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投稿者 DC 日時 2001 年 9 月 02 日 14:27:00:

回答先: 靖国神社参拝 小泉首相の「失敗」を買う 投稿者 DC 日時 2001 年 8 月 17 日 21:37:05:

http://member.nifty.ne.jp/kanbei/diary/aug01.htm

<8月18日>(土)

○知り合いの記者から、「まだ調査中なんですけど、すっごく面白い話があるんです」。これがたしかにすごい。裏は取ってない
けど、ここでバラしてしまおう。

●官邸クラブの朝日の記者が数人(?)丸坊主にしてるらしい。官房長官番が丸坊主でキャップが半坊主?あと何人かも坊主に
したらしい。その理由がすごい!「小泉の靖国参拝を阻止できなかったから」だって。

○うーん、なんと言うのか。小泉内閣の新閣僚記者会見で、朝日の記者が全員に向かって「靖国参拝」の踏み絵を迫っていたの
は、それほどの思い込みがあったというわけでしょうか。ただし、本気で自分たちの影響力によって、首相の靖国参拝を止められ
ると思っていたのだとしたら、かなりの傲慢さですな。少なくとも、情報を伝える「媒体」としてはあまりにも歪んでいるとしか言い
ようがない。

○筆者はふだんから朝日新聞を読まないので、四酔人でほかの3人が「朝日はケシカラン」と憤慨しても、怒りを共有できないく
らいである。同様に筑紫や久米の番組も見ない。だって精神衛生上悪いに決まっているから。新聞が社説でどんなことを主張さ
れても結構ですが、報道の現場がそれだけ偏向していちゃまずいと思う。産経新聞で、「15日参拝の予定が13日になったから、
記者が坊主頭になった」てな話は考えられませんからね。リベラル派のあせりみたいなものを感じさせる怪情報でした。

<8月22日>(水)

○台風は午前中で失速したようです。期待を持たせたわりには、あっけなかったですね。ただし電車の乱れは相当なもので、通
勤には時間がかかりました。それにしても今朝のような天気でも、舞浜駅でディズニーランドに降りていくお客はいるものですね。
感心しました。

○8月18日のこの欄で、「首相の靖国参拝を阻止できなかったから、坊主になった新聞記者」の話を紹介しましたら、今度は別の
記者の方から下記のような続報を頂戴しました。本当だとしたら、なんともあきれ返ったボウズどもですな。

どうも、金銭が絡んでいるようです。
15日に参拝するかどうかで番記者仲間、あるいは朝日の官邸詰め記者の間で賭をしていたようで。

2001年8月

<8月1日>(水)

○今年も8月がやってきました。猛暑、高校野球、そして戦争に関する行事が多い季節。今年は靖国神社参拝問題をめぐり、や
やこしい議論が繰り返されそうです。筆者自身、この問題に対する答えが出せないで苦しんでおりますが、以下はその思考経路
をご披露する次第です。

○世間一般でいわれている靖国神社参拝の問題点については、アサヒコム
が上手に整理しています。とくに年表は役立ちます。筆者
の見るところ、主要な論点は2つに絞られます。

@憲法20条の政教分離

AA級戦犯の合祀

○靖国神社は明治12年から海・陸軍の所管で、戦争に参加した軍人・軍属で要請があった場合に、天皇の裁定で祀られる建前
でした。この辺の事情については、ここをご覧ください。ちなみに、靖国神社には
「戊辰の役における東北諸藩の賊軍」が祭られていない、という論点が発生しますが、ここでは取り上げません。

○まず時系列の混乱があることをご了解ください。1946年、GHQは靖国神社に対して、

@国家との関係を絶って宗教施設として存続する

A宗教色のない戦没者追悼の記念碑的施設にする

いずれかの選択を迫り、靖国神社は@を選択しました。そして翌47年には日本国憲法が成立し、政教分離が確定しました。

○つまり靖国神社は現在は一宗教法人に過ぎないわけで、これがこの問題の核心になります。首相が公式行事として参拝し、
神道の行事を執り行ったり、玉串料を国庫から支払うことは憲法違反の可能性が大です。たとえば97年4月には、愛媛県が護国
神社に玉串料の名目で県費を出資したことが最高裁で違憲と判断されています(15裁判官中13裁判官による多数意見)。「でも
首相が新年の伊勢神宮へ参拝するのは認められているじゃないか」という人もいますが、それはちょっと違うだろ、と思います。

