<■870行くらい→右の▽クリックで次のコメントにジャンプ可> 欧州から見た「日本人ファースト」 参政党躍進を「ポピュリズム」と侮るなかれ 2025/8/1 18:00 https://www.sankei.com/article/20250801-MV3AG4XTGVOZRGYSGXCAABKWVE/ 参院選での参政党の躍進は、欧州でも注目を集めた。 「礼儀正しく物静かな人たち」 とみられていた日本人が、突然 「日本人ファースト」 に沸き、自民党支配を揺るがしたので驚きが走った。 折しも欧州は、移民削減を掲げる右派旋風が吹き荒れている。 ドイツ紙フランクフルター・アルゲマイネは 「日本もようやく潮流に乗った」 と論じた。 フランス紙のフィガロは 「追い風に乗るポピュリスト政党」 である参政党が、日本政治に激変をもたらすかもしれないと予想した。 欧州では2015年、難民危機で約100万人が流入し、反移民を掲げる右派政党が台頭した。 もはや彼らは 「ポピュリズム勢力」 で片づけられない存在だ。 オランダやイタリア、オーストリアでは国会で第一党になった。 老舗というべきフランスの極右「国民連合」は昨年2024年、欧州議会選で3割以上の票を獲得。 2年後の大統領選での政権奪取も視野に入る。 各国の中道政権は、煽られるように移民規制を強化する。 「このままでは食われる」 という焦りが滲む。 ドイツのメルツ首相は 「もっと管理を強め、帰還させる」 と連邦議会で宣言した。 10年間、なし崩し的に移民を入れ過ぎたと述べ、ドイツ伝統の 「寛容な受け入れ」 を転換した。 現実には近年、欧州に渡る不法移民は減っている。 それでも、各国が強硬策に傾くのには別の理由もある。 移民への不安に便乗して極右のヘイト(憎悪)犯罪が急増し、社会の緊張を高めているからだ。 猛暑最中の2025年7月、スペイン南部ムルシア州では物騒な事件が起きた。 覆面姿の男の集団が4夜連続で、移民居住区を棍棒や鉄パイプで襲った。 60代の高齢者が殴られた事件を機に、 「北アフリカ移民の犯行」 「やつらを追い出せ」 という文言がSNSで流布され、暴動に火をつけた。 続いて英ロンドン北郊では、難民収容施設前の抗議デモが暴走。 警察と衝突し、約10人が負傷する騒ぎとなった。 スペインと英国は旧植民地から移民を受け入れてきた歴史があり、欧州で長く統合のお手本だった。 ヘイト犯罪は許されないが、炎上の背景には 「政府は移民流入に対応できなくなった」 という不満があることも忘れるべきではない。 先進国は、どこも高齢化と低成長の時代に入った。 先行きが不透明になり、国民は 「外部からの脅威」 に身構えている。 政府が移民受け入れで規律を定め、厳しい姿勢を示すことは、国民の信頼回復に不可欠だ。 合法的に滞在する外国人を守ることにもなる。 「差別はダメ」 「多文化共存を」 という正論だけで、不安を封じるべきではない。 一方で、移民規制を掲げて支持を伸ばす右派政党には課題がある。 政権入りとなれば、 「人手不足にどう対応するのか」 への答えを求められる。 技能を持つ外国人材の獲得が必要なのは議論の余地がない。 欧州の反移民政党は今、過渡期にある。 時に露骨な差別発言が飛び出す一方、実務経験を積んだ弁護士や元官僚、更に中道政党からの鞍替え組の参入も相次ぐ。 古い政党は保革を問わずベテラン議員が牛耳っており、国政を目指す若者は勢いのある新党に集まる。 政治に風穴を開けたいと思う有権者の支持を集めるのは当然だろう。 激変する世界で 「どうやって国を守るか」 は日欧を問わず、共通の課題だ。 「国民ファースト」 の論議が、各国の保守再編に繋がるに注目したい。参政党の熱量と解散恐怖症 自民と立民の「なれ合い政治」にさせてはならぬ 一筆多論 2025/7/29 15:00 https://www.sankei.com/article/20250729-45MDEPAGQNK5PDZTIG76PN5EFI/?outputType=theme_election2025 参院選投開票日の前日の2025年7月19日、東京・芝公園。 「日本人ファースト」を掲げて支持を集め、台風の目となった参政党の神谷宗幣代表は、この場所で「マイク納め」を行った。 参政は今の自民党に失望している岩盤保守層の受け皿となり、躍進した。 芝公園の隣に位置するのは、安倍晋三元首相の葬儀が執り行われた増上寺。 因縁めいたものを感じずにはいられなかった。 安倍氏が岩盤保守層から支持を得ていたのは周知の事実だ。 この日の東京の最高気温は33・1度。 うだるような暑さの中、背後に東京タワーがそびえ立つその会場には約2万人が集まった。 「ヘイト集団」「差別政党」などと書かれたプラカードを掲げたアンチ参政党の人々も目立った。 日の丸にバツ印をつけてはためかせる異常な光景もあった。 参政支持者とアンチとの間で一触即発の事態になりかねない危険な空気が漂っていた。 神谷氏が登壇し、 「日本人のプライドと国の未来にかけて、皆でグローバリズムと闘いましょう」 などと絶叫すると、会場のボルテージは最高潮に。 その熱量は党の勢いをそのまま反映していた。 参政は改選1議席から14議席に増やした。 国民民主党は改選4議席の4倍以上の17議席を獲得した。 これに対し立憲民主党は改選数と同じ22議席にとどまった。 比例代表の得票数では、野党で最多は国民民主、次いで参政となり、立民は野党3位に終わった。 野田佳彦代表が選挙戦最終日に入った選挙区のうち、福島(改選数1)、栃木(同)では議席を得られず、東京(改選数6、補欠1)では擁立した2人のうち当選した現職の塩村文夏氏は7番手だった。 大敗した自民のみならず立民も含め既成政党の多くは、早期に衆院解散・総選挙が行われた場合、票をごっそり参政や国民民主に持っていかれるだろう。 石破茂首相(自民総裁)が参院でも与党過半数割れとなった責任をとって辞任し、新総裁が国会での首相指名選挙を経て首相に就任できたとしても、新首相は怖くて解散できないのではないか。 自民の多くの歴代総裁は「解散カード」を求心力を高めるために有効に使い、党内を統治してきた。 だが、自民が抜本的に立て直しを図り、他党を凌駕するほどの力を取り戻さない限り、その芸当はできまい。 立民も早期の衆院解散は避けたいのが本音と言える。 議席を減らす可能性があるだけでなく、野党間の候補者調整など闘う態勢を整えるのに時間がかかることが予想されるからだ。 野田氏は石破首相について 「だらだらと民意を無視して居座り続けるのか」 と批判する。 ならば、2025年8月1日召集予定の臨時国会で内閣不信任決議案を提出し、野党で連携して可決させ、総辞職か解散に追い込めばよいものを、不信任案提出については言葉を濁している。 腰砕けと言う他ない。 最大政党の自民も野党第一党の立民も解散を恐れていては、緊張感は生まれず、馴れ合いの政治に陥りかねない。 日本の政治は劣化の一途を辿ることになろう。 石破首相は一刻も早く退陣すべきであり、自民は「国民政党」を自任するのなら、早急に党を再建する責務がある。(論説副委員長) 「外国人犯罪は増えていない」と「困っている人が1人でもいれば」は矛盾しないか メディアウォッチ 皆川豪志 2025/7/27 13:00 https://www.sankei.com/article/20250727-WQWXJDB725CCVBKKZNY53E4AEE/ 先の参院選で 「日本人ファースト」 を掲げ、外国人問題を争点にした参政党が躍進したことで、テレビ各局の選挙特番のキャスターやコメンテーターたちは、何となく居心地が悪そうというか、出来ることならあまり取り上げたくないという感じがありありだった。 