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※紙面抜粋

※2026年5月19日 日刊ゲンダイ2面
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弾圧にビビってる腰抜けメディア 高市内閣支持率まだ6割もあるとは仰天だ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/387833
2026/05/19 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

この政権のどこが評価できるのか(C)共同通信社
政府の石油対応に支持が4割もいたが、備蓄に胡坐をかき、補助金で目くらまし、民間の悲鳴は言論弾圧で潰す政権の一体、どこが評価できるのか。
歴史が築いたイランとの関係も生かせず、通過したタンカーは2隻だけ。いよいよ問われる大メディアの覚悟。
◇ ◇ ◇
5月の世論調査の結果がほぼ出そろったが、高市内閣の支持率は軒並み60%超。発足から半年過ぎても、まだ6割の高水準をキープとは仰天だが、理由は単純だ。大手メディアが腰抜けだからだ。
朝日 新聞の5月調査では、石油関連製品の不足に対する政府の対応について「評価する」は43%。同じく中東情勢の影響で生活が苦しくなる不安をどの程度感じるかを聞くと、「大いに」「ある程度」を合わせ、78%が「感じる」と答えたにもかかわらずだ。
大手メディアが石油対応の「失政」をまともに報じていれば、支持が4割超に達するわけがない。高市政権は昨年末時点で約146日分あった石油の国家備蓄に胡座をかき、3月末から小出しに放出。ガソリン補助金バラマキの「目くらまし」で、石油危機の表面化を抑えてきただけだ。こんな当たり前の政権批判すら、メディアは一言も伝えないのである。
加えて高市首相はホンの数日前まで「補正予算の編成が直ちに必要な状況とは考えていない」と強弁してきたが、18日の政府与党連絡会議で、とうとう補正予算案編成の検討を指示。イランの軍事衝突開始の2月末時点で、原油高騰が国民生活を直撃するのは分かり切っていたのに、何を今さらだ。
財政悪化が意識され、18日の新発10年物国債の価格はドンと下がり、長期金利は一時2.8%まで上昇。約29年ぶりの高水準だ。金利上昇が重しとなり、株価は下落。為替も1ドル=159円台まで円安が進み、10兆円規模とみられる介入効果が水泡に帰すのも時間の問題だ。
3カ月近くに及ぶ無為無策の末、「追い込まれ補正」を打ち出した途端にトリプル安。この政権の見通しの甘さ、その場しのぎの連発はハッキリ言って万死に値する。
日章丸事件以来の外交上のメリットを放棄
米国とイスラエルが早ければ来週にもイラン攻撃を再開する可能性が報じられ、ホルムズ海峡の封鎖は長期化必至。ガソリン補助金の財源は枯渇寸前だ。原資の基金残高は4月末時点で約9800億円。足元の補助額が続けば6月中にも底を突く。今年度予算の予備費1兆円から賄うにしても、突発的な災害に備え、全額は使えない。
石油の国家備蓄も今月15日時点で117日分まで減り、何もかも足りなくなって補正編成に追い込まれたのに、繰り出すエネルギー高騰対策はガソリン補助金の継続と夏の電気・ガス代支援の再開程度。目くらましの延長戦に過ぎない。
しかも、このタイミングでの補正編成に、自民党内からは「あすの党首討論で野党に言われて編成する形になると格好が悪い」との声まで上がる。この期に及んで国民の生活よりも高市のメンツが第一とは、こんな政権の一体、どこが評価できるのか。弱腰メディアにぜひ聞いてみたいものだ。
「この間の高市外交も、何ひとつ成果を上げていません」と、高千穂大教授の五野井郁夫氏(国際 政治学)はこう続けた。
「ホルムズ海峡の膠着が続く中、1953年の『日章丸事件』以来、歴史が築いたイランとの友好をまったく生かせていないのが実態です。当時のイランは英国資本に独占されていた石油産業を国有化。反発した英国の海上封鎖を突破し、出光興産のタンカー『日章丸』がイラン原油を日本に運び出した。この行動がイランの親日感情を決定づけ、両国の友情は長年続いてきたのに、高市政権は米国の顔色をうかがうばかりで独自外交に動かない。イランの許可を得てホルムズ海峡を通過した日本のタンカーは、その出光興産の子会社所有の『出光丸』を含め2隻だけ。それも日本政府が動いた形跡はありません。高市政権はイランとの伝統的友好関係という外交上のメリットを放棄したも同然です」
保身に走り高市疑惑にダンマリを決め込む

