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※2025年12月13日 日刊ゲンダイ2面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋
本当にやりたいのは「戦争国家」 バラマキでまんまと高支持率、高市政権の怖さはこれからだ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381570
2025/12/13 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

この笑顔の裏に(C)日刊ゲンダイ
少数与党だったのに、維新を取り込み、バラマキ補正には国民民主、公明まで賛成させて、第一段階をクリアした高市政権。高支持率に野党はひるみ、醜聞追及も中途半端に終わっているが、高市の怖さはこれからだ。「そんなことより」やりたいのは議員定数削減ではないぞ。
◇ ◇ ◇
やはり危険な地金をさらした発言だった。高市首相が台湾有事について、「存立危機事態になり得る」と国会答弁してから1カ月余り。主に内閣官房が作成した当時の答弁資料の全容が判明した。立憲民主党の辻元清美参院議員の質問主意書に関連して政府が開示。辻元が自身のXに公開した。
11月7日の衆院予算委員会で高市は、立憲の岡田元外相から台湾有事の見解を問われ、「戦艦を使って武力行使も伴うなら、どう考えても存立危機事態になり得る」と答弁。しかし想定問答の形式を取った答弁資料には、高市答弁に該当する記載は一切ない。「台湾有事という仮定の質問にお答えすることは差し控える」などとあるのみだ。
事務方は歴代首相の答弁ラインを超えないように対応していたのに、高市がその場のアドリブで持論を展開していたことが改めてハッキリした。
高市答弁を機に、日中関係は悪化の一途だ。両国の緊張はとうとう、中国軍機の自衛隊機へのレーダー照射という軍事分野にまで拡大した。中国の要求通り答弁撤回に応じれば、集団的自衛権を行使する「存立危機事態」の判断の幅が狭まり、台湾有事は該当しないと宣言するも同然である。もはやニッチもサッチも行かず、つくづく高市は「いらんこと」を言ったものだ。
存立危機事態の認定を巡り、木原官房長官は12日の会見でも、「個別具体的な状況に即し、全ての情報を総合して判断する」という政府の立場は「一貫している」と説明。その伝でいけば、アドリブ答弁で政府の立場を明らかに逸脱した高市は「首相失格」ではないのか。
それなのに、野党の追及は緩い。緩すぎる。世論の圧倒的な高市人気にビビり、「攻撃しても支持を得られない」と思い込んでいるフシがある。
中国の反発が強まるほど高まる高市人気
高市内閣の支持率は6〜7割の高水準を維持し、とりわけ高市の答弁を擁護する意見が多い。どの世論調査の結果を見ても、高市答弁は「適切だと思う」が多数を占め、「適切だとは思わない」を大きく上回っている。
毎日新聞の調査によると、内閣支持層のうち「首相の指導力に期待する」とその理由を答えた層に限れば「適切だ」が74%まで高まり、中国への「強気な姿勢」が支持基盤を固めている側面があるという。中国の反発がエスカレートするほど、高市人気が高まる展開で、野党はますます高支持率にひるむ。なるほど、大きな混乱もなく、バラマキ補正予算案が衆院をあっさり通過したわけだ。
26年続いた公明党の連立離脱により、慌てて日本維新の会とホンの短い期間で協議し、樹立した急ごしらえ内閣。公明よりも議席の多い維新を取り込んで必要な数は縮まったが、発足時には衆院過半数に3議席足りない少数与党政権だった。
そのため、あのNHK党所属の議員にまで触手を伸ばし、参院の与党会派に入れた。立花党首の逮捕後に抜けたとはいえ、なりふり構わぬ悪あがき。衆院側は何とか維新から除名処分を受けた3議員の会派「改革の会」を加え、ちょうど過半数に到達。おかげで与党単独で予算案を通過させ、自然成立できるようになったが、参院では少数与党の不安定な状況が続く。
除名議員の与党会派入りに維新が面白かろうはずもなく、定数削減法案を巡っても自民とギクシャク。国民民主党と公明が共同提出した企業・団体献金の規制強化法案の修正協議に応じ、自民を揺さぶっている。与党間にすきま風が吹く中、野党が間隙を突き、くさびを打ち込むスキはいくらでもあったはずだ。