それでも触れざるを得ない場面が来ると、被せるように紹介していたのが法務省の 「犯罪白書」 による 「外国人犯罪は増えていない」 というデータだ。 これは今、新聞など他のメディアでも 「ファクトチェック」 などと称して盛んに使われている。 外国人が増えたからと言って犯罪が増えているわけではなく、 「参政党が主張するような外国人問題などない」 というメッセージなのだろう。 ■「差別主義者」が突然増えたのか 簡単に紹介すると、日本にいる外国人の数は2004年の197万人から2023年の377万人と2倍近くに増えているが、同時期に刑法犯で検挙された外国人数は1万4766人から9726人と30%以上減っているというものだ。 確かにその通りなのだろう。 では何故、実際に外国人問題が選挙の争点になり、参政党などが票を伸ばし、与党自民党も 「違法外国人ゼロ」 などと言って、この問題に本腰を入れるようになったのだろうか。 外国人問題などないのに、日本国民の中に突然 「差別主義者」 や 「排外主義者」 が大量に増えたとでも言うのだろうか。 例えば、一部クルド人との軋轢やトラブルに悩んでいる埼玉県の川口市民にこのデータを見せたとして 「そんなに少ないのですか」 「じゃあ私の勘違いでした」 とは思わないはずだ。 直接困っている人だけではない。 身の回りに増えている外国人に対して不安な気持ちを抱いている人がこのデータを見ても 「犯罪が減っているなら安心だ」 「不安に思ってすみません」 とはならないだろう。 もちろん客観的なデータを示すのは大事である。 ただ、人間の自然な感情に対してデータで頭ごなしに押さえつけても、納得するどころか、自身の経験や肌感覚が否定されたと思うだけで何の解決にも繋がらないと思う。 外国人を差別したい人が増えているのではなく、実際にトラブルを抱えていたり、ルールを守らない外国人をきちんと取り締まってほしいと思っていたりする人が増えていることが、何故メディアから煙たがられなければならないのだろうか。 そもそもこのデータは外国人の 「検挙数」 であり、何かのトラブルがあって警察が出動して逮捕するなど、実際に何らかの事件になった数である。 近隣の騒音やゴミ出しの苦情、暴走行為などで110番通報する人は余りいない。 あったとしても余程のケースでなければ事件化されることもない。 むしろ近隣の騒音などは、日本人同士でも警察沙汰にして逆恨みされるぐらいなら呼ばないほうがいいと普通は考えるものである。 敢えて強調はしないが、身近なトラブルは無視されている数字に等しい。 そうしたデータに表れない問題について、実際に住民の声を聞いてニュースや記事に生かすのがメディアの役割だと思うが、残念ながらこの件に関しては法務省発表だけを一方的に流している。 ■「困っている外国人」は探す データ重視というなら、産経ニュースが報じているように川口市民の半数が 「治安が悪い」 と感じ、その割合が年々上昇しているという市の意識調査もあるが、そちらは決して報じない。 いわゆる 「体感治安」 の悪化が見て取れる数字である。 ただ、このデータにしても逆に市民の半数は 「治安が良い」 と感じているとも取れるし、 先の法務省のデータにしても、同時期の殺人などの凶悪犯は逆に約1.5倍に増えている。 つまり、複雑な問題について1つのデータだけを根拠に一刀両断にしてしまうのはそもそも無理があるのだ。 よく、一部メディアは、日本国民の中でもかなりレアなケースを探し出して来て、 「こんなに困っている人がいる」 と主張している。 隠れた問題を取材して明らかにするのが報道の役割でもあるので、その心意気はよいと思う。 ただ、外国人問題に関しては 「困っている外国人」 は探してきても、 「困っている日本人」 は何故か探さないのだ。 テーマは全く異なるが、国会で選択的夫婦別姓法案が議論になっていた時、立憲民主などの野党や一部メディアは 「別姓で困っている女性が大勢いる」 との論陣を張っていた。 ところが、アンケートなどで別姓賛成派が3割程度だったことや旧姓使用の拡大が進んでいることなどが指摘されると 「困っている人が1人でもいるなら」 「少数意見にも寄り添うべき」 などと言い出した。 「1人も置き去りにしない社会」 は彼らの常套句でもある。 仮に外国人問題で困っている人が本当に少数だったとしても、是非真剣に寄り添ってほしいと思う。 <正論>参政党躍進の背景にある歴史観 新しい歴史教科書をつくる会顧問・藤岡信勝 2025/7/25 8:00 https://www.sankei.com/article/20250725-GBP4IOLPKVNE7KHO2YROFMMT6I/?outputType=theme_election2025 2025年7月20日投開票された参院選で、新興勢力の参政党は14議席と大躍進した。 自民・公明の政権与党は合わせて50議席に達することができず、昨年2024年の衆院選に続いて、参院でも与党が過半数を割り込むことになった。 この過半数割れを引き起こした主役も、実は45の全選挙区に立候補者を立てた参政党であった。 この躍進の背景にあった1つの要因について述べてみたい。 ■歴史学習運動の蓄積 躍進の背景には参政党候補者が共有する歴史観がある、とするのが私の基本的な見立てである。 党首の神谷宗幣氏は高校時代までは左派寄りの思想を持っていたが、大学3年生のとき1年間休学しバックパックで18カ国を8カ月間旅行する経験を通して視野を広げ帰国後、小林よしのり氏の『戦争論』などに触れて、祖父や父が学んでいた教えに理解を深めるようになったという。 本来、保守的な家族関係の中で育ちながら、学校の影響で左翼思想を抱き、海外経験を通してそこから脱却し、日本の歴史を学び直す典型的な保守系活動家の遍歴を神谷氏も辿ってたのである。 神谷氏の始めたCGS(チャンネル・グランド・ストラテジー)というユーチューブ・チャンネルでは、倉山満氏や斎藤武夫氏の歴史講座で通史を学ぶなど、この種の番組としてはかなり本格的なプログラムを用意して歴史の学習を呼びかけてきた。 こうした歴史学習運動の蓄積の上に立って、令和2年に結成された参政党は当然ながら日本の歴史に誇りを持つことを大切にするという姿勢が明瞭に打ち出されていた。 他の政党にないことである。 ■「日本人ファースト」の衝撃 参政党は 「日本人ファースト」 をスローガンとした。 これが選挙戦における成功の要因であったことは間違いない。 外国人対策がにわかに選挙戦の争点となった。 日本で住民税を払わない中国人が東京で起業して1500万円の融資を無担保で手に入れたり、来日3日で生活保護受給決定が出たりする。 健康保険料を僅かな期間支払い、日本で高額医療を受ける中国人がいる。 奨学金でも外国人留学生の方が日本人学生よりも優遇されている。 外国人の土地の購入、クルド人問題、オーバーツーリズム(観光被害)等々。 これらの問題の解決に既存政党は手を付けようとせず、やり場のない鬱屈した感情が広く日本人の中に溜まっていた。 参政党の 「日本人ファースト」 という標語は、日本人の誰もが持っているモヤモヤ感を払拭してくれるインパクトがあった。 有権者の心に見事に突き刺さった。 選挙戦が始まる前は、参政党の候補者の選挙区内の支持率はたかだか数パーセントに過ぎなかった。 