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戦争や虐殺に結びついたテクノ-ファシズムの波に巻き込まれている日本
https://plaza.rakuten.co.jp/condor33/diary/202605030000/
2026.05.03 櫻井ジャーナル
2020年代に入ってから「テクノ-ファシズム」の危険性が警告されるようになった。情報機関と結びついたIT(情報技術)企業が不特定多数の人びとを監視する収容所国家が築かれているということだが、この技術は遺伝子操作を含む生物工学と結びつき、人びとのロボット化という悪夢が浮上してきたのだ。ドナルド・トランプ政権はIT企業群の経営者たちと緊密な関係にある。
そうしたIT企業群の中で、現在、中心的な役割を果たしている企業はパランティア。2003年にCIAのベンチャー・キャピタル部門であるIn-Q-Telからの資金で創設された会社で、イスラエルの情報機関とも関係が深く、パランティアの共同創設者である現在会長のピーター・ティールはドナルド・トランプ大統領を支持、J・D・バンス副大統領のスポンサーとしても知られている。
同社はイスラエルを積極的に支援、イスラエル軍によるガザでの住民虐殺に絡んで軍事監視や航法システムを開発したという。アムネスティ・インターナショナルによると、パランティアはアメリカにおける人権侵害、イスラエルの軍や情報機関への人工知能製品やサービスの継続的な供給において、国際法や国際基準を露骨に無視してきた。
ピーター・ティールは決済サービス企業のペイパルを創業した人物でもあり、彼が重役を務めているカービンは緊急通報システムで知られる会社。カービンの重役は大半がイスラエルの電子情報機関である8200部隊の元将校だ。カービンの出資者にはイスラエル軍の情報機関アマンの局長を経て参謀総長、そして首相に就任したエフード・バラクが含まれる。バラクは同社の会長に就任した。
カービンの主要な資金源のひとりがジェフリー・エプスタイン。言うまでもなく彼は性犯罪の容疑で逮捕され、収監中に死亡した人物。エプスタインは未成年の男女を有力者に提供する一方、そうした関係を記録して有力者を脅して操っていたとされている。
パランティアの監視システムは大衆を24時間365日監視、彼らからプライバシーを奪うが、エプスタインの仲間が行ってきた富豪たちの「ソドムとゴモラ」的な行為は暗闇の中に隠されるはずだった。
エプスタインはバラクとビジネスの上でつながっていたのだが、バラクによると、彼をエプスタインに引き合わせたのは、イスラエル労働党の政治家で首相にもなったシモン・ペレス。その兄弟であるギデオン・ペルスキーが創設したスイス・イスラエル銀行から融資を受けていたブルース・ラッパポートはウイリアム・ケイシーの友人だ。(Whitney Webb, “One Nation Under Blackmail Vol. 1,” Trine Day, 2022)
8200部隊からスピンアウトした誕生した企業はアメリカの通信システムに「裏口」を組み込み、インターネットやコンピュータの分野で大きな影響力を持つ企業、例えばAlphabet、マイクロソフト、メタなどと結びついている。
対イラン攻撃でアメリカ軍はAIを活用したパランティアのミッション統制システム「メイブン・スマート・システム」を使い、攻撃開始から24時間に約1000カ所を攻撃、10日以内に攻撃目標は5000に達したとされている。
その際、イランの最高指導者だったアヤトラ・アリ・ハメネイ師のほか、アブドルラヒム・ムサビ参謀総長、アジズ・ナシルザデ国防相、イラン革命防衛隊(IRGC)のモハメド・パクプール司令官、そして最高安全保障委員会(SNSC)事務局長でハメネイ師の顧問を務めていたアリ・シャムハニを含むイランの要人を殺害した。
パランティアのシステムはパターンを分析し、次に何が起こるかを推測、戦争の全サイクルを網羅する統合システムを段階的に構築しているとも言われている。その推測に基づく軍事作戦でアメリカは簡単に勝てるとドナルド・トランプ大統領も信じていたのだろうが、目論見は外れた。IAEA(国際原子力機関)はイランに関する報告書を作成する際、パランティアのAIで作成したという。
パランティアは2019年11月、SOMPOホールディングスと共同で日本法人のパンティール・テクノロギーズ・ジャパンを設立、ヤマトホールディングスと提携。2020年11月に富士通はパランティア・ジャパンと戦略的なグローバル・パートナーシップの発展に向けた契約を締結したと発表している。また同社今年1月に小泉進次郎防衛相はワシントンDCのパランティアを訪問した。アメリカ国防総省のDARPAやDIUと関係の深い防衛装備庁のDISTIは富士通、Sakana AI、パランティアと密接な関係を築いている。こうした企業の背後にはイスラエルの電子情報機関が存在していると言える。