音を立てて崩れてゆく平和国家の理念

現状容認にカジを切り(C)日刊ゲンダイ
ところが、野党は手ぬるい。ぬる過ぎる。林総務相の公選法違反疑惑といった閣僚級の醜聞追及も中途半端。挙げ句に、国会で玉木代表が「一緒に関所を越えていきたい」と高市に繰り返し秋波を送る国民民主はともかく、公明まで補正予算案の賛成に回る始末だ。
今回の補正予算案は、高市の掲げた「責任ある積極財政」を旗印にハナから規模ありき。とにかく前年度補正を超えようと、あれもこれもと無責任な大盤振る舞いだ。自賠責保険料の特別会計への繰り戻し(国民民主)や、子ども1人2万円給付(立憲・公明)と野党の要望も約1兆円規模で詰め込んだ結果、一般会計の歳出はコロナ禍後最大の18.3兆円に膨張。6割超を借金である国債で賄う人気取りのバラマキ策でしかない。
「年度途中の不測の事態に対応するのが補正予算の原則なのに、すぐに使われない41もの『基金』に計2.5兆円も計上されています。公明も問題視し、不要不急の基金の削減を求める組み替え動議を立憲と共同提出し、否決された。それでも、補正案の採決に賛成したのは理解に苦しみます。しかも防衛費のGDP比2%目標を2年前倒しし、補正案には関連経費を含め1.1兆円も積み増した。防衛費は毎年、使い切れず1000億円規模で余らせているのですよ。これぞ不要不急で、補正案の賛成に回った公明は『平和の党』の看板を返上すべきです」(政治評論家・本澤二郎氏)
公明は中国と歴史的に深い関係を構築。いたずらに関係を悪化させた高市を、どの党よりも糾弾すべき立場だ。野党第1党の立憲も存在感を示せず、暴走政権のブレーキ役が見当たらない状況になっている。
中国の威圧を軍拡世論の誘導に逆利用
おかげで発足後初の予算案の成立が確実となり、高市政権は第一の難関をクリア。高市の怖さはこれからが本番だ。断っておくが、やりたいのは決して議員定数削減ではない。それこそ「そんなことより」本当にやりたいのは「戦争ができる」国づくり。自民と維新の連立政権合意書を読めば一目瞭然である。
維新が訴え続けてきた企業・団体献金の「禁止」は棚上げし、安保・外交とインテリジェンス政策は軍拡・戦争準備メニューの目白押しだ。▼緊急事態条項を創設するための憲法改正▼9条改憲の両党起草協議会の設置▼スパイ防止法の制定▼内閣情報調査室及び内閣情報官を格上げし、「国家情報局」及び「国家情報局長」の創設▼日本版CIAの「国家情報会議」の新設--など、文字通り「戦争国家」へとまっしぐらだ。
また、長距離ミサイルの垂直発射装置を搭載する「次世代の動力を活用した」潜水艦の保有推進も明記。小泉防衛相は「あらゆる選択肢を排除しない」とし、原子力の活用を暗に認めた。核兵器を持たず、作らず、持ち込ませずの国是である「非核三原則」の見直しも視野に入れている。
海外に殺人兵器を売り込もうと「防衛装備移転三原則」に定められた「5類型」も撤廃し、すでに輸出先も豪州とフィリピンを軸に検討中だ。維新内からは5類型の撤廃にとどまらず、移転三原則そのものの見直しを求める意見も出ている。
原子力の平和利用の原則をかなぐり捨て、目指すは「死の商人化」。自民・維新のイケイケ政権は来年にも戦争準備を本格化させ、戦後日本の平和国家としての理念が音を立てて崩れようとしているのだ。法大名誉教授の五十嵐仁氏(政治学)は、こう危惧する。
「高市首相は自ら招いた中国の威圧的行動を逆手に取り、国民の不安をカキ立て、世論を軍拡へと誘導させていくでしょう。しかも野党第1党の立憲までが『安保法制の違憲部分の排除』の党是から大転換。今も専門家の多くが集団的自衛権の行使容認は『違憲』との認識でいるのに、現状容認にカジを切ろうとしています。高市首相支持の世論に屈して野党の腰が引け、この政権の危うい正体を厳しく批判しなくなれば、翼賛体制に逆戻りです」
間もなく「戦後80年」が暮れようとしているが、来年は「新しい戦前」、いや「新しい戦中」になってもおかしくない。
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