当選する見込みは薄いと思われた。 ところが、選挙戦が始まると支持率は鰻上りとなり、選挙区によっては当落を争うまでになる。 この現象が日本の各地で起こった。 これは明らかに候補者の口頭による訴えが大きな効果をもたらしたことの表れである。 なぜ参政党の候補者の話には説得力があるのか。 タブーとなっていた話題に果敢に切り込む勇気に聴衆は感動し、初めて自分たちの心を代弁してくれる政党に出合ったという思いを持つ。 候補者は全体として若く、子育て現役世代の悩みを共有し、その生活実感と結びつけて政策を語る。 こうしたことが聴衆の心を捉えた。 しかし、私はそれだけではないと思う。 参政党は草の根の地域組織を持ち、他党とは比較にならないほど党員向けの勉強会が充実している。 自国の歴史に誇りを持つ歴史観をバックボーンとしているからこそ、候補者の演説には単なる話術ではない真実さと深さが伴っているのではないか。 ■歴史教科書と参政党 参政党は教育を重点政策とし、歴史教科書問題にも地道に取り組んできた。 私が関わった範囲でその活動を紹介したい。 昨年2024年、令和6年度は4年に1度の中学校教科書採択の年であった。 この年、東京都内の参政党の地方議員は目覚ましい活動をされた。 各議員が責任を持つ地区ごとに、歴史教科書問題や教科書採択問題をテーマとする大小の学習会を開いた。 私が直接関わった集会だけでも10カ所近くになる。 更に、参政党の地方議員の方々は教科書採択に取り組む決意を記者会見を開いて宣言されたのである。 他党には個々に協力して下さる議員はおられるが、このように組織的に取り組んで下さる政党は参政党以外にはない。 つくる会は、公立学校の教育委員会で、全国で唯一、自由社を採択してくださった茨城県常陸大宮市に研修ツアーを企画した。 40人収容のバスに乗った参加者の半数は議員で、参政党の地方議員が多数参加した。 教科書採択は首長の決断なくして実現しない。 私は参政党の若い地方議員が地元で信頼を得て5年後、10年後に首長となり、教科書を採択して下さる未来図を想像の中で描いていた。 参院選X投稿分析「外国人」はなんと886万件、参政党躍進に影響か 鶴保発言にも関心 2025/7/24 19:40 https://www.sankei.com/article/20250724-BPGCKSIX35IG3HIC2RQHC7VXPQ/?outputType=theme_election2025 自民党の大敗に終わった今回の参院選。 関連するSNSへの投稿では、 「外国人」 や 「減税」 といった言葉が多くみられ、選挙戦の情勢が反映される格好となった。 東京大の鳥海不二夫教授(計算社会科学)は告示直前の2025年7月1日〜投開票日である2025年7月20日までのX(旧ツイッター)の投稿を分析。 「外国人」 を含む投稿件数は、オリジナルを拡散させたリポストを含め886万9817件に上った。 日別では2025年7月1日が約25万件、2025年7月8日が約40万件と次第に増え、ピークの2025年7月14日は約76万件となった。 有権者の関心の高まりが現れたのか、 「日本人ファースト」 を掲げた参政党が大きく躍進する結果となった。 一方、当初からの大きな争点とされた 「減税」 は、総投稿数が211万9292件。 「消費税」 は220万2108件で、合わせても 「外国人」 の半分以下だった。 減税や消費税は選挙戦序盤が投稿数の最盛期で終盤にかけて減る形となった。 自民党の鶴保庸介参院議員が選挙の応援演説の中で、 「運のいいことに能登で地震があった」 と発言した2025年7月8日には、 「鶴保」 の投稿は4万3343件に急増。 それまでは概ね1桁台だったが2025年7月9日には約13万7千件、2025年7月10日は9万7千件、2025年7月11日は4万9千件と、しばらく高い関心が続いたことが分かった。 比例代表の得票、立民は参政を下回る 政治思想史家「左の大結集、戦後政治の夢ついえる」 2025/7/21 18:29 https://www.sankei.com/article/20250721-PKHHMVJPYBCL3EHX5JSUNLB65M/?outputType=theme_election2025 参院選(2025年7月20日投開票)比例代表を巡っては、 「日本人ファースト」 を掲げた参政党の得票数が立憲民主党を僅かながら上回り、自民、国民民主両党に次ぐ3位に躍進した。 政治思想史家の河野有理(ゆうり)法政大教授は2025年7月21日、X(旧ツイッター)で、 「『自民党より左』の大結集で政治を変えるという戦後政治の<夢>が遂に最終的に潰えた」 との見方を示し、 「極めて大きな地殻変動の現れ」 を指摘した。 ■参政支持のうねりの過小評価指摘 参政は、比例代表で742万5053票(得票率12・6%)を得て、立民の739万7456票(同12・5%)を、2万7597票差で上回った。 国民民主は762万492票(12・9%)。 野党3党が得票率13%弱でほぼ並ぶ結果となった。 河野氏はXで、参政党に対する評価を巡って、 「『参政党支持している人は周りにはいない、いたら縁を切る』みたいな選挙前によくいた人たち、よほど世界が狭いか、相手が大人で話を合わせてもらっているのだろうなという感じ」 と書き込んだ。 改選22議席の立民は、選挙区15議席、比例代表7議席の計22議席と横ばいの結果にとどまった。 ■山口二郎氏も「これ、ほんと」 河野氏は、立民について、 「今回で伸びないならいつ伸びるのかという話であり、相当に厳しい結果なのではないだろうか」 との見方を示し、 「執行部がこれを厳しい結果と思えていないなら本当に将来がなさそうである」 と指摘した。 この投稿については、野党共闘の強化に尽力し続けた政治学者の山口二郎法政大教授も 「これ、ほんと」 「私の政治学者人生も終わったということ」 とXで賛意を表した。 山口氏は立民のベテラン勢はもはや後進の育成に注力すべきとの考えを示し、立民の現状について、 「実質的な敗北と、厳しく総括すべき」 「私自身も、かつて民主党政権を担った政治家が最後にもう一花咲かせてほしいと思って応援したが、民意との乖離が極めて大きいことを痛感する」 と訴えた。 「自民党政治は左傾化している」 参政党などの「第三極」、参院選で保守層を切り崩し 2025/7/19 17:02 https://www.sankei.com/article/20250719-SFU4RQJNKJMZNGKF7XIE4BFN2M/?outputType=theme_election2025 2025年7月20日投開票の参院選で、政権与党でも主要野党でもない 「第三極」 が支持を広げている。 物価高対策や外国人政策などが争点となる中、経済や外交を巡る閉塞感を解消できず、 「自民党政治は左傾化している」 と反発する保守系支持層を切り崩し、受け皿になっている。 石破茂首相(自民総裁)は2025年7月16日、大阪選挙区(改選数4)の新人候補の応援に入った。 首相演説に先立ち、比例代表に立候補した自民新人で元衆院議員の長尾敬氏がマイクを握り、訴えた。 「中国は日本を獲りに来ている」 「石破総裁は中国共産党にもっと厳しい姿勢で臨み、日米同盟を基軸とした価値観外交を続けて頂きたい」 党の公認候補が選挙戦でトップに注文を付けるのは異例。 中国軍機の自衛隊機への異常接近をはじめ、中国は日本周辺で挑発行為を繰り返しており、毅然と対応しない首相に憤慨する自民支持層は少なくない。 