○国家と宗教の分離、というのは基本的な問題です。小林よしのり氏あたりは、「戦死者を弔うのに宗教がなくていいのか」と簡
単に言いますけど、その場合はどの宗教を選ぶか、祭られる側に選択肢がなければなりません。米国のアーリントン・セメタリー
は「お国のために死んだ人々」を埋葬する場所ですが、特定の宗教法人とは関係ありません。それどころか、あらゆる宗教・宗派
の人を受け入れられるように最善の努力を尽くしていると聞いています。(でないとすぐに訴訟を起こされて、連邦政府が敗訴す
るでしょう)

○戦後の歴代の日本首相は、ごく普通に靖国神社に参拝していました。その辺の事実関係については、岡崎久彦氏が読売新
聞紙上で詳しく解説されています。全文はこちらをご参照くださ
い。この問題は教科書問題と同じように、人為的に作られたものである、という論旨です。これを読むと、「やっぱりそうだろうな
あ」という感じですが、このロジックで海外を納得させるのは難しいような気がします。

○さて、1978年には靖国神社はA級戦犯を合祀します。これ以後の首相の参拝に対しては、中国、韓国から批判が出るように
なります。この間の事情について、靖国神社はHP上で事情を説明しています。こちら
をご覧ください。要するに、「合祀は戦後の厚生行政の一環として
粛々と行われてきたのに、政治家が今頃になって知らなかった振りをするのは誠に遺憾」ということです。広く知らしめる価値が
ある話だと思います。

○さて、靖国神社参拝に抗議する中国の言い分はこうです。

「戦争で中国はヒドイ目に遭ったが、あれは日本人のすべてが悪いのではなく、一部の人が悪かっただけだと国民に言い聞か
せている。そうでないと日中友好ができないからだ。その悪いA級戦犯に日本国首相が参拝するのでは、今の日本人も悪い連
中だと考えざるを得ない」

○なにしろ中国共産党は抗日戦線から出発した人たちですので、これを放っておくことは彼らの存立を脅かします。先ごろ、中国
外相が田中外相との会談後、記者団に向かって「やめなさい、と言った」と厳しく日本側を咎めたのは、いわばみずからの保身
の意味もあるのだと考えていいでしょう。実際、1985年に参拝した中曽根首相が翌年は参拝を断念したのは、「中国内の日本シ
ンパが失脚する可能性があったから」です。これはそれなりに現実的な判断だと思います。

○ここでA級戦犯を別にしろ、という意見が出てきます。でもこれはどう考えても変ですね。まず、政府が一宗教法人に対して、あ
あしろこうしろということ自体が筋違いです。加えて「A級戦犯を分祀したら、それで中国や韓国は納得するのか」という保証もあ
りません。それ以前に、素朴な感情としてこの議論に違和感を感じています。極東裁判には変なところがたくさんあるし、広田弘
毅のような人間もA級にされています。「戦後55年もたっているのに」「神道では、人間は死ねば神様になるのに」という声もある
でしょう。

○筆者の思考をまとめると、@政教分離の観点から、首相の靖国神社参拝は望ましくない。AA級戦犯の分祀は論外なアイデ
ア、ということになります。同世代人である長島昭久氏が、ご自分のHPで同様な論旨を展開しているのを見て、やっぱりなと感
じました。ここの7月30日分をご参照ください。

○これから先が矛盾なのですが、それでも小泉首相が8月15日に行く、というのであれば、筆者は「止めたくはない、行かせてあ
げたい」とも思うのです。この大事な時期に、小泉政権がこの問題で貴重な政治的資源を浪費するのは明らかに得策ではありま
せん。でも、下記のようにいわれれば、「そうだよなあ」と思ってしまう。まして中国に気兼ねしたり、田中外相に説得されて、意
思を曲げちゃ嫌だと思うのである。

「小泉総理は終戦記念日に靖国参拝を行うと言っている。小泉氏の性格からいって、やると言えばやるのであろう。そしてその
理由は単純明快に、戦没者に哀悼の意を表するという事である。結論から言えば私はそれで良いと思う。公式、非公式の問題
などは論ずる必要もない」(岡崎久彦氏)。

○政治ジャーナリストK氏によれば、この問題に関する世論調査では、昔から一貫して6〜7割の意見が「行ってよし」なのだそう
である。考えてみれば、「憲法20条」も「A級戦犯」も、一般人にとってはたいした関心事ではない。幸か不幸か、日本人の多数
派は宗教には寛容なのである。小泉さんのやることは見ていてハラハラするけど、「結果オーライ」になってくれればいいな、と心
から思う。「聖域なき構造改革」についても同じことがいえるのだが。

