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※紙面抜粋

※2026年6月1日 日刊ゲンダイ2面
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「笑顔」と「ウソ」じゃごまかせない スマイル高市で国会からも会見からも逃げの一手
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388355
2026/06/01 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

お得意の笑顔の裏は後ろ暗い(C)日刊ゲンダイ
ついに補正予算編成に追い込まれた首相は「予備費」の大風呂敷で国会追及から逃げる算段。
答弁ではウソを重ね、会見は質問制限、SNSで言いたい放題。こうして逃げ回る理由はただひとつ、後ろ暗さ以外なし。
◇ ◇ ◇
6月がスタートし、値上げラッシュで物価高がいよいよ深刻だ。
帝国データバンクによれば、主要食品メーカーが6月に値上げを予定する飲食料品は1078品目に上り、前月比で約13倍に増加。トレーや容器といったナフサ由来資材の高騰など、中東情勢に起因する値上げも多く、原油不安が長引けば、値上げは今後さらに増える可能性が高い。
1日からは病院で患者が負担する初診・再診料や入院時の食事代なども引き上げられる。
庶民が直面する厳しい現実は、もはやお得意の「笑顔」と「ウソ」ではごまかせなくなってきた。
野党から再三、補正予算の編成を求められても、「補正予算は不要」「直ちに必要な状況ではない」と言い続けていた高市首相だが、ついに3兆円超の補正予算編成に追い込まれたのだ。
通常は秋に実施することが多い補正予算を本予算が成立した直後の年前半に組むのは、ロシアのウクライナ侵略でエネルギー価格が高騰した2022年5月以来だ。
3日、補正予算案を閣議決定して国会に提出する。
補正予算案の規模は3兆1135億円。その大半が、エネルギー高騰対策などに充てる「中東情勢等対応予備費」として2兆5000億円を盛り込む異例の編成だ。
予備費は細かい使途を決めずに計上するざっくりした経費で、政府の裁量で柔軟に支出を決めることができる。憲法の定めで、国会での審議と議決を経なければ予算を使うことはできないのだが、例外とされるのが予備費である。
使い勝手がいい「予備費」
「こう言ってはなんだが、政府にとって予備費は使い勝手がいい。現状のガソリン代補助に加えて、夏場の電気・ガス代の補助も始めるとなると、月に5000億円程度が必要になるので、予備費の積み増しをしておくということです。費目ごとの細かい説明をしなくていいから、予算委員会をスピード審議で乗り切れるというメリットもある。高市総理はとにかく予算委に出るのがイヤみたいだからね」(自民党の閣僚経験者)
もっとも、予備費は本来、災害など不測の事態に備えて手元に置いておくカネのはず。中東情勢の混迷による物価高は3月から自明だったし、ガソリン代の高騰を抑制する補助金の財源が6月末に枯渇することも分かっていた。決して不測の緊急事態とは言えないだろう。何でもかんでも予備費の名目で丸めてしまうのは姑息だし、財政民主主義の観点からも問題だ。
当然、野党からは「予備費で白紙委任するわけにいかない」との声が上がり、使途や金額を明示するよう要求する方針だ。
だいたい、ガソリン代の補助はいつまでも続けられるものではない。補助金でエネルギー・ガソリン価格を抑えて需要を維持するよりも、今は省エネ・節約を呼びかけるタイミングなのではないか。
ガソリン代補助に関しては、与党内からも疑問の声が出始めた。自民党の鈴木幹事長は30日、宮崎市で開かれた会合で「持続性を保つためには(ガソリン補助の)水準も考えなければならない」と言い、見直す必要性を示唆した。
「目先の補助金でごまかすのではなく、過度な円安を根本的に是正すべきでしょう。予算委に出たくないからゴネていた補正予算もやらざるを得なくなると、連休前から指示していたとウソをつく。赤字国債には頼らないと大見えを切っていたのに、補正予算は結局、全額を赤字国債で賄うという。これでは、さらなる円安とインフレを招きかねません。ウソがウソを呼ぶ展開になって、金利も急上昇している。国会審議から逃げる高市首相のせいで、国民生活が犠牲になっているのです」(政治評論家・本澤二郎氏)
「多忙な日程」が聞いて呆れる異例のスカスカ日程

