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※紙面抜粋

※2026年6月10日 日刊ゲンダイ2面
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大メディアはつくづく大罪 こんな政権でもどんどん危険法案が通る絶望
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/388775
2026/06/10 日刊ゲンダイ ※後段文字お越し

無理事筋と一発で分かるウソ(C)日刊ゲンダイ
「高市首相の資質、能力、異常性格、その場しのぎ、支離滅裂、国民愚弄は今や、ありとあらゆる場で露呈しているが、そんな政権が次から次へと推し進める悪法の数々。
国家情報会議に始まり、国旗損壊、安保3文書の改定、個人情報保護法改正、議員定数是正まで何でもありだが、大メディアは無批判タレ流し。
◇ ◇ ◇
「他候補者を誹謗したり、中傷したりというようなことは、私の流儀ではない」
昨年10月の自民党総裁選や今年2月の衆院選で自らの陣営が他候補を誹謗中傷する動画の作成・投稿に関与したと報道され、8日、官邸の囲み取材で改めて事務所の関与を全面的に否定した高市首相。
問題を巡っては、週刊文春に続き共同通信も動画を作成・拡散したという男の証言を報じ、さらに共同は男が首相秘書とメッセージをやりとりした携帯電話の番号が秘書本人のものと確認したという。
こうなると、問題発覚当初、「自分も秘書も面識のない方」と断言していた高市の発言の信憑性も問われるワケで、説明が二転三転する高市の迷走ぶりに、中道改革連合、立憲民主党、公明党の幹事長は9日、真相解明に向けて国会審議で連携する方針を確認。中道の階幹事長は「首相が積極的に真相解明に取り組む姿勢が見えないのはおかしい」として秘書の参考人招致が必要との認識を示していたが、無理もないだろう。
「Dappi事件」を振り返っても、SNSを使って政敵を誹謗中傷し、動画などを拡散するのは自民の十八番とはいえ、高市陣営はこの事件を反省するどころか、さらに巧妙かつ悪質な手口へと“進化”させていたわけだ。
無理筋と一発でわかるウソを平気で言って墓穴を掘っている
言語道断なのは言うまでもないが、酷いのは高市自身も同じだ。「誹謗中傷は私の流儀ではない」なんて格好つけていたが、昨年11月の参院予算委では、高市が野党時代に生活保護受給者について、「さもしい顔してもらえるものをもらおう。弱者のふりをしてでも得しよう。そんな国民ばっかりになったら日本は滅びてしまう」と発言していた事実を野党議員から指摘されていた。
政治家・国会議員が、生活基盤が脆弱な自国民を「さもしい顔」「弱者のふり」と切り捨てる暴言を平然と口にしながら、「流儀ではない」とはよくぞ言えたものだ。
それにしても、「女性初の首相」と持ち上げられてから、間もなく就任8カ月。この間、分かったことは高市の首相、政治家としての資質、能力のなさではないか。「その場しのぎ」「支離滅裂」「国民愚弄」といった批判の声は今や、ありとあらゆる場面で露呈。
こうした状況を受け、「週刊ポスト」(小学館=6月19日号)は「もしかして高市総理は『謝ったら死ぬ病』なのか」と題する特集記事を掲載。ナフサ不足をいまだに認めなかったり、集団的自衛権の行使容認を巡る台湾有事の答弁で意固地になったりした高市の「異常性格」の可能性を取り上げつつ、「過ちては改むるに憚ること勿れ」(過ちを犯したら、ためらわずにすぐ改めよ)と締めくくっていたが、これが一般庶民のマトモな感覚と言っていい。
ジャーナリストの横田一氏がこう言う。
「高市首相が師と仰ぐ故・安倍元首相も虚偽答弁が多かったことで知られていますが、高市首相はそれ以上。誰が聞いても『そりゃないよ。無理筋』と一発で分かるウソを平気で言って墓穴を掘っている。相談する相手が誰もいないのか。自分一人で全部片づけてやると思っているのか。かたくなな姿勢というのが一種の哲学なのかもしれません」
この国にとって最も危険なのは自民に総理、総裁の暴走を止める力がないこと