前政権下で成立したLGBT理解増進法への反発も根強い。 保守系として知られる長尾氏の訴えは強い危機感の裏返し言える。 衆院で少数与党の自民、公明両党は参院選で非改選議席を含む過半数(125議席)の維持を目指すが、達成は困難な情勢だ。 選挙結果は政権枠組みにも影響する。 今回の台風の目≠ェ 「日本人ファースト」 を掲げて外国人対応と消費税の段階的廃止を政策の柱とする参政党だ。 神谷宗幣代表は首相来阪の翌2025年7月17日、首相と同じ大阪市の南海難波駅前に立ち、欧米で台頭する移民受け入れ規制を念頭に 「日本人ファーストは排外主義ではない」 「反グローバリズム」 「これが新しい潮流だ」 と訴えた。 外国人総合政策庁の設置などは保守層の支持を得る一方、 「差別主義」 といった激しい反発も生む。 もっとも陣営関係者は 「ここまで支持されるのは初めて」 「活動が浸透してきた」 と手応えを示す。 参政は獲得議席目標を当初の6議席から20議席に引き上げた。 元自民支持者で京都市に住む男性(60)は参政支持に転じた理由を 「大企業や大株主、外国資本を優遇し、消費税の使い道を説明しない政権与党に嫌気が差した」 と説明し、続けた。 「安倍(晋三)元首相が亡くなってから自民は保守政党でなくなった」 「自民が頑張っていたら、参政はここまで支持されなかったと思う」 昨年2024年の衆院選で 「手取りを増やす」 と訴えて躍進した国民民主党は所得税が生じる 「年収の壁」 の178万円への引き上げなど現役世代を重視した政策の他、外国人土地取得規制法の制定などを公約に掲げる。 交流サイト(SNS)での発信も強化し、無党派層への浸透を図る。 2025年7月18日に大阪入りした玉木雄一郎代表は 「対決より解決」 をアピールし、声をからした。 「日本を変えたい」 「今のまま同じことを繰り返したって、この国は良くならない」 「もっと日本人の力を発揮でき、皆さんが働くことで報われる社会を一緒に作りたい」 日本保守党は入管難民法改正やエネルギー分野への外国資本の参入禁止を中心に訴える。 比例候補の百田尚樹代表は出身地の大阪で都市部を重点的に巡回。 陣営関係者は 「(大阪が本拠地の)日本維新の会や自民は本当の保守層の受け皿になれていない」 「維新の牙城を崩したい」 と意気込む。 参政党を勢いづかせたTBS 7月20日は激動の始まり 大手町の片隅から 乾正人 2025/7/18 11:00 https://www.sankei.com/article/20250718-NB66T4Y7AVKKPBDUPUTLLJRABU/?outputType=theme_election2025 いよいよ運命の 「2025年7月20日」 がやってくる。 今回の参院選で、有権者の耳目を最も集めたのが、参政党だったのは、どんなアンチでも認めざるを得ないだろう。 「売れるネタ」 に敏感な週刊文春と週刊新潮が揃って同党を大特集し、テレビもTBSの 「報道特集」 が参政党を批判的に取り上げたのだが、ネットは大炎上した。 ■大炎上した「報道特集」 問題となったのは、2025年7月12日に放送された 「争点に急浮上外国人政策≠ノ不安の声」 と題されたコーナー。 参政党が選挙戦で掲げているスローガン 「日本人ファースト」 を 「排外主義」 と強く批判したのである。 女性のメインキャスターが、 「日本人ファーストという言葉が独り歩きしている」 「ヘイトスピーチとは違うのか」 と、大阪公立大学の准教授に聞き、彼にこう言わせている。 「ヘイトスピーチで一番重要なのは、差別の扇動」 「差別用語を一切使わずに差別を煽るということ」 「『出てけ』と言ってませんよと言い訳ができてしまう」 「『日本人ファースト』が支持層に対して排外主義、ヘイトスピーチを煽る」 「当然言っている側も分かっていないわけがない」 要は、 「日本人ファースト」 の主張が、ヘイトスピーチに当たるというわけである。 テレビ局は、放送法第4条によって放送番組の編集にあたって 「政治的に公平」 であることが求められており、何か主張したい時には 「識者」 の口を借りて言わせるのが、伝統的手法である。 つまり、TBSは参政党の主張を 「ヘイトスピーチ」 視しているといっても過言ではない。 更に火に油を注いだのが、キャスターのコメントだった。 「外国籍の人たちと全く関わらずに生活をする人は、ほとんどいないと思うんです」 「自分の一票が、ひょっとしたらそういった身近な人たちの暮らしを脅かすものになるかもしれない」 「これまで以上に想像力をもって投票しなければいけないなと感じています」 ■やっぱり「偏向報道」? 番組の流れから 「参政党に投票すると、在日外国人の生活を脅かす」 と主張し、同党に投票しないよう呼び掛けているように受け取れる。 少なくとも私はそう受け取った。 これは、いただけない。 案の定、参政党はTBSに 「不当な偏向報道だ」 と強く抗議、放送倫理・番組向上機構(BPO)放送人権委員会に申し立てる方針を明らかにした。 TBSと近い関係にある毎日新聞は 「識者は『報道への圧力』と指摘」 と擁護したが、ネットでは、X(旧ツイッター)でトレンド入りするほどの盛り上がりをみせ、支持者を結束させた。 私は選挙期間中であっても、新聞やテレビが特定政党や政治家の政策を批判的に取り上げるのは、有権者に投票の判断材料を提供するという観点からアリだと思う。 しかし、批判対象に反論の機会を与えなければ、フェアではない。 今回の 「報道特集」 は、放送法を持ち出すまでもなく、作り手の 「参政党嫌い」 が、露骨に出て、感情的になり過ぎ相手の土俵に乗ってしまった。 結果的にTBSは、意図とは逆に参政党を勢いづかせたのである。 いずれにせよ2025年7月20日は、日本政治の激動の始まりとなろう。 登山家・野口健氏「自国民ファースト当たり前」 参院選念頭、ネパール入山対応を例に私見 2025/7/17 12:58 https://www.sankei.com/article/20250717-6SKWN2XICFDVTJZGRV6NINPRDY/?outputType=theme_election2025 登山家の野口健氏(51)は2025年7月16日夜、自身のX(旧ツイッター)を更新し、エベレスト入山に関するネパール政府の対応などのエピソードを引き合いに、 「自国民ファーストは当たり前」 と投稿した。 参院選(2025年7月20日投開票)を巡って 「日本人ファースト」 が議論の的になっていることを念頭に置いた発言とみられる。 野口氏は投稿で 「ネパールの話ですが」 と前置きした上で、エベレストの入山料について 「外国人は1人当たり15000ドル(来年2026年から25000ドル)」 「ネパール人登山家はほぼ無料」 と紹介。 自国民と外国人登山者で高額な差が設けられていることを指摘した。 その上で 「我々外国人は入山料を払っていますが、ネパール政府に差別されていると感じたことはない」 「ネパール政府が『ネパールファースト』は結構じゃないですか」 と私見を述べた。 現地山岳会関係者の 「ネパールの国立公園はネパール人のためにあるから無料(としている)」 との発言も伝えた。 また、関連する話として 「ネパールでは外国人は土地を買えません」 とも言及。 「インドと中国という大国に挟まれており、外国人が自由に土地を買えてしまえたら事実上、ネパールは奪われてしまうからと(考えられている)」 と解説した。 