吉本隆明氏に聞く(3)家族解体の時代

 
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投稿者 おっと 日時 2000 年 3 月 16 日 04:33:59:

回答先: 吉本隆明氏に聞く(2)オウムに“親鸞的”造悪論 投稿者 おっと 日時 2000 年 3 月 16 日 04:33:21:

【宗教・こころ】吉本隆明氏に聞く(3)家族解体の時代
[1995年09月11日 東京夕刊]


 弓山氏「新宗教の発生の歴史を見てみますと、社会の変動期に新しい宗教が出て
います。幕末維新期ですと、幕藩体制の解体とともに天理教や金光教が出ています
し、敗戦から一九六〇年代前半にかけて農村が解体していくなかで、創価学会や立
正佼成会が伸びてきました。八〇年代は特に家族の解体ということが言われたわけ
ですけれど、同時に、イエスの方舟とか統一教会のように非常に疑似家族的な、あ
る意味でセクシュアルな様相さえ呈している新宗教が出てきたわけです。イエスの方
舟ですと、オッチャンとよばれる千石イエス氏を中心に“シオンの娘たち”がいる。統
一教会の場合は、“真のご父母様”とされる文鮮明夫妻がいて、“ホーム”に集うとい
う疑似家族ですね。オウム真理教も初期のころは、強い父権性を帯びた麻原彰晃
を中心とした“アトホームな家族主義的な”様相が強かったわけですけれども、この
点で、先生は八〇年代から九〇年代にかけての家族の現在と、オウム真理教のよ
うな家族主義的なカルト宗教が台頭してくる原因というものをどうお考えでしょうか」

 吉本氏「僕は一般論として、どんな宗教も家族を超えるということは特質だと思い
ます。現在は高度な消費社会になって、ますます家族の解体と宗教につながりがあ
るに違いないと思えます。それは何なのか考えてみますと、実感からはとても簡単で
す。たとえば、自分の子供が、ある宗教集団に入りたいと言ったら、『僕には止める
力はない、止めるだけの魅力はないな』と思えるのです。なぜなら、親として子供の
世代に対して、教えるべき理念が何もなくなり、持てなくなってしまっているからです。
家庭のほうがいいという根拠もないし、根拠を親の世代として示すことができなくなっ
ている段階なのです」

 弓山氏「その原因を、どうお考えになりますか」

 吉本氏「社会の進展度です。一つは、男女両性の性的均一化であり、もう一つは
女性の過渡的な解放への意欲だと思います。性というものが確固として対応できる
だけの、僕流にいえば、対幻想(注)をこしらえることができなくなってしまっていま
す。それから、子供の世代に対しての対幻想、世代間対幻想というのが、もう何も作
れないのです」

 弓山氏「お母さんと娘さんが友達のような関係で対幻想が結べない。男と女の性
が均一化してしまったことによって対幻想が結べない。それが、家族の解体につな
がっているということですね」

 吉本氏「社会経済的に言えば、女性が経済的に相当解放され、独立してやれるよ
うになってきた。それから、やはり女性が消費や遊びに目覚めた、豊かさに目覚め
たということがあると思います。さまざまな理由が挙げられるでしょうけれども、結局
は世代間対幻想と男女間対幻想が極めてあやふやになってきた。つながりがあって
も、強固な絆(きずな)ができないことが、家族の解体の大きな原因ではないでしょう
か。それで、どうするかといえば、あなたのおっしゃった疑似家族というか、家族らし
き理念、何か家族らしき形態を取れる新宗教にひかれてしまう。何か教えることがあ
りそうに見える新宗教のほうが、家よりも魅力があると言えるのではないでしょうか。
その魅力に対しては抗しがたいですね」

 弓山氏「日本も含めて、先進諸国では家族の解体はぎりぎりのところまできてい
る。そういう状況で、カルトが出てくるのは必然だと思います。しかし、昔のように大
家族制に戻るわけにはいかない。ではどうすればいいのか。カルトの魅力に負けっ
ぱなしでいいのでしょうか。別の共同性の可能性は出てくるのでしょうか」

 吉本氏「新たな共同性は出てくると思います。さしあたって、家族の組み方を開く、
すなわち緩くする以外にないんじゃないでしょうか。もっと言えば、疑似宗教的な家族
形態をとれば、家族が成立するような気がします。父権や父性、母権や母性をいっ
さい発揮しないのです。父親や母親が、父権や母権を発揮しなければ、さしあたって
疑似家族的宗教の引力に抗することができるんじゃないかと思います。そうでなけ
れば、もう家族はまるっきり解体です。必然的に、男は男、女は女で個々別々に住
んで、性についてだけ、いっしょに会うやり方になっていく以外にないんじゃないでし
ょうか。疑似宗教的であって、宗教ではないという家族の形態を取る以外にないと思
います」

 弓山氏「疑似宗教的な家族の成立は理念的には可能であっても、具体的な方策と
しては難しいですね。しかし、いずれにせよ、現代のように核家族至上主義の閉じた
共同性ではなく、同性愛やシングル志向をも含めて、家族を新たな可能性に解放し
ていくことが求められていますね」

                ◇

 (注)対幻想 異性や家族を支え、覆う原理。文学のような個人の幻想とも、宗教・
法・国家のような共同の幻想とも区別される。




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