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2023年2月21日08時40分 〜
記事 [政治・選挙・NHK289] 奈良県知事選“自滅”の高市早苗県連会長に党内冷ややか…調整力不足で自民分裂(日刊ゲンダイ)


奈良県知事選“自滅”の高市早苗県連会長に党内冷ややか…調整力不足で自民分裂
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/318999
2023/02/21 日刊ゲンダイ


自らまいた種に(高市早苗経済安保担当相)/(C)JMPA

 4年に一度の統一地方選で4月9日投開票の9道府県知事選の告示(3月23日)まで約1カ月。徳島、奈良では自民党が候補者を一本化できず、分裂選挙になる見込みだ。

 徳島では誰が勝っても自民系に変わりはないが、奈良では分裂に乗じて日本維新の会が勝利をおさめる気配があり、注目を集めている。

 奈良県知事選は、5選を目指す現職の荒井正吾知事(78)と、高市経済安保担当相が総務相時代に秘書官を務めた元総務官僚の平木省氏(48)が自民県連に推薦を要請。県連会長の高市氏の判断で平木氏の推薦を決定した。

 ところが荒井知事は、「自民の推薦がなくても出る」と出馬を表明。事実上の選挙戦をスタートさせている。維新は公認候補として前生駒市長で弁護士の山下真氏(54)を擁立した。

「現職には多選批判もあり、維新に勝つためには若い候補者を立てるべきだという意見が多かった。本来は党本部もスンナリ平木氏に推薦を出すはずでした。候補者を一本化できずにこじれてしまったのは、高市さんの根回し不足が原因です」(地元関係者)

「ポスト岸田」から完全に脱落


新春会見で、奈良県知事選への出馬を表明した荒井正吾知事(C)共同通信社

 元海上保安庁長官で参院議員を務めた後に奈良県知事に転身した荒井は、中央政界と独自の太いパイプを持つ。

「県連は平木氏の推薦を党本部に上申しているが、荒井知事は二階元幹事長や古賀誠元幹事長らの支持を得て党本部に働きかけ、巻き返しをはかっている。県連会長に昨年なったばかりの高市氏にとっては初の大型選挙で、その手腕が問われますが、党本部の推薦は中ぶらりん状態です。二階氏と親しい森山選対委員長は調整に乗り出す気配がないし、“ポスト岸田”をうかがう茂木幹事長も、高市氏が自滅してくれれば都合がいいと考えているのか、静観の構えです」(自民党ベテラン議員)

 18日に地元で開かれた後援会の会合で、荒井知事は、党本部の推薦について「向こう(平木氏)にも出す動きがない」と話していたという。

 このまま分裂選挙に突入すれば、維新にとっては有利な展開になりそうだ。

「維新に知事を取られるようなことになれば、県連会長の責任問題に発展する。かといって、候補者一本化のために自身の秘書官だった平木氏を降ろしても求心力を失う。どちらに転んでも評価を下げるだけで、総理候補からは脱落です。選挙の勝敗以前に、この段階で政治力不足を露呈してしまいましたが、党内に同情する声はなく、支える人もいない。安倍元首相の後継者をアピールして、岸田政権の方針に突っかかっていた高市氏のことは総理周辺も快く思っていないでしょうから、高市氏の窮地は自らがまいた種だと、冷ややかに見ているのではないでしょうか」(政治ジャーナリスト・角谷浩一氏)

 昨年末に岸田首相が防衛増税を表明した際は猛反発し、「一定の覚悟を持って申し上げている」と威勢の良かった高市氏が最近やけにおとなしい。“高市潰し”の包囲網で足元がグラグラの焦りからなのか。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/322.html

記事 [政治・選挙・NHK289] 森雅子氏にLGBT議論「注視」連発の過去…“難アリ”議員が理解増進担当のドッチラケ(日刊ゲンダイ)

森雅子氏にLGBT議論「注視」連発の過去…“難アリ”議員が理解増進担当のドッチラケ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319051
2023/02/21 日刊ゲンダイ


“人権派”を自負しているが…(森雅子首相補佐官)/(C)日刊ゲンダイ

 岸田首相の“やってる感”にはウンザリだ。岸田首相は20日、自民党の役員会で、LGBTなど性的少数者への理解増進法案をめぐり、国会提出に向けた準備を進めるよう党幹部に指示。表向きはLGBTに寄り添っているふうだが、本気度は感じられない。

 やる気のなさは、人事に表れている。岸田首相は17日、女性活躍担当の森雅子首相補佐官に理解増進担当を兼務させる人事を決定。しかし、肝心の森氏に「難アリ」だ。

 森氏は現在、参院3期目。中学時代は借金取りに追われてつらい思いをしながらも、苦学して東北大法学部に進学。5回目の挑戦で司法試験に合格し、弁護士資格を得た。「弱者保護という立場で弁護士をしてきた」と明言し、“人権派”を自負している。

 ところが、人権問題そのものであるLGBT関連の法整備については口が重い。安倍政権下で務めた法相時代、2020年1月30日の参院予算委で、こう答弁している。

「例えば、与党自民党におきましては、LGBT特命委員会の下で古屋委員長がLGBT理解増進法案というものを取りまとめたということで稲田朋美幹事長代行から伺ったところでございますが、また、そういった政党内での議論、そして、それがまた国会でご議論になる場面もあると思いますが、しっかりとそれを注視してまいりたい」

 質問したLGBT当事者の野党議員から同性婚の法制化の検討を促されても、「国民の皆さま方のご議論、注視をしてまいりたい」の一点張り。この時、森氏が再三「注視する」と繰り返した議論は自民党内でまとまらず、理解増進法案の国会提出が結局、見送りとなった経緯がある。

 現在でも自民党内は、「差別は許されない」という文言の修正をめぐりスッタモンダしている。岸田首相は党内調整を森氏に期待しているようだが、「議論を注視する」と言ってお茶を濁す人物では到底無理だろう。

 森氏は野党時代、国会質問に立った際「基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする」とうたう弁護士法第1条を紹介。「私どもは弁護士修習のときに、この1条を大事に心に秘めて弁護士の仕事に出ていったものでございます」と続けた。