ヤバい法案も次々…(C)日刊ゲンダイ
さて、そんな政権が発足して以降、次から次へと推し進めているのが悪法の数々だ。国家情報会議設置法、国旗損壊罪創設法案、個人情報保護法改正案、議員定数削減法案、安全保障関連3文書改定──。内容はバラバラに見えるが、共通しているのは政権側が結論を先に決め、野党や有識者らの疑問や懸念を押し切る形で進めていることだ。
典型例が5月に成立した国家情報会議設置法だ。政府は内閣情報調査室を「国家情報局」に格上げし、各省庁から情報を集約する司令塔組織として国家情報会議を創設。高市は「改革の第一歩」と位置付け、その先にスパイ防止関連法制や対外情報庁の創設も視野に入れていると報じられている。
国会審議では、野党側が個人情報保護や政治的中立性の明文化を繰り返し要求したのに政権は応じず、高市は政治的中立性の担保について「具体的方策は取りまとめの際に議論したい」などと仰天答弁。運用ルールは後でと言わんばかりで、要するに制度設計よりも組織創設を先行したわけだ。
衆院議員の定数1割削減問題でも高市は暴走。半ば独善的に比例代表削減の方向で党内をまとめるよう指示したといい、国民民主の玉木代表は「事実上のゲリマンダーだ」と猛批判。身内である岩屋前外相からも「自民は独裁政党ではなく、総裁一人で決められる話ではない」と批判される始末だ。
異論や少数意見が軽視される政治が続けばどうなるのか
選挙制度は民主主義の土台であり、時の政権の都合ではなく、与野党の垣根を越えた幅広い合意形成が必要なのは言うまでもない。ところが高市政権はとにかく結論ありき。異論が出れば多数決で押し切るだけだ。
国会の高市の姿も表情一つ変えず、「必要な改革だ」と繰り返すばかり。民主主義に不可欠な「少数意見の尊重」と「説明責任」など、まるで意に介さない。
まさに何でもありだが、深刻なのは、やりたい放題の高市政権を傍観し続けている大メディアの姿勢だ。国家情報会議設置法も、国旗損壊罪も法案成立の経過を伝える程度。「なぜ急ぐのか」「なぜ反対論があるのか」「どんな危険性があるのか」--を深く掘り下げ、国民に喚起を促すような報道は驚くほど少ない。
「国家のため」「安全保障のため」「秩序維持のため」といった政府発表をそのまま無批判にタレ流すだけ。これでは広報機関と変わらない。
歴史を振り返れば、戦前・戦中の日本社会でも同様の動きが見られた。その積み重ねの結果、大政翼賛会体制が誕生し、悪しき治安維持法が生まれるに至ったのではないのか。権力批判は難しくなり、国民同士が監視し合う空気が生まれ、言論は萎縮。その事実を歴史が示しているのであり、だからこそ今、問われるべきは「法案に賛成か反対か」だけではないのだ。
国家情報会議や国旗損壊罪、安保3文書改定など、一つ一つを見れば別々の政策だ。だが全体を俯瞰すると、すべてが国家権力に権限が集まる方向へと動いていることは否定できない。そして、それを止めるブレーキ役である大メディアは機能せず。このまま危険法案がどんどん通り、異論や少数意見が軽視される政治が続けばどうなるのか。つくづく大メディアの罪は重いだろう。
政治アナリストの伊藤惇夫氏がこう言う。
「今の高市・自民政権を一言で表現すれば、『非常に危うい』ということ。選挙で大勝したとはいえ、政権が進める政策に対して自民党内でも反対や異論もあるはず。そうした意見がほとんど聞かれず、高市首相をいさめる声もない。裏を返せば、今の自民党には総理、総裁の暴走を止める力がないということ。この状況が、この国にとって最も危険と言えるのではないか」
時計の針がこのまま戦前、戦中に戻れば「あの絶望の時代」が蘇ることを忘れてはならない。
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