日本国内では、北海道のスキーリゾート地などで、中国など外国資本による開発や用地取得が進んでいる。 野口氏は投稿で、ネパール政府の対応を例に挙げ、 「自国民ファーストの内容は国々によって様々でしょうが、いずれにせよ 『自国民ファースト』 は当たり前ではないでしょうか」 とまとめている。 「ファースト」参政に8割賛意「騙す」自民は4割で最下位 各党ユーチューブコメント分析 2025/7/16 18:22 https://www.sankei.com/article/20250716-7XORDIPSEFKTFKQZ7FZJD3RRRY/?outputType=theme_election2025 2025年7月20日投開票の参院選で、各党のユーチューブ動画で最も視聴された動画に寄せられたコメント内容などを分析した。 コメント数は参政党と自民党がトップ2。 賛同(ポジティブ)と批判(ネガティブ)の割合では、参政動画はコメントの8割がポジティブだった一方、自民は4割に満たず、調査対象とした14党中、最低だった。 分析は動画配信支援などを手掛けるエビリー(東京・渋谷)のユーチューブ分析ツール「カムイトラッカー」を使用。 公示日の2025年7月3日から2025年7月11日までに各政党のユーチューブ公式チャンネルに投稿された動画のうち、視聴回数が最多だった1本に対し書き込まれたコメントの賛否比率を調べた。 コメント数トップは参政動画で、神谷宗幣代表が 「日本を諦めないで」 などと演説する内容で1775コメント。 次点は、石破茂首相(自民総裁)の写真を使い 「スピーディーな物価高対策」 などと政策を伝える自民の動画で、1660コメントを集めた。 賛否別では参政動画の81・6%がポジティブだったが、自民動画は36・4%にとどまった。 コメント内の語句を、出現頻度が高いほど大きな文字で表示される 「ワードクラウド」 化すると、両党とも自党の党名が最大。 参政はキャッチコピーである日本人ファーストの 「ファースト」、 自民は 「騙す」 なども目立った。 また、参政で「自民(党)」、自民で「参政」が、互いに頻出ワード入りした。 保守勢力である参政は自民から離れた保守層の受け皿になっているとの見方があり、ユーチューブの視聴動向にも反映された可能性がある。 参政・神谷氏「選挙後も日本人ファーストは変えずに活動」 「選挙の間だけ」発言を説明 2025/7/16 9:59 https://www.sankei.com/article/20250716-HI5LXRUDKZDYNE7Z7IRCOFH4EY/?outputType=theme_election2025 参政党の神谷宗幣代表は2025年7月16日、X(旧ツイッター)を更新し、参院選で掲げる 「日本人ファースト」 について 「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけ」 とする自身の発言を説明した。 参院選後も日本人ファーストの方針や公約は変えずに活動すると明言した。 神谷氏は2025年7月14日、高知市で日本人ファーストという言葉が 「差別」 や 「排外主義」 を煽るのではないかと問われ、 「そうは思っていない」 「それはないようにしたい」 と述べた。 その上で 「選挙のキャッチコピーだから、選挙の間だけなので」 「終わったらそんなことで差別を助長するようなことはしない」 と述べた。 メディアに対し 「なぜ一般国民が日本人ファーストに反応するのか考えてほしい」 「差別ではなく、もっと自分たちの暮らしや国益を守ってくれという政治家への『喝』なので、それを差別と置き換えるのは違う」 と苦言を呈していた。 SNSでは 「選挙に勝つためだけ」 「選挙終わっても外国人問題は続くのに?」 といった失望する意見も散見された。 神谷氏は2025年7月16日、Xで 「公約を包括するキャッチコピーとして使うのはとりあえず今回の選挙期間中だけという趣旨で発言している」 と説明。 「もちろん選挙が終わった後も『日本人ファースト』の方針や公約は変えずに活動する」 と言い切った。 外国人問題討論 参政・神谷氏「日本人ファースト」に社民・大椿氏「敵を見誤らないで」 2025/7/14 11:18 https://www.sankei.com/article/20250714-MYJKC6QMQJH7TPWLUBKU3F6XN4/ 与野党幹部は2025年7月13日のNHK番組で、参院選を巡り討論を行った。 外国人の受け入れを厳しく規制する立場の参政党と日本保守党に対し、社民党などが 「排外主義に繋がりかねない」 と反発する一幕があった。 参政党の神谷宗幣代表は司会者から参院選の終盤で訴えたいことを問われ、 「日本人ファーストの政治を実現したい」 と改めて述べた。 減税と積極財政による経済成長に続き、外国人問題を挙げた。 「過度な外国資本や移民の受け入れは国民に混乱を生む」 「ルールを設定しないといけない」 と述べた。 選択的夫婦別姓制度については 「反対は保守党とうちしかないので、頑張って声を挙げたい」 と語った。 日本保守党の有本香事務総長は、消費税の税率を酒類も含めゼロにすることや、太陽光や風力発電など再生可能エネルギー普及のため電気料金に上乗せされる 「再エネ賦課金」 の廃止を訴えた他、 「野放図な移民政策を止める」 と強調した。 「これらは全て経済政策であると同時に、安全保障でもある」 「日本を日本として守っていく」 「そして、日本を確かな成長軌道にもう1度戻す」 と訴えた。 これに対し、社民党の大椿裕子副党首は 「日本人ファーストや税金は日本のために使うなど、外国人規制に関する政策を訴える声が非常に大きくなっている」 「結果として排外主義に繋がると危機感を持っている」 と述べた。 その上で、 「私たちの生活の苦しさは自民党政治が大きな原因だ」 「有権者には『敵を見誤らないでほしい』『戦うべき相手と戦ってほしい』と強く思っている」 と語った。 共産党の小池晃書記局長も 「民族差別を煽るような排外主義には反対だ」 と述べた。 「寛容のドイツ」一転、移民規制を強化 シリア難民90万人 統合の難しさ浮き彫りに 難民危機10年 欧州の変貌 2025/7/12 21:27 https://www.sankei.com/article/20250712-IZX6L2N7PRNJ3GTECQOJ53O6AM/ 2015年の欧州難民危機で 「寛容な受け入れ」 を主導したドイツが、移民対策で欧州の最強硬派に変わりつつある。 少子化時代の労働力の担い手として大量移民に期待したが、相次ぐ犯罪で不安が広がり、規制強化に動いた。 異なる文化や価値観を持つ外国人を社会に統合する難しさも浮き彫りになっている。 「わが国の統合能力には限界がある」 「施設も支援も手いっぱいなのだ」 独内相のドブリントは2025年6月末に連邦議会で、政府の移民規制を正当化した。 国境検問の再開や難民家族の呼び寄せ停止といった厳しい姿勢を矢継ぎ早に打ち出してきた。 国境検問で難民申請者の入国を拒み、違法判決を受けたが、続行の構えを崩さない。 「移民流入への抑制効果がある」 と強調した。 ドイツには2015年以降、内戦下のシリアから約90万人が流入した。 当時、国民は国境で難民を温かく迎え、首相のメルケルは 「私たちにはできる」 と鼓舞した。 だが、そんな熱狂は過去のものになった。 2025年2月の世論調査で 「移民が多すぎる」 と答えた人は81%。