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※紙面抜粋
※2025年6月6日 日刊ゲンダイ2面
予算を削り疲弊させたのが自民党 米騒動で今ごろ閣僚会議の茶番
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/372910
2025/06/06 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
マッチポンプ、真のポンプを出来るのか、やる気はあるのか(C)共同通信社
石破首相は減反反対だったなどと言っているが、今年の予算で何をしたのか。これまで農家をイジメ抜き、コメが選挙に有効とわかって「やってるふり」の浅ましさ。嘘だと言うなら農業予算を倍にしてみろ。
◇ ◇ ◇
17年越しの「リベンジ」らしい。高騰するコメの安定供給に向け、5日、石破首相を議長とする新たな関係閣僚会議の初会合が開かれた。石破は、小泉進次郎農相らに価格高騰の要因と政府対応の検証を指示。「生産性向上を通じた持続的な農業生産により、コメの安定的な供給を実現することが必要だ」と語り、中長期的なコメ政策も検討するという。
石破はコメの生産抑制から増産への転換を進め、事実上の「減反政策」を見直す意向を示している。2009年、麻生内閣の農相時代にもコメ増産への転換を検討したが、「低価格化につながる」と衆院選を控えた自民党の農水族から激しい抵抗に遭い、頓挫した。
この経緯を踏まえ、石破は「減反反対だった」などともっともらしい解説が流布されているが、じゃあ今年度予算では何をしたのか。転作するコメ農家に補助金を積み、減反を促す制度は維持したまま。農水省は需要予測に基づく生産量の「目安」を示し、全国のJAはこの目安をもとに生産調整する。この農業予算にお墨付きを与え、減反を続けさせた最大の責任者は石破その人だ。
5日、参院議員会館で開かれた「今こそ日本の食と農を守ろう緊急集会」(令和の百姓一揆実行委員会、日本の種子を守る会、JA有志連合の共催)で、JA常陸代表理事の秋山豊氏はこう証言した。
「私の地元では昨年度、水田の35%を転作し、今年度の転作目標は34%。コメがこんなに足りなくて価格が上がっている。10%以上緩和するのかと思っていたのに、前年比1%減はあり得ない。地元の協議会で『これでいいんですか』と農水省の出先機関の職員に聞いたら、黙って下を向いたまま。彼も本当は分かっているんです。もっとコメを作った方がいいと」
しかし時の政権の意向を無視し、一職員の権限だけでコメ増産にゴーサインを出せるわけがない。そんな現場の苦労はつゆ知らず。いきなり減反反対ムードを醸し出し、農政改革派を気取り出したのが、石破なのである。
日本のコメ作りが消える有史以来の危機
進次郎の備蓄米大放出の官製バーゲンセールにより、5キロ2000円の安いコメを求め、大型スーパーには連日、開店前から大行列。親父譲りのパフォーマンスが奏功し、進次郎はドヤ顔連発で「消費者の味方」ヅラだ。政権の無策が招いた「令和のコメ騒動」を逆バネに、コメ対策が夏の参院選対策に有効と分かるや、石破は「やってるふり」の浅ましさである。
今さら減反見直しにカジを切ったところで時すでに遅し。1970年の減反政策の本格導入から実に55年。歴代の自民党政権は散々農家をイジメ抜き、離農を促進してきたせいで、日本のコメ作りの現場はボロボロだ。
生産量はピーク時(67年)の年約1400万トンから減少し続け、2024年産米の生産量は679万トンと半分以下まで落ちこんでしまった。
減反政策がコメ農家の増産意欲をそいだ結果、その数は1970年の約466万戸から85年には約288万戸、2000年は約174万戸、直近20年は約70万戸--。減反開始から半世紀で8割以上減少、21世紀の20年間だけでも半減した。
要因は高齢化と後継者不足だ。23年の農家の平均年齢は68.7歳。コメ農家はさらに高齢で、平均70歳を超えるとされる。年齢構成比も65歳以上が7割以上を占め、49歳以下の割合は1割程度。20〜30代に絞れば微々たる数である。
