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自民党総裁選「靖国参拝」は保守リベラルと右翼を分ける境界線 永田町の裏を読む
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/378302
2025/10/01 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し
「合祀は立法府の手続きを経ている」、靖国神社参拝をした高市早苗氏/(C)共同通信社
9月28日にフジテレビが行った自民党総裁選の候補者討論番組で、林芳正は靖国神社に合祀されている「A級戦犯」を分祀し「皇室を含めてわだかまりなく手を合わせることができる環境をつくるのが政治の責任だ」と強調した。その際、彼は中曽根康弘元首相が「分祀にずいぶん熱心に取り組まれ、もう一歩のところまで行った」こと、彼が所属した旧宏池会の会長や日本遺族会の会長を務めた古賀誠元幹事長も「同じように取り組んだ」ことに言及した。茂木敏充は直接分祀に言及はしなかったが「どういう形なら誰もが英霊の御霊に手を合わせることができるかの方策を検討すべきだ」と、林をフォローした。
それに対し高市早苗は番組の中で「裁かれた戦犯は刑が執行された段階でもう罪人ではないので、どこからでも手を合わせたい」と述べ、番組終了後には記者団に「合祀は立法府の手続きを経ている」などと強調した。小林鷹之と小泉進次郎は「適切に判断する」と言って逃げた。
ここに、保守リベラルと右翼とを分ける境界線のひとつがある。中曽根は85年8月15日に首相として初めての「公式参拝」を行ったが、中韓両国から強い批判を受け、翌年8月15日には中国の胡耀邦総書記に「侵略戦争の責任を持つ特定の指導者が祀られている靖国神社に参拝することで、貴国はじめアジア近隣諸国の国民感情を傷つけることは避けなければならない」として参拝を取りやめた。これは、日中国交正常化に至る過程で、中国側にはまだ広く日本の侵略の傷痕が残っている中で、周恩来が「戦争を進めたのは日本の一部軍国主義者であり、日本国民は一面でその被害者である。だから中日人民は手を結び二度とアジアで戦争が起きないようにしなければならない」という(周恩来ロジックと呼ばれた)説得の仕方で国交にこぎつけた。なのに日本の首相がA級戦犯を祀った靖国に参拝してしまうとその際どいロジックをブチ壊すことになるから「それだけはやめてくれ」というのが中国側の悲痛な叫びで、中曽根はそれをよしとした。
高市ら右翼が「合祀は立法府の手続きを経ている」と言うのは、国会が何度か戦犯の名誉回復のための決議を上げていることを指していて、だから極東裁判はおかしい、A級戦犯など存在しないと言いたいわけだが、そんなことを言い出すと「それじゃあ、あなたの考える日本の戦争責任者は誰なんですか」という議論に引きずり込まれていく。日本人は自分の手で戦争責任を裁かなかったから極東裁判の結果を受け入れざるを得なかったという経緯から逃れることはできない。
高野孟 ジャーナリスト
1944年生まれ。「インサイダー」編集長、「ザ・ジャーナル」主幹。02年より早稲田大学客員教授。主な著書に「ジャーナリスティックな地図」(池上彰らと共著)、「沖縄に海兵隊は要らない!」、「いま、なぜ東アジア共同体なのか」(孫崎享らと共著」など。メルマガ「高野孟のザ・ジャーナル」を配信中。
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