○と、気が重いテーマについて、心ならずも長文を書いてしまいました。上記はできる限り正確を期したつもりですが、誤りがあ
ればご指摘ください。

○最後に気楽な話題をひとつ。四酔人対談が終了して、田中さんのHPでまとめてあります。こちらもご感想などをいただければ
幸いです。


<8月2日>(木)

○昨日たくさん書いたので今日は控えめに。靖国神社の問題に関連して、さっそくこんなものができました。よかったら皆様もご
参加ください。

http://www.asahi.com/politics/vote1/yasukuni.html

○現在のところ、首相の参拝に賛成意見が多いようです。K氏が言っていたとおりですね。筆者の周囲では、A「小泉は最後ま
で引っ張って結局、参拝を断念し、遺族会に仕方ないと思わせながら、立派な決断と評価されることを計算しているの
だと思う」という意見と、B「小泉が参拝を強行、その際、かなりふみこんだ首相声明を出して、この問題にケリをつける
のは一つの選択肢だし、小泉らしい」という意見があって、どちらもありそうな気がしました。

○筆者はあいかわらず、「理屈では反対、心情的には賛成」というどっちつかずなんですが、まあ責任のない立場なので許して
もらいましょう。それにしても靖国神社にせよ、千鳥が淵にせよ、一度も行かずにこういう議論をしている自分が情けなく思えてき
たので、今年の夏にはぜひ行ってみようと思いました。


<8月3日>(金)

○第2次世界大戦はナチスとムッソリーニ。湾岸戦争はフセイン。ユーゴ紛争はミロシェビッチ。これらは誰が悪いかがはっきりし
ている場合。ベトナム戦争、朝鮮戦争などは、正直なところ誰が悪いのかよく分からない。それでも戦争が終わった後には、責
任者を裁こうという話になるのは無理からぬところである。そうでないと犠牲者に対して申し訳ないからだ。

○では太平洋戦争はどうか。東條は確かに悪い。近衛の無責任さも腹が立つ。松岡の勇み足も罪が重い。だが、彼らが本当に
責任を感じていたかといえば、必ずしもそうではなさそうである。『重光、東郷とその時代』(岡崎久彦)を読みながらそう感じてい
る。後の時代を生きるわれわれが、あんまり死者を鞭打とうとしなかったことは、本当にいいことだったのかどうか。

○幸か不幸か、戦勝国が極東裁判というのをやってくれて、戦争犯罪人をA級、B級、C級と格付けまでして裁いてくれた。とりあ
えず太平洋戦争の悪人はA級戦犯ということになった。少なくとも外国人はそうだと思っている。ただし本当に彼らが悪かったの
かというと、よく分からない。不良債権が発生したのは誰のせいか、という議論に似ている。政策決定メカニズムが不可思議なこ
とになっているこの国においては、こういう話はよくあることだからだ。

○日本人は太平洋戦争に関するPublic Memoryを作ることを避けてきた。だから戦後世代のわれわれが聞かされてきたのは
Private Memoryとしての戦争である。その中で、日本人はいつも被害者である。本当は加害者でもあったはずなのだが。父母
の世代から空襲や疎開や窮乏生活といった戦争体験を聞かされるたびに、子供の頃から何か胡散臭いものを感じてきた。今年
もまたそういう季節がやってくる。

<8月8日>(水)

○この世に生を受けて40年と10ヶ月、生まれて初めて靖国神社というところへ行ってまいりました。8月1日のこのページでも
長々と書きましたけど、行かずに話をしているのはさすがにマズイかと思いまして。会社は午後から半休を取って、夏の思い出
作りに出かけてまいりました。

○たしかに行ってみて初めて気がついたことがあります。あまりに当たり前のことなので書いてて気が引けるのですが、「地下鉄
九段下で地上に出ると、目の前に靖国神社の大鳥居があって、向かって左手は北の丸公園であること」。つまり道路一本を隔て
て、日本武道館がある。来週の水曜になると、ここで全国戦没者慰霊式が行われる。ここに参加した人は、ついでに靖国神社に
立ち寄るのが自然な行動になりそうだ。だって目と鼻の先なんだもの。

○1986年以後の歴代首相は、慰霊式に出席した後は靖国神社に寄らずにそのまま立ち去っていることになる。政教分離とか、
A級戦犯とか、いろいろあるのだから仕方がないとはいえ、普通に参列した人から考えれば釈然としない思いが残るだろう。ま、
これは中国や韓国で怒っている人たちに通じる理屈ではありませんが。

