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[原発・フッ素42] もう隠せない! この事実を知らないのは日本国民だけ(simatyan2のブログ) 赤かぶ
125. 2016年8月26日 15:49:00 : Sqf3TvfJdI : bjOz_vVCAH0[1]
福島復興の壁 低線量被ばくの現実 2016年7月

子供の甲状腺がんが発見されているが、これは原発のせいではない

私はがんの放射線治療の専門医で、31年間で2万人以上のがん患者さんを診てきました。放射線治療の現場には、医師や看護師の他に、理工学分野の専門家や臨床心理士など多職種の人材が揃っていますから、福島原発事故の重大性や、放射線の肉体的・心理的影響についてチームを組んで情報提供を行ってきました。事故から2年間、ツイッターで情報発進を行いましたが、フォロワーは最大25万人に達しました。

福島にも、飯館村を中心に、今も、ほぼ毎月訪問しています。飯館村は、福島第1原発から30キロ以上も離れているため、大熊町や双葉町といった原発立地地域が享受してきた経済的恩恵を全く受けてこなかった反面、事故時の風向きの関係で大量の放射性気流(プルーム)によって汚染されました。原発からの距離とともに、風向きや降雨の有無が被ばく量を決めますが、こうした情報がタイムリーかつ正確に提供されなかったため、住民の避難は遅れてしまいました。さらに、チェルノブイリ原発事故(1986年)での経験を持つ医師が安全だと講演をした数日後に、年間の積算放射線量が20ミリシーベルトを超える恐れがあるとして、1カ月以内の全村避難を政府(当時の民主党政権)から指示されました。こうしたボタンの掛け違いが、政府や専門家への不信を招いてしまったと言えるでしょう。

102歳に避難は必要か

2011年の4月に事故後初めて福島を訪問した際、飯館村の菅野典雄村長にお会いしましたが、子供や妊婦はまだしも、「いいたてホーム」についても入所者全員が避難を指示されていることに反対を表明されておられました。ホームを訪問してみると、入居者は平均年齢が約80歳、中には102歳のおばあちゃんもいました。100名たらずの入居者のうち、車椅子生活の人が60名、寝たきりの人が30名です。ホームにはそれまで東京などからの専門家の訪問はなかったそうですが、「この人たちを全員避難させるのか?」と、私どもは驚きました。

例えば、102歳のおばあちゃんには、毎日何万個ものがん細胞ができていて、既にがんが大きくなっている途中かもしれません。放射線被ばくによって生まれるがん細胞の数が増えるかもしれませんが、通常、免疫が見過ごしたがん細胞が1センチになるのに20年かかりますから、102歳のおばあちゃんに避難のメリットはないと考えられます。私が政府にアドバイスした結果、入居者はそのまま施設にとどまり、職員は村外から通勤して介護にあたることになりました。一方、避難した病院や老人介護施設では入居者の死亡率が大きくアップしてしまいました。高齢者の避難についてはできるだけ慎重に考えるべきなのです。

幸い、時間とともに住民の被ばく量は僅かだということが分かってきましたが、事故から5年4カ月になる現在も10万人近い福島県民が避難を続けています。低線量被ばくで起こり得る人体影響は発がんリスクの上昇ですから、がんにならないために避難を続けてきたわけです。

私も定期的に全村避難が続く飯館村に伺っていますが、一般住民の被ばく量は非常に少なく、とりわけ内部被ばくは驚くほど低く抑えられています。日本の食品の放射能管理は世界一厳しいもので、福島産の米や牛肉の放射能は全数調査が実施されており、2014年以来、1キロ当たり100ベクレルという欧米の12分の1以下の厳しい基準を超えたものはありません。原発事故とは無関係の天然の放射性物質による内部被ばくは年間1ミリシーベルト程度ありますが、事故による追加の内部被ばくはほぼゼロです。

食品の放射能に関しては、福島産が日本で一番安全とすら言えますが、調査によると首都圏の消費者の3割が福島の食材を購入しないとしており、大変残念な状況が続いています。海外での風評被害も相変わらずで、中国、韓国、台湾の国内基準は日本よりずっと緩いものですが、台湾では福島県産だけでなく、近隣各県の産物の全面禁輸を続けており、理由は分かりませんが、愛媛県の海産物にも輸入制限がかけられています。2016年の5月、台湾電力に招聘されて講演を行いましたが、この輸入制限は一部の運動家に迎合する政治家に主導されており、台湾当局関係者も頭を抱えております。

