小泉ボンド・日本経済の新たな危機の扉〜1. 「戦時国債」発行で改革失敗を隠蔽(ウイークリー・ポスト・ドットコム)

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投稿者 FP親衛隊国家保安本部 日時 2001 年 11 月 05 日 14:59:11:

(1) 10兆円増税計画

アメリカをはじめ各国が最も恐れているのは対テロ戦争をきっかけに世界同時不況に突入しかけていることであり、それを防ぐために日本に経済立て直しを強く求めている。構造改革の具体策を示し、不況脱出の道筋をつけるという肝心なところを抜きにしては、折角、自衛隊を派遣しても、日本評価のボトムアップにはつながらない。
しかし、小泉首相が日本経済の現実に正面から向き合おうとしているとはとても思えず、逆にテロ参戦をいいことに、政策の失敗を糊塗しようという姿勢ばかりが目立つ。その最たるものが首相周辺で練られている≪10兆円戦時国債発行=増税計画≫に他ならない。
自民党政調幹部が明かす。
「テロ事件で経済はどん底に近づいている。政府は雇用対策を軸に3兆円の補正予算を組むことを決めたものの、その程度ではとても足りない。だが、小泉首相は国債発行を30兆円以内に抑えると公約しているから、これ以上赤字国債は増発できない。そこでウルトラCとして浮上したのが戦時国債だ」
戦時国債――官邸では≪小泉ボンド(債権)≫とも呼んでいる。10年前の湾岸戦争の時に政府が発行した『特別国債』がモデルになっている。
湾岸戦争の際、日本は多国籍軍の戦費負担や周辺国支援に総額130億ドルを出した。そのうち戦費分の90億ドル(約1兆2000億円)については「戦争によって生じた石油危機を回避する」として『特別国債』を発行した。
その特別国債が≪10兆円増税≫の種明かしなのである。
「特別国債は従来の建設国債や赤字国債と違って特定の目的に使う臨時のものなので、30兆円国債発行枠の例外として出せる。小泉首相も公約違反にはならない。湾岸の時は90億ドルすべてアメリカに戦費として渡したが、今回は自衛隊を派遣するのだからその必要はなく、対テロ戦争支援の戦時国債で調達した資金を新たに大型景気対策にあてることができる」(自民党政調幹部)
小泉首相の意を受けた山崎拓自民党幹事長が財務省や日銀と内々に交渉し、すでに、≪10兆円戦時国債発行≫で合意して来年早々にも新たな景気対策を打ち上げる段階にまで進んでいる。
アメリカは戦費調達のために400億ドル(約4兆8000億円)の戦時国債発行を議会で承認した。日本もそれに便乗して景気対策の資金を得ようという発想だが、戦時国債であろうと赤字国債であろうが国の借金にかわりはない。株価急落も景気悪化も何でもテロのせいにしている小泉首相は、正面から「国債発行30兆円以内」の公約が守れないことを認めて政策転換するのではなく、国債増発もテロ戦争に便乗して“公約違反ではない”という姑息なレトリックでごまかそうとしている。
見落とせないのは、戦時国債発行が実は増税と表裏一体のものだという問題である。
湾岸戦争でも、政府は特別国債発行に合わせて償還財源として法人税、たばこ税、石油税を1年間増税した。当時、法人税は3・2%引き上げられ、たばこは1箱10円、ガソリンは1リットル当たり約2円値上げされた。
それでも当時はまだ経済に体力があったから、国民は増税に耐えられたが、どん底不況の現在はそうはいかない。戦時国債は小泉首相にとっては公約違反を切り抜けるウルトラCでも、国民には直接負担が厳しくのしかかる。

(2) 国民1人あたり9万円の負担

≪小泉ボンド≫の発行の裏でどんな増税が想定されているのか。
湾岸戦争の米軍支援は1兆2000億円だったが、今回はそのざっと10倍近い10兆円もの戦時国債とすれば、国民の痛みとしてそっくりはね返る。子供まで含めて国民1人当たりの負担に換算すると、単純計算でざっと9万円の負担になる。
そればかりではない。財政学の第一人者、藤岡明房・敬愛大学教授は、法人税や消費税の値上げもありうると指摘する。
「特別国債とは一時的な増税による資金調達方法です。湾岸戦争の時は石油危機対策名目の国債だったから、ガソリンなど石油税を中心に上げた。今回の戦時国債は同時多発テロ対策のための資金調達になるから、前回同様、企業活動を守るという意味でまず法人税は値上げ対象にされるでしょう。10兆円となるとそれだけでは足りない。テロは国民全体の安全にかかわるという理由で、消費税率を一時的に上げることも考えられる」
さらに発泡酒とたばこも値上げの可能性が高い。
「財務省は売れ行きが伸びている発泡酒にビール並みの税金をかけたい。しかし、発泡酒が売れているのは税率が低く、価格が安いことが不況下に人気を得ている理由だから、業界側が反対している。たばこ税は昨年いったんは高齢者医療費の財源として増税の方針が決まりかけたが、土壇場で見送られた。この機会に、財務省が発泡酒とたばこを増税の標的にする可能性も十分あります」
非常事態ともいえる経済の現状で、国民は発泡酒も飲めなくなるわ、増税に耐えろではたまったものではない。
小泉首相はどこまで現実が見え、わかっているのかがよくわからない。
奇妙なことに、ここにきて、小泉内閣の財政再建路線を主導してきた首相の経済ブレーン、竹中平蔵経済財政担当相は、特別国債とは別に、≪転換国債発行計画≫なるものを打ち上げている。
相変わらず、閣僚が思いつきでものをいう内閣である。
転換国債はNTT株などの優良株と交換できるから、増税になる特別国債とは違って国民に負担を強いないという名分をたてている。
それがまた姑息なのだ。肝心のNTT株が値上がりしなければ、転換国債の償還は税金でやることになるわけだから、事実上の赤字国債でしかなく、税負担の増大という意味では特別国債と何ら変わらない。

(3) 実質失業率は10.4%

坂口力厚生労働相は10月30日、9月の完全失業率は357万人、失業率は過去最悪の5・3%に達したことを発表し、≪雇用非常事態≫を宣言した。
だが、その数字自体、重大なごまかしがある。
日本の労働力調査では、たとえ失業中でも1週間に1時間でもアルバイトをすれば、「就業者」に計算され、リストラされながら求人がないために職探しを一時的にあきらめている人も、「求職活動をしていない」から失業者には含まれない。
そこで内閣府の政策統括官室(旧経済企画庁)は、今年9月、就職の意欲はあっても職業安定所に通うなどしていない失業者を含めた現実に合わせた失業率を調査した。
その結果、失業率は公式発表の2倍の10・4%、失業者数は738万人にのぼっていることが判明した。
それでもまだ足りないと指摘するのは第一生命経済研究所の川崎真一郎・主任研究員だ。川崎氏は日銀のデータを基に、経営者がどれだけの過剰人員を抱えていると想定しているか、つまり近い将来の≪失業予備軍≫を試算した。
「雇用過剰は526万人という数字になった。あくまで経営者が過剰と感じている人数なので、すぐに解雇されるわけではない。とはいえ、失業率が過去最悪になったといっても、まだ500万人以上の潜在的雇用過剰があるわけなので、今後も失業率はさらに高くなるのは間違いない」
すでに実質的に738万人が失業し、さらにいつクビになってもおかしくない526万人もの失業予備軍がひかえている。
≪1000万人失業時代≫はとっくに現実のものになったとみていい。

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