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田中宇の国際ニュース解説 無料版 2026年6月15日 https://tanakanews.com/
■要約
米国とイランがホルムズ海峡の再開と停戦で合意したが、これはアラブや英国系にとって「ぬか喜び」に終わる。米国の諜報界と軍事を合法的に完全掌握したイスラエルは、中東の平和など望んでいない。彼らの真の狙いは、トランプとイランを操って和解と対立を繰り返させ、ホルムズ海峡の開閉を頻発させることだ。
海峡の閉鎖と再開が繰り返されると、地層の圧力状態が悪化し、アラブやイランの油井は破壊されて産油能力を失う。中東が没落すれば、世界のエネルギー支配はすでにイスラエルの傘下にある米露に独占される。結果、イスラエル敵視の英欧はエネルギー難で衰退し、中国もロシアの劣位に沈む。一方で日本は「高市化」でこの体制に組み込まれた。
表向きの米イスラエルの対立は演技にすぎない。ホルムズ開閉の演出で中東産油国を意図的に潰し、イスラエルの極悪な世界覇権(絶望体制)が盤石化しようとしているのだ。
■本文
米国とイランが6月15日、停戦と、ホルムズ海峡の自由航行再開、イランの核廃棄交渉の再開などに合意した。6月19日に覚書を締結し、2か月かけて核開発の廃絶を交渉する話になっている。
2月末の開戦とホルムズ閉鎖開始から4か月が過ぎ、サウジアラビアなどアラブ産油国は、輸出できない分の石油を貯める備蓄タンク群が満杯になっている。
https://news.antiwar.com/2026/06/14/pakistan-says-us-iran-deal-has-been-reached/
Pakistan Says US-Iran Deal 'Has Been Reached'
海峡閉鎖があと1か月続くと、アラブ産油国は油田(油井)を閉鎖して産油を止めざるを得なくなる。いったん油井を閉鎖すると、地下の石油ガスを含む地層の圧力状態が変化し、再び石油を出すのが大変になる。再開に数か月を要し、産油量が減りうる。
アラブ諸国は、イランと停戦合意してホルムズを再開してくれ(大金を払うから)とトランプに強く懇願し、トランプはイランと合意した。
https://tanakanews.com/260604iran.htm
計画通りのホルムズ恒久閉鎖
イランの要求で、合意した停戦の範囲には、イスラエルとヒズボラ(イラン傘下の民兵団)が戦っているレバノンも含まれている。イスラエルは停戦を拒否してレバノンを攻撃し続けている。
トランプはここ数日、イスラエルに対し、イランと停戦合意できないからレバノン攻撃をやめろと加圧していた。しかしイスラエルは攻撃を断続的に続けている。
イランは怒っているが、トランプからイスラエルへの今後の加圧に期待して、とりあえず停戦に同意したようだ。
https://tanakanews.com/260511iran.htm
ずっと続くイラン戦争
(以下常識論)トランプは、ホルムズ閉鎖でエネルギー危機に直面している世界経済を助けるため、イランと交渉してホルムズ再開にこぎつけた。だがイスラエルは自国の安保を優先し、市民殺戮の人道犯罪的なヒズボラ潰しを続けている。これまで親密だったトランプとイスラエルの関係が(表向き)悪化している。
イスラエルの傀儡だったトランプが、世界経済を優先して、イスラエル離れに転じている。イスラエルが孤立して弱体化し、イランが巻き返す。トランプは何とか停戦したもののイラン戦争が失敗だったのは明らかで、中間選挙で惨敗する。(常識論ここまで)
・・・イスラエルとトランプを敵視してきた英国系(リベラル派やマスコミ)とかイスラム主義者たちが、そう期待している。
https://www.jpost.com/middle-east/iran-news/article-899125
Trump says agreement with Iran approved by all parties involved, including Israel, cancels strikes
私が見るところ、イスラエルは以前に増してどんどん米国(覇権の源泉である諜報界)を牛耳っている。米議会では、軍事と諜報の2面から、イスラエルが米国の機密や最高技術を自由にとっていける法案が審議され、可決に向かっている。
米イスラエルの軍事一体化は「2027年度防衛権限法案」(NDAA)の224条に盛り込まれ、米イスラエル諜報共有義務化は「2027年度諜報権限法案」(IAA)の622条に明記されている。
イスラエルはこれまで、裏からこっそり米国の軍事や諜報(や金融インサイダー)の情報と技術を盗んできたが、今後は合法的に大っぴらにやれる。米政府は、法的な義務として、イスラエルに軍事と諜報の最重要情報を出さねばならなくなる。
https://responsiblestatecraft.org/us-intelligence-israel/
Senate wants to force US to share sensitive intel with Israel
米政府内には、諜報界の監督者として諜報長官(DNI)がいるが、トランプはDNIの権限を縮小しようとしている。まっとうなDNIは、間もなく辞めるトルシ・ギャバードで終わる。
諜報界を握るイスラエルは、米政府に監視されず自由にやれるようになる。世界を運営する米諜報界は、すでに米国でなくイスラエルの機関になっている。
https://www.aljazeera.com/news/2026/6/10/trump-directs-interim-us-intelligence-chief-bill-pulte-to-downsize-agency
Trump directs interim US intelligence chief Bill Pulte to downsize agency
この新体制を進めているのはトランプ政権だ。トランプはイスラエル離れしていない。そんなことはできない。トランプはすでに、諜報界を支配するイスラエルに縛られている。
イスラエルは、米露(トランプとプーチン)を傘下に入れ、習近平の中共も脅されて自主的に覇権を放棄して傘下に入っている。
https://tanakanews.com/260606oil2.php
米露資源同盟の台頭
トランプがイスラエルを見放してイランが勝つ。ホルムズが再開され、アラブとイランの中東産油国はエネルギー大国として復活する。 ・・・人々が現状をそのように見ているのなら、それはトランプとイスラエルが意図的に演じ、人々に軽信させているからだ。
米諜報界は、マスコミやネット言論を操作して人々を洗脳できる。トランプの共和党は選挙で負けない。野党の民主党は、左翼やリベラル全体主義者など過激派に握られ、ふつうの人々からの支持を失うように設定されている。
https://amgreatness.com/2026/06/10/stop-destroying-civilization/
Stop Destroying Civilization!