○靖国神社に祭られているのは、太平洋戦争の戦死者だけではない。だからその意味では、8月15日の参拝にこだわる必然性
はないのです。以下の数字は靖国神社のホームページから。

●靖国神社御祭神戦役・事変別柱数 (平成12年10月17日現在)

明治維新 7,751
西南戦争 6,971
日清戦争 13,619
台湾征討 1,130
北清事変 1,256
日露戦争 88,429
第一次世界大戦 4,850
済南事変 185
満洲事変 17,175
支那事変 191,218
大東亜戦争 2,133,760
------------------------
合計 2,466,344

○安政の大獄以後の幕末の志士たち、たとえば吉田松陰、坂本竜馬あたりから、要するに「お国のために死んだ」約250万人が
この神社には祭られている。戦死軍人だけではなく、5万7000柱の女性(従軍看護婦やひめゆり部隊など)も合祀されている。要
するに軍人だけを祭った神社ではないのである。これを国の事業ではなく、一宗教法人の事業として、民間の浄財を集めてやっ
ているというところにこの問題の本質があるらしい。

○いずれにせよ、都心にあって大切にしたい空間であることは間違いありません。この問題に対する筆者の意見は、依然として
「小泉首相は行くべきではないけども、行かせてあげたい」と倒錯しております。ご本人としてはかなりの苦衷を味わっておられ
るでしょう。しかし8月15日まではあと1週間を切りました。

○靖国神社自体は、普通の神社とそんなに大きな違いはありません。ちゃんと鳥居があって、拝殿があって、本殿があります。
ご門に菊の紋章があることとか、大村益次郎の銅像があることとか、相撲場があることなどはユニークですが。ちゃんと賽銭も投
げたし、おみくじも引きました。それから「遊就館」という博物館があって、現在は改築中なのだけど、「かく戦えり。近代日本」と
いう特別展をやっていました。入場料一般300円は安い。これはお勧めです。

○夜は都内某所の会合へ。書けない話をいっぱい聞いてしまった。そうそう、靖国神社で引いたおみくじは「吉」でした。名前に
ついているだけあって、私は昔からおみくじの「引き」は強いのである。


<8月9日>(木)

○旧知のSさんからのご質問。

@結果として小泉首相は8月15日に(あるいは別の日に)靖国神社に行くのだろうか?
Aそれぞれのオプションを取った場合、その後小泉氏首相は、それぞれの場合(8月15日に参拝した場合、参拝しなかった場
合)、本件がもたらす国内外の影響に対し、どう対処すべきなのか?

○そろそろ靖国神社の「べき論」は切り上げて、現実の政治の問題として考えてはどうか、というご趣旨。同感ですね。言いかえ
れば、小泉純一郎首相がどういう行動を示すかを予想してみましょう。

○小泉首相が「8月15日に靖国神社に参拝する」と言い出したのは、自民党総裁選の公開討論会の席上、記者の質問に答えて
のことだった。総裁選の公約にはこのことは書かれていない。だが、その後何度も繰り返しているので、ほとんど公約に近いもの
になっている。では、なぜそんなことを言ったかというと、3通りの説がある。

@長年の信念だった。
A厚生行政に携わる機会が多かったので、戦時処理の問題に関心が深い。
B総裁選で日本遺族会の票が目当てだった。

○どれも少しずつ当たっているのだろう。さる永田町関係者いわく。「首相は熟慮している、というが、あれは本当に決めていな
い。中曽根首相は戦後政治の総決算、というグランドデザインに沿って、計算ずくで参拝した。小泉さんにそういう計算はない。
ぎりぎりまで待って、タイミングを見て決断する」。考えてみれば、「聖域なき構造改革」にしても、当初は言葉だけがあって、中
身はあとから作っている。われらが総理の発想法はそういうことになっているらしい。

○筆者は、小泉さんはやはり8月15日に参拝すると思う。「日にちをずらす」という説も盛んに流れており、これはプロ筋に多い。
「まともに正面突破するようなヤツは政治家じゃない」というのである。だが、小泉首相を動かすのは普通の損得計算ではないよ
うな気がする。「XXさんがこう言っているから」みたいなことで判断を曲げるのは、われら凡人が得意とするところ。彼の判断基準
はおそらく違うところにある。さらにいえば、彼は失敗や摩擦を恐れない。

○それ以上に、参拝を取りやめたり日にちをずらしたりすると、中国に間違ったメッセージを送る恐れがある。しかも同じ問題が来
年以降も繰り返されることになる。それだったら、正面突破して結果に聞いて見た方がまだしもスッキリするのではないか。中国
政府が激怒して日本企業イジメに走ることを懸念する向きもあるが、WTOに加盟してオリンピックも開催しようという国が、そこま
でリスクを冒せるかという問題もある。クリント・イーストウッドじゃないが、"Go ahead, Make my day."とすごんでみてはどうか。中
国はきっと困ると思う。

