スカリーの円盤物語とFBI


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投稿者 SP' 日時 1999 年 6 月 04 日 20:20:44:

 以下『MJ-12の謎と第18格納庫の秘密』から抜粋。


 フランク・スカリーはどうしてこの問題に関わるようになったのか? 元々彼はそれまでテクニカル・ライターではなかった。40年代に空飛ぶ円盤が新開の見出しを賑わせていた頃、彼はロサンゼルスに住んで、新聞や雑誌にハリウッドタイプの記事を書き−時折本も出したが、ショービジネスの新聞<バラエティ>の都会的な評論コラムが最も有名で、“文学界”という標題で本や作家達の事を扱っていた。
 彼が円盤話に首を突っこんだのは、サイラス・ニュートンというこの奇妙な話を世界に暴露した億万長者の石油業者が、偶々古くからの親友だったせいだ。(中略)この問題に全然関心のない人でも、この本は色々楽しむ事ができる。同書が1950年にベストセラー・リストを駆け上がった理由は、その点にもあった。これは空飛ぶ円盤を扱った初の大部の単行本の1つで、アメリカ中に興奮を巻き起こし、キーホーやジェラルド・ハード等のUFOライターに道を切り拓き、全国津々浦々に何百もの“円盤クラブ”が結成されるきっかけとなった。
 この230ページの本で披露された物語は、興味津々たるもので、2人の主な登場人物もまた“興味津々”という以外にない。1人目のサイラス・ニュートンは、コロラド州デンバーのニュートン石油会社社長である。スカリーは彼を、ベイラー大学とエール大学卒でベルリン大学大学院で学び、叩き上げの億万長者、広大なレンジリー油田の発見者、芸術のパトロン、コロラドの元アマチュア・ゴルフチャンピオン−要するに「資産家でもあり、科学の人である」と紹介している。
 彼は石油業界きっての地球物理学者の1人で、この分野では並ぶ者のない発掘成功記録を持っていた。一財産かけて用意した厳重な秘密の装備で石油を発掘したのだが、それが地中深く埋蔵された石油から出る磁気マイクロ波の放射に関係したものである事は夙に知られていた。マイクロ波を精密な装置でキャッチする仕組みだったのである。
 この物語に出てくる2人目の登場人物は一流の磁気工学エンジニアで、スカリーは“ドクター・ジー”(以下G)としか呼んでいない。(中略)
 スカリーは1949年夏、科学者グループと磁気調査に携わっていた時、モハーベ砂漠で初めてGに出会った。彼はGを「アーマー研究所、クレイトン大学、ベルリン大学等から温度計の目盛より数多くの学位を授かっていた」と表現している。(中略)Gは7年に亘る困難な任務の後、政府の計画から解放された。サイラス・ニュートンに会った時、彼はニュートンが開発した装置はマイクロ波だけでなく磁気波にも働くと教えた。彼は戦争中に発明された磁電管で地下の大量の石油を深知できるかもしれないと考えていて、それが可能なのは、磁気波が石油を通り抜けないからだと説明した。磁気波は石油を越えて下に流れるので、同時に埋蔵量をも示すという。これこそニュートンが探していた答だったから、早速Gにモハーベ砂漠の油田調査を委託した。その後まもなく、空飛ぶ円盤の話題が持ちあがり、Gは自分の経験を打ち明けたのである。
 Gが調査に呼ばれた初めてのUFOは、1948年4月にニューメキシコ州アズテックに着陸した。これがアメリカにこのような宇宙船が着陸した、知る限りで最も早いケースだと言った。これ以前にサハラ砂漠に1機着陸したものの、機体が木っ端微塵になっていた。一方こちらは静かに平落とし着陸したせいで、機体は良好な状態に保たれていた。
 この宇宙船は、地球の大気圏に突入した時すぐに探知された。当局はその軌道と着陸地点を弾き出す事ができた。着陸後数時間もしない内に、空軍将校がコロラド州デュランゴの飛行場にやってきて、物件を探しに飛びたった。発見したのはアズテック東方の非常に高い岩だらけの高原上だった。(p55-58)

 長時間に亘る調査の結果、宇宙船は部分部分から組み立てられている事が判明した。部分同士が溝でかみ合い、基底部の周囲で内側にがっちり固定されていた。エンジニア達は宇宙船の底面からキャビン部分を持ち上げる事ができ、巨大な歯車が船底を完全に囲んでいるのを知って驚いた。この歯車はキャビンの上の別の大きな歯車と、きっちりかみ合っていた。全部が極めて精巧に組み立てられていたので、解体には細心の注意が必要だった。
 UFOは分解後、政府の試験場に移され、長時間そこに置かれて、あらゆる部品がテストにかけられた。Gは次に見た時に、計器板全体が分解されて、中の部品が全てばらばらにされているのを知って憤慨した。(p64)