 少しは、その矜持を見せたらどうか。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/323.html

記事 [政治・選挙・NHK289] <ドンッドーンッと死んでいる>超過死亡激増の原因 <高齢者に3ヶ月間隔で5回目を打たせたのが原因…> 鹿ドクター(ニコニコ動画):医療板リンク 
<ドンッドーンッと死んでいる>超過死亡激増の原因 <高齢者に3ヶ月間隔で5回目を打たせたのが原因…> 鹿ドクター(ニコニコ動画)

http://www.asyura2.com/22/iryo10/msg/717.html



http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/324.html
記事 [政治・選挙・NHK289] 市役所前広場の護憲集会不許可は“憲法に違反しない” 最高裁(憲法守れ、は偏った政治思想?!)
 社会全体主義国家であれば、中央政府の政策に真っ向批判する集会は許可されないだろう。だが事象民主主義国家でそれが不許可にされていたらどうか?

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここから)

市役所前広場の護憲集会不許可は“憲法に違反しない” 最高裁

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20230221/k10013987251000.html

2023年2月21日 19時23分

6年前、護憲派の市民グループが金沢市役所前の広場で集会を開こうとした際、市が広場の使用を許可しなかったのは、憲法が保障する「集会の自由」の侵害にあたるかが争われた裁判の判決で、最高裁判所は憲法には違反しないと判断して、市民グループの上告を退けました。

石川県の護憲派の市民グループ「石川県憲法を守る会」は6年前、憲法施行70年の憲法記念日に市役所前の広場で集会を開こうと金沢市に申請をしましたが許可されず、「憲法が保障する集会の自由の侵害にあたる」と主張して、市に賠償を求めました。

1審と2審は「市役所前の広場は庁舎の一部に当たり、使用許可の判断は庁舎管理権のある市長の裁量に委ねられる」として、不許可の決定は憲法には違反しないと判断し、訴えを退けました。

21日の判決で最高裁判所第3小法廷の長嶺安政裁判長は、広場は市役所と一体的に管理されているとしたうえで「庁舎はあくまでも公務を行う施設であり、政治的対立がみられる論点の集会が開かれることで中立性に疑いが生じて、業務の遂行に支障が出るおそれがある」と指摘しました。

そのうえで「金沢市の庁舎管理の規定は集会に使うことが目的に含まれている施設まで使用を禁止しているわけではなく、集会の自由の制限は限定的だ」として、広場の使用を認めなかったことは憲法に違反しないと判断し、市民グループの上告を退けました。

裁判官5人のうち1人は「2審で審理をやり直すべきだ」とする反対意見を述べました。

●判決に反対意見の裁判官「正当な理由には当たらない」
判決に反対する意見を述べたのは、学者出身の宇賀克也裁判官です。

宇賀裁判官は「広場は市民の憩いの場としての利用を目的に整備されたことがうかがわれ、集会にも使われている。市役所の庁舎に隣接しているとはいえ、壁や塀で囲われておらず、広場という名称からも『公の施設』の性格を失ったとはいえない」として、判断にあたっては、庁舎の管理規定ではなく公の施設に関する規定を適用するべきだと指摘しました。

そのうえで「集会は祝日に開かれる予定で市の業務への影響はない。市が不許可にしたのは中立性に疑問を持たれるという、抽象的なおそれに尽きていて、正当な理由には当たらない」と述べ、2審判決を取り消し、審理をやり直すべきだとしています。

さらに「集会で発言される可能性がある内容を理由に不許可にすることは言論の自由の事前抑制になるので、ヘイトスピーチや特定の個人を侮辱するおそれがある場合以外は認められない」と述べました。

●金沢市長「適切な運用に努めていく」
判決について金沢市の村山卓市長は「市の主張が認められたと受け止めている。今後も市役所前広場の適切な運用に努めていきたい」とコメントしています。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー(ここまで)
憲法尊守義務は公僕含む国民すべてに当てはまるもので、憲法守れ、は本来特別な政治思想ではない。
もしそういわれるとすれば、それは改憲を党是として目論む政権与党への忖度に思える。

関連:
■<異常国家>現行憲法9条を支持するバッジをつけていると国会や議員会館に入れない!「図書館戦争」や「はだしのゲン」の世界が
http://www.asyura2.com/15/senkyo194/msg/438.html
投稿者 赤かぶ 日時 2015 年 10 月 08 日 14:01:04: igsppGRN/E9PQ
http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/325.html
記事 [政治・選挙・NHK289] 令和5年2月21日 第三小法廷判決

令和3年(オ)第1617号 損害賠償請求事件
https://kanz.jp/hanrei/data/html/202302/091799_hanrei.html

