スウェーデンボルグとメスメルなど

 
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投稿者 SP' 日時 1999 年 11 月 03 日 09:37:52:

回答先: ドイツのイリュミナティ 投稿者 SP' 日時 1999 年 11 月 03 日 09:28:10:

 すばらしく明敏でたいへん深みのある哲学者、賢者《ライプニッツ》は、絶対学問の至高の真理に参入するにふさわしかったろう。その彼が易経の中に、彼自身の創案になる二進法算術を見出したと思い、伏羲の直線と断線に、彼が計算で使っていた一と零の数字を重ね合わせたのである。彼は真理のすぐ近くまで迫っていたが、その細部の一部のみを垣間見ているだけであった。その全体までは把握できなかったのである。
 神学論争が契機となって、中国の古代宗教に関する最も重要な研究が始まった。問題は、イエズス会士がキリスト教に改宗した中国人に天と彼らの先祖への崇拝を許してよいかということであった。言い換えれば、天によって中国の文人は神を指していると考えるべきか、それとも、単に空間と自然を指していると考えるべきかということである。それについては、文人自身と一般の良識に照らし合わせてみるのが自然であったろう。しかし、それでは神学上の権威がない。そこで議論が交わされ、多くのことが書かれ、さらに事態は紛糾した。根本においては正しかったイエズス会士も、形式において間違っていたことを認めた。その結果、新たな困難が持ち上がり、それらはいまだ乗り越えられるには至っておらず、今日でも中国の地でわれらが疲れ知らずの殉教者たちの血が流される原因となっているのである。
 かようにアジアで宗教の争奪戦が繰り広げられているあいだ、ヨーロッパは大きな不安に揺れていた。キリスト教信仰が消えなんとしているように思われたのである。いたるところ、新たな啓示と奇蹟の噂でもちきりであった。学界と世間で確固たる地位を築いていた一人の男、すなわち《エマニュエル・スウェーデンボルグ》が、その幻視によってスウェーデン中を驚かせていた。ドイツでは新たな啓明派が跋扈していた。神秘主義の分派が、位階制の宗教の秘儀にかわって無秩序の秘儀を据えようと画策していた。破局が目前に迫っていたのである。
 偽イリュミニスムの預言者のなかでも最も誠実で穏健なスウェーデンボルグは、それでも他と同様危険な存在であることに変りはなかった。実際、人間はすべて天と直接に通じるよう定められていると主張することは、正規の宗教の教えと段階的な秘儀参入にかわって、熱狂から発せられるあらゆる戯言と、空想と夢が産むあらゆる狂気を持ってくるに等しい。聡明なるイリュミナティは、宗教は人類の重要な必需品の一つであるため、決して破壊されぬだろうと強く感じていた。そこで彼らは、宗教そのものと、宗教により無知な心に宿った熱狂の致命的な結果として引き起こされる狂信とを、教会の位階制の権威を破壊する武器としようとしたのである。彼らには、この狂信の闘争から新たな位階制が生まれ出てくるという目算があった。彼らはその位階制の設立者にして首長になれるものと期待していたのである。
 「君たちは何も学ぶ苦労をせずともすべてを知り、神のごとくなるであろう。君たちは何も獲得する苦労をせずともすべてを得て、王のごとくなるであろう。」
 以上が、妬み深い大衆に革命の精神が差し出した約束の要約である。革命の精神とは、死の精神である。それは『創世記』の古の蛇であるが、他方、運動と進歩の父でもある。というのも、各世代は死によってしか刷新されぬからだ。このため、インド人はあの仮借なき破壊者シヴァ神を崇めたのである。その象徴的な姿は、肉体的な愛と物質的な生殖の姿である。
 スウェーデンボルグの体系は、位階制の原理を欠いたカバラ以外のなにものでもない。それは要石と土台のない神殿のごときものである。巨大な建造物であるが、幸いにもまったく御伽噺の空中楼閣である。なぜなら、それを地上に実現しようと試みていたら、最初に挑んだ子供の頭上に崩れ落ちてきたであろうから。それを崩すのに揺さぶる必要はない。ただ、その主柱の一本に寄りかかるだけでよい。
 無秩序を組織する。これが、革命家たちが永遠に解決していかねばならぬ問題である。それはいつも己の上に落ちてくるシシュフォスの岩である。彼らは一瞬の存在のために、にわか仕立ての独裁制を永遠に作り続ける羽目に結局は陥る定めにある。その独裁制は必要性以外の存在理由を持たず、そのため、必要性と同じく激しく盲目的である。理性の調和的な君主制から外れると、狂気の無秩序な専制下に置かれざるをえぬのである。