後継者が育たない理由は単純明快。「米一粒、汗一粒」と言われる労苦への見返りが乏し過ぎるからだ。農水省の農業経営統計調査から試算すると、コメ農家の時給は21年から時給10円が2年続き、直近23年で97円である。当然ながら暮らしていける額ではないし、コメ作りに興味を持つ若者も引きつけられない。
いざ有事が発生しても国民に配るコメはゼロ
備蓄米騒動の裏に潜む農家見殺しトレンド形成(3月のトラクターデモ)/(C)日刊ゲンダイ
5日付の日本農業新聞は「全国の農地の最大6割で10年後に耕作者を確保できない恐れがある」と報じていた。ショッキングな内容だが、出典は4日発表の農水省の調査なのである。今や日本の農地は担い手不足で崩壊しており、農家は「絶滅危惧種」と政府が公認したようなものだ。
前出の緊急集会で「今のままでは日本からコメ農家が消える。縄文時代に水稲耕作が始まってから今日まで、日本はコメを作り続けてきたのに、まさに有史以来の最大の危機だ」と訴えたのは、「令和の百姓一揆」実行委員会代表で山形のコメ農家・菅野芳秀氏だ。今年3月、東京・渋谷を疾走したトラクターデモを仕掛けた中心人物に改めて聞いた。
「減反政策の転換も、コメ作りに携わる農家がいなければ成り立ちません。あと5、6年もすれば日本の集落からコメ農家が消え、集落自体が消えかねない。何百年、何千年単位で継承されてきたコメ作りの知恵がついえてしまう。この大きな問題は減反政策の転換だけでは、もう解決できません」
過去半世紀以上にわたり、もはや一朝一夕には回復できないレベルにまでコメ農家を追い詰めながら、今ごろコメ政策を見直す閣僚会議を開くなんて茶番も茶番だ。マッチポンプでしかない。
備蓄米放出だって、しょせん急場しのぎ。進次郎は「需要があれば無制限に出す」と息巻いているが、残りは30万トンほど。大半は20年産の古古古古米だ。日本全体の1カ月のコメ消費量は約55万トン。夏ごろには備蓄米も尽きかねないが、政府は今年の備蓄米補充を中止している。つまり夏以降に有事がいざ発生した場合、その時に国民に配られるコメは一粒もないのだ。
農業予算は3割カット、防衛予算は4倍に
備蓄米効果で参院選さえしのげれば、後は野となれ山となれ。これが国民の命を守るべき政権の姿なのか。進次郎は「ミニマムアクセス(最低輸入量)米(の活用)も含めて、あらゆる選択肢を考える」と踏み込んだが、それこそ国内の生産者にすれば本末転倒である。
国産米の価格高騰により、高い関税を課せられても割安になるからとコメの民間輸入が急増。今年4月だけで昨年1年間の輸入総量の7倍に達する中、ミニマムアクセス米が尽きれば、ますますコメの民間輸入に頼る機運は高まる。その流れを受けてコメの輸入規制を緩和すれば米国トランプ政権の思うツボだ。ますますコメ農家を窮地に追い込むことになる。
この農家見殺しのトレンド形成こそが備蓄米狂騒の裏に潜む石破政権の真の狙いだとすれば、トランプ米大統領に魂を売り渡したも同然、嘘だと言うなら石破は農業予算を倍にしたらどうか。今年度の農業予算は2.3兆円。対GDP比はザッと0.38%に過ぎない。愛知学院大教授・関根佳恵氏(産業経済学)の調べだと、農業予算の対GDP比はフランスが日本の2倍、米・韓両国は実に3倍である。
民主党政権時代に農家への戸別所得補償を実現させた元農相で、弁護士の山田正彦氏が言う。
「備蓄米放出も閣僚会議も半世紀以上に及ぶ農政の失敗が顕在化し、参院選挙を控え、それを取り繕うためにやらざるを得ないのだと思う。日本の農業予算は1980年の約3.6兆円から今年度までに3割も削られた一方で、逆に防衛予算は約2.2兆円から過去最大の約8.7兆円と4倍近くも膨らんでいます。予算を削り、農家を疲弊させてきたのが、今までの自民党なのです。コメ農家が安心して生産できる直接支払いの所得補償は、年間予算5000億円程度で実現可能です。農業予算の倍増とは言わずとも、すぐやれることから始めるべきです」
民主党政権の戸別所得補償を廃止したのも自民党だ。せめてもの罪滅ぼしで復活させなければ、日本のコメは守れない。
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