http://www.asyura2.com/25/senkyo297/msg/293.html
Tweet |
※紙面抜粋
国難にヨタヨタの政権与党 こんな政権基盤じゃトランプに舐められるだけ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/371613
2025/05/10 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
イギリスに先を越されたが…(C)日刊ゲンダイ
石破政権は英国に先を越された関税交渉をどう見ているのか。強がっているが、交渉のカードはあるのか。醜聞にまみれ、経済対策でも迷走の与党を見て、あのトランプが譲歩などするものか。
◇ ◇ ◇
ウィンウィンということなのか──。トランプ米大統領が「画期的な合意だ」と誇れば、スターマー英首相も「素晴らしい歴史的な日だ」と評価してみせている。
トランプ関税について交渉をつづけていた米、英が8日、合意した。アメリカが各国と進めている関税交渉では、初の合意である。
合意内容は、イギリスは自動車関税の引き下げを勝ち取った一方、農業市場の開放や航空機購入などで譲歩する、というものだ。
トランプ政権の誕生後、アメリカは英国製自動車に対して27.5%の関税をかけているが、これを、年間10万台を上限に10%に引き下げる。10万台は昨年、アメリカへ輸出した台数をほぼカバーする規模だ。
鉄鋼・アルミにかけている25%の関税は、ゼロにするという。
一方、関税引き下げと引き換えにイギリスは、年1万3000トンの米国産牛肉の「無関税枠」を創設し、アメリカからの輸入を拡大する。アメリカは、農産物などで計50億ドル(約7300億円)規模の輸出拡大となるという。
ただし、アメリカがほぼすべての国に課している一律10%の相互関税はイギリスに対しても継続し、トランプ政権の誕生前、2.5%だった自動車関税は10%に引き上げられることになった。
イギリスと合意したトランプは、さっそく自身のSNSで「対英輸出が50億ドル増える」と、うれしそうに成果を誇っている。
アメリカと最初に合意するのは日本とみられていたが、なぜイギリスだったのか。経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「貿易政策に対して、国内から批判の声が上がっていたトランプ大統領は、一刻も早く各国から譲歩を引き出して成果をアピールする必要があった。合意しやすい相手がイギリスだったということでしょう。アメリカは昨年、イギリスに対して114億ドルの貿易黒字を計上していて、もともとイギリスに厳しい要求を突きつけていなかったから、合意しやすかった。ただ、イギリスのスターマー首相は『素晴らしい歴史的な日だ』とコメントしていますが、とてもウィンウィンとは言えないでしょう。相互関税10%は免れず、自動車関税も10%と高いままです。プラス材料はほとんどない。マイナス幅を小さくできたというのが実態でしょう。トランプ大統領は、貿易が黒字となっている国に対しても容赦ないともいえます」
イギリスの結果に楽観する大甘
同盟国にも容赦はない(C)ロイター
イギリスに先を越された石破政権は、この交渉結果をどう見ているのだろうか。
交渉担当の赤沢経済再生担当相は、「自動車への追加関税撤廃を求める我が国のポジションに変わりはない」と強気の構えだ。
石破政権の中からは、「自動車関税」と「鉄鋼・アルミ関税」に対して、楽観する声が沸き起こっている。
米英交渉の結果、アメリカは、英国製の自動車に課していた27.5%の関税を10%に下げ、鉄鋼・アルミにかけていた25%の関税をゼロにしたからだ。
これまでアメリカは、日本に対して相互関税の「上乗せ分」14%だけを協議の対象とし、日本側が撤廃を求める自動車と鉄鋼・アルミへの追加関税は交渉対象から除くと通告している。
ところが、イギリスとの交渉では自動車も鉄鋼・アルミも交渉対象になったことで、石破周辺からは「心強い」「先例になる」と歓迎する声が上がっているというのだ。イギリス政府に詳細を問い合わせているという。
しかし、イギリスと同じような交渉結果になるのかどうかは疑問だらけだ。日本とイギリスでは、状況がまったく違うからだ。
アメリカは、日本に対して8兆6000億円もの貿易赤字を抱えるのに対し、イギリスに対しては貿易黒字を計上している。アメリカが輸入している自動車の台数も、英国車10万台に対し、日本車137万台である。
だからか、相互関税も、イギリスは一律10%の基本税率だけだが、日本は、一律10%に、上乗せ分14%を加えた24%を課せられている。
トランプは、「イギリスとの関係は特別なものだ。今後は自動車では同じ取引をしない」と明言している。
これは、どう考えても楽観できないのではないか。
前出の斎藤満氏がこう言う。
「はたして日本政府には、アメリカに対する交渉カードがあるのでしょうか。大豆や、とうもろこしの輸入拡大をディールの材料にしようと考えているようですが、その程度ではアメリカは妥協しないでしょう。『造船』がカードとして浮上しているようですが、納得させられるのかどうか。トランプ大統領が求めているのは、アメリカ国民に成果をアピールできる、分かりやすい“戦利品”です。たとえば、アメリカ産のコメをすべて関税ゼロで輸入するといったプランです。トランプ大統領は『日本はコメに700%の関税をかけている』と言い張っているだけに、0%になればインパクトはあるでしょう。しかし、石破政権が、そうした“隠し玉”を用意しているようには見えません」
しかも厄介なことに、トランプは日本に対してネガティブな印象をもっているという。1987年、ニューヨーク・タイムズ紙の紙面を買い上げて掲載した意見広告では、こう訴えている。
「数十年にわたり、日本やその他の国はアメリカを利用してきた」「我々の膨大な赤字を日本や支払い能力のある国に支払わせるべき時がきた」
あの頃と、トランプの頭の中は変わっていないというのだ。
弱体政権では外交は困難
いったい、石破首相は、どのようにトランプと交渉するつもりなのだろうか。
よく指摘されることだが、外交は政権基盤が安定していないと、なかなか成果をあげられない。弱い政権ではグラグラして方針が定まらないからだ。ある意味、中国やロシアのような独裁政権のほうが、外交交渉は有利に働きやすい。
ところが、石破政権は、この国難を前にしてヨタヨタの状況だから最悪である。「物価高対策」として消費税減税を実施するのかどうかをめぐっても、やるのかやらないのか、決められずに迷走しているありさまである。これでは、トランプにも足元を見られるだけだ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう言う。
「アメリカとの関税交渉を見ていて感じるのは、党をあげて対応しているのだろうかという懸念です。もはや、石破首相は求心力を失い、本気で協力しようという議員も少ないのではないか。しかも、ただでさえ少数与党で政権基盤が弱いのに、石破首相本人の“闇献金疑惑”が浮上している。報道では3000万円の闇献金だというのだから、事実ならば大変な話です。内心、石破首相も外交どころではないのではないか」
もし、トランプとの交渉が決裂したり、全面的に譲歩させられたら、日本経済が壊滅的な打撃を受けるのは間違いない。仮に昨年の対米貿易黒字8兆6000億円をそのまま失うとすると、日本のGDPは1.4%のマイナスとなる。間接効果も含めると2%以上、落ちるという。その時は、通常の景気後退では済まないだろう。
自動車関税25%が撤回されず、自動車産業が直撃されるだけでも影響は絶大である。なにしろ、就業人口は550万人である。
「国難」に直面している日本は、最悪の時に最悪の政権をもってしまった。
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ
最新投稿・コメント全文リスト コメント投稿はメルマガで即時配信 スレ建て依頼スレ
▲上へ ★阿修羅♪ > 政治・選挙・NHK297掲示板 次へ 前へ

すべてのページの引用、転載、リンクを許可します。確認メールは不要です。引用元リンクを表示してください。