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※2025年12月22日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大

※紙面抜粋

※2025年12月22日 日刊ゲンダイ2面
成長戦略は「武器商人」…それみたことか 利上げでも円安、止まらない物価高
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/381943
2025/12/22 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

アベクロ念頭に圧力欠けたが裏目裏目の赤っ恥(C)日刊ゲンダイ
30年ぶりとか大メディアは騒いでいるが、恐る恐るの利上げでは逆効果。市場に足元を見透かされ、円安進行の物価高。庶民の暮らしは苦しくなる一方だが、 武器輸出で大企業だけ優遇の高市政治にいつまで国民世論は騙されるのか。
◇ ◇ ◇
政権に忖度しているのか、大メディアはきちんと報じていないが、植田日銀の政策金利利上げは見るも無残な失敗に終わった。円安に歯止めをかけるのが目的だったのに、円高どころか、逆に円安を加速させる結果となったからだ。それも一時は2円も安い1ドル=157円に。大新聞は0.75%への引き上げを「30年ぶりの高水準」とか大騒ぎしていたが、肩透かしどころか、「市場にあざ笑われた」というべきだろう。
それも当たり前の話で、物価上昇率が3%(生鮮食料品を除く)もあるのに、0.75%の政策金利ではマイナス2.25%になる。インフレ抑止にもならないのに、植田総裁は今後の利上げについて、「経済・物価・金融情勢次第」とか何とか言って、慎重姿勢を崩さなかった。その臆病さが円売りに拍車をかけたのである。
経済評論家の斎藤満氏はこう言った。
「そもそも、これだけ物価が上昇しているのに、対応が後手後手の日銀に海外勢のマーケットは苛立っていました。国内では“政策金利は今後上がっても1〜1.5%が限度だろう”との見方がありますが、海外は“物価上昇率が3%なのにそんな金利で済むわけがない”と思っている。つまり、インフレに対する植田日銀の姿勢そのものを問題視しているのです。それなのに、日銀は今回恐る恐る0.25%上げて0.75%にしただけで、今後についても踏み込まなかった。こりゃダメだで、円を売られた。植田日銀はジレンマに陥っていると思う。物価高抑制のために円安は修正したいが、政策金利の引き上げで株が下がるのを過度に警戒している。だから、どっちつかずになる。それが失望売りを招く。利上げで円安加速なんて、作戦の大失敗です」
金融のプロに言わせれば、「前代未聞の大失態」なのである。
日銀を脅し、赤っ恥をかいた高市首相

