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「野党が悪い」の論調が日本の閉塞感の元凶だ 金子勝の「天下の逆襲」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381047
2025/12/02 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

自らの台湾有事発言について、謝罪することなく、あろうことか質問をした野党のせいに(C)日刊ゲンダイ
高市首相は、台湾有事について「存立危機事態になり得る」と、従来の政府見解を踏み越えて発言した。これに対し中国は、日本への渡航自粛や水産物の輸入禁止といった措置を打ち出し、激しく抗議している。こうした状況の中、高市は発言を徐々に修正。その理由は、トランプ大統領を無視した高市の台湾有事発言による。
米メディアによると、高市との電話会談では、トランプは「とても良い電話会談」だと強調した一方、台湾有事発言を抑制しろと述べたという。中国との軋轢は米国のみならず日本へのデメリットも大きいが、高市は自らの発言について謝罪することなく、あろうことか質問した野党のせいにしようとしている。とんでもないことだ。
複数のタレント、著名人もこうした論調にSNSで乗っかっている。日本人なのに日本に不利なことを言わせた野党が悪いと言う。これは国会の論争を無意味にし、野党も大政翼賛会になれと言うのに等しい。しかも、兵庫県の斎藤知事によるパワハラや公益通報者保護法違反疑惑と構図がそっくりだ。斎藤は「自分は悪くない」と言い張り、兵庫県の職員なのに内輪の問題を内部告発した県民局長や問題を追及してきた竹内元県議の人格を攻撃し、彼らのせいにして、追及から逃れようとしたからだ。これは会社や役所で不祥事が起きても内部告発を認めず、むしろバッシングして排除する論法であり、組織内部で言論を抑圧させるスパイ防止法と同じ発想である。
リーダーたちが自らの責任を回避し、非を追及する者に責任を転嫁。このやり口は、日本社会の病理といえる。政治や経済における失敗の責任を問えず、誤りが止まらないからだ。
考えてみてほしい。原発事故では3800人もの関連死者と16万人もの避難者を出したにもかかわらず、誰も責任を取っていない。さらにさかのぼれば、48兆円もの公的資金を投入した金融危機でも、銀行経営者は誰も責任を取らなかった。裏金や政治献金問題でも当事者である自民党が勝手な処分基準を決め、誰も責任を取らない。森友・加計学園問題でも、公文書を改ざんして責任を回避し続けてきた。
こうした、自らの失敗の責任を取らない体質が、この国の閉塞感をもたらしている。いま日本の政治と経済は、第2次世界大戦が敗戦に向かっていったのとそっくりになっている。
防衛費の膨張に歯止めが失われる中、日本は経済敗戦に向かっている。高市の、質問した野党に責任を転嫁するようなやり方を許せば、モノが言えなくなり、ひたすら竹槍を持って防空壕に逃げ惑うことなりかねないのだ。

金子勝 慶大名誉教授
1952年6月、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業、東京大学大学院経済学研究科博士課程修了。法政大学経済学部教授、慶應義塾大学経済学部教授などを経て現職。慶応義塾大学名誉教授。文化放送「大竹まことゴールデンラジオ」などにレギュラー出演中。近著「平成経済 衰退の本質」など著書多数。新聞、雑誌、ネットメディアにも多数寄稿している。
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