懸念は当然のこと、企業努力をまるで諫めるような政府の対応に…(提供)カルビー、カゴメ、TOTO
先の米中首脳会談で、高市がトランプ米大統領にハシゴを外された真相も、大手メディアは伝えない。中国の習近平国家主席は「台湾問題の処理を誤れば米中が衝突して非常に危険な状況に陥る」と、脅しにも似た表現で警告。すると、トランプは140億ドル(約2.2兆円)規模とされる台湾への武器売却案を、中国との「交渉材料」とする考えを示唆し、ディール次第で断念するのかが、焦点となっている。
トランプが台湾問題から後退しかねず、困るのは高市だ。例の「台湾有事は存立危機事態」発言で今なお対中関係はメタメタなのに、後ろ盾を失えば中国といがみ合っている国は日本だけ。高市の孤立はますます深まる。
「だからこそ高市首相はトランプ氏に訪中前に日本に立ち寄ってとラブコールを送ったのでしょうが、あえなく素通り。帰国機上のトランプ氏との電話協議にこぎつけたものの、時間はわずかに約15分。米中両首脳の会談は年内で最大4回も行われる可能性があり、『その間、中国を刺激するな』とクギを刺されただけではないでしょうか」(五野井郁夫氏=前出)
昨年秋の党総裁選と今年2月の衆院選で高市陣営が、ライバル候補や野党を標的とした中傷動画を作成・拡散していた疑惑を「週刊文春」がスクープしても、やはり大手メディアはダンマリ。「週刊誌より秘書を信じる」とファクト軽視の高市答弁をたれ流すだけで、選挙の公正性を揺るがす重大疑惑を検証する報道は皆無である。
手前ミソだが、34年前に高市が自らの「経歴詐称」を月刊誌で告白していた問題や、先の衆院選で複数の自民候補が有料動画広告に出演した組織的な公選法違反疑惑と、SNSでバズった本紙報道も大手は沈黙だ。
安倍1強時代から自民党はメディア潰しの常習犯。その先頭に立っていたのが高市で、10年前の総務相時代には放送局に電波停止を命じる可能性に言及。それが原因で大新聞やテレビ局が「弾圧」にビビっているとしたら、高市をツケ上がらせるだけである。
戦前「ぜいたく」、今の政権は「節約」が敵
実際、「ナフサは足りている」と豪語する高市は今年4月、TBS系「報道特集」で「ナフサは6月に詰む」と発言した境野春彦氏に圧力をかけた。放送翌日に「国内需要4カ月分は確保している。指摘は事実誤認」と自身のXに投稿するや、SNSへの「犬笛」となり、境野氏がバッシングを受ける事態に。TBSは「趣旨を適切にお伝えしきれなかった」と事実上の謝罪談話を出さざるを得なくなった。
資源エネルギー庁の有識者委員である境野氏と高市のどちらの言い分が正しかったか。もはや比べるまでもないが、政権の言論監視はエスカレート。今月1日には突然「内閣広報室試行アカウント」がXに出現し、政権批判の投稿に目を光らせ、逐一反論している。
ナフサの供給不足に備え、カルビーが「ポテトチップス」の包装を白黒にする方針を発表した際も異様だった。政府は「供給不足ではなく目詰まり」と言い張り、同社に嫌がらせのようなヒアリングを実施。アンチ節約の政権には「節約パッケージ」のマークが目障りだったのだろう。専門家や企業の当然の懸念すら、高市の方針に従わなければ情報統制で「黒を白」と言いくるめてもヘッチャラなのだ。立正大名誉教授の金子勝氏(憲法)がこう言う。
「高市政権の『節約』敵視は、戦中・戦前の『ぜいたくは敵だ』を彷彿させます。情報機能強化のタテマエで政権が国民監視に血道を上げている今こそ、メディアは国民の味方として権力と対峙すべきです。萎縮は許されないのに、強権 政治に逆らえば自分たちの立場が危ういと政権に迎合する方向にカジを切っているように映る。『言論の死』は即『戦争する国』をもたらします」
もはや大手メディアに覚悟を問うだけムダなのかもしれない。
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