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※紙面抜粋
※2025年7月11日 日刊ゲンダイ2面
参院選まで様子見…猛暑でイカれたか、不気味すぎるマーケットの沈黙
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/374633
2025/07/11 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
必死の全国遊説(C)日刊ゲンダイ
トランプ関税通告を食らっても、石破首相の「交渉継続」という勝手な楽観論を受け入れたのか、株価はほとんど無反応。実質賃金の低下が続き、倒産件数も急増なのに、刹那の対策しか打ち出せない政治を傍観のマーケット。為替で株価が振れる刹那が続くアベノミクス後遺症。
◇ ◇ ◇
米国のトランプ大統領からの「お便り」が連日、世界をおののかせている。懸案の相互関税をめぐり、赤沢経済再生相の押しかけ訪米で打開を狙った日本に対しては、〈2025年8月1日から、われわれは米国に輸入される全ての日本製品に対し、全ての部門別関税とは別に、わずか25%の関税を課します〉などと通知した。
野村総研エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏の試算によると、すでに課されている自動車関連などの追加関税がGDPに与える影響はマイナス0.47%。新たな相互関税25%のインパクトはマイナス0.63%。全体でGDPを0.85%も押し下げるという。ところが、株式市場はほとんど無反応。世界的な猛暑で投資家もイカれたのか。不気味すぎる沈黙である。
米国の株・債券・ドルがそろって売られる「トリプル安」に慌てたトランプは、4月に発動した相互関税を90日間停止。仕切り直しの相互関税の第1弾として日本を含む14カ国に通告したのは、延期期限が目前に迫った8日午前1時過ぎ(日本時間)だった。当初から1%も上乗せされたのに、日経平均株価は依然として3万9000円台をキープ。きのう(10日)は反落し、前日比174円92銭安の3万9646円36銭で取引を終えたものの、総じてしっかりしている。一体どうなっているのか。
石破首相は参院選の応援演説で「国益を懸けた戦いだ。ナメられてたまるか」「言うべきことは、たとえ同盟国であっても正々堂々と言う」と吠えている。石破がにおわせる「交渉継続中」という楽観論を受け入れたのか。
TACO期待からの失望売り
経済評論家の斎藤満氏は「トランプ氏が先週、〈30%か35%、あるいは我々が決める数字を支払ってもらう必要があると伝える〉と脅したことから、市場ではやれやれムードが広がっている」と指摘し、こう続ける。
「TACO(Trump Always Chickens Out=トランプはいつもびびってやめる)と決めつけている雰囲気も少なからずある。しかし、TACO期待が外れたら、一気に失望売りに転じるリスクと隣り合わせです。石破政権は米国筋から〈トランプ関税は違法性が高く、いずれ引っ込めざるを得なくなる〉と入れ知恵され、政権の命運がかかる参院選(20日投開票)もあって妥協を避け続けてきましたが、筋読みを誤ったと言っていい。25年の米国の関税収入は通年で3000億ドル(約43兆円)を超える見通しです。24会計年度(23年10月〜24年9月)の関税収入が770億ドル(約11兆円)でしたから、トランプ政権はホクホク。目玉公約の大型減税実施などによる3.4兆ドル(約490兆円)の財源不足の手当てに、関税収入を当てこんでいる。楽観シナリオで事は進まないでしょう」
トランプ関税をめぐる違法性は司法の場で争われている。国際貿易裁判所は5月末、主要部分について違法で無効だと判示。関税措置を取り消す行政命令を出すよう命じられた政権は、それを不服として即日控訴。連邦控訴裁は審理時間を確保するため、貿易裁の決定について一時的に効力を止める命令を出した。政権は最高裁まで争う構えだ。そうなれば少なくとも、司法の最終判断が下されるまでトランプ関税は効力を持ち続ける。違法確定にも備え、別の枠組みでの強行も検討しているという。
与野党ともインフレ増税をあてにした対症療法
皇帝気取り(C)ロイター
足元の日本株堅調の背景には円安もある。先週のトランプ吹っ掛け以降、円安が進行。一連の対日要求が円売り要因となっているからだ。トランプは対米貿易黒字の削減や、消費税を含む非関税障壁の撤廃のほか、財政膨張につながる防衛費拡大を求めている。どれをとっても日本経済への下押し圧力だ。円安はインフレ加速の燃料にほかならない。
にもかかわらず、物価高対策が最大争点の参院選で各政党が掲げる公約は、右を見ても左を見ても対症療法ばかり。自公与党の一律2万円給付なんてケチくさいバラマキだし、立憲民主党や日本維新の会が訴える一時的な「食料品の消費税ゼロ」だって短期的な効果しかない。いずれも物価高抑制にはならない。しかも、財源はインフレ増税による税収上振れ分を当てにしたものが大半。どの口も「暮らしを守る」と言いながら物価上昇を容認しているのだから、ふざけているにもホドがある。
「自民党は公約で実質1%、名目3%の賃金上昇率を達成し、30年度におよそ100万円の賃金増加を目指すとしていますが、不可能です。そもそも前提がデタラメ。国税庁の民間給与実態統計調査(23年分)によると、平均給与は460万円。毎年3%ずつ賃上げしても、5年間で100万円増は実現しない。4%以上は必要ですし、この20年で賃上げ3%を5年連続で達成したことは一度もない。選挙用キャンペーンなのがミエミエ。与野党とも『物価上昇を上回る賃上げ』を訴えますが、行き着く先は、『賃金と物価の悪循環』です。賃上げによる人件費増加分は価格転嫁され、物価は際限なく上がり続ける。インフレ増税ばかりでなく、社会保険料負担も増大する。低所得層ほど可処分所得が減り、経済格差が拡大してしまう。いま日本経済に最も有効な処方箋は追加利上げです。円高誘導で輸入物価を下落させ、インフレを抑え込む。購買力を引き上げ、内需を喚起すべきです」(斎藤満氏=前出)
異次元緩和導入12年の地獄
実質賃金は3年連続マイナス。直近でも5カ月連続で前年割れだ。帝国データバンクの調査によると、今年上半期の倒産件数は急増。前年同期比で116件増えて5003件となり、12年ぶりに5000件を突破した。トランプ関税の対外交渉を主導するベッセント財務長官が「日本は参院選を控えており、合意するうえで国内的な制約があるのだと思う。当面様子を見る」と言っていたが、マーケットも刹那の対策しか打ち出せない政治を傍観か。
政治評論家の本澤二郎氏はこう言う。
「本当に油断ならない政治状況です。経済無策の石破政権が倒れれば、将来世代にツケを回す財政出動派の安倍シンパが幅を利かせるでしょう。野党の物価対策も財源があやふやなものばかり。いくら見渡しても、有権者が一票を投じるべき政党も政治家もいない。異常な事態です。ハチャメチャもいいところ。戦後80年。日本の民主主義はこの程度なのかと泣けてきます」
自民党応援団の大企業を潤わせる異次元緩和の導入から12年。庶民を円安物価高地獄に引きずり込み、光明が差す兆しすらない。それどころか、アベノミクスの後遺症は再び病巣となって暮らしをむしばんでいる。事実上の政権選択選挙である参院選でマトモな政党を押し上げないと、お先真っ暗だ。
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