○以上、「べき論」とは無縁で無責任な観測です。


<8月10日>(金)

○ものすごい数のご意見メールを頂戴しています。靖国問題の反響は非常に大きい。そのすべてを紹介することはできません
が、それぞれのさわりの部分だけを、以下の通り引用してみます。

●問題は、憲法や周辺諸国の反応というよりも、首相が靖国参拝にどのような政治的意義を見出しているのかということです。
戦没者の慰霊と平和への祈念という当初の目的どおり参拝が実行されるなら、それほど大きな政治的イッシューにはならない
のではないかと思います。(山根)

――そこをどう説明するか。小泉さんらしい短くて分かりやすい言葉でお願いしたいですね。

●たぶん国民の多くが思っているのは、「靖国神社は、第二次世界大戦の戦没者を合祀しているところ、だから8月15日に、小
泉首相が、平和の祈りを込めていくことの、どこがおかしいのか」というところだと思います。でも私の回りで、靖国問題をきちんと
認識している人は皆無に近いです。(U)

――なんの、私も今回調べたお陰で初めて知りました。いいきっかけでした。

●自分ならどうするか?中曽根首相が行った時よりも世論の関心を引けた。これで十分、目的が達した。声明を出し、参拝をや
める。声明の要点は、「アジア関係各国との外交の重要性」「世論を喚起出来、当初の目的は達した。今後もこの問題に関心を
持ってもらいたい」。行くにしても行かないにしても、声明文は注目を集めており、自分を含めて、国民は戦争について勉強できる
と思います。(Y)

――シンガポールからいただいたご意見。Yさん、元気でやってますか。

●靖国問題について、昨日中国(大陸出身)の人と話す機会が有りましたので・・・。

1.彼は小学生入学から高校卒行まで、毎年8月15日に中国人戦死者が祭られている墓地にお参りさせられていた。(当局よ
り)
2.これは、彼に限ったことではなく、全員に強制されていること。(らしい)
3.中国人が国のための戦死者にお参りする際には、平和を願うという気持ちは殆どなく、先人の意志を受け継ぎやり抜くことを
誓うという意味となる。

要するに文化、風習の違いのような気がしました。(T)

――死ぬと神仏になる国と、死者を裁いて厳正に記録にとどめる国の違いということですね。日本は戦争責任をなあなあで済ま
せましたが、中国はすでに毛沢東を批判し始めています。かの国の歴史へのこだわりは重いです。

●西郷さんを祭ってないのは知らなかった!と言うよりも、そんな昔の人を祭ってあるの知らなかった。(S)

――普通は知りませんよね。私もビックリしました。靖国神社は、戊辰の役で亡くなった官軍兵士のために発足したので、逆賊
である会津藩士や彰義隊や新選組などの死者は祭っていません。ゆえに靖国神社に代表される国家神道は、日本古来の神道
そもそもの精神に反すると、梅原猛が言っていました。

●私自身は国立墓地を作って無宗教で祀るべきだと思っています。そして、その墓地には旧植民地から参戦させられた方たちも
祀ってほしいですね。この問題で毎年時間を使うのは無駄だと思ってます。・・・・・反面、ここまできたら小泉さんは15日に行か
なければならない気がします。私は、子供がたやすく人を殺すような日本の社会の乱れは、「言葉」というものを粗末にしすぎて
来たことが一端にあると考えています。公約で言ったことは絶対に行う。政治家は言葉を大切にし、違えるかもしれないことは言
ってはいけないのです。(N)

――Nさん、お久しぶりです。靖国神社の日本庭園にはちゃんと行きましたよ。私はこのご意見を読んで、「援助交際は村山政
権誕生のせいだ」(テリー伊藤)という名言を思い出しました。

●唐外相は、「ヤメナサイトゲンメイシタ」と言っていました。「ヤメナサイ」は、「靖国神社に参拝するのを止めなさい」、「ゲンメイシ
タ」は「言明した」と理解されているようです。しかしどうなのでしょうか。これを聞いて激怒で頭に血が上った人は、「ヤメナサイ」
を「小泉は首相を辞めなさい」と、「ゲンメイシタ」を「厳命した」と受け止めてしまうかもしれません。恐ろしいことです。日本政府は
唐外相に真意を質すべきではないでしょうか?日本は外交でチャンスを逃していることがあまりにも多いと思います。(O1)