 ある日Gはニュートンを脇へ連れ出して、宇宙船を検分できるようにクリアランスを貰ってやると告げた−そして、現在捕獲されているUFOは1機だけではない、と口を滑らした。ニュートンは目を見張った。
 Gは言った。「そう、我々は3機手に入れ、4機目も目撃したが、これは逃げ去った。1機目はニューメキシコの実験場近くだったが、2機目はアリゾナの実験場近くに着陸した。2機目の所に駆けつけると、1機目とほぼ同じ状態なのが判ったが、ドアは開いていて、機内の16名の小人の死体は焼けていなかった。事実、医師の意見では、彼らは死んでから2、3時間しか経っていなかったのだ。ドアのダブルノブが開いた時に地球の空気がキャビンにどっと流れこんだ為、大気圏内で死んだというのが我々の結論だった。キャビンが我々のではなく、彼らの大気に合わせて与圧してあったからだろう」
 ニュートンは尋ねた。「それらの宇宙船の存在はどうやって知るのかね? 偶然に探知するのか、それとも大気圏に突入した瞬間に判るのかね?」
 Gは答えた。「我々の研究所やアラマゴード、ロスアラモス、それに国内の様々な地点にテネスコープ観察者がいて、1日24時間、空中に地球外物体の証拠を探し求めている。これらの装置の射程に入った物は凡て判る訳だ。なじみのない物体が着陸すると、空軍が直ちに気づくし、科学上の問題があれば、我々や他のグループが相談を受けるのだ」
 2機目のUFOはもっと小さく、直径20mだったが、それ以外の特徴は30mの宇宙船と同じだった。彼と同僚科学者達は、宇宙人の数学システムは我々のものと同じ可能性が高いと判断した。「この太陽系では、あらゆる惑星に同じ数学法則があてはまる筈だからだ」
 彼とスタッフが調査した3機目のUFOは、フェニックスからやや北のパラダイス・バレーに着陸した。それが地上に降りた時、Gとスタッフは偶々フェニックスにいたので、すぐに現場へ急行できた。着陸地点に車で乗りつけると、UFO飛行士の1人が避難ドアから身を乗り出しかけているのが見えた−死んでいた。もう1人の小人(この宇宙船には2人しか乗っていなかった)は操縦パネルの座席に座っていた−こちらも死んでいた。この宇宙船は直径10mで、キャビンその他の大きさ全てが、他の2機の宇宙船と同じ比率に作られていた。(中略)
 やがてニュートンの使用許可は下りたが、その頃にはもう宇宙船は解体されて、オハイオ州デイトンに送られてしまい、その後のコメントは全て否定され たり無視されたりするようになった。
 Gの努力の成果といえば、真空管のない無線器、幾つかの歯車、小さなディスクその他、ポケットに入れて運べる程小さな物品だけだった。彼は研究の為これらの品を持ち出す許可を得た。(中略)
 これら全てを秘密にする理由は何かと訊かれると、Gはこう推測してみせた。「パニックや宗教上の信念を揺るがす事を恐れたか−単にお偉方が権力を行使して、自分の力が小さくなるのを食いとめたいのか。政府はニューメキシコ一帯から国民を遠ざけておきたがっている。野次馬の大群が殺到しかねないし、恐怖にかられやすいタイプの人達がパニックを起こしかねないからだ。宗教指導者達と話した事があるが、彼らはこれが神学上の概念を混乱させるという考えを一笑に付している。だから私には、空軍の考えが想像もつかない。私が知っているのは、彼らが“生きた”モデルを調べるチャンスをぶち壊した事と、それ以来手探りの探索や臆測をするはめになった事だけだ。今までにも幾つかの答は得たと思うが、全部ではない。とにかく訪問者達は推進システムの知識において、少なくとも我々より500年は進んでいると推測している」
 UFO飛行士が宇宙船を派遣してくる度に進歩を見せていると、Gは信じて疑わなかった。そして自分で描いた最小型UFOのスケッチで、三点支持式の着陸装置を指摘してみせた。それには真空カップの中に鋼鉄のようなボールが入っていて、それが回転するようになっていた。ボールが一方向に動いている間は、船を傾けたり倒したりできなかったが、ボールが動かなくなると、子供でも傾ける事ができた。この秘密を解くだけでも、何年も研究しなければならないだろう、とGは強調した。
 空飛ぶ円盤が別の惑星から来たと、空軍が認める可能性があると思うかどうかも尋ねた。Gは自分と仲間がやった仕事から判断する限り、空軍は新しい飛行方法の発見を認める気はなかったと答えた。空軍は当分の間ジェット推進に研究を集中し、専念しそうだったという。(p66-70)