100ミリシーベルトの安全哲学

さて、外部被ばくの方は内部被ばくと違ってゼロとは言えません。飯館村の工場に村外から通勤する会社員の被ばく量を私たちの研究グループが測定したところ、最大で年3ミリシーベルト以内に留まっていました。福島県全体でも現在99%以上の方は年1ミリシーベルトに留まっています。

広島、長崎の被爆者を対象とした綿密な調査でも、100ミリシーベルト以下ではがんが増えるというデータはありません。これは、100ミリシーベルトが野菜不足や受動喫煙の発がんリスクに相当するほど低い影響しか与えない一方、喫煙や大量飲酒は2000ミリシーベルトもの全身被ばくに相当するため、100ミリシーベルト以下の被ばく量では、他の要因の中に埋没して検出できなくなるからです。放射線被ばくの人体への影響は、他の要因と比較して、僅かなものと言えるのですが、被ばく量の数値化が容易であり、”悪名も高い”ため、誤解されやすい存在なのです。

しかし、国際放射線防護委員会(ICRP)は安全に配慮して、僅かな被ばくでも、線量に比例して発がんが増えるという「直線しきい値なしモデル」を提唱しています。このモデルは、100ミリシーベルト以上の科学的データのある部分と100ミリシーベルト未満の”安全哲学”に属する部分を合体させたものであり、「100ミリシーベルトでがん死亡が0.5%増えるから、10ミリシーベルトではがん死亡が0.05%増える。1億人が10ミリシーベルト被ばくしたら、5万人、がん死亡者が増える」といった計算に使うことは出来ない点に留意する必要があります。

直線しきい値なしモデルは、ゼロ被ばく以外、発がんリスクは増えることを意味しますが、このモデルを提唱するICRPでさえ、その報告書の中で、「10ミリシーベルト以下では、大きな被ばく集団でさえ、がん罹患率の増加は見られない」と指摘しています。避難民の被ばく量は最大でも3ミリシーベルト程度ですから、今回の事故でがんが増えることはあり得ないと言えます。

ICRPは、「不要な被ばくはできるだけ少なくするべき」という考え方に基づき、一般市民が平常時に受ける放射線については、年間1ミリシーベルトを「線量限度」としています。日本でもその勧告を法令に取り入れていますが、年間1ミリシーベルトは、自然被ばくと医療被ばくを除いた「追加分」です。我が国の自然被ばくは、ウラン鉱石などの資源が乏しいこともあり、世界平均より少ない年2.1ミリシーベルトですが、資源が豊富なフィンランドでは8ミリシーベルト、スウェーデンでも7ミリシーベルトになります。もちろん、北欧にがんが多いというデータは存在しません。

また、日本の医療被ばくは少なく見積もっても年3.9ミリシーベルトで世界一です。これは、日本人がいつでもどこでも安い費用で検査を受けられるからです。日本人が医療機関を受診する回数は、米国の3倍で世界一。世界が垂涎する、我が国の「国民皆保険制度」が医療被ばくを高めていると言えるのです。

自然被ばくが2.1ミリシーベルト、医療被ばくが3.9ミリシーベルトですから、私たち日本人は年間6ミリシーベルト程度の放射線被ばくをしているのです。「年間1ミリシーベルト以下」は、自然被ばくと医療被ばくを除くものですから、”平均的”な日本人の場合、6ミリ+1ミリシーベルト=7ミリシーベルトまで許容することになります。ですから、「1ミリシーベルト」という数字には、人体影響の観点では特段の意味はありませんし、1ミリシーベルトにこだわりすぎると今の福島のように、大量の避難者を出す結果を招いてしまいます。