対象となった西欧7カ国で最多だった。 ■町長になった難民 シリア難民のリヤン・アルシェブル(31)は、 「治安悪化への不安は、よく分かる」 「どうしてもドイツに溶け込めない人がいる」 と話す。 2015年に地中海をボートで渡り、ドイツでゼロから言葉を学んだ。 今は独西部オステルスハイムの町長を務める。 2023年の選挙で当選し、 「統合モデル」 として一躍注目の人となった。 「どうやって住民の信頼を得たのか?」 と聞くと、 「ここは保守的なキリスト教徒が多く、人口2500人の田舎町」 「それがよかった」 「私は1人暮らしで、みんなに支えられ、親しくなれた」 と答えた。 町長になる前は、職業訓練で近隣の役所の手伝いをしていた。 実直な仕事ぶりが認められ、週末に住民たちとビールを飲む仲になった。 独市民権を取得後、 「選挙に出たら?」 と擁立された。 「シリアに帰れ」 という罵声を浴びたこともあるが、新風を求める有権者の支持を得た。 ■「西欧の価値観」と距離 アルシェブルは自身の経験を踏まえ、 「シリア人だけで都会に集まり、ドイツ社会との断絶が生まれる」 ことを懸念する。 彼の脳裏にあるのは、ベルリンにできた 「シリア人街」 だ。 難民たちが集まるようになった一角で、アラビア語の看板やパレスチナ旗が溢れ、ベール姿のイスラム女性が行き交う。 白人はほとんどいない。 西欧の首都に別世界が広がる。 難民のサアド・カイヤリ(62)はシリア人街の常連の1人。 2015年、妻子を連れてシリアから欧州に渡った。 支援施設でドイツ語を習得したが、ずっと定職に就けなかった。 「受け入れてくれたドイツには感謝する」 「だが、友人はできず、寂しい」 と疎外感に悩む。 カイヤリは、西欧流の男女平等に馴染めない。 素足や胸元を晒すドイツ人女性が通りかかると、 「なんだ、あの格好は」 「孫娘には絶対に真似させない」 と憤る。 馴染みの水たばこ店は男性客ばかり。 女性が入れない空間がある。 ■「1割は統合できない」 ドイツ西部カルフ郡の首長、ヘルムート・リーガー(62)は 「どんなに努力しても、難民の1割は統合できない」 「暴力や麻薬取引に走る人がいる」 と指摘する。 リーガーは首相、メルツの保守系与党、キリスト教民主同盟(CDU)に所属し、カルフで難民受け入れ体制の指揮をとってきた。 10年間の経験から育った環境や文化の違いを軽く見るべきではないと実感している。 「ドイツでは女性も働く」 「同性結婚ができる」 と教えても、受け入れられない人がいるからだ。 郡役場の難民支援窓口では約2カ月に1度、暴れる人が出るという。 「職員を守るため、窓口に緊急ブザーを設置した」 と話す。 ■相次ぐ犯罪で偏見深まる 今年2025年2月、ベルリンではシリア難民がホロコースト(ユダヤ人大虐殺)追悼施設にいた観光客を刃物で刺した。 2025年6月には公共プールで、若い男の集団が少女8人にわいせつ行為をする事件が発生。 報道によると、逮捕された4人はシリア人だった。 騒ぎの度に 「移民が平和だったドイツを変えた」 という反発が広がり、偏見も深まる。 リーガーは、かつてメルケルの寛容な移民政策に共鳴した。 今は考えを変えた。 「あの時、国境管理がなし崩しになった」 「『誰を迎え入れるのか』は、国が決めねばならない」 ドイツ経済研究所は2025年1月、経済成長を保つため 「2029年までに150万人の移民が必要」 と試算した。 2015年以降、シリアやウクライナから計650万人の外国人が来たのに、人手不足を移民で補うシナリオは計算通りに進んでいない。 敬称略 クルド人問題を見ると「日本人ファースト」は当然だと思う。 外国人との共生などという綺麗事よりも、実際に外国人から日本人が受けている迷惑の方が重要な問題だ。 外国人問題「報道しない自由」が新たな分断と対立を生んでいる 参院選の争点に突如浮上 メディアウォッチ 皆川豪志 2025/7/13 13:00 https://www.sankei.com/article/20250713-L4UHUKWKDRDXVGSWJEDXOHSZRA/?outputType=theme_election2025 自民党の参院選公約に 「違法外国人ゼロ」 が盛り込まれたこともあって、一部外国人による住民トラブルや不法滞在者などの外国人問題が突如、参院選の争点に浮上した。 ANN(テレビ朝日系) が公示日の今月2025年7月3日から7日まで参院選に関するX(旧ツイッター)投稿について調べたところ、 「消費税」(98万) や 「減税」(91万) を上回って 「外国人問題」に関する投稿が163万 でトップだったそうだ。 その割には、新聞やテレビなどの「オールドメディア」は、この問題にからんで実際に起きている事例や解決策などの具体的な報道が少ない気がする。 ■「アベマTV」炎上 先の調査も投稿の中身にまでは触れていないが、少なくともインターネット上で好意的に捉えられている事案とは言い難い。 Xを含むSNS(交流サイト)では、言葉は悪いが、国民のうっぷんが相当たまっていることが見て取れるのだ。 いくら声をあげても何も改善しない。 むしろ悪い方向に進んでいる。 大手メディアもこの問題をほとんど報じないのだから、SNSで自ら発信するしかない――。 そんなもどかしい状況が繰り返されているのではないか。 例えば、先のテレビ朝日が事実上制作するインターネット番組「ABEMA(アベマ)TV」は先月2025年6月と今月2025年7月の2度に渡って埼玉県川口市のクルド人問題について特集したが、その内容を巡ってSNS上は2度とも 「炎上」 した。 2025年4月に放送されたNHK・ETV特集 「フェイクとリアル〜川口 クルド人 真相〜」 も 「偏向報道」 との批判が殺到し、再放送が一時延期された。 これらはむしろ 「報道している」 ケースだが、 「可哀相なクルド人」VS「ヘイトを繰り返す日本人」 という一面的な取り上げ方は否めず、実際にクルド人との軋轢に悩む地域住民にとっては 「まずは公平に自分たちの話も聞いてほしい」 と思ったことだろう。 一方で 「報道しない自由」 は益々顕著だ。 今月2025年7月1日、埼玉県議らが、川口市内の警察署でクルド人らに車を取り囲まれて怒声を浴びせられた騒ぎを告訴した件を巡って記者会見したが、報道したのは産経ニュースのみだった。 会見には、ほぼ全ての全国紙などが出席し、90分以上もの質疑応答が続いたにもかかわらずだ。 同様のケースに、川口市内の女子中学生が執行猶予中のクルド人男に性的暴行を受けた裁判もある。 各メディアとも毎回のように傍聴に訪れ、今月2025年7月4日には懲役10年が求刑されたが、こちらも記事にしたのは産経だけだった。 他はこの事件があったことすら報じていない。 ■外国人のせいではない 実際、SNS上では 「外国人問題」 「クルド人問題」 そのものよりも、 「メディアがなぜ報道しないのか」 という不信感を持った投稿が目につく。 大手メディアはよく 「SNS情報は玉石混交」 「正しい取捨選択が必要」 などと、さもSNSの信用が置けないようなことを主張するが、大手メディアが取材したことすら発信せず、都合のよい情報しか出さないのであれば、受け取る側は、そもそも 「取捨選択」 すらできないではないか。 これが今、我が国で起きている 「外国人問題」 の本質である。 例えば、ある対立した問題で、客観的な立場にある人が一方の言い分だけを取り上げ続けたり、問題そのものを無かったことのように扱ったりしたらと考えてみてほしい。 