令和5年2月21日 第三小法廷判決
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人らの負担とする。
理 由
上告人兼上告代理人岩淵正明ほかの上告理由について
第1 事案の概要
1 本件は、上告人石川県憲法を守る会(以下「上告人守る会」という。)が、
金沢市長の管理に属する金沢市庁舎前広場(以下「本件広場」という。)において
「憲法施行70周年集会」(以下「本件集会」という。)を開催するため、金沢市
庁舎等管理規則(平成23年金沢市規則第55号。以下「本件規則」という。)6
条1項所定の許可を申請したところ、同市長から不許可処分を受けたことについ
て、上告人守る会及びその関係者であるその余の上告人らが、被上告人に対し、国
家賠償法1条1項に基づく損害賠償を求める事案である。
2 本件に関係する本件規則の定めは、次のとおりである。
本件規則は、庁舎等の管理に関し必要な事項を定めることにより、庁舎等の保全
及び秩序の維持を図り、もって公務の円滑な遂行に資することをその目的とする旨
規定した上で(1条)、本件規則において「庁舎等」とは、被上告人の事務又は事
業の用に供する建物及びその附属施設並びにこれらの敷地(直接公共の用に供する
ものを除く。)で、金沢市長の管理に属するものをいう旨規定する(2条)。
本件規則5条は、何人も、庁舎等において、同条各号に掲げる行為をしてはなら
ない旨規定しており、同条2号は、拡声器を使用する等けん騒な状態を作り出す行
為を、同条3号は、旗、のぼり、プラカード、立看板等を持ち込む行為を、同条1
2号(以下「本件規定」という。)は、特定の政策、主義又は意見に賛成し、又は
1
反対する目的で個人又は団体で威力又は気勢を他に示す等の示威行為を、同条14
号は、同条1号から13号までに掲げるもののほか、庁舎管理者が庁舎等の管理上
支障があると認める行為をそれぞれ掲げる。もっとも、本件規則6条1項は、庁舎
管理者は、本件規則5条1号から7号までに掲げる行為について、被上告人の事務
又は事業に密接に関連する等特別な理由があり、かつ、庁舎等の管理上特に支障が
ないと認めるときは、当該行為を許可することができる旨規定し、本件規則6条4
項は、上記許可を受けようとする者は、あらかじめ所定の様式による申請書を提出
しなければならない旨規定する。
3 原審の適法に確定した事実関係等の概要は、次のとおりである。
本件広場は、被上告人の本庁舎に係る建物の敷地の一部であり、当該建物の
すぐ北側に位置している。また、本件広場は、壁や塀で囲われていない南北約60
m、東西約50mの平らな広場であり、その北側及び東側は道路に接している。
本件広場においては、本件規則6条1項所定の許可がされた上で、国際交流団体
の活動紹介を内容とする行事や音楽祭のほか、原水爆禁止を訴える趣旨の集会が開
催されたことがある。上告人守る会自身も、令和元年11月及び同2年5月には、
本件規定に該当する行為をしないことを前提として同項所定の許可を受けた上で、
本件広場において、本件集会とは異なる規模、態様により、いわゆる護憲集会を開
催している。
上告人守る会は、平成29年3月31日、憲法(特に9条)を守るなどの目
的で本件広場において本件集会を開催するために、本件規則6条1項所定の許可を
申請したところ、金沢市長は、同年4月14日、本件規定に該当し庁舎等の管理上
の支障があるなどとして不許可処分をした。
第2 上告理由第3の2及び3について
1 本件規則5条14号は、庁舎等(本件規則にいう庁舎等をいう。以下同
じ。)における禁止行為について、概括的に「庁舎等の管理上支障があると認める
行為」と規定しているところ、本件規定は、その内容を具体的に定める趣旨の規定
2
であると解される。そうすると、本件規定は、所定の目的による示威行為であっ
て、これにより管理上の支障が生ずるものを掲げているものと解するのが相当であ
る。そして、本件規定が「特定の政策、主義又は意見に賛成し、又は反対する目
的」による示威行為を禁止していることに照らすと、上記管理上の支障とは、被上
告人の公務の用に供される庁舎等において威力又は気勢を他に示すなどして特定の
政策、主義又は意見(以下「政策等」という。)を訴える示威行為が行われること
により、被上告人について、外見上の政治的中立性が損なわれ公務の円滑な遂行
(本件規則1条参照)が確保されなくなるとの支障をいうものと解すべきである。
2 所論は、本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用すること
が集会の自由を侵害し、憲法21条1項に違反する旨をいうものと解される。
ア 憲法21条1項の保障する集会の自由は、民主主義社会における重要な基
本的人権の一つとして特に尊重されなければならないものであるが、公共の福祉に
よる必要かつ合理的な制限を受けることがあるのはいうまでもない。そして、この
ような自由に対する制限が必要かつ合理的なものとして是認されるかどうかは、制
限が必要とされる程度と、制限される自由の内容及び性質、これに加えられる具体
的制限の態様及び程度等を較量して決めるのが相当である(最高裁昭和61年(行
ツ)第11号平成4年7月1日大法廷判決・民集46巻5号437頁等参照)。
イ 本件規定を含む本件規則は、金沢市長の庁舎管理権に基づき制定されている
ものであるところ、普通地方公共団体の庁舎(その建物の敷地を含む。以下同
じ。)は、公務の用に供される過程において、住民等により利用される場面も想定
され、そのことを踏まえた上で維持管理がされるべきものである。もっとも、普通
地方公共団体の庁舎は、飽くまでも主に公務の用に供するための施設であって、そ
の点において、主に一般公衆の共同使用に供するための施設である道路や公園等の
施設とは異なる。
このような普通地方公共団体の庁舎の性格を踏まえ、上記アの観点から較量する
に、公務の中核を担う庁舎等において、政治的な対立がみられる論点について集会
3
等が開催され、威力又は気勢を他に示すなどして特定の政策等を訴える示威行為が
行われると、金沢市長が庁舎等をそうした示威行為のための利用に供したという外
形的な状況を通じて、あたかも被上告人が特定の立場の者を利しているかのような
外観が生じ、これにより外見上の政治的中立性に疑義が生じて行政に対する住民の
信頼が損なわれ、ひいては公務の円滑な遂行が確保されなくなるという支障が生じ
得る。本件規定は、上記支障を生じさせないことを目的とするものであって、その
目的は合理的であり正当である。
また、上記支障は庁舎等において上記のような示威行為が行われるという状況そ
れ自体により生じ得る以上、当該示威行為を前提とした何らかの条件の付加や被上
告人による事後的な弁明等の手段により、上記支障が生じないようにすることは性
質上困難である。他方で、本件規定により禁止されるのは、飽くまでも公務の用に
供される庁舎等において所定の示威行為を行うことに限定されているのであって、
他の場所、特に、集会等の用に供することが本来の目的に含まれている公の施設