――あの一言でカチンと来た人は少なくなかったと思います。田中外相やマスコミには、その場で反論してほしかった。でも、言
われっぱなしで帰ってくるからなあ。ところでOさんからは、各方面の識者のご意見を多数ご紹介いただいています。

●「親日派」がいるから、それに対抗する反日運動が起こるという中国政治独特の動きを理解する必要があると思います。日本
の器量を考えれば、下手に「親日派」を作らない事が、むしろ日中関係にとって得策なのかもしれません。・・・・さいわいなこと
に、今の中国には大「親日派」が居ないので、靖国はさしたる結果にはならず、外交部が自ら墓穴を掘った、という喜劇におわる
でしょう。(O2)

――これも興味深い指摘です。一方で、日本国内に「親中派」がいなくなっている事実をどう考えるべきでしょうか。

●国家のリーダーが、国家のために命を捧げた者に対して「敬意と感謝」の気持ちをもって平和を祈る行為は、どの国の指導者
にも素直に理解できることだと思います。米国のリーダーがアーリントン墓地に行くのと、日本のリーダーが靖国参拝をするの
は、同じ気持ちです。わたしの、ある友人は、「小泉総理が、江沢民主席や金大中大統領と一緒に靖国参拝をすればよいので
はないか」と。百聞は一見にしかずです。また、小泉総理も、中国や韓国を、解放記念日に訪問し、ともに戦没者墓地で平和の
祈りを捧げたらよいのではないでしょうか。もし日中のリーダーが手をつないで平和を祈る姿が世界中に配信されたら、これはア
ジアの歴史を変える21世紀初頭の一場面となるでしょう。(O3)

――まったく同感です。

○最後に、これは誰でも知ってる(若い世代は知らないかもしれない?)『同期の櫻』です。あらためて感じる5題目の歌詞が持つ
重み。
  
1 貴様と俺とは同期の桜 同じ兵学校の庭に咲く 咲いた花なら散るのは覚悟 みごと散りましょ国のため

2 貴様と俺とは同期の桜 同じ兵学校の庭に咲く 血肉分けたる仲ではないが なぜか気が合うて別れられぬ

3 貴様と俺とは同期の桜 同じ航空隊の庭に咲く 仰いだ夕焼け南の空に 未だ還らぬ一番機

4 貴様と俺とは同期の桜 同じ航空隊の庭に咲く あれほど誓ったその日も待たず なぜに死んだか散ったのか

5 貴様と俺とは同期の桜 離れ離れに散ろうとも 花の都の靖国神社 春の梢に咲いて会おう

○これを聞いて、「靖国神社は忌むべき軍国主義の象徴」と思うか、「後世に伝えるべき民族の物語」と思うか。これは両方の反
応があって当然だと思います。それにしても、「仰いだ夕焼け南の空に 未だ還らぬ一番機」という情景のなんと美しく、つらく、切
ないことでしょう。終戦記念日まであと5日。


<8月11日>(土)

○いろいろ書いてきましたが、靖国神社の参拝問題とはつまるところ神学論争です。「そもそも神道には教祖も経典もないという
のに、これを宗教と呼んでいいのか?」などという疑問も頭をもたげて来たりして、これはもう迷宮のような世界。ただし8月16日
になったら、おそらく世間の大多数が興味をなくしているでしょう。

○さて、こうしている間にも、もっと現実的な問題に頭を痛めている人々がいる。今週何度も覗いてみましたが、この掲示板はと
っても熱いのだ。なにしろ命の次に大事なものを賭けているから真剣だ。売り方も買い方も週明けが勝負どころかもしれない。

http://messages.yahoo.co.jp/bbs?action=q&board=8269

○ゼネコンと並んで流通は構造不況業種として注目されている。この業界は8月が中間決算なので、大リストラ案とか債権放棄
とか民事再生法とかいう話が飛び出しても不思議はない。今朝の読売新聞が↓のような記事を載せたことで、状況はいよいよヒ
ートアップ。

http://www.yomiuri.co.jp/02/20010811it01.htm

○この会社、ここを見ると、資本金が740億円、従業員が2万人の大企業である。その一方、IR情報を見るとものすごい勢いで店
舗を閉鎖しているのがよく分かる。痛みを伴う改革が間に合うか、冷徹な資本の論理が押し切るか、これから先の日本経済を占
う前哨戦といっていいかもしれない。でも、小泉首相は16日間の長期休暇中。

<8月13日>(月)