もう一方側が不公平さを感じて何らかの声を上げたくなるのは当然だし、その声が次第に大きくなっていくのは想像できることだろう。 メディアは、そうした声も全て 「差別」 「ヘイト」 とレッテルを張り、外国人との 「共生」 だけを訴える。 このような言論空間が続けば逆に、抑えつけられた声が外国人に対する憎悪のようなものに発展する恐れすらある。 その不満がいつか爆発し、より一層社会の分断を増幅させるような事態になったとしたら、それはもう、決して外国人のせいではない。 メディアは何故そんな簡単なことに気づかないのだろうか。 参政党急伸させた「外国人問題」、失言連発の石破自民党は国民感情くみ取れず 岩田明子 さくらリポート 2025/7/13 12:00 https://www.sankei.com/article/20250713-EL2F6RGN4RMI5K5CR7U5HTDTCM/?outputType=theme_weekly-fuji 中盤戦に入った参院選(2025年7月20日投開票)で、神谷宗幣代表率いる参政党の支持が急伸している。 共同通信社が2025年7月5、6両日に行った全国電話世論調査(第2回トレンド調査)で、比例代表の投票先を聞いたところ、参政党は8・1%と、国民民主党(6・8%)や立憲民主党(6・6%)を上回って2位となった。 参政党を際立たせているのは 「日本人ファースト」 というキャッチフレーズだ。 外国人政策の抜本的な見直しを提案し、外国人による土地・不動産購入に厳格な制限を設けることなどを掲げている。 「外国人問題」 は以前から指摘され、現在では社会問題として認識されている。 参院選では、長引く物価高対策としての 「消費税減税」 の是非などに加え、外国人問題も重要争点となってきている。 この問題に対する国民不安の高まりをうまく汲み取ったことが、参政党の躍進に繋がっているのだろう。 ■後手に回る自民党 これに対し、石破茂首相(党総裁)の自民党は後手後手に回っている。 石破首相が外国人関連施策の新組織を設置する考えを示したのは、参院選が公示された5日後の2025年7月8日だった。 2025年7月10日のBSフジの番組では、 「日本人が普通に働いて(東京)23区で部屋を持てないとすればおかしい」 と述べ、外国人を含めた投機目的の不動産保有の実態把握を早急に行う考えを示した。 ただ、2025年7月2日に行われた日本記者クラブ主催の党首討論会では、石破首相は外国人問題に関して、 「七面倒くさい日本語や日本の習慣」 などと発言して批判を浴びている。 今回の新組織設置は 「選挙を睨んだパフォーマンス」 と勘ぐられてもおかしくない。 今の自民党は、国民感情をすくい取れなくなってきているのではないか。 第2次安倍晋三政権時代には、こんな事態はあり得なかった。 当時の安倍自民党では毎日、 「有権者はどんな政策に反応するのか」 「どんな言葉が響くのか」 について、SNSも含めて分析を行って選挙運動に反映させていた。 現在では難しくなったが、各地の商店街での練り歩きを重視し、有権者と触れ合うことで生の国民感情を知ることに腐心していた。 ■甘すぎる鶴保氏への対応 石破自民党が国民感情と乖離しているのは、鶴保庸介参院予算委員長の 「運のいいことに能登で地震があった」 との発言に対する対応からも伺える。 自民党内から鶴保氏の離党を求める声が上がったが、自民党の森山裕幹事長は鶴保氏に電話で厳重注意し、重い処分を科すことはなかった。 第2次安倍政権時代の2017年4月25日、今村雅弘復興相(当時)が派閥のパーティーで、東日本大震災について 「まだ東北で、あっちの方だったから良かった」 「首都圏に近かったりすると、莫大な、甚大な被害になった」 と述べると、パーティーに出席していた安倍氏は直後、 「東北の方々を傷つける極めて不適切な発言だ」 と不快感を示し、僅か1時間以内に更迭を決めた。 その前例からすると、今回の鶴保氏に対する対応は 「甘すぎる」 と言わざるを得ない。 ■首相発言にも批判 トップの石破首相も自身の問題発言で批判を浴びている。 2025年7月9日の千葉県船橋市での街頭演説では、トランプ米政権との関税交渉について 「国益をかけた戦いだ」 「なめられてたまるか」 「たとえ同盟国であっても正々堂々言わなければならない」 「守るべきものは守る」 と述べた。 これに対し、国民民主党の玉木雄一郎代表は 「選挙対策として、相手のいない所で厳しい言葉を発するのは交渉を円滑に進める上でマイナスだ」 「国益に反する」 と批判した。 玉木氏の指摘はもっともで、日本国内でいくら強気をアピールしたところで意味はない。 EU(欧州連合)と連携するなど、トランプ政権に対抗する態勢を構築していない中での、石破首相の発言は 「戦略性を欠いている」 としか言いようがない。 ■与党過半数も怪しい雲行き 石破首相は今回の参院選で、非改選を含めた自公与党の過半数維持を 「必達目標」 と位置づけているが、その実現すら雲行きが怪しくなってきたとされる。 衆院に続いて参院も少数与党となれば、選挙後の政治は更に不安定さを増す。 自民党の苦境は 「国民感情を汲み取れない」 という戦略ミスから、 「参政党に支持層を浸食された」 のが原因ではないか。 国民のニーズに寄り添った劇的な変化を遂げない限り、自民党は今後も厳しい状態が続くだろう。 参政党にも妨害行為相次ぐ「ヘイトだ」「デマだ」 党候補は「外国人含め、消費税廃止を」 2025/7/13 11:48 https://www.sankei.com/article/20250713-K6H7SJEOTVHDTIGTT27YFRTFSI/?outputType=theme_election2025 参院選(2025年7月20日投開票)を巡って、 「日本人ファースト」 を掲げる参政党への妨害行為が各地で相次いでいる。 2025年7月12日に同党がJR亀有駅前(東京都葛飾区)で街頭活動を行った際、 「ヘイト集団」 「参政党 ナチス」 のビラを掲げるアンチの人々が集結し、 「排外主義反対」 などと絶叫し続けた。 それに対し、党スタッフや支援者らは言い返すことはせず、抑制的な対応に努めていた。 ■マスク姿でビラ掲げる 午後2時過ぎ、駅前の広場にマスクや帽子、サングラスを付けた約10人のアンチが集まっていた。 比例代表に擁立した新人、重松貴美氏(36)が選挙カーで、自己紹介を始めると、男性2人が最前列で野太い声を張り上げる。 「デマ宣伝やめろ!」 「人間にファーストもセカンドもないだろ!」 既に50人近い支援者が話を聞こうとしており、やや困り顔のスタッフは2人に対し 「選挙妨害になりますよ」 と伝えている。 一方、重松氏は 「政治とカネ」 が焦点になった昨年2024年10月の衆院選を振り返り、 「自民党、立憲民主党の公約の一丁目一番地が『国民生活を豊かにする』と全く関係なかった」 と指摘し、参政が消費税減税と積極財政を掲げ続けていることを挙げ 「唯一の国民目線だ」 と述べ、参院選での支持を訴えた。 「差別」 らしき言葉はないが、 「差別を煽るな」 などと罵声が飛ぶ。 ■穏やかに語り合いたい 続いて、東京選挙区(改選数6、補欠1)に出馬した新人さや氏(43)は 「妨害する人に説明しようとすると、声が荒くなってしまう」 と述べ、 「本当は声なんか荒らげたくない」 「穏やかな気持ちで語り合いたい」 と苦言を呈した。 