漱石は「三四郎」の中で「小さんは天才であるあんな芸術家はめったに出るもんじゃない
いつでも聞けると思うから安っぽい感じがしてはなはだ気の毒だ
じつは彼と時を同じゅうして生きている我々はたいへんなしあわせである」と書かれてます

当時の小さんの落語がどういうものか音源がないので全くわかりません
ただ天才と賞された小さんに匹敵出来る現代の落語家はといえば
古今亭志ん朝しかいません

志ん朝は自分を天才とも芸術家とも思っていなかったのでは
志ん朝には落語というのは寄席やホールに来てくださってるお客さんに
気楽にのんびり笑ってもらえばいいので別に落語を高尚な芸能とも思っていない
　
それでも落語の芸にたいして志ん朝は非常に厳しい修練を積んでます
志ん朝の芸について　あれこれ言うのはヤボですよね
まあ気楽にのんきに聞いて笑えばいいのです

ユーチューブで見れば志ん朝(父親の志ん生も）の良さがすぐにわかります
佃祭という噺で亭主が佃祭に行きたいのをやきもち焼きの嫁が止める
挙句の果てにお祭りがお化粧して待ってるでしょうと毒づく

亭主が佃の渡し舟の沈没で水死の報（誤報）で亭主の体になにか特徴はと
聞かれると左の二の腕に　こま命と私の名前が彫っていますとしをらしく

その亭主が三年前に橋から川に身投げしようとした女性を助けます
その話を聞いた嫁はこの人はそれが女だから助けたのです
男なら川に放り込んでいますと言い出す始末

化け物使いと言う噺には目鼻口のないのっぺらぼうの若い女性が登場します
登場した家の亭主がのっぺらぼうの女性に目鼻口などなくてもいいんだ
なまじあっても世の中には苦労している女はいくらでもいるんだとなぐさめます

志ん朝には得意の噺はたくさんあります
志ん朝歿後20年この人を乗り越える落語家は出てくるのでしょうか

先にのっぺらぼうの若い女性と書きましたが
のっぺら顔では年齢はよくわかりません
のっぺらぼうにはオバチャンも絶対に生息しています

ところでのっぺら顔ではお化粧はどのようにするのでしょうか
　

　

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