○「宗教オタクのエンジニア」さんから「神道は宗教でしょう」とのご指摘をいただきました。宗教の定義にはいろいろあれど、@
宗教体験を他人に追体験・疑似体験させる、A善悪という理性では決定できないことを思考停止の勢いに乗じて決定する、の2
点があるそうです。この後者の面からみれば、神道は明らかに宗教であり、実体がなかったり力がないように見えるのは別物だ
とのこと。

○おそらく神道がユニークなのは、多神教であるからでしょう。しかし世界の宗教の大勢は一神教。古代ローマ帝国は多神教で
したが、こういう世界観を海外に向けて説明することはけっして容易ではない。結婚式は教会で、お葬式は仏式で、受験のとき
は道真公にお参りし、交通安全は成田山、といった宗教的寛容さ(あるいは無頓着さ)は、一神教の世界観から見ればかなり不
気味なことであることは間違いありません。

○さて、本日は午後1時半に柏市を出発し、午後8時に富山着。途中、米山インターで「小泉首相が13日に参拝した」というニュ
ースを見ました。ま、今日のところはノーコメントとしておきましょう。


<8月14日>(火)

○「あの公言は何だったんだ、小泉さんらしくない」と驚いた人が多かったのではないか」、「何であれ、小泉首相の発言と信念
は、以後あまり信用されなくなるだろう」、「近隣諸国のいいなりになる謝罪外交の構造的体質を改めることこそ、構造改革の第
一歩だったはずである」――産経新聞は旗幟鮮明である。たしかに怒っている人、ガッカリした人は多いと思うので、価値ある
叱正といえよう。

○「賛成、反対双方に不満は残るだろう。靖国参拝に強く反対してきた中国や韓国がどう反応するのかもまだわからない。しか
しながら、終戦記念日に参拝を行う場合に比べれば、国内外ともに混乱の度合いははるかに小さなものとなるだろう」――日経
新聞はどっちつかずのことを言いながら、最後は「外交の最高責任者として、靖国問題をこれほど大きな政治問題にしてしまうこ
とは首相として避けるべきだったのではないか」と逃げを打っている。常套手段ですね。

○興味深いのが読売新聞で、「前倒し参拝は適切な政治判断だ」と評価している。「現下の厳しい国際情勢において、首相の
言う『幅広い国益』を総合的に考えるならば、賢明な政治判断だったと言える」「中国側は非公式に十六日以降の参拝を求めて
きたとされる。それに沿った参拝では、中国の圧力に屈したという印象を与えることになる。そうした点も踏まえ、総合的に判断
すれば、十三日参拝という首相の判断は適切な選択だった」。 落としどころは、「外国の元首も参拝できる、宗教色のない国立
の追悼施設を設けることも検討に値する」としている。

○当然というか、朝日新聞は、「これが熟慮の結果か」とこき下ろしている。「あの戦争では、『死んだら靖国神社で会おう』と言
い残して出征し、特攻に出撃した人たちがいた一方で、靖国神社を『侵略を美化した軍国日本の精神的支柱』とみなす内外の人
びとも大勢いる。そうした施設が『不戦の誓いを新たにする』場としてふさわしいと、首相は真実、考えたのか。参拝する自分の
『気持ち』を力説する一方で、隣人たちの『気持ち』を思いやる優しさが欠けていた」と痛いところをついている。

○新聞の社説なんて、普通は読まないですけど、こういう踏み絵のような事件があるとついつい読み比べてしまいますな。皆さ
ん、苦労の跡がしのばれるような書きぶりです。でも、これで15日を過ぎれば、この問題を速やかに忘れ去ることができそうなの
で、きっと内心ではほっとしているんじゃないでしょうか。明日は立山登山。更新は明後日になります

<8月18日>(土)

○知り合いの記者から、「まだ調査中なんですけど、すっごく面白い話があるんです」。これがたしかにすごい。裏は取ってない
けど、ここでバラしてしまおう。

●官邸クラブの朝日の記者が数人(?)丸坊主にしてるらしい。官房長官番が丸坊主でキャップが半坊主?あと何人かも坊主に
したらしい。その理由がすごい!「小泉の靖国参拝を阻止できなかったから」だって。

○うーん、なんと言うのか。小泉内閣の新閣僚記者会見で、朝日の記者が全員に向かって「靖国参拝」の踏み絵を迫っていたの
は、それほどの思い込みがあったというわけでしょうか。ただし、本気で自分たちの影響力によって、首相の靖国参拝を止められ
ると思っていたのだとしたら、かなりの傲慢さですな。少なくとも、情報を伝える「媒体」としてはあまりにも歪んでいるとしか言い
ようがない。