(地方自治法244条1項、2項参照)等を利用することまで妨げられるものでは
ないから、本件規定による集会の自由に対する制限の程度は限定的であるといえる。
ウ そして、本件規定を本件広場における集会に係る行為に対し適用する場合に
おいて上記イと別異に解すべき理由も見当たらないから、上記場合における集会の
自由の制限は、必要かつ合理的な限度にとどまるものというべきである。
所論は、本件広場が集会等のための利用に適しており、現に本件広場において種
々の集会等が開催されているなどの実情が存するなどというが、前記第1の3 の
とおり、本件広場は被上告人の本庁舎に係る建物の付近に位置してこれと一体的に
管理ないし利用されている以上、本件広場において、政治的な対立がみられる論点
について集会等が開催され、威力又は気勢を他に示すなどして特定の政策等を訴え
る示威行為が行われた場合にも、金沢市長が庁舎等の一部である本件広場をそうし
た示威行為のための利用に供したという外形的な状況を通じて、あたかも被上告人
が特定の立場の者を利しているかのような外観が生ずることに変わりはない。ま
4
た、上記実情は、金沢市長が庁舎管理権の行使として、庁舎等の維持管理に支障が
ない範囲で住民等の利用を禁止していないということの結果であって、これにより
庁舎等の一部としての本件広場の性格それ自体が変容するものではない。
したがって、本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用するこ
とが憲法21条1項に違反するものということはできない。
以上は、当裁判所大法廷判決(最高裁昭和27年(オ)第1150号同28年1
2月23日大法廷判決・民集7巻13号1561頁、前掲最高裁平成4年7月1日
大法廷判決)の趣旨に徴して明らかというべきである。所論の引用する最高裁平成
元年(オ)第762号同7年3月7日第三小法廷判決・民集49巻3号687頁
は、事案を異にし、本件に適切でない。
3 そして、これまでに説示したところによれば、本件規定は、不明確なものと
も、過度に広汎な規制であるともいえない。
4 以上の次第で、論旨は採用することができない。
第3 その余の上告理由について
論旨は、違憲をいうが、その実質は事実誤認又は単なる法令違反をいうものであ
って、民訴法312条1項及び2項に規定する事由のいずれにも該当しない。
よって、裁判官宇賀克也の反対意見があるほか、裁判官全員一致の意見で、主文
のとおり判決する。
裁判官宇賀克也の反対意見は、次のとおりである。
私は、多数意見の第2と意見を異にするので、私見を述べることとしたい。
1 上告人らの上告理由第3の2及び3について
本件広場が公共用物であることについて
多数意見は、本件広場が本件規則において庁舎等の一部に位置付けられていると
の理解を前提として、本件を庁舎等の管理の問題として論じているが、私は、本件
広場は公共用物であり、地方自治法244条2項にいう公の施設ないしこれに準ず
る施設に当たるものと考える。その理由は次のとおりである。
5
ア 被上告人においては、昭和45年6月19日に「金沢市庁舎管理要綱」
(以下「庁舎管理要綱」という。)が制定され、これによって金沢市長の管理する
庁舎等の管理の大綱が定められたが、旧広場(平成29年3月21日に本件広場が
供用開始されるのに先立って行われた改修工事の前の広場を指す。以下同じ。)が
昭和58年7月1日に完成したため、庁舎管理要綱とは別に、旧広場の管理につい
て、「金沢市庁舎前広場管理要綱」(以下「広場管理要綱」という。)が定めら
れ、これに伴い、旧広場の管理については庁舎管理要綱の適用除外とする旨の規定
が庁舎管理要綱に追加された。その結果、旧広場については、広場管理要綱に従い
管理されることになった。
そして、広場管理要綱では、「庁舎前広場は、本市の事務又は事業の執行に支障
のない範囲内で、原則として、午前8時から午後9時までの間、市民の利用に供さ
せるものとする。」(3条)と定められた。このことは、旧広場を被上告人の事務
又は事業の執行に支障のない範囲で市民の自由使用に供される広場として位置付け
る趣旨であると解される。すなわち、旧広場は、被上告人の本庁舎に係る建物等
(公用物)と区別された公共用物として一般の利用に供されたと考えられる。な
お、広場管理要綱3条にいう「本市の事務又は事業の執行に支障」とは、旧広場を
破壊ないし毀損したり、騒音・振動等により被上告人の事務又は事業の遂行に支障
を与えたり、長時間にわたる独占的使用により旧広場を基本的に一般市民の自由使
用に供するという目的に大きな支障が生じたり、集会参加者が多く隣接する道路に
参加者が溢れ出て交通に支障を及ぼしたりするような場合を意味すると解するべき
であろう。
その後、平成23年9月30日に本件規則が制定され、それに伴い庁舎管理
要綱が廃止されたとうかがわれるが、本件規則には、旧広場を適用除外とする旨が
明記されなかった。この点に関し、本件規則が従前の方針を変更し、旧広場にも、
被上告人の本庁舎に係る建物等と同様に本件規則を適用する趣旨であったのであれ
ば、本件規則制定時に庁舎管理要綱を廃止するのと併せて、広場管理要綱も廃止し
6
たと考えられる。しかし、広場管理要綱はそのまま存続したのであり、このことか
らすれば、旧広場は、被上告人の本庁舎に係る建物の敷地ではあるものの、直接公
共の用に供するものに当たることとなって、本件規則による管理の対象である「庁
舎等」から除かれることとなり(本件規則2条)、旧広場には、引き続き広場管理
要綱が適用されていたと解すべきであろう。
さらに、その後、旧広場の改修工事が平成27年度から開始され、改修工事
の後の本件広場が同29年3月21日に供用開始され、同日に本件規則5条12号
と6条1項が改正された。しかし、この改正は、従前の運用を明確にする趣旨のも
のであって、実質的な改正ではないものと解される。そして、本件規則2条は改正
されていないので、上記改正後においても、同条の「庁舎等」には、「直接公共の
用に供するもの」は含まれないと解すべきである。
しかるところ、本件広場は、従前以上に、市民の憩いの場として利用されること
を目的として整備されたものであるとうかがわれる。実際に、本件広場において
は、集会等のための許可使用も行われているのであり(多数意見第1の3 も参
照)、このことは、本件規則が適用された場合に「旗、のぼり、プラカード、立看
板等を持ち込む行為」が原則として禁止されること(本件規則5条3号)とは適合
しない。
また、本件広場が、市庁舎「内」の広場ではなく、市庁舎「前」の広場であり、
庁舎に隣接しているとはいえ、壁や塀で囲われているわけではなく、南北約60
m、東西約50mの平らな空間であり、「広場」という名称であることからもうか
がえるように、本件広場は、原判決がいうように来庁者及び職員の往来に供される
ことも予定された施設であるとはいえ、そのことを主たる目的とする施設であると
は考えられない。
こうしたことからすれば、本件広場が、公共用物としての性格を失ったなどとは