誰に気を使っているのか(C)共同通信社
もっとも、泡を食っているのは植田日銀総裁だけかというと、高市首相だって青ざめているのは間違いない。
金融緩和を続けさせるように日銀に圧力をかけてきたのが高市だし、しかし、円安、物価高が止まらず、トランプにも文句を言われたものだから、仕方なく、利上げを認めたという経緯があるからだ。高市にしてみれば、せっかく、決断したのに円安が加速してしまった。首相の“介入”は裏目に出たわけで、「赤っ恥」もいいところだ。
「高市首相は政権発足時に日銀の独立性に踏み込むようなトンデモ発言をしています。金融政策についても政府が責任を持つのがよいとし、日銀には政策的な整合性と十分な意思疎通を求めた。金融政策の大枠は政府が決めるから、日銀は具体的な政策手段だけ考えろ、と言わんばかりでした。高市首相にしてみれば、安倍元首相が黒田日銀に異次元緩和をやらせて、株価を吊り上げた成功例が頭にあるのでしょう。せっかく政権はスタートダッシュに成功し、株価も史上最高値を更新した。そんなところに金融引き締めで水を差されたら困る、ということで圧力をかけた。そのために植田日銀は10月の金融政策決定会合では利上げを見送った経緯があるのです」(日銀関係者)
それが利上げ容認に変わったのは円安が放置できないレベルになったからだが、もう一つ、元日銀審議委員でエコノミストの木内登英氏は野村総研のコラムでこんな見方を示していた。
<日本銀行が目指す利上げは金融引き締めではなく金融緩和の縮小であり、景気を悪化させない、といった日本銀行の説明を、高市首相が受け入れたのではないか>
要するに、利上げを渋る高市に日銀が「小出しにしますから」と説得したのではないか、というものだ。まさしく、ここが市場の失望を買ったのだが、こうした経緯があったのならば、刹那の人気に頼る政府が中央銀行をコントロールしようとして失敗する典型例だ。
同志社大名誉教授の浜矩子氏(国際経済学)は高市首相のことを「タコイチ首相」と呼んで、国民に警戒を呼び掛けている。その心は、「8本の危険な触手を伸ばそうとしているから」で「その1本は日銀の独立性を脅かそうとしていること」と言った。他の7本は財政規律の軽視や労働時間の規制緩和などだが、そうした懸念がいきなり、現実になってしまったのである。
1ドル=160円の可能性を専門家が指摘
果たして、この先円安はどうなるのか。植田総裁は今後の利上げについて、「(中立金利の)推計値の下限にはまだ少し距離がある」という言い方もしていた。中立金利とは景気を冷やしもしなければ刺激もしない水準を差す。日銀はそれを1〜2.5%とはじいているらしく、ここから次回の金融政策決定会合で1%にするのではないか、とみられている。とはいえ、このレベルでは海外勢からまたまた失望の円売りを招くだけだ。かといって、大胆な引き締めは株の下落や長期金利の急上昇を招くので、高市が反対する。
「今回の利上げが円安という逆効果を生んでしまったことで、円安を止めるのはかなり難しくなってきました。小出しの利上げではかえって円安が加速する。為替介入という方法もありますが、米国のOKと協力がいる。日米関係は高市首相が中国を刺激したことで微妙になっているので、簡単ではない。だとすると、円安はもっと加速する。160円くらいまで行ってしまうかもしれません」(斎藤満氏=前出)
この先も地獄の円安、物価高にドライブがかかっていくということだ。そもそも「積極財政」を標榜、付け焼き刃の物価高対策をやりながら、インフレ政策に邁進している支離滅裂が高市政権だ。この円安はデタラメ経済政策の成れの果て。そう簡単に収まるわけがないのである。
防衛産業カネもうけが正当化される世も末
高市政権のふざけたところは、庶民にはガソリン税の暫定税率廃止や「年収の壁」でゴマカシながら、18兆円を超える補正を組み、来年度予算でも防衛費の大幅増をもくろむなど、大企業優遇のインフレ政策を取り続けていることだ。
財政規律を軽視し、プライマリーバランスの単年度黒字化も放棄。口だけ「責任ある積極財政」などと言っているが、内実は「無責任な積極財政」で、インフレのアクセルを踏んでいる。
その一方で、日銀には勝手なことをするな、と脅している。庶民は円安・物価高でヘタる一方だ。
「高市インフレで恩恵があるのは、輸出型の大企業だけです。日本は食料もエネルギーも輸入するしかない。円安で、どんどん値段は上がっていく。一方、円安で輸出産業は儲かる。不公平極まりないが、政府は相変わらず、経団連企業を中心とした輸出産業を優遇する仲間内資本主義を続け、そこから献金をもらっている。もはや、経団連企業に世界的競争力はありませんから、危機管理投資などと言って、さらに優遇・支援しようとしているのが高市政権です。結果、こうした大企業の賃金は上がるかもしれませんが、中小企業や非正規の給料は上がらない。全体を見れば、実質賃金のマイナスは続くでしょう。アベノミクスを真摯に反省し、経済政策の大転換を図らなければ、日本経済を立ち直らせる構造改革はできません」(慶大名誉教授・金子勝氏=財政学)
防衛装備品輸出の規制撤廃では自民、維新、国民民主などが賛成しているが、平和国家の理念を置き去りにし、防衛産業の金儲けが「正当化」されているのだから、世も末だ。円安は止まらず、物価高は収まらず、「武器商人」ビジネスだけが肥えていく。緊張が高まり、格差が拡大すれば、「徴兵制」が頭をもたげてくる日も近いかもしれない。
高市の勇ましさを世論が歓迎し、その人気に日銀も野党も擦り寄れば、この国はどんどんグロテスクに歪められていく。
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