○筆者はふだんから朝日新聞を読まないので、四酔人でほかの3人が「朝日はケシカラン」と憤慨しても、怒りを共有できないく
らいである。同様に筑紫や久米の番組も見ない。だって精神衛生上悪いに決まっているから。新聞が社説でどんなことを主張さ
れても結構ですが、報道の現場がそれだけ偏向していちゃまずいと思う。産経新聞で、「15日参拝の予定が13日になったから、
記者が坊主頭になった」てな話は考えられませんからね。リベラル派のあせりみたいなものを感じさせる怪情報でした。


<8月19日>(日)

○帝国ホテルの村上信夫さんという人は、昔から好きな人なんですが、現在の日経新聞「私の履歴書」はいいですね。この人の
昔話をふと思い出したのでご紹介しましょう。

Q:戦前、海軍さん主催のパーティーが行われた。そこでホテルでは巨大な軍艦型のパイを作り、メインの料理としてお出しした。
するといちばん偉い将軍が怒り出した。「軍艦を食い物にするとは何事だ!」 居たたまれないような沈黙が流れたのち、気の効
いた部下が絶妙な助け舟を出した。おかげでパーティーは和やかに始まった。さて、部下は何と言ったのでしょう。答えは今日の
最後の部分で。

○さて、遅くなりましたが靖国神社について。終わってから気づいたのですが、この問題の本質は「政教分離」や「A級戦犯」で
はなかったのですね。もし政教分離が問題なのであれば、新年の伊勢神宮参拝も違憲だし、首相が友人のお葬式に出ることだ
って問題になってしまう。A級戦犯にしたって、戦没者慰霊式にA級戦犯の家族が招かれていても、それが問題だという人はい
ない。要するに問題は靖国神社それ自体にあった。

○特攻隊で死んだ人は、国のために尊い命を捧げた。彼らは「靖国の桜に生まれ変わる」と言って散っていった。その事実は忘
れてはならないし、国のリーダーが敬意を捧げることは自然なことである。その一方で、「特攻隊の兵士たちは、国家によって犬
死させられた」と受け止める人たちもいる。この観点に立てば、靖国神社は戦前の軍国主義を支える装置の一部であり、そこへ
現在の平和国家ニッポンの首相が参拝するのはトンデモない、となる。いずれの立場も、いってみれば感情論である。ゆえに議
論をしても、あんまり実りはない。「右翼だ、サヨクだ」の言い合いで終わってしまう。

○感情論に必要なのは、寛容の精神だと思う。理屈で押し切ることができないのだから、痛み分けするしかない。その意味で小
泉首相が予定を変更して13日に参拝したのは、そう悪いことではなかったのではないか。海外でも日本国内でも、「とにかく参拝
に反対」という人があれだけ大勢いた。冗談抜きに、丸坊主になっちゃう人までいる。やっぱり押し切らなくて正解だったのだろ
う。

○そういえば大礒正美先生から、「私も皆さん四酔人と同じ反朝日ですが、新聞は全国紙5紙と東京を購読しています。仕事
柄、反日日本人側の情報もとっているので」とのメールを頂戴しました。恐れ入りました。私も寛容の精神をもって、朝日新聞もち
ゃんと読まなければ、と少し反省しました。

○おそらく来年も同じことが繰り返されるだろう。小泉さんとしては、時間をかけて内外を説得していくよりほかはない。同世代の
神谷万丈さんが今月号のフォーサイトで、「言葉の力を外交で発揮せよ」と書いている。日本が歴史問題に対してどのような姿勢
で臨もうとしているのか、世界に対してあらためて明確に示すいい機会だった、というのである。なぜ靖国参拝なのか、をきちんと
説明しない限り、感情的な反発は絶えることがない。

○昨日、久しぶりにキッシンジャーの『外交』をパラパラと読み返していたら、こんなくだりがあった。「偉大な大統領というのは、
国民の将来と彼らの経験との間のギャップを埋める教育者でなければならない」(上巻35P)。つまりリーダーは、国民が望むと
おりにしていたんじゃいけない。進むべき方向を示して、説得しなければならない。小泉さんの構造改革も、どうやって国民を説
得するかが勝負になるだろう。

○と、堅い話はここまで。冒頭のクイズの答えは、「閣下、あれは敵艦であります」でした。怒ってた将軍は、「うむ、ならば皆の
者、食ってしまえ」となった。昔の海軍さんの雰囲気を伝えるようないい話でしょ。

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