到底いえない。
したがって、本件広場は、本件規則2条の「庁舎等」に含まれず、公の施設
7
として地方自治法244条の規定の適用を受けるか、又は公の施設に準ずる施設と
して、同条の類推適用を受けると解すべきと考えられる。
なお、上記の判断を前提とすると、本来、被上告人は、本件広場の設置及び管理
に関する条例を制定すべきであったということになるが(地方自治法244条の2
第1項)、本件広場については、そのような条例は制定されていない。しかし、公
の施設であるか否かは、設置者の主観的意思のみで定まるものではなく、当該施設
の構造やその実際の利用状況も踏まえて判断されるべきであるから、上記のような
条例が制定されていないことにより判断が左右されるべきものではない。
イ これに対し、原判決は、公用物と公共用物の二分法をとり、本件広場は、公
用物である庁舎等の一部であるから、公共用物である公の施設に当たらない旨判示
している。
しかし、ここでは、仮に本件広場が広い意味での庁舎に含まれるとしても、本件
広場を公共用物と解することが可能であり、上記アの検討は左右されないことを指
摘しておきたい。
そもそも、公用物と公共用物の区別は、常に截然とできるわけではない。一口に
庁舎といっても、宮内庁の庁舎のように国民が訪れることがほとんどないものか
ら、住民票の写しや戸籍の謄抄本などを発行する市区町村の出張所のように広く住
民が利用するものまで様々である。また、公立学校は公共用物に分類されることが
多いが、学校施設は、当該学校の生徒に対する教育のためのものであり、当該学校
の教職員又は生徒以外の者が自由に利用できるわけではないので、道路や公園のよ
うに何人でも自由に利用できる公共用物とは性格を大きく異にする。このように、
公用物や公共用物の性格にはグラデーションがあり、単純な二分法を解釈論上の道
具概念として用いることには疑問がある。
さらに、公用物の場所や時間を限定して公共用物として利用することは広く行わ
れるようになっている。例えば、庁舎に係る建物の最上階を展望室にして、一般に
開放している例があるが、この場合の最上階は、公用物というより公共用物であろ
8
う。また、利用者の範囲が限定された公共用物を場所と時間を限定して一般に開放
する取組も進められてきた。公立学校の施設についても、校庭を休日に限定して一
般に開放することは珍しくなくなっているが、このような場合の休日における校庭
は、公園と同じ機能を果たしているといってよい。この例のように、公用物や利用
者の限定された公共用物であっても、空間的・時間的分割により、広く一般が利用
可能な公共用物になることがあるのである。
本件広場を含めた(広義の)庁舎についても、本件広場に空間を限定し、かつ、
休日等、騒音等により市の公務に支障を与えない範囲で公共用物としての利用が行
われてきたとみることもできる。
以上のとおりであるから、公用物は公用物としてしか利用し得ないという論理
は、行政の実態とも適合しておらず、本件広場の利用の実態等を十分に吟味せず
に、本件広場への本件規則の適用を前提とすることには賛同し難い。
上記上告理由についての判断の結論
以上によれば、本件広場については、本件規則が適用される余地はないから、上
記上告理由に係る論旨はその前提を欠くものであり、民訴法312条1項及び2項
に規定する事由のいずれにも該当しない。
2 職権による検討
以上を前提とした上で、本件の事案に鑑み、更に進んで、職権により原判決を破
棄すべき事由の有無につき検討する。
本件広場は、公の施設としての性格を有しており、集会のための使用は、その目
的に沿った使用であるから、本件では、最高裁平成元年(オ)第762号同7年3
月7日第三小法廷判決・民集49巻3号687頁(以下「泉佐野市民会館事件最高
裁判決」という。)の基準に従って、地方自治法244条2項の「正当な理由」の
存否が判断されるべきであったと考えられる。そこで、上告人守る会による本件規
則6条1項所定の許可の申請に対して金沢市長が平成29年4月14日にした不許
可処分(以下、本反対意見においては「本件不許可処分」という。)に関し、上記
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基準に照らして「正当な理由」があるという余地があるか否かについて検討する。
なお、広場管理要綱が廃止された後は、本件広場の使用許可申請についての審査基
準がない状態になっていると考えられるため、地方自治法244条2項の「正当な
理由」の有無については個別事案ごとに判断するほかない。
泉佐野市民会館事件最高裁判決の判示を前提とすれば、公の施設における集会の
不許可につき「正当な理由」が認められるためには、人の生命、身体又は財産が侵
害され、公共の安全が損なわれる危険を回避し、防止することの必要性が集会の自
由を保障することの重要性に優越している場合でなければならず、かつ、その危険
性の程度としては、単に危険な事態を生ずる蓋然性があるというだけでは足りず、
明らかに差し迫った危険の発生が具体的に予見されることが必要であると解すべき
である。
上記申請は、平成29年5月3日12時から14時まで(集会は13時から13
時半までの30分程度)、憲法施行70周年集会を約300人で行うことに係る許
可を求めるものであった。約300人という人数が本件広場の収容能力を超えると
か、本件広場に物理的支障を与えるようなものとはいえず、人数面で不許可とする
理由はないと考えられる。実際、被上告人からも、本件集会による物理的支障は全
く主張されていない。また、本件集会が予定されていたのは祝日であるから、被上
告人の執務に影響を与えることはない。
また、過去において、本件広場で特定の政策を主張する集会が許可されたことに
よって、被上告人に苦情・抗議が寄せられた実例があるという主張が被上告人から
なされたわけではなく、本件集会を許可することに対する被上告人への苦情・抗議
のおそれは、過去の実例に基づく具体的なものではない。
結局、本件広場を本件集会のために使用することを不許可にした理由は、もし本
件集会を許可した場合、被上告人が本件集会の内容を支持している、あるいは本件
集会を行う者を利しているなどと考える市民が、被上告人の中立性に疑問を持ち、
被上告人に対して抗議をしたり、被上告人に非協力的な態度をとったりして、被上
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告人の事務又は事業に支障が生ずる抽象的なおそれがあるということに尽きる。し
かし、次のとおり、そのような理由は、「正当な理由」には当たり得ないと考えら
れるから、本件不許可処分は違法であり、これと異なる原審の判断には地方自治法
244条の解釈適用を誤った違法があり、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令
の違反があるといわざるを得ないから、原判決は破棄を免れない。
一般職の公務員による法の執行に政治的中立性が要請されることは当然であ
