかそうというのか。手負いの虎を怒らせたら、関税撤回はおぼつかないでしょう。返す刀で防衛費のGDP比3%への引き上げをねじ込まれかねません」
取引至上主義のトランプは「選挙前合意」を欲しがる石破政権の足元をジッと見ていることだろう。赤沢はトランプや支持者の愛好グッズ「MAGA帽」をかぶらされた瞬間から、「米国の手のひら」で踊らされていると言っていい。
ジャーナリストの山田厚俊氏はこう言う。
「後の祭りですが、石破首相はトランプ関税を『国難と称すべき事態』とまで言ったのですから、外交経験の乏しい赤沢大臣に任せるべきではなかった。内政に目を転じれば、消費減税にしろガソリンの暫定税率廃止にしろ、野党が要求する物価高対策は財源論を盾に退けています。トランプ大統領に押し込まれることを織り込み、財布のひもを締めてきたのではないか。トランプ関税のあおりを受ける業界には補助金などを付けてガス抜きすれば、やり過ごせると考えているのではないか。これまでの経緯から、そうした思惑が透けて見えます」
今年は戦後80年。世界が激動する中、この国のありようはちっとも変わらない。
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