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※2025年5月23日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年5月23日 日刊ゲンダイ
国民を食わせる政治はなおざりで「学問の自由」潰しはシャカリキ(C)日刊ゲンダイ
江藤更迭ではマンガのような迷走を見せた支持率最低内閣だが、肝心のことはやらないくせに、「学問の自由」潰しはシャカリキだ。衆院を通過した学術会議法人化法案に改めて学者の間から「大反対」の声が上がっているが、なぜか大メディアは無反応。
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コメの値札を見ては嘆息する消費者をヨソに「家に売るほどある」と自慢したコメ持ち農相がスッタモンダで更迭され、自称「コメ担当大臣」が爆誕した。この国の政治はマンガみたいだ。先代から農水族の江藤拓前大臣は失言を重ね、急転直下でクビ。それで後釜に座ったのは、親譲りの新自由主義者である小泉進次郎元環境相。スーパー店頭のコメ販売価格は過去最高値を更新し続けている。泥縄内閣に加わった進次郎は「コメの高騰に対し、スピード感を持って対応できるように全力を尽くしたい」と意気込むが、ハッピーエンドは期待できない。
運用を変更して3月中旬以降に3回も放出した備蓄米は、小売店にちっとも届かない。消費者がヤキモキする中、神経逆なで発言を連発した江藤は論外だが、自民党農林部会長時代の「改革意欲」を買われたという進次郎も不安だらけだ。官邸へ呼び込み後、報道陣から「普段、お米を何キロくらい買っていますか」と問われ、こう答えていた。
「まあ、いろんなお米を買いますね。息子も娘もまだ小さいもんですから、時短であげなきゃ、って時なんかはパックご飯も買います」
なぜ数量で返答しない──。2キロか、5キロか。4人家族であれば、まとめ買いで10キロか。難問ではないし、機微にも触れないだろう。実際に購入していれば即答できる。加工米飯しか買わないのか。実のところはパン派なのか。「新しい時代の農林水産行政を築いて、消費者の理解と生産者の意欲との距離感が縮まるような関係が築ければ、前向きな方向に転換できるチャンスにもできる」なんて言っているが、消費者目線があるのか極めて怪しい。
石破内閣の支持率は下落の一途だ。個別面接方式のため信頼度が高いとされる時事通信の世論調査(16〜19日実施)で、支持率は前月比2.2ポイント減の20.9%。2カ月連続で発足以降最低を更新した。不支持率は1.7ポイント増の52.9%。迷走する石破政権は自民党随一の「人寄せパンダ」の進次郎に一縷の望みを託し、局面転換を図りたいところ。大臣交代を機に、石破首相は備蓄米の業者売り渡しについて随意契約を検討するよう指示。28〜30日に予定していた4回目の入札は中止になった。張り切る進次郎は「需要があった場合は無制限に出す」とまで言い出した。どこにそんなコメがあるのか。「進次郎構文」にしたって、デタラメが過ぎる。
備蓄米の在庫は適正水準の3割
自民党政権による減反政策の実質継続で、コメの供給量は圧倒的に不足している。1993年の大凶作で起こった「平成の米騒動」をきっかけに、94年に成立した食糧法は必要量の確保を規定。現状の適正水準は、毎年6月末に100万トン程度の備蓄とされている。しかし、今年はすでに31万トンを放出。5〜7月に毎月10万トン出す予定で、買い戻し期限を「1年以内」から「5年以内」に延長もした。計画通りに実施すれば、備蓄米は昨年6月時点の91万トンから31万トンに激減する。災害大国ニッポンの備えは枯渇寸前だ。
戦後80年。国民を食わせる政治の務めはなおざりなのに、「学問の自由」潰しにはシャカリキ。暮らしを不安定化させる石破政権の危険性は無為無策にとどまらない。物価高対策に世間が気を取られているドサクサに紛れて、「学者の国会」と呼ばれる国の特別機関の日本学術会議を特殊法人化する法案が13日、原案通りに衆院を通過。自公与党と日本維新の会などの賛成多数で参院に送付された。学術会議の自律性を根拠づける現行法の「前文」を削除し、首相任命の監事や会員解任規定を新設するなど、政府や財界の意に沿う組織に変質させる内容だ。2代前の菅首相による会員の任命拒否で露呈したアカデミー弱体化の総仕上げと言っていい。