アンチが良く飛ばす文句が 「人間にファーストもセカンドもない」 だった。 さや氏は 「日本人ファースト」 について、 「訴えている政策は日本人だけのことではない」 「消費税廃止も全ての人にとって大事だ」 「日本に住んでいる外国の方も含めて生活が厳しい」 と反論した。 それでも、アンチは約30メートル後方の一角から集団で罵声を浴びせているが、スタッフらが 「妨害行為に冷静な対応をお願いします」 と書かれたビラを示したためか、罵声に反応する支援者は確認されない。 ■外国人実習生の苦境訴え 一方、さや氏に先立って、登壇した経済評論家の三橋貴明氏は 「アンチの皆さん、お疲れさまでーす」 などと反応し、平成5年導入の外国人技能実習制度を巡る実習生の苦境を説明し出した。 「デフレが続き、企業は賃金を引き下げ、それでも人が足らず、外国の方々を日本に入れた」 「彼ら彼女らは日本人の7割の給料で奴隷的な労働を強いられた」 「転職もできない」 と述べ、アンチの方角に向かい、こう強調した。 「この政策を経済界の要望で推進した自民党」 「差別、差別言うなら、自民党に言え。お前ら」 「日本人として恥ずかしい」 「外国人の方々を安く働かせて」 「その恩恵を我々が受けた」 その上で、 「もうやめよう」 「日本で、きちんと日本人の所得が上がって、生産性が上がって、外国の方々に優しくできる、ちゃんとした日本を取り戻そう」 「これが参政党の言っている日本人ファーストだ」 と述べ、経済政策全般を見直すことで外国人の就労環境の実態を改善する必要性を訴えた。 参政党が矛先を向けたのはアンチの妨害行為よりも、石破茂政権だった。 ■守るべきは消費税でなく国民 さや氏は、小泉進次郎農林水産相について 「水田の所に行って写真を撮ったりする」 「何の意味があるのか」 「データを見れば農業予算が足りないことは分かるはずだ」 と述べ、事実上の減反政策の継続を疑問視した。 小泉氏は2025年6月、水田の脇でパイプ椅子に座り、農業関係者と語り合う動画でX(旧ツイッター)に投稿している。 三橋氏は、自民党の森山裕幹事長が2025年6月の講演で 「消費税を守り抜く」 と発言したことを挙げ、 「守らなければいけないのは消費税ではなく、国民ではないか」 「国民を守らないなら、政治家を辞めろ」 と声を張った。 参院選を巡っては、東京選挙区に立候補している国民民主党新人、牛田茉友氏(40)が車で長時間追跡されたり、比例代表に社民党が擁立した現職、大椿裕子副党首(51)が街頭活動中に侮蔑的な対応を受けたりするなど、妨害行為が相次いでいる。 ◇ 東京選挙区には、吉良佳子(共産)、山本譲司(れいわ)、吉永藍(無所属)、土居賢真(無所属)、藤川広明(諸派)、西美友加(社民)、小坂英二(保守)、さや(参政)、峰島侑也(諸派)、武見敬三(自民)、奥村政佳(立民)、牛田茉友(国民)、酒井智浩(みんな)、福村康広(諸派)、桑島康文(諸派)、渋谷莉孔(諸派)、奥村祥大(国民)、吉田綾(諸派)、鈴木大地(自民)、塩村文夏(立民)、吉沢恵理(無所属)、市川たけしま(諸派)、川村雄大(公明)、音喜多駿(維新)、平野雨龍(無所属)、山尾志桜里(無所属)、千葉均(諸派)、増田昇(無所属)、辻健太郎(諸派)、早川幹夫(諸派)、石丸幸人(諸派)、高橋健司(無所属)の32氏が立候補している。 <政治部取材メモ>ライバルは「身内」 参院比例で自民保守系が競合 参政躍進も不安要素 2025/7/14 10:00 https://www.sankei.com/article/20250714-YQLPM533CJPLRG7W6RKCTEA3GI/?outputType=theme_election2025 2025年7月20日投開票の参院選の比例代表で当選を目指す自民党の一部候補が、石破茂政権や党の方針とは一線を画した主張を展開している。 岩盤保守層を睨んだ政策が参政党など新興勢力にお株を奪われつつある中、従来の支持層の離反を食い止める狙いがある。 ただ、比例には主張が重なる自民保守系が多く参戦しているだけに、個人票がモノを言う戦いを勝ち抜くのは容易ではない。 ■元安倍派の焦り 保守政治家の象徴とされた安倍晋三元首相の命日の2025年7月8日、参院選比例代表に立候補した自民の長尾敬元衆院議員が炎天下の東京・渋谷でマイクを握った。 旧安倍派に所属した長尾氏は 「本来であれば心穏やかに安倍元首相の御心に思いを馳せる、そんな1日にしたいところだが、そうも言っていられない」 と切り出し、スパイ防止法の制定や外国人による土地買収規制など保守層を意識した主張を展開した。 自民が公約の柱に掲げる 「2040(令和22)年に名目国内総生産(GDP)1千兆円」 の目標に関しては、 「減税と公共投資を中心とした強力な財政出動によって成し遂げる」 と訴えた。 具体的な減税策としては首相が否定する消費税減税を提案。 「我が国の経済停滞の最大の原因は消費税だ」 「経済成長なくして財政再建なし」 と、安倍氏がよく口にしたフレーズを引用し、声を張り上げた。 足を止めて演説に耳を傾ける人はほとんどいなかった一方で、長尾氏の訴えに 「そうだ」 と呼応し、日の丸の小旗を振る熱心な支持者の姿も見られた。 海外からの就労者や観光客の増加に伴う外国人問題への対応強化は、反対派にとってセンシティブな訴えだけに街頭演説を荒らされる候補もいる。 長尾氏と同じ自民の比例代表候補で、旧安倍派に所属した杉田水脈元衆院議員は2025年7月4日、トルコの少数民族クルド人の一部と地元住民との摩擦が表面化している埼玉県川口市でマイクを握った際、怒声で演説を妨害されたとして警察に被害届を提出した。 杉田氏の公式ユーチューブチャンネルには、聴衆の一部が外国人問題について 「お前らの妄想だ」 と声を荒らげたり、杉田氏に対し 「ヘイトスピーカーが」 などと罵る様子を収めた動画が投稿されている。 ■自民に来るべき票が… 一部の比例候補が保守色を強める背景には、安倍氏を失い 「左傾化」 する自民への危機感がある。 令和5年に成立したLGBTなど性的少数者への 「理解増進法」 や 「選択的夫婦別姓」 を巡る対応などに嫌気がさした結果、岩盤保守層は自民離れを加速させている。 2025年7月6月の東京都議選でも複数の報道機関の出口調査で自民が旧来の支持層を固めきれなかった実態が浮き彫りになった。 これに、保守的な政策を前面に打ち出す参政党など新興勢力の台頭で 「埋没しかねない」 という不安が追い打ちをかける。 特に参政党は 「日本人ファースト」 を旗頭に外国人による不動産取得の規制強化などを唱えており、自民の保守系候補と訴えが重なる部分が多い。 参政党は都議選で初めて議席を獲得するなど一部の自民支持層を取り込んでいるとみられる。 自民関係者は 「ここ数年、LGBTや選択的夫婦別姓の問題を巡って党内で収拾がついていない」 「参政党や日本保守党の得票は本来、自民に来るべき票だ」 と危機感を露わにする。 前回令和4年の参院選で自民は比例代表で18議席を獲得した。 今回は厳しい逆風に晒されており、現状では議席を減らすとの見方が大勢だ。 自民は比例に長尾氏や杉田氏ら31人を擁立した。 ある比例候補は 「14議席も取れるか分からない」 「本当に厳しい戦いだ」 と漏らす。 自民内では党内の比例当選ラインは個人票18万とも囁かれる。 身内同士の生き残りをかけた戦いは残り1週間を切った。
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