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ロシアに戦争を仕掛けて国の存続を危うくしたEUの後を追う高市政権
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2025.12.20 櫻井ジャーナル
ヨーロッパの製造業はドイツの自動車産業が支えてきたと言えるだろう。ドイツでその自動車産業が窮地に陥り、フォルクスワーゲンはドレスデン工場における生産を完全に停止すると発表した。同社は昨年10月、経営者が従業員代表に対し、ドイツ国内の少なくとも3工場を閉鎖する意向を伝えている。ドイツ経済の失速は深刻で、個人や法人の倒産は2008年から09年にかけての金融危機の当時より状況は悪いようだ。
こうした状況に陥った直接的な原因は、ドイツ企業が安価なロシア産天然ガスを入手できなくなったことにある。2013年11月から14年2月にかけてアメリカのバラク・オバマ政権はウクライナでクーデターを仕掛けたが、その主な目的はロシアとヨーロッパを結びつけていた天然ガスの取り引きを断ち切ることにあった。
オバマ政権で副大統領を務めていたジョー・バイデンが大統領に就任した翌年、つまり2022年の9月にはノードストリーム(NS1)とノードストリーム2(NS2)が爆破されている。これらのパイプラインはウクライナを迂回し、バルト海を経由して運ぶために建設しされたものだ。
ヨーロッパではウクライナの治安機関SBU(ウクライナ安全保障庁)のメンバーが爆破したと宣伝、首謀者としてセルゲイ・クズネツォフ元大佐を逮捕しているが、真犯人は別にいる可能性が高い。
2022年9月にドイツ企業から借りたヨットを利用し、パイプラインに少なくとも4つの遅延起爆装置付き爆発物を仕掛けた7名のグループをクズネツォフが率いたというのだが、このシナリオでは減圧装置など必要な装備を運ぶことすらできず、パイプラインを爆破できないのだ。
調査ジャーナリストのシーモア・ハーシュは2023年2月8日、アメリカ海軍のダイバーがノルウェーの手を借りてノードストリームを破壊したとする記事を発表している。ジョー・バイデン大統領は2021年後半にジェイク・サリバン国家安全保障補佐官を中心とする対ロシア工作のためのチームを編成、そして2022年初頭にはCIAがサリバンのチームに対し、パイプライン爆破を進言して実行されたという。
ロシア連邦保安庁(FSB)の元長官で、現在は大統領補佐官を務めているニコライ・パトルシェフは今年9月7日、NS1とNS2の爆破テロは高度に訓練されたNATO特殊部隊の関与のもとで計画、監督、実行された可能性が高く、実行犯は深海での作戦経験が豊富で、バルト海での活動にも精通していたとしている。こうした条件に合致する情報機関として彼はイギリスの特殊舟艇部隊(SBS)を挙げている。
オバマ政権がウクライナでクーデターを実行した直後の2015年9月、フォルクスワーゲンはロシアでエンジンの生産を始めた。アメリカのEPA(環境保護局)が同社の販売している自動車の一部が排ガス規制を不正に回避するためのソフトウエアを搭載していたと発表したのはその2週間後。それでもドイツ企業はロシアとの関係を強化、2019年4月にはダイムラーがメルセデス・ベンツの新しい組み立て工場がモスクワ近郊に完成させている。こうしたドイツ企業とロシアとの関係に止めを刺したのがNS1とNS2の爆破だった。
ロシアとの関係を強めていたヨーロッパ企業はドイツの自動車産業だけではなかった。例えば、フランスの大手石油会社トタル。ロシアとの取引拡大を指揮していたのは同社の会長兼CEOだったクリストフ・ド・マルジェリだが、2014年10月にモスクワ・ブヌコボ空港で事故死している。その3カ月前、ド・マルジェリは石油取引をドルで決済する必要はなく、ユーロの役割を高めれば良いと主張していた。
フランスの自動車会社ルノーの会長で、日産の会長でもあったカルロス・ゴーンも2014年当時、ロシアでの自動車販売を推進する姿勢を見せていた。そのゴーンをアメリカの従属国である日本の当局はゴーンを怪しげな容疑で逮捕している。
イギリスは19世紀からロシア征服を計画、それをアメリカは引き継いだ。その計画を始めたのはイギリスの首相や外相として暗躍していたヘンリー・ジョン・テンプル(別名パーマストン子爵)。彼はロシアをイギリスにとって最大のライバルとみなしていた。「ウクライナ人はわれわれが反ロシア蜂起のストーブに投げ込む薪だ」と語り、ポーランドをロシアとドイツの間の障壁として復活させる計画を立てている。いわゆるグレート・ゲームだ。
またパーマストン子爵は中国におけるイギリスの権益を守るためにチャールズ・エリオットを1836年に広東へ派遣、東インド艦隊の軍事行動の規制を緩めて清(中国)への軍事的な圧力を強化、1840年にはアヘン戦争を始めた。彼の政策はセシル・ローズ、ナサニエル・ロスチャイルド、アルフレッド・ミルナーが引き継ぎ、それは今でもアメリカやイギリスの支配層に影響を及ぼしている。
こうした戦略は放棄されなかった。ジョージ・ケナンの「封じ込め政策」やズビグネフ・ブレジンスキーの「グランド・チェスボード」はその理論が基盤になっている。
こうした戦略を信奉する人びとは1991年12月にソ連が消滅すると、アメリカが唯一の超大国になったと認識した。アメリカは他国に気兼ねすることなく好き勝手に振る舞えると考え、世界征服プロジェクトを始める。その計画は1992年2月、アメリカの国防総省ではDPG(国防計画指針)の草案という形で現れた。その当時、国防次官を務めていた大物ネオコンのポール・ウォルフォウィッツが中心になって書かれたことから、「ウォルフォウィッツ・ドクトリン」とも呼ばれている。
このドクトリンはアメリカのライバルだったソ連が消滅、ロシアは西側の属国になり、中国は金儲けさせておけば反抗しないという前提で成り立っている。21世紀に入り、ウラジミル・プーチンを中心とする勢力がロシアを再独立させることに成功した後もネオコンは自分たちが世界の支配者だと信じ続けてきた。
そうした妄想はロシア軍がウクライナでNATO軍を粉砕したことで崩れている。状況を理解したドナルド・トランプ政権はウクライナから距離を置き始めたが、EUの「エリート」は抜け出せないでいる。
EU諸国では国民の怒りが高まり、ブリュッセルではフランスやベルギーの農民が抗議活動を展開、EU全域でロシアとの戦争に邁進する政策に反対する声が高まっている。フランスでマリーヌ・ル・ペンが率いる国民連合が支持され、ドイツでAfD(ドイツのための選択肢)や左翼党などの支持率が高まっているのは象徴的な出来事だ。

これまで西側世界を率いてきた反ロシア勢力の力は急速に低下、自分たちの支配システムを維持するために言論統制を強め、ロシアとの戦争で国民を脅しているが、支配システムを維持することは難しいだろう。
そうした中、日本では高市早苗首相が中国との関係を悪化させ、中露との戦争に向かっている。中国や韓国を蔑視することで優越感を満足させてきた日本人は少なくないようだが、妄想を現実の世界に持ち込むと悲劇的なことになる。日本はEUの後を追っていると言う人もいる。
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【櫻井ジャーナル(note)】
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