学術会議は科学者が戦争に動員され、兵器開発に協力した反省から、軍事目的のための科学研究拒否を貫く。集団的自衛権の行使容認をはじめ、軍拡路線に舵を切った第2次安倍政権から目の敵にされた。
内政で采配を振っていたのが、官房長官時代の菅だ。子飼いの坂井内閣府担当相は「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は今度の法案で解任できる」と国会答弁。特殊法人化の意図はあからさまである。
憲法、学術会議法、公文書管理法を吹っ飛ばす暴挙
政府や財界の意に沿う組織に変質させる(日本学術会議歴代会長3人が会見=日本記者クラブ)/(C)共同通信社
学術会議は4月の総会で法案修正を求めたが、石破政権は徹底無視。危機感を強める歴代会長6人は20日、連名で「政府による科学の独立性の軽視だ」と批判して廃案を求めた。梶田隆章前会長らは日本記者クラブで会見したほか、国会内の緊急集会でも「幾重にも政府の監視を強め、コントロールしているように感じられる。『理念なき法人化が日本の学術の終わりの始まり』になることを強く懸念しています」と強調。4代前の広渡清吾元会長、日弁連の藤田祐子副会長、法大の田中優子元総長、早大の長谷部恭男教授、東大の隠岐さや香教授も集会に参加した。任命拒否の当事者である東大の加藤陽子教授は、拒否に至る情報開示請求訴訟の経過を報告。「公文書管理法、日本学術会議法に対して違法な決定がなされた。ここが肝心です」「安倍内閣の杉田和博官房副長官は2012年の副長官就任まで(警察庁)警備局長、公安情報を扱うような人事をやっていた。こういう方が関与したということは意味があります」などと訴えた。
改めて関係者の間から「大反対」の声が上がっているのだが、大手メディアの報道は総じてベタ記事扱い。ほぼ無反応だ。
立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)はこう指摘する。
「そもそも戦争放棄や戦力不保持、交戦権の否認をうたう憲法9条の下では、学術の軍事利用は正当化されません。それに加え、憲法15条は公務員の選定と解任を国民固有の権利であると定めている。学術会議の会員は国家公務員法2条が定める特別職国家公務員ですから、主権者国民の求めに応じて任命拒否の理由は明らかにされなければならない。菅元首相の決定を岸田前首相も石破首相も踏襲してきたのです。まず現首相がなすべきことは説明に尽きる。それをしないまま、会員の選定や解任、方針決定に至る組織運営の根幹を事実上、首相の専権事項とするような法整備に突っ走るなんてとんでもない暴挙です」
東京地裁の判決は「全面開示」
任命拒否をめぐっては、立憲民主党の小西洋之参院議員が起こした訴訟でひとつの司法判断が下された。「首相が任命拒否できる」とした法解釈の検討過程に関する文書の全面開示を国に求めたのに対し、東京地裁は16日、一部を不開示とした国の決定を取り消し、全面開示を命じた。国の現在の法解釈について、判決は1983年に示された考え方と異なると指摘。当時の中曽根首相は「政府が行うのは形式的任命にすぎません」と国会答弁していたためだ。篠田賢治裁判長は「首相の任命権を考えるにあたって有用な文書で公益性は極めて大きい」とした。控訴期限は月末。至極まっとうな判断に石破政権はどう応えるのか。
法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)はこう言う。
「石破政権は安倍、菅政権と本質的に変わらないことがいよいよハッキリした。政治とカネ、統一教会(現・世界平和統一家庭連合)との腐れ縁、経済・金融政策、軍拡、そして学術会議。当事者がこれほど反対している特殊法人化を許せば、いつの日か国民生活に跳ね返ってくるでしょう。この問題は平和国家としての歩み、非戦、民主主義と密接に関わっているからです。求心力のない政権が短期間で強引にやっていいことではない。将来に禍根を残すことになる」
コメ持ち江藤の更迭を決定づけたのは、野党が結束して不信任決議案の提出をチラつかせたことだった。会期末まで1カ月足らず。立憲は学術会議の独立性を明記し、安定した財源確保に向けた規定を追加するなどした修正案を近く取りまとめ、国会に提出する構えだ。参院では自公与党が過半数を占めてはいるものの、あらがう時間は十分にある。
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