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※2025年5月27日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大 文字お越し
※紙面抜粋
※2025年5月27日 日刊ゲンダイ2面
斬新に見えても一時しのぎ、これぞ選挙までの目くらまし(C)日刊ゲンダイ
備蓄米放出の概要が発表されたが、どうやら、刹那の一時しのぎ。その先はどうなるのか不明だが、これぞ、選挙まで短期決戦の目くらまし。他の物価高、インフレ対応、「政治とカネ」はどうなるのか。
国民民主もバケの皮が剥がれてきたが、ますます危うい民意の気まぐれ。
◇ ◇ ◇
またコメが値上がりした。農水省によると、全国のスーパーで今月12〜18日に販売されたコメ5キロの平均価格は4285円。前週と比べて17円高く、2週連続で過去最高値を更新した。銘柄米は35円高い4469円。放出された政府備蓄米などの複数銘柄を混ぜたブレンド米の価格も上昇し、29円高い3924円だった。江藤拓前農相が「私の家の食品庫にはまさに売るほどある」と自慢していた時も値上がりしていたわけで、腹立たしいといったらない。
火消し役を任された小泉進次郎農相は、27日の衆院農水委員会での所信聴取に向けて急ピッチで舞台装置のセットに動いた。26日は「政治決断で、随意契約で売り渡すことを決めました」として備蓄米放出の新方式を発表。「2週間以内に(5キロ)2000円台で店頭に並んでいるのを目指す」と就任早々にブチ上げた水準に持っていくため、従来の競争入札を取りやめ、随意契約でスーパーなどの大手小売業者に任意で直接売り渡すとしてエントリーの受け付けを始めた。放出量は30万トンで、需要に応じて追加を検討するという。
コメ担当大臣を自任する進次郎の登板を受け、農水省はコメ問題に特化した「集中対応チーム」も設置。発足式で進次郎は新たな備蓄米放出について「一層のスピード感と危機感で国民のみなさんの不安を払拭する」とハッパをかけた。
進次郎の有言実行となれば、6月初旬にも5キロ当たり税抜き2000円程度、税込み2160円程度でブレンド米が店頭に並ぶことになる。カラクリは古米の大バーゲンと輸送費の肩代わりだ。随意契約に回されるのは、2022年産20万トンと21年産10万トン。いわゆる古古米と古古古米だ。計3回実施された入札にかけたのは24年産の新米14万トン、23年産の古米18万トン。玄米60キロ当たりの平均落札価格は税抜き2万812円(税込み2万2477円)だった。それよりも古いコメだから、半値の60キロ当たり税抜き1万700円(税込み1万1556円)で売り渡すということ。倉庫から各地に輸送する費用は国が負担するほか、これまで落札した業者に求めていた同量の買い戻し条件も取っ払った。
在庫も採算も度外視の大バーゲン
「令和の米騒動」の勃発から1年近く。「新米が出回れば価格が落ち着く」とまじないのように唱えて備蓄米を出し渋った農水省や歴代大臣を思えばはるかにマシな展開だが、これとて刹那の一時しのぎだ。今回の随意契約分が順調にはければ、備蓄米の在庫は当初の91万トンから30万トンに激減。進次郎が「需要があれば、さらに拡充し無制限に行う」「国が提示した定価で毎日販売する」と吠えても限りがあるし、コストも度外視している。農水省によると、備蓄米の買い入れ価格は23年産が60キロ1万2829円、22年産が1万1004円、21年産が1万2885円。低温倉庫で保管するため、年間478億円の維持費を要す。血税を投じた国民の財産をエイヤッでバラマキ。これぞ選挙まで短期決戦の目くらましだ。
経済ジャーナリストの荻原博子氏はこう言う。
「農相が小泉氏に交代した途端、備蓄米の扱いがこうも変わるのか。愕然とします。それにしても、就任1週間足らずの小泉農相ができたことをなぜ今までやらなかったのか、やろうとしなかったのか。うがった見方かもしれませんが、参院選が迫るまでコメ高騰をあえて放置していたのではないでしょうか。冷静に考えれば、1年前の価格帯でコメを買う機会が生まれるに過ぎない。ですが、消費者はこの間、米価がうなぎ上りでついには倍増し、買うに買えない恐怖心を植え付けられた。石破政権のやり方は選挙目当てなのがミエミエだけれども、消費者から反対の声は上がらない。それほど追い詰められています」
インフレ対策をコメに集約「物価高は進次郎」
ほかの物価高、インフレ対応、「政治とカネ」、自民の「減税反対」、すべてが進次郎劇場に焦点がかすれ飛ぶ…(C)共同通信社
