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ウクライナでロシアに敗北、イランの体制転覆に失敗したネオコンが核兵器に手
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202508020000/
2025.08.02 櫻井ジャーナル
ドナルド・トランプ米大統領は自分の思い通りにならないロシアに対する怒りが高まり、挑発的な言動をエスカレートさせている。ホワイトハウスの外交や軍事を支配してきたネオコンは現在も健在のようで、そうした人びとのアドバイスに従うトランプ大統領は制裁を手始めに、斬首攻撃でロシアの体制を転覆させようと妄想しているのだろう。
CNNが公開した音声によると、トランプは2024年に実施した資金集めの会合で、彼がウラジミル・プーチン露大統領に対し、「もしウクライナに侵攻したら、モスクワをぶっ飛ばす』と脅したと語っている。また、中国の習近平国家主席にも台湾の問題にからめ、同じように脅したという。
5月20日にウクライナ軍はウラジミル・プーチン露大統領を乗せたヘリコプターがクルスク上空に差し掛かった際、46機のドローンを使って攻撃したと伝えられている。ロシアの重要な内部情報が西側に漏れている可能性があり、衛星からの情報も必要。この攻撃をウクライナ軍が単独で実行したとは考えにくい。
そして6月1日、約120機のドローンでロシアのオレニャ(ムルマンスク)、ベラヤ(イルクーツク)、イバノボ(イバノボ)、ディアギレフ(リャザン)、ウクラインカ(アムール)の戦略核基地を攻撃した。「スパイダーズ・ウェブ作戦」だ。
大半のドローンはロシア領内から発射したようだが、一部はアゼルバイジャンから飛び立った可能性がある。これもアメリカやイギリスの情報機関から支援されたのだろう。そもそもウクライナの治安機関SBUはCIAの配下にある。この攻撃に対し、ロシアが核兵器で報復しても不思議ではない。
攻撃された基地のうち、ムルマンスクとイルクーツクでは火災が発生し、破壊または損傷されたTu-95戦略爆撃機は最大で5機。さらにIl-20が1機。ちなみに、ロシア軍が動かしているTu-95は58機だ。同じ日にウクライナ軍はルガンスクのクラスノドン市にある工業地帯をイギリス製のストームシャドウで攻撃している。
ウクライナからの情報によると、このドローンを使った作戦は18カ月かけて準備、ドローンの遠隔操作にはロシアの携帯電話ネットワークが使用されたという。工作のためにロシアへ潜入した工作員だけでなく、その前から西側諸国の情報機関が構築していたネットワークが協力していた可能性が高い。この攻撃についてウクライナ側からドナルド・トランプ米大統領に対して事前に警告があったとする報道があったが、すぐに否定された。ともかく、この段階でアメリカを含むNATO諸国はロシアとの核戦争に足を踏み入れている。
それに対し、元ロシア大統領のドミトリー・メドベージェフ安全保障会議副議は7月31日、トランプやその周辺にいる好戦派に欧米諸国の政府に対し、ゾンビ映画を引き合いに出して警告した。
西側諸国は経済力でも軍事力でもロシアや中国に劣る。そこでロシアに対して斬首作戦を目論んだが、失敗。ロシアや中国を蔑視、楽に勝てると思い込んで両国との「超限戦」を西側のエリートたちは始めたが、自分たちが劣勢にあることに気づいて混乱している。
彼らは自分たちが世界の頂上に立ち、ロシアや中国を含む「劣等」な国々を支配するという幻影から抜け出せないでいる。幻影と現実の乖離が拡大、最終的には現実を破壊するため、核兵器に手を出すことが懸念されている。
外交問題評議会(CFR)が発行している定期刊行物「フォーリン・アフェアーズ」の2006年3/4月号に掲載されたキール・リーバーとダリル・プレスの論文には、ロシアと中国の長距離核兵器をアメリカ軍の先制第1撃で破壊できるようになる日は近いと書かれている。これは執筆者だけの考えではなく、ネオコンのような西側の好戦派は全面核戦争で自分たちが完勝すると信じていたようだ。
この雑誌の主張は間違っていることは明確になっているが、メドベージェフは今回、ゾンビ映画を持ち出し、「デッド・ハンド(ペリメーターシステム)」を思い出させようとしたと理解されている。
デッド・ハンドとは、先制攻撃によってモスクワの指導部が壊滅した場合、ロシアの特殊ミサイルが自動的に発射され、核ミサイルに全面的な核戦争開始命令を出すというものだ。指導部が死に絶えても核攻撃の命令は出される。
ビル・クリントン政権の第2期目以降、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、第1期目のトランプ、そしてジョー・バイデンと同じ道を歩いているとも言える。これらの政権がすすめた政策は1992年2月にアメリカの国防総省を支配するネオコンが同省のDPG(国防計画指針)草案として作成した世界制覇計画、いわゆる「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」に基づく。
アメリカ軍は従属国の軍隊を率い、1990年8月から91年3月にかけての湾岸戦争を戦った。ジョージ・H・W・ブッシュ政権のトラップに引っかかったイラクを叩いたのだが、ネオコンはその際にソ連軍が出てこなかったことに注目した。冷戦時代、アメリカはソ連との軍事衝突を警戒して慎重に動いていたが、ネオコンはそうした配慮は必要ないと考えていた。湾岸戦争でその考えは正しいと確信したのだ。
ソ連消滅後、ロシアは欧米の従属国になり、経済力や軍事力はソ連時代より弱体化、「唯一の超大国」になったアメリカは好き勝手なことができると信じ、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」を作成したのだ。21世紀に入り、ロシアはウラジミル・プーチン体制になってから急速に国力を回復、再独立に成功したのだが、それを受け入れられないネオコンは力づくでロシアを再び属国にしようと足掻いた結果、西側は泥沼から抜け出せなくなっている。
トランプは「マイクパフォーマンス」でロシアや中国を屈服させられると考えていたようだが、勿論、そのようなことはできない。ウクライナでNATO軍がロシア軍に負けたことを理解できず、イスラエルの「斬首作戦」でイランの体制を転覆させようとして失敗、逆にイスラエルの重要機関の施設が破壊されてしまった。要するに、トランプ政権の思惑通りに物事は進んでいない。腹を立てても事態は変わらない。
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