るが、首長や議員は、特定の政策の実現を公約して選挙運動を行い当選しているの
であり、市長や市議会議員が立案して実行する政策が政治的に中立であることはあ
り得ない。そして、市民の中には、様々な意見を持つ者がおり、被上告人の政策に
不信感を持つ者も当然存在するはずであり、被上告人に対して抗議をしたり、被上
告人に協力したくないと考えたりする者もいるかもしれないが、そのように被上告
人の政策に批判的な市民が存在し、実際に被上告人の政策を批判すること自体は、
民主主義国家として健全な現象といえ、それを否定的にとらえるべきではない。も
とより、仮に、そのような市民の中に、常軌を逸した抗議を行ったり、被上告人の
事務又は事業を妨害したりする者がいれば、民事訴訟を提起したり、不退去罪、威
力業務妨害罪、公務執行妨害罪等に該当するとして公訴の提起を求めたりするなど
の対応をとらざるを得ないことになるが、そのような極端な場合が抽象的にあり得
ることを理由として、本件広場の使用を許可せず、集会の自由を制限することは、
角を矯めて牛を殺すものといわざるを得ない。
被上告人が協賛したり後援したりする行事についても、被上告人の中立性に
疑念を持ち、被上告人に対して苦情を申し立てたり、抗議したりする者がいる可能
性は否めないところ、そのような可能性がある行為を被上告人は行うべきではない
というのであれば、被上告人は行事の協賛・後援を一切行うべきではなく、また、
集会の許可は一切すべきでないということになりかねないが、そのような結論が妥
当でないことは当然であろう。このことは、不特定の者が被上告人の中立性に疑念
を抱く可能性があるというような抽象的な理由による不許可処分が正当な理由を欠
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くといわざるを得ないことを示している。
市民会館のように公の施設であることが明らかな施設の使用を許可された上
で行われる集会の場合であっても、被上告人が当該集会で発せられるメッセージを
支援していると誤解して苦情を申し立てたり抗議をしたりする者が生ずる可能性は
抽象的には存在するのであり、むしろ、壁も塀もなく屋外の道路とつながった本件
広場よりも、被上告人の施設であることが明白な市民会館内の集会の方が、被上告
人が支援しているという誤解が生じやすいといえなくもない。
しかし、公の施設であることが明白な市民会館における使用許可については、こ
のような理由による不許可処分が地方自治法244条2項に違反し許されないこと
は、泉佐野市民会館事件最高裁判決や最高裁平成5年(オ)第1285号同8年3
月15日第二小法廷判決・民集50巻3号549頁(上尾市福祉会館事件判決)の
趣旨に照らして明らかであろう。
このことは、なぜ市民会館では到底認められないような不許可理由が、住民の自
由使用に供され、集会のための許可も相当数認められてきた本件広場における集会
に係る不許可理由たり得るのかという疑問を深めることになる。
3 予備的な見解
本件についての私見は以上のとおりであるが、念のために本件広場に本件規則が
適用されるとの多数意見の理解を前提とした予備的な検討も加えておくと、上記理
解を前提としても、いわゆるパブリック・フォーラム論に基づいた次の理由によ
り、本件広場における集会に係る行為に対し本件規定を適用することは憲法21条
1項に違反しており(多数意見の第2とは異なる結論となる。)、したがって本件
規定を本件広場における集会に係る不許可理由として援用することはできないこと
となる。そうすると、原審の判断には憲法の解釈適用を誤った違法があり、判決に
影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があるといわざるを得ないから、原判決は
破棄を免れない。
本件広場は、前述したような形状、位置及び利用の実態に鑑みれば、パブリック
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・フォーラムとしての実質を有するといえる。パブリック・フォーラムにおける集
会でなされるおそれのある発言内容を理由に不許可にすることは言論の自由の事前
抑制になるので、ヘイトスピーチを目的としたり、特定の個人に対する名誉毀損や
侮辱という犯罪が行われたりする明白なおそれがある場合でなければ、原則として
認められるべきではない。このように、集会の内容による規制を行う場合には、や
むにやまれぬ利益が認められ、当該利益を達成するための手段が目的達成のために
合理的に限定されていることが被上告人により立証されなければならない。しかる
ところ、本件規定が念頭に置いていると考えられるような抽象的な支障(多数意見
第2の1参照)による不許可を認めれば、その時々の市長の政治信条次第で「見解
による差別」を認めることになりかねないのであって、本件規定に該当することが
立証されたとしても、やむにやまれぬ利益が被上告人により立証されているとはい
い得ないと考えられる。現に、本件広場における集会のための許可申請に対する判
断の状況(多数意見の第1の3 参照)からは、特定の政策等を訴える集会に対す
る許否の運用が一貫していないことがうかがわれるものといわざるを得ず、このこ
とからは、上述したような「見解による差別」が生ずることが危惧されるところで
ある。
そもそも、集会の自由は、情報を受ける市民の自律的判断への信頼を基礎とし
て、様々な意見が自由に流通することにより、思想の自由市場が形成されることを
期待するものである。市民の集会の内容について被上告人自身がその内容を協賛・
後援していると誤解し、被上告人が説明を行ってもその誤解が解けず、被上告人に
抗議をしたり、被上告人に非協力的になったりして、被上告人の事務又は事業に支
障を生じさせるような市民を一般的市民として措定し、高度にパターナリスティッ
クな規制を行うことにつき、憲法21条が保障する集会の自由に対する制約として
正当化することは困難と思われる。
4 結語
以上に述べたとおり、本件広場が公の施設に該当するとの私見によっても、本件
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広場に本件規則が適用されるとの多数意見の理解を前提としても、原判決は破棄を
免れない。そして、国家賠償法上の違法性及び損害額等について更に審理を尽くさ
せるため、本件を原審に差し戻すのが相当である。
(裁判長裁判官 長嶺安政 裁判官 宇賀克也 裁判官 林 道晴 裁判官
渡 惠理子 裁判官 今崎幸彦)
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http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/326.html
記事 [政治・選挙・NHK289] 「安倍派」次期会長本命は萩生田光一氏? 森喜朗元首相が地元紙で“後継指名”の大放談(日刊ゲンダイ)