共同通信の世論調査(24、25日実施)によると、内閣支持率は前回調査(17、18日実施)と比べて4.3ポイント増の31.7%に上昇。進次郎を農相に起用したことによって米価が「下がると思う」との回答が59.8%を占め、「価格は下がらないと思う」の35.1%を大きく上回った。前回調査では政府のコメ高騰対策について87.1%が「不十分だ」と答えていたから、進次郎効果は絶大。さながら食卓の救世主だ。もっとも、道理をすっ飛ばして大盤振る舞いするのだから、安くならなきゃおかしい。
法大大学院教授の白鳥浩氏(現代政治分析)はこう言う。
「進次郎氏は方針を示しただけで、結果は出していない。期待だけで支持率アップに貢献している。父親の小泉純一郎元首相譲りのパフォーマンスはさすがですが、機会の平等性を担保しない不透明なやり方でどこまで突っ走れるか。統制経済と言うべき手法に生産者が懸念を強めるのはもっともです。コメ高騰の最大の要因は自民党が事実上継続している減反政策ですが、資源高と円安で生産コストはどんどんかさんでいる。小泉フィーバー再来で『コメ2000円』に飛びついたら、国産米を口に入れるのを諦め、輸入に頼るほかなくなる。郵政民営化で300兆円超の郵貯マネーをハゲタカ外資に差し出し、地方をガタガタにした父親と同じ道を進みかねない。インフレ対策をコメ問題に集約させ、『物価高対応なら進次郎だ!』みたいな空気が広がっています。これは非常に危うい」
言うまでもなく、価格高騰はコメに限らない。総務省が発表した4月の消費者物価指数(2020年=100)は、値動きの大きい生鮮食品を除いた総合指数が110.9となり、前年同月より3.5%上がった。生鮮食品も含めた総合の伸び率は3.6%。原材料価格の上昇などでチョコレートが31.0%、ブラジルの天候不良の影響でコーヒー豆が24.8%上がった。生鮮食品の上昇幅は一服したものの、3.9%で依然として高い。帝国データバンクの調査によると、今年1年間に値上がりする食品は1万4000品目を超え、夏から秋に向けてあれもこれもさらに高くなるが、石破政権は無策だ。
批判するのに「コメポピュリズム」
「ガソリンの暫定税率廃止を先送りした代わりに補助金の仕組みを先週変更し、1リットル当たり最大10円支給する『定額制』になりました。7〜9月に再開する電気・都市ガス代の補助については、平均的な家庭で月1000円程度の負担減になるよう調整されていると報じられていますが、いずれも従来の対策と大きく変わらない。そうした中、内閣を倒しかねなかったコメ高騰が一転、神風になった。自民党だけが反対する消費税減税の是非はかすんでいき、参院選の争点にならない可能性がある。それくらい『コメ2000円』はインパクトが大きく、ケタ違いです。財務省もニンマリでしょう」(荻原博子氏=前出)
進次郎劇場の裏では、自民党の宿痾である「政治とカネ」をめぐる問題の幕引きが着々と進む。 金権腐敗の温床である企業・団体献金の見直しは棚上げがほぼ確実。3月末までに結論を出すとした与野党合意は反故にされ、「禁止より公開」を掲げた自民法案の実務担当だった進次郎は農相に引っ張られた。それで党政治改革本部の渡海紀三朗本部長は「選挙を意識せず、参院選が終わってからやるのも一つ」と先送りをにおわせている。
進次郎の所信聴取が終わったころ、衆院予算委員会で旧安倍派幹部だった下村博文元文科相の参考人招致が実施され、派閥の政治資金パーティー券のノルマ超過分の還流再開について追及されるが、実態解明は期待薄。28日は進次郎の所信に対する質疑が農水委であり、立憲民主党の野田佳彦代表、日本維新の会の前原誠司共同代表、国民民主党の玉木雄一郎代表が質問に立つ予定だ。党首級が鈴なりになるわけで、進次郎は引き続き延々とテレビジャック。裏金事件の埋没必至のスケジューリングである。
「石破首相は〈政治家が国民に受けることを言い始めると国は滅びる〉と言ってポピュリズムを批判しているのに、何だかんだで『コメポピュリズム』頼み。そんな政権をバラバラの野党がアシストしている。立憲民主党は政権を取りにいかない。参院選の公認候補擁立をめぐって評判を下げている国民民主党はSNSに振り回されて右往左往。進次郎氏が前面に出てきたことで、玉木雄一郎代表の支持層も引きはがされそうです」(白鳥浩氏=前出)
少数与党政権の迷走、インフレに翻弄される気まぐれな民意。行き着く先は今よりひどい状況だ。
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