放射線と生活習慣によってがんになるリスク(国立がんセンター調べ)
@要因Aがんになるリスク
(A)@2000ミリシーベルトを浴びた場合A1.6倍
(B)@喫煙A1.6倍
(C)@毎日3合以上飲酒A1.6倍
(D)@1000〜2000ミリシーベルトを浴びた場合A1.4倍
(E)@毎日2合以上飲酒A1.4倍
(F)@やせすぎA1.29倍
(G)@肥満A1.22倍
(H)@運動不足A1.15〜1.19倍
(I)@200〜500ミリシーベルトを浴びた場合A1.16倍
(J)@塩分の摂りすぎA1.11〜1.15倍
(K)@100〜200ミリシーベルトを浴びた場合A1.08倍
(L)@野菜不足A1.06倍
(M)@受動喫煙A1.02〜1.03倍

避難生活でがんを増やす

繰り返しますが、飯館村の避難者の追加被ばく量は最大でも3ミリシーベルト程度で、福島県全体でも現在99%以上の方は年1ミリシーベルト以下ですから、放射線でがんが増えることはありませんが、5年余にもおよぶ避難生活によって「震災関連死」と認定された人が、福島県で2000人を超え、地震や津波による直接的な死亡を上回っています。死亡には至らなくとも、避難民の生活習慣は悪化の一途をたどり、糖尿病、うつ病などが有意に増えています。

飯館村の村民約1000名を対象とした健康調査でも、糖尿病、高血圧、肝機能障害、脂質代謝異常が、震災後に明らかに増えています。糖尿病患者ではがん罹患リスクが20%(肝臓がんや膵臓がんでは2倍)も高くなることが分かっていますから、「がんを避けるための避難が、結果的にがんを増やす」という最悪の結末になると危惧されます。今後5〜10年後に福島でがんが増える可能性が大ですが、それは被ばくによってではなく、過剰な避難によって起こるのです。

子供についてはすでに甲状腺がんが130名以上見つかっていますが、事故当時18歳以下であった全ての福島県民に対して行っている綿密な超音波検査によって「自然発生型」の甲状腺がんが発見されているのです。チェルノブイリ原発事故では、約7000名に甲状腺がんが発生し、15名が死亡しましたが、5歳以下の子供の4.8%が5000ミリシーベルト以上という被ばく量だったことに原因があります。

一方、福島では小児甲状腺の被ばく量は最大でも35ミリシーベルト程度と見積もられています。100ミリシーベルト以下で甲状腺がんが増えるというデータはないので、小児甲状腺がんの増加は放射線とは関係がありません。実際、福島で発見されている小児甲状腺がんの患者さんは、チェルノブイリとは年齢、性差も全く異なっているばかりか、避難地域の発生頻度は線量が非常に低い会津地方と変わりません。

交通事故で死亡した人の臓器を顕微鏡で詳しく調べた結果、60歳以上の全員に甲状腺がん細胞が発見されたというデータがあります。しかし、年間127万人以上が亡くなる日本で、甲状腺がんで死亡する人は1700名程度。また、お金を払って全摘出手術を受けた後に一生ホルモン剤を飲むことになりますので、早期発見はマイナスであるとも言えます。

韓国では、近年、乳がん検診と一緒に甲状腺のエコー検査をするようになったことで、甲状腺がんの発見が20年で15倍にも増えています。韓国のがんで甲状腺がんがトップとなり、女性のがんの4分の1を占めていますが、甲状腺がんの「早期発見」が進んだとはいえ、がんによる死亡総数は減っていません。もともと、甲状腺がんで命を落とすことはほとんどないので当然です。

高齢者のほぼ全員が持っている甲状腺がんですが、若い世代でも珍しくありません。韓国と同様、福島でも「自然発生型」のがんを見つけ出しているだけと言えますが、こうしたがんは大きくならないことがほとんどで自然消滅も珍しくありませんから、韓国と同様、過剰診断が行われていると言えるでしょう。

福島の住民の被ばく量、特に内部被ばく量はチェルノブイリと比べものにならないほど低く抑えられました。にもかかわらず、僅かな被ばく量を怖れて避難を続け、残念ながら生活習慣の悪化からがん患者の増加が懸念されるとともに、本来なら不要な検査を受ける結果、すでに小児では甲状腺がんの過剰発見も進んでいます。福島の原発事故は、放射線とがんを正しく理解することの重要性を改めて教えてくれます。

http://www.asyura2.com/15/genpatu42/msg/369.html#c125

   

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