「安倍派」次期会長本命は萩生田光一氏? 森喜朗元首相が地元紙で“後継指名”の大放談
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/319054
2023/02/21 日刊ゲンダイ


一周忌をメドに…(萩生田光一政調会長)/(C)日刊ゲンダイ

 20日の「北國新聞」に掲載された森喜朗元首相のインタビューが永田町で話題になっている。

 安倍元首相の急死から空席になったままの清和政策研究会(安倍派)の会長候補について語っているのだが、これが「事実上の後継指名ではないか」とみられているのだ。

 森元首相は、松野官房長官、世耕参院幹事長、高木国対委員長、西村経産相、萩生田政調会長の5人の名前を挙げ、それぞれ論評。松野氏については<今は自分のことで精いっぱいでしょう。まずは官房長官としてしっかり存在感を示してほしい>と注文をつけ、高木氏は<5人組の一人だが、総理総裁を狙っているわけではない>と素っ気ない。言いたい放題だ。

 世耕氏に対しては<頭がいいし、弁も立つ。近畿大の理事長で、資金力まである(笑)>と持ち上げつつ、<参院のドンと言われた「第二の青木幹雄(元官房長官)」になれ>と、参院に専念するよう暗に促した。

萩生田氏を「総合力は最も高い」とベタ褒め


言いたい放題(森元首相)/(C)日刊ゲンダイ

 残る西村氏と萩生田氏だが、森元首相は<一番自信を持っているのは西村さんでしょう>と能力を認めながらも、<秘書がよく辞めるが、元経産省の能吏だけに指示が細かいんでしょう>と苦言。

 一方で萩生田氏は<力を付けてきた。大したもんです。総合力は最も高い>とべた褒めだ。当選回数は西村氏が7回、萩生田氏は6回という関係性だが、森元首相は<次の衆院選が終われば1回ぐらいの当選回数の差は気にならなくなる>とアシストしている。

「安倍派の次期会長は派閥内の話し合いでは決まらず、場合によっては派閥分裂の危機もあり得る。皆が納得するには、実質オーナーの森さんが“天の声”で指名するしかないだろう。森さんの本命は萩生田ということだ。タイミングとしては、今夏の安倍さんの一周忌に合わせて新会長の顔見せがあり、新体制に本格移行するのではないか。そうなった時に岸田首相との距離感はどうなるか。党内バランスが変われば一気に政局になりかねません」(自民党べテラン議員)

 萩生田氏自身、1月末にネット番組で「一周忌をメドにしかるべきリーダーを立てたい」「私で役立つことがあると皆さんが言ってくれるなら、どういう立場でも頑張る」と発言し、会長就任を視野に入れた決意表明とみられている。北國新聞の放談は、萩生田会長で派閥内が丸くおさまるよう、森元首相が地ならしを始めたということなのか。

 岸田首相との関係については、森元首相は<2、3日に一度連絡があります>と蜜月をアピール。<自民党総裁を2期くらいやっていただければいい><うちの派は岸田総理をしっかり支えて力を蓄えていけばいい>と語っている。

 最後は<おだぶつになるまであと5年くらいでしょうか。若い人たちを育て、派の幹部たちとも話し合いながら、この国のためにできることをやっていきたい>と締めくくり、まだしばらくはキングメーカーとして君臨する気のようだ。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/327.html

記事 [政治・選挙・NHK289] GDP世界3位転落目前 自民党政権を続けさせたら凋落するだけ(日刊ゲンダイ)

※2023年2月21日 日刊ゲンダイ1面 紙面クリック拡大


※紙面抜粋


※2023年2月21日 日刊ゲンダイ2面

※文字起こし

GDP世界3位転落目前 自民党政権を続けさせたら凋落するだけ
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/319057
2023/02/21 日刊ゲンダイ


日本経済は浮上できない(岸田首相)/(C)日刊ゲンダイ

「安いニッポン」「先進国で唯一ゼロ成長」「賃金の上がらない国」──。そんなうれしくない代名詞が定着し、日本が“貧しい国”へと転落しつつあることを、国民もだんだん分かってきた。それでも、あらためて具体的な数字を突きつけられると愕然とする。

<名目GDP、ドイツが肉薄><日本、世界3位危うく>

 19日付の日経新聞の記事の見出しだ。

 日本がずっと維持してきた国内総生産(GDP)で、米国、中国に次ぐ3位という地位が危うくなっている。4位のドイツとの差が急速に縮まっている、というものだ。

 2022年のドル建て名目GDPは日本が4兆2300億ドル(約560兆円)に対し、ドイツは4兆600億ドル。その差は1700億ドルしかない。20年は1兆1500億ドル、21年は6700億ドルの差だった。

 大きな要因は、一時32年ぶりの1ドル=150円超となった円安だ。物価高にしても、インフレ率が日本はドイツほどではないことも影響しているという。

 このドル建て名目GDPを20年前と比較すると、さらにショッキングだ。ドイツは2倍、米国も2倍、中国は12倍にまで膨んだのに、日本はわずか1%増とまったく成長していないのだ。

 日本だけがしぼんでいく理由について、日経新聞はこう分析している。
<日本は構造的な成長力の弱さがある。海外からエネルギー資源の多くを輸入する体質がかわらず、資源価格高騰で輸入額が膨らむ。電機業界の競争力が弱まり、モノの輸出で稼ぐ力も落ちた。少子高齢化や人口減少が進み、基本的な「体力」が落ちつつあることも大きい>