 スウェーデンボルグが間接的に提唱した超自然の世界と通じる方法は、夢と恍惚と筋肉硬直に似た中間状態であった。このスウェーデンのイリュミナート〔イリュミナティの単数形〕はそうした状態が可能であることを確言したが、そこに至るのに必要な実践の理論は提出しなかった。おそらく、彼の弟子たちがこの間隙を埋めるためインドの魔法儀式に走ろうとしていたとき、一人の天才が登場し、スウェーデンボルグの預言者的カバラの直観を自然な降神術によって完全なものとしたのである。その男は、《メスメル》という名のドイツの医者であった。
 メスメルは秘儀への導き手も隠秘学の知識もなしに、生命とその驚異の普遍的媒介物を再発見する名誉に浴した。彼の『アフォリズム』は、同時代の識者たちには矛盾ばかりに映ったろうが、いつの日か物理を総合する礎となるであろう。
 メスメルは自然界の存在物に二つの形を認めた。それは実体と生命である。そこから、事物間の均衡を構成する固定と運動が生ずるのである。
 彼は第一質料の存在を認めた。それは流体で、普遍的で、固定と運動の両方が可能である。固定することにより実体の構造を決定し、つねに運動することにより形態を変化させ新しくする。
 この流体の質料は能動的かつ受動的である。受動的であるときは内部に引き籠り、能動的であるときは外部に放射される。
 この質料によって、世界とそこに巣喰う生物は互いに惹きつけあい反撥しあう。それは一方から他方へ、血のめぐりに比較される循環を経て移動する。
 それはあらゆる存在の生命を維持し刷新する。それは存在物の力を媒介するものであり、彼らの意志の道具となりうるのである。
 驚異現象はこの例外的な力あるいは意志の結果である。
 個体の凝集力、弾力性、密度、微細さに関する諸現象は、普遍的流体あるいは第一質料の能動と受動の二つの特性がさまざまに組み合わさって生まれるのである。
 病気はすべての肉体上の変調と同じく、有機体内における第一質料の通常の均衡の乱れに由来する。
 個々の有機体は特有の均衡の結果、互いに同調したり反撥したりする。
 同調しあう個体は、互いの均衡を回復しあって相互に治癒することができる。
 第一質料を吸引あるいは放射することで相互に均衡を保ちあうこの有機体の特性を、メスメルは磁気と名づけた。この特性は存在物の特徴を帯びる。故に、彼はその諸現象を動物のうちに研究したとき、それを動物磁気と名づけたのである。
 メスメルは持論を実践によって証明した。彼の実験は完全な成功を収めたのである。
 彼は動物磁気と電気現象のあいだに類似性のあることを発見し、金属製の伝導体を使用した。それは土と水を入れた共 同タンクに繋がっており、それらの力を吸収し放射するのであった。後に、この桶を使った複雑な装置は放棄され、かわりに、木製の円卓や、帽子に使う絹布あるいは羅紗といった円形の絶縁体の上に重ねられた手を数珠繋ぎにした人間の鎖が用いられた。
 それから彼は、生きた有機体に金属を磁気化する行程を適用した。そして、その結果生ずる現象が実際に金属の場合と同様のものであることを確認したのである。
 彼はあと一歩踏み出せばよかった。その一歩とは、次の事実を宣言することである。すなわち、物理学において四つの無重量流体によるものとされている効果は、実は同一の力がさまざまに使用され、いろいろな発現の仕方をしたものなのである。そして、自らが動かす普遍的な第一質料に分かちがたく結びついたこの力は、あるときは輝き、あるときは燃え出、またあるときは電気となり、はたまた磁気となるが、その名はただ一つである。それは、『創世記』の中でモーセが万能の神の号令のもと、あらゆる実体、あらゆる形態に先立って出現させたものの名である。すなわち、〈光〉である!
 いまとなっては、恐れず次のことをあらかじめ言っておく。いずれ後で知れることである。
 十八世紀の偉大なことは、百科全書でもなければ、ヴォルテールの嘲笑的な人を馬鹿にした哲学でもなく、ディドロとダランベールの否定的な形而上学でも、ルソーの憎しみの籠った博愛でもない。それはメスメルの共感を呼ぶ奇蹟的な物理学である。メスメルはプロメテウスのごとく偉大で、フランクリンが方向を逸らすことしか知らなかった天の火を人間たちに与えたのである。(p408-412)





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