国内だけでなく地球規模で人びとを監視するシステムをアメリカやイギリスの情報機関が築き始めたのは1970年代のこと。そうした状況はアメリカの上院でも問題になり、1975年1月に「情報活動に関する政府の工作を調べる特別委員会」が設置され、76年5月には「情報特別委員会」が設立された。下院では1975年2月に「情報特別委員会」が設置され、この問題が議論されている。
上院の委員会で委員長に就任したフランク・チャーチ議員は1975年8月にネットワーク局のNBCで放送されていたミート・ザ・プレスという番組に出演、そこでアメリカ政府の通信傍受能力はアメリカ国民に向けられる可能性があり、そうなると人々の隠れる場所は存在しないと警鐘を鳴らした。
これは世界的な問題になるのだが、日本ではマスコミも学者も「市民活動家」も無視していた。個人的な経験で恐縮だが、その重要性を彼らに訴えても「聞く耳を持たない」という態度だった。ところが検察は違う。法務総合研究所はアメリカで開発された監視システムPROMISに関する報告を1979年3月と80年3月、概説資料と研究報告の翻訳として『研究部資料』に掲載している。PROMISを含む監視技術に関する話は拙著『テロ帝国アメリカは21世紀に耐えられない』(三一書房、2005年)で説明した。2010年に出版が予定されていた続編でも新しい情報を加えて説明するつもりだったが、この出版計画は立ち消えになった。
テクノ-ファシズムは戦争や虐殺と結びついているが、ジョン・F・ケネディ大統領は1963年6月10日、アメリカン大学における卒業式でソ連との平和共存を訴えた。アメリカにとって都合の良い「平和」を軍事力で世界に押しつける「パックス・アメリカーナ」を否定することから始まり、アメリカ市民は「まず内へ目を向けて、平和の可能性に対する、ソ連に対する、冷戦の経過に対する、また米国内の自由と平和に対する、自分自身の態度を検討しはじめるべき」(長谷川潔訳『英和対訳ケネディ大統領演説集』南雲堂、2007年)だと語りかけたのだ。そのケネディは同年11月22日にテキサス州ダラスで暗殺された。
その後リンドン・ジョンソン、リチャード・ニクソン、ジェラルド・フォード、ジミー・カーター、ロナルド・レーガン、ジョージ・H・W・ブッシュ、ビル・クリントン、ジョージ・W・ブッシュ、バラク・オバマ、ドナルド・トランプ、ジョー・バイデンが大統領を務めている。緊張緩和を目指したニクソンはスキャンダルで辞職に追い込まれたが、それ以外の大統領は大同小異。国外では侵略戦争、国内では収容所化を進めて強者を富ませるシステムを築いてきた。
こうした政策は上位0.1%の富豪を富ませたものの、大多数の人びとを貧困化させ、不幸にしてきた。ドナルド・トランプを支持した人びとの多くはそうした政策を変えさせたかったのだろうが、その希望は叶わなかった。叶うわけがないのだ。こうした政策を推進している「悪党」を排除すれば人びとが幸せになるというわけではない。人びとを不幸にする政策は個人でなくシステムが生み出しているのである。
このシステムを築き、維持してきた人びとはいるが、個人を排除してもシステムが存在している限り、政策は基本的に変わらない。世界の大半を支配している現在のシステムは通貨を崇めるカルト集団によって作られたと主張した人もいる。
小説家のベンジャミン・ディズレーリはイギリス首相だった1875年にスエズ運河運河を買収している人物。そのディズレーリが書いた小説『コニングスビー』の中に、次のようなことが書いてある。
「(ジョン・)ハムデン(オリバー・クロムウェルの従兄弟)による最初の運動から1688年の最後の最も成功した運動(名誉革命)に至るまで、イングランドにおけるホイッグ党指導者たちの最大の目的はベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国をイングランドに樹立することであり、当時のあらゆる思索的な政治家がそれを研究し称賛することだった。」
「ベネチア共和国をモデルとした高貴な貴族制の共和国」とは寡頭制にほかならない。オリガーキーだ。EUは寡頭制であることを隠していないが、「民主主義」なるタグをつけている西側諸国のシステムも寡頭制だ。民主主義体制ではない。民主的な政策が打ち出されたとしても、寡頭制という枠組みの中でのこと。儚い幻影だ。
1970年代以降、支配システムの中でエレクトロニクス技術が果たす役割が飛躍的に拡大、最近ではAIがその中心になりつつある。さらに遺伝子を人工的に操作する技術と一体化し、人間をコンピュータ・システムにおける端末のようにしようとしている。テクノ-ファシストには倫理観がない。彼らの技術が実用化されれば労働者も兵士もいらなくなる。いらない人間を食べさせる必要がないと彼らは考えているようで、そこから人工削減という話も出てくる。
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