非正規雇用と円安のぬるま湯

 “ものづくりニッポン”の稼ぎ頭は、長年、電機と自動車といわれてきた。だが、気づけば日本の電機産業は完全に没落。輸出額から輸入額を差し引いた貿易収支は、22年下半期(7〜12月)に、半期ベースとしてはデータが残る1988年以降で初の赤字に転落した。貿易黒字の稼ぎ頭だったテレビなどのデジタル家電は割安な海外メーカーに敗北し、携帯電話市場も「iPhone」など海外スマホに奪われた。

 残された自動車産業もEV(電気自動車)の出遅れで正直、危うい。米テスラや中国BYDといった“EV台風”を前に、世界のトヨタもいつまでその地位にいられるだろうか。

「日本には自動車に取って代わる次の産業がありません。日本政府がGAFA(米主要IT企業)のような新しい産業が生まれる環境をつくらなかったことが原因です。アベノミクスの『3本の矢』も成長戦略とは名ばかりでした。日本企業が目先の利益ばかりを追いかけるようになったことも、経済を弱体化しました。小泉内閣あたりから加速させた非正規雇用の活用が元凶です。

 米国のように労働市場を流動化し、固定費としての人件費を変動費化するよう制度を改正したのです。必要な時だけ必要なだけの労働力を使えれば、企業は人件費を抑えられる。その結果、非正規雇用が労働者全体の4割を占めるようになりました。社員教育への資源配分を減らす企業が増え、『わが社』『うちの会社』というロイヤルティーもなくなった。長い目で見れば生産性の低下につながっていることは否定できません」(経済評論家・斎藤満氏)

 2000年代初頭の小泉・竹中構造改革で、日本の雇用はメタメタにされた。

「強い者はより強く、弱い者はより弱く」という新自由主義路線だ。竹中平蔵氏が昨年8月まで会長を務めたパソナグループなどの人材派遣会社は大儲けした。

 非正規は製造現場などあらゆる分野に拡大され、企業が労働者を資産ではなくコストと考えるようになった。給料の安い非正規を増やせば、企業は人件費を減らせ、見せかけの利益は増えるから喜ぶ。

 そんなリストラ経営が10年続いたところに、第2次安倍政権の異次元金融緩和で円安が加速。企業は為替差益のぬるま湯に安住し、ますます競争力を失ったのだ。

中長期的な視野なく、「今だけ、カネだけ、自分だけ」

 とどのつまり、世界経済において日本が一人負けしているのは、歴代自民党政権の利権あさりと無為無策に尽きる。

 今ごろになって岸田政権は「異次元少子化対策」と大騒ぎしているが、こうなることは「出生率1.57ショック」の30年前から分かっていたことだ。それを自民党政権は長年放置してきた。

「少子化問題には非正規雇用の拡大も影を落としています。国税庁の『民間給与実態統計調査』によれば、正社員と非正規雇用との賃金格差は3対1に拡大しました。年収190万円の非正規雇用では、子どもを持つことが難しい。少ない給料から家賃や社会保険料を払えば、あとはいくら残るのか。子どもどころか結婚すらできません。人口は経済成長に直結する。働き手が減れば、成長できなくなるのは当然です」(斎藤満氏=前出)

 少子化には自民党の古い家族観も多大な影響を与えている。

 09年の政権交代で民主党政権は「社会で子どもを育てる」という理念を掲げ、所得制限なしの「子ども手当」を創設するなどした。しかし、12年末に自民党政権に戻ると、安倍元首相の下、保守派が党の主流となり、再び子育ては「家庭」に閉じ込められた。

 その間、世界は、LGBT法や同性婚を認める法律が制定されるなど、多様性が進む社会に呼応して“進化”したのに、日本はそうした先進国のスタンダードからも取り残されたのだ。

倒錯した岸田政権

 そして、無為無策の政治は、岸田政権で絶望的に悪化している。

 少子化で人口減少に歯止めがかからないのに、防衛費を5年間で43兆円に増やす倒錯。米国に要求されるがまま兵器を爆買いし、防衛力を強化しても、人員不足の自衛隊で、誰が戦闘機を操縦し、誰がミサイルを撃つのか。軍需産業とその利権にぶら下がる政治家を喜ばせるだけだ。

 そのうえ、米国から購入した兵器は「輸入品」だから、日本の経済成長にはつながらない。どれだけ巨額の財政支出をしたとしても、GDPにはまったく反映されず、逆に借金が積み上がっていく。

 岸田首相が安易に原発回帰に舵を切ったことも倒錯と言うしかない。設計時に「40年」が基準だった老朽原発を60年超まで稼働させようという狂気の沙汰。建て替えに次世代原発の開発と、経産省、原子力ムラ、財界が一体となって古いエネルギーにしがみつく。

 GDPで日本を逆転しようとしているドイツは、東日本大震災での福島第1原発事故の大惨事を目の当たりにして、22年末の「脱原発」を決定した国だ。ロシアのウクライナ侵攻によるエネルギー不足でタイムスケジュールがずれ込んではいるものの、脱原発の方針はブレていない。電力消費量に占める再生エネルギー比率は5割弱まで高まり、積極的な環境投資で経済成長の絵を描いている。

 要は自民党政権の本質は「今だけ、カネだけ、自分だけ」。大事なのは、短期的な利益と選挙の票に直結する支援組織、政権維持や保身。50年後、100年後の未来にどんな国を残すかなど考えていない。

 ジャーナリストの鈴木哲夫氏が言う。

「中長期的な視野を持って提案する政治家が自民党にいなかったわけではないのですがね。例えば20年くらい前でしょうか。少子化対策のために社会保障制度を抜本的に改革すべし、と提言していた若手がいました。しかし、こうした声が吸い上げられないできた。女性議員もなかなか増えません。偉くなって出世するのは、男性に媚びるような女性議員ばかり。世代交代が進まず、男尊女卑の政党では、国を成長させられるわけありません」

 もはや自民党ではどうにもならない。国民が目覚めるしかないのである。

http://www.asyura2.com/22/senkyo289/msg/328.html

   

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