 カーター政権時代に情報公開法の下で、5000ページ以上のUFO関係の政府文書が機密解除された。これらの中には、国防総省、陸軍、海軍、空軍、国務省、CIA、FBI、DIA、NSA、NASA、ホワイトハウス、原子力エネルギー委員会等からの、メモ、手紙、現地調査報告書がある。これらの文書の大多数は、慎重に選別され、検閲され、綺麗に整えられてはいるが、それでもなお、一見破れそうもない政府の秘密の壁に、幾つか抜け穴を見つける事ができた。
 例えば、下記の1950年3月22日付の、ワシントン支局の主任特別捜査官、ガイ・ホッテルから、FBI長官宛に出されたメモを見てみよう。
「空軍調査官が、ニューメキシコ州で3機の空飛ぶ円盤が回収されたと述べました。何れも円形で中央が盛り上がり、直径約15mだったという事です。各々に人間型だが身長90cmしかない3体の死体が乗っており、非常にきめの細かい金属布を着用していました。どの死体も、高速度飛行士やテストパイロットが用いるブラックアウト防止スーツと同じような形に、包帯を巻いていました。
 情報提供者(削除)氏によれば、円盤がニューメキシコ州で発見されたのは、政府がこの地域に強力なレーダーを設置していた為で、そのレーダーが円盤の制御メカニズムを妨害したと信じられています」(p82-84)

 9日後、更に同じ内容に関する別の詳しいメモが、再びフーバーに送られた。1950年3月31日付で、ニューオリンズ支局の主任特別捜査官“JML”がスカリーとGに関してFBI長官に送った手紙である。(中略)
件名 空飛ぶ円盤
ニューオリンズ支局の特別捜査官■には、コロラド州デンバーの■広告会社に勤務する兄弟がいます。■は特別捜査官■に、■の従業員が空飛ぶ円盤に関してコロラド州デンバーの■通り、電話■の■より接触を受けたと知らせてきました。
 ■は1950年1月■に“謎のMr.X”としても知られる■という名の著名なデンバーの石油業者と、コロラド州デンバーの■の役人を知っていると語ったそうです。■は、カリフォルニアのモハーベ砂漠の土地を貸していましたが、この土地に空飛ぶ円盤が無傷で発見され、中に身長1mの人間に似た乗員18名が乗っていて、全員死亡していたが、火傷は負っていなかったと主張しています。更に、円盤は非常に固い金属製で、殆ど破壊不可能だったそうです。
 ■は宇宙円盤から取ってきた記念品と称して、無線セットを■に見せたという事です。
 ■によれば、■は1950年1月以前の3ヵ月に亘って、時折この話をしており、<トルー>誌の空飛ぶ円盤記事や、1950年1月号の<バラエティ>紙に掲載されたフランク・スカリーの記事より数週間前に、■にこの件を知らせています。■は、<トルー>誌の記事の筆者ドナルド・キーホーの訪問を受けたと述べています。
 追加データによると、■はデンバーでこの話を吹聴して回った為に、ワシントンやFBIから電話を受け、情報を洩らさないよう要請され、その後この件全体に口をつぐむようになったとの事です。
 これらの円盤に関する話は、デンバーその他の新聞によって広く知れ渡った事が特に注目されます。
 本情報は、連絡目的で本局及び指定各支局に送付されています。(p52-54)

 1947年7月15日、権力をほしいままにするFBI長官J・エドガー・フーバーは、軍がFBIに“回収した円盤”を調べさせないので甚だ立腹していた。「Mr.ラッド宛のメモ」と題された文書は、空飛ぶ円盤が陸軍や空軍の実験の結果でないと立証されたのであれば、本件は当然FBIの関心事である、と考えるフォーニー大佐なる人物についての短い記録に始まる。してみると、大佐は当時の円盤ヒステリーを鎮める為、FBIに協力を求めるよう陸軍航空隊に正式要請させようとロビー活動をしていたのだ。続く“追記”では、「報告された円盤の大半が悪ふざけであると判明した」為、FBIは陸軍に協力すべきでないと仄めかしている。だが、フーバーの意見は違った。
「私は協力するつもりだ」彼はページの終わりに手書きでそう書き添えた。「しかし、これに同意する前に、我々は回収された円盤を自由に調べる権限を要求しなければならない。例えば、SW事件では陸軍は円盤を抱え込んで放さず、我々に極短時間の調査もさせなかった」
 その1週間前の7月8日付のFBIのテレタイプは、ロズウェル事件と“レーダー反射器を装着した高高度気象観測気球”の報道記事に直接言及している。しかし、「彼らのオフィスとライトフィールドとの電話によるやりとりは、この件の確証とはならなかった」とつけ加えた。更にFBIのテレタイプは、円盤と気球は「特別機で検証の為ライトフィールドヘ輸送された」ともつけ加えているが、これは空飛ぶ円盤は気象観測気球にすぎなかった為、ライトフィールドへの飛行はキャンセルされたというレイミー将軍の証言と矛盾する。(p84-86)



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