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財政緩和・金融引締めが適正
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2025年12月 2日 植草一秀の『知られざる真実』
経済政策について正しくない情報が流布されて大きな混乱が広がっている。
経済政策を考察する際には「マクロ」と「ミクロ」の両面を見る必要がある。
マクロの経済政策の考察対象は財政政策と金融政策。
いずれも「緩和」と「抑制=引き締め」がある。
これまでの財政金融政策は
・財政緊縮
・金融緩和
を基調としてきた。
財政が緩和であるのか緊縮であるのかの判定基準は財政赤字の増減である。
〈歳出−税収〉を〈財政赤字〉と定義して、その〈財政赤字〉の前年差の数値を見る。
2020年度に法外なバラマキ財政が実施されたこともあり、2021年度から25年度まで「超緊縮」の財政運営が続いてきた。
財政赤字削減は年平均9.9兆円。

平均約10兆円の赤字削減財政が執行されてきた。
財政政策運営は「超緊縮」であり続けた。
高市内閣は11月28日に総額18.3兆円の補正予算案を閣議決定した。
一般会計の歳出追加は18.3兆円。
同時に税収見積もりを2.9兆円上方修正した。
これを加味すると2025年度の財政赤字は5.2兆円の財政赤字拡大になる。

「超緊縮財政政策運営」を「小幅積極財政運営」に転換する。
マクロの財政政策運営を「超緊縮」から「小幅緩和」に転換することは妥当。
財務省は財政支出拡大を牽制して「情報戦」を展開している。
「財政収支悪化懸念から長期金利が上昇している」
というフェイクニュースを流布している。
長期金利は上昇しているが主因は財政収支悪化懸念ではない。
財務省は日本の財政危機を喧伝するが日本財政はまったく危機に直面していない。
一般政府のバランスシートを見ると2023年末時点での日本政府の資産は1701兆円、負債は1442兆円で、259兆円の資産超過になっている。

この状況で財政危機はあり得ない。
長期金利上昇は「インフレ懸念拡大」が主因。
インフレが亢進しているのに日銀が迅速に利上げを決定しないために長期金利が上昇している。
12月1日の講演と会見で日銀の植田総裁が12月の利上げ決定を示唆した。
正しい政策方向性を示した。
日本の金融市場では日銀の利上げ観測を受けて長期金利が上昇する反応を示すことが多いが、これはあくまで短期の反応である。
インフレ心理がしっかり抑制されれば長期金利は逆に低下しやすくなる。
現在の日本の状況を踏まえると、
「財政緩和・金融引き締め」の政策対応が正しい。
高市内閣は「財政緩和」に着手したが「金融引き締め」を妨害する言動を示してきた。
この是正が求められている。
財政政策はマクロ面では正しい方向に政策が修正されつつあるが、ミクロ面では問題が多い。
財政政策の中身が問題になる。
何よりも求められるのは消費税減税である。
減税財源は十分に存在する。
また、今後、最大の警戒を要するのが個人消費の動向。
日本の個人消費は消費税率が5%から8%に引き上げられた2014年4月を境に「減少トレンド」に転じてしまっている。

最近の日本の個人消費を支えている最大の柱は訪日外国人の消費。
しかし、高市台湾有事発言で中国からの訪日客が激減する可能性がある。
その影響は極めて深刻になると想定される。
高市首相発言は日中友好関係を根底から覆してしまう誤ったもの。
迅速に発言を撤回することが求められている。
続きは本日の
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