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「グローバルスキャン」をしてみると、日本だけが時間が止まっている 特別寄稿
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/385507
2026/03/21 日刊ゲンダイ

魔の触手を切り落とす(C)日刊ゲンダイ
最近はますます「グローバルスキャン」が重要になってきました。レーダーをぐるっと回してみて、見えてくる状況を総合的に分析する必要がある。
いま大変なことになっている中東戦争にトランプ米大統領のベネズエラ侵攻。ロシアは相変わらず姑息な形でウクライナ戦争を長引かせようとしている。中国は国内経済の運営が厳しい中で、力を誇示するような動きを虎視眈々です。こうした状況下で、日欧は米ロ中の三つ巴の真ん中に押し込められて、右往左往している。スキャンするとそうした構図が見えてきます。
そんな中で、どう対応するか。
欧州は非常に苦悩しつつも、その苦悩がさまざまな形で正直に表に出てきているのでまだマシです。EUの大国である独のメルツ首相は、米国に対し毅然とした態度とご機嫌取りの姿勢とをうまく使い分け、万事丸く収めようと厄介な綱渡りをしています。かたやスペインのサンチェス首相は、米国にやりたいようにはさせないと、断固拒否の姿勢。ハンガリーのオルバン首相は独自のスタンスで欧州の困り者として攪乱力を自慢し、トルコも混迷する世界でいいポジション取りを狙っている。
その一方で日本は、すべての事態において立場を明らかにしない。中東戦争に対し、日本としての見解を示すようなことは一切していない。どうも日本だけ時間が止まっています。この混沌たる世の中において、日本が自らの哲学としても、モラルとしても、どういうスタンスを取るのかを表明することからどんどん遠ざかっている。社会保障改革も重要ですが、グローバルな大局観の表明も政治の使命でしょう。
ボロが出てきたタコ市首相
タコ市首相には、この状況に対する憂えや危機感や嘆きを、政治家の心情として多少は吐露してもらわないと、情けなくなってきます。決然と思想や心情を吐露するのは政治家の仕事。それがない者が政治家になんかなれるわけがない。実行力や分かりやすいだけで突っ走っているタコ市首相ですから、やっぱりボロが出てきた。
グローバルスキャンをしてみると、その結果が深刻であればあるほど、日本の政治のレベルの低さが露呈するという構図になっています。
ところで、私は高市首相を「タコ市」さんと呼んでいますが、このタコはトランプの「TACO」とは違います。8本足のタコ。四方八方に非常に毒性の強い触手を伸ばしてきているからです。日銀の独立性への介入、労働時間規制の緩和、スパイ防止法や国旗損壊罪の制定、殺傷能力のある武器輸出の解禁、次はいよいよ憲法改正にも触手を伸ばそうと身構えている。市民社会や財政節度、言論の自由など、ありとあらゆるところに触手を伸ばしてくるからタコ市なのです。こうした魔の触手をいかに切り落としていくか。まさにこれが今後の我々の課題です。

浜矩子 同志社大学教授
1952年、東京生まれ。一橋大経済学部卒業後、三菱総研に入社し英国駐在員事務所長、主席研究員を経て、2002年から現職。「2015年日本経済景気大失速の年になる!」(東洋経済新報社、共著)、「国民なき経済成長」(角川新書)など著書多数。
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