官房長官もウソつき(C)日刊ゲンダイ
とにかく説明したがらず逃げ回る性質は、記者会見の少なさにも表れている。過去の首相と比べて、ぶら下がり取材も極端に少ない。
高市の異常な取材対応は、5月29日の官房長官会見でも複数の記者から指摘された。
25日に補正予算案の中身を説明した際も、通常の記者会見ではなく、ぶら下がりだった。しかも、メディア側の質問は事前に代表1社に限定されていた。
木原官房長官は「首相の多忙な日程をやりくりして時間を捻出している側面がある」とか言っていたが、歴代首相はみな多忙な日程の中で取材対応をしてきた。むしろ、高市ほど働かない首相はいないくらいだ。
これには小沢一郎(事務所)もXで<嘘ばかり。歴代総理に比較しても高市総理の日程はスカスカ。土日も完全に休んでいる。記者会見の時間なんていくらでもあるのに、官房長官が平然と嘘をつく。面倒だからと国民に説明しない総理など許されない>と反応していた。
木原は「さまざまな手段を用いて、随時情報発信を行っている」とも説明したが、SNSで一方的に発信する高市の手法は邪道だ。
首相はアイドルではない
「一介の議員ならまだしも、首相がSNSで言いっ放しは好ましいものではない。全国民が首相のXを見ているわけではないのです。記者会見で記者の質問に答えるのも首相の責務でしょう。丁々発止の質疑応答で堂々と持論を展開すればいいじゃないですか。大風呂敷を広げるだけで明確な方向性を示さず、説明責任も果たせないようでは、世論は離れてしまいます。気が進まなくても、首相という立場にいる以上、やらなければならないことはある。歴代首相はそうやってきたのだし、衆院選で圧倒的多数の議席を得たからこそ、丁寧に対応すべきです。そうでなければ、国民との距離感は開くばかりで、政治不信がますます進行してしまいかねません」(政治ジャーナリスト・山田厚俊氏)
答弁能力がないことを自覚しているのか、都合の悪いことを聞かれたくないのか、いずれにしても国会からも会見からも逃げ回り、首相としての責務が果たせないのであれば、進退も含めて考えるべきではないのか。それこそが国を大切に思う保守政治家の矜持というものだろう。
外交やイベントなどスポットライトの当たる場面で笑顔を振りまき、ハシャぐことだけが首相の仕事ではないのである。ひたすらチヤホヤされたいなら、SNSでキラキラした日常を発信するインフルエンサーかアイドルでも目指した方がいい。
「国会審議や記者会見から逃げる理由はただひとつ、後ろ暗いところがあるからでしょう。高市首相は、総裁選や衆院選で相手陣営の中傷動画を拡散して勝利した疑惑が持たれている。それが事実なら民主主義の根幹を揺るがす大問題で、議員辞職に値する蛮行です。目的のためなら手段を選ばないにしても、一般的な良心があればできないことで、さすがに一線を越えている。そういう不正選挙で票をかすめとった疑惑を追及されたくないのだと思う。自身も最大のピンチだと感じているからか、やましいことを隠そうとする作り笑顔も、最近はわざとらしいことこの上ない。長時間の質疑応答には耐えられないのかもしれませんが、それで正式な記者会見を回避し、質問制限もするような茶番のぶら下がり対応に唯々諾々と従う大メディアもどうかしている。独裁政権をのさばらせている共犯者ですよ」(本澤二郎氏=前出)
内閣支持率も静かに落ち始めている。デタラメ補正予算案の国会審議は、果たして「サナエ・スマイル」で乗り切れるだろうか。
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