https://tanakanews.com/260608israel.htm
米イスラエルが対立する演技
現実は、イスラエルがトランプを傀儡化し続ける。イスラエルは、中東のライバルであるサウジとイランが産油国として復活することを望まない。
まず今回、無事にホルムズ再開に至るかどうかわからない。イランが濃縮したウランを米国に引き渡すのかどうかで停戦後の交渉が難航し、イランがホルムズの航行を制限するかもしれない。
いったん自由航行が再開されても、数か月とか1年以内ぐらいにイスラエルとイランが再び戦闘し、米国もそれに巻き込まれ、ホルムズが再閉鎖されうる。
アラブとイランの各地の油井が閉鎖と再開の繰り返しを余儀なくされると、地下の地層の状況が悪化し、石油ガスが出にくくなる傾向が増す。
https://www.iranintl.com/en/202606117343
Tit-for-tat under ceasefire: Experts warn of new normal in Mideast conflict
アラブとイランは、石油ガスを出せなくなるほど資金力が失われ、相対的なイスラエルの優勢が増し、中東のイスラエル(極悪)覇権が確立していく。
中東の石油ガスの大産出地域でなくなると、世界の石油ガス大国は米国とロシアになる。すでに米露はイスラエルの傘下だ。
世界のエネルギー市場で中東がへこんで米露が主導役になると、世界的なイスラエル覇権(絶望体制)が安泰になる。
イスラエル敵視の英欧はエネルギーを買えなくなり、衰退が加速する。中国は、石油ガスの購入価格が上がって経済難が増す。中露関係は、中共優勢からロシア優勢に転換しつつある。
BRICS覇権は失われている。金相場は抑止されたままになる。日本は高市化でイスラエル傘下に引き込まれ、意外に好調だ(絶望体制)。
https://www.zerohedge.com/markets/chinas-oil-imports-plummet-eight-year-low
China's Oil Imports Plummet To Eight-Year Low
https://tanakanews.com/260523china.htm
米露イスラエル覇権の形成
イスラエルは、ホルムズ海峡の問題が解決することを望まず阻止する。イスラエルはむしろ、トランプとイランを動かして和解と対立を繰り返させ、ホルムズを開けたり閉めたりして、アラブとイランの油井が何度も閉鎖されて破壊されていくように仕向ける。
イスラエルは、イランが切望するレバノン停戦を拒否し続けており、好きな時にイランとの戦争とホルムズ閉鎖を簡単に再演できる。
https://www.zerohedge.com/geopolitical/backroom-detente-theres-been-curious-lack-iranian-strikes-uae-while-others-get-hit
Backroom Detente: A Curious Lack Of Iranian Strikes On UAE, While Others Get Hit
今回のホルムズ再開は、アラブやイランやイスラエル敵視者(英国系)にとって「ぬか喜び」になる。それだけでなく、いずれ引き起こされる対立再開との抱き合わせで中東の油井の破壊が進み、喜びは絶望に変わる。
https://www.rt.com/news/641410-israel-netanyahu-likud-election/
Netanyahu’s party says he’ll run again despite Trump skepticism
好戦的な革命防衛隊が握るようになったイランは、イスラエルの扇動に乗って戦争を繰り返してくれる「都合の良い敵」だ。
今回の和平は、トランプの誘いに乗って、イラン政権内の現実派(権力劣勢組)が、好戦派の防衛隊(優勢組)の許可を得て交渉に出てきている。
和平がいずれ破綻して対立や戦争に戻ると、イラン政権上位の好戦派は、もう米国と交渉しても無駄だと見切りをつけ、下位の現実派に交渉を許さなくなる。ホルムズ海峡は閉まったままになり、アラブやイランの油井の破壊が進行する。
https://www.ynetnews.com/opinions-analysis/article/hjr00udrzfe
Neither Israel nor Iran can deliver a knockout, and Trump knows it
今回の米イラン和解でホルムズの自由航行が恒久的に再開され、二度と閉まらないなら、私の今回の予測は大外れになる。だが、イスラエルが米諜報界を支配する体制が米国の正式な法律になっていく流れの中で、イスラエルが好まないホルムズ恒久再開が具現化するとは思えない。
この記事はウェブサイトにも載せました。
https://tanakanews.com/260615hormuz.htm
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