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【「東奥日報」事件関連記事集】 <その4> 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 16 日 22:45:44:

(回答先: 【「東奥日報」事件関連記事集】 <その3> 投稿者 あっしら 日時 2002 年 3 月 16 日 22:42:55)

『東奥日報』《「武富士」弘前支店強盗放火殺人事件関係記事》

2001年6月12日(火)
-------------------------------------------------------------------------------- 犯人像と一致する人物、現時点でなし 

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は、連日二百五十人態勢で捜査しているが、十一日までに、似顔絵や車、ガソリンなどすべての情報に合致する人物の手掛かりは得ていない状況だ。

 捜査本部は、公開した犯人の似顔絵と身体的特徴を最重点に(1)容疑車両の軽ワンボックス車(2)犯人が使用したガソリンと金属缶(3)同じく着用したつなぎ服(4)会話での津軽弁−など、従業員や市民の目撃証言を照らし合わせ、犯人割り出しに全力を挙げている。

 これまでの捜査では、犯人周辺についてのあらゆる証言に合致する人物は確認していない。ただ、車とつなぎ服、似顔絵と津軽弁など、断片的に一致する男性は多数いたが、いずれもアリバイ(現場不在証明)があるなど、事件との関連は薄いとみている。

 似顔絵に似ている−との提供情報には、消息が分からない人物も相当数あり、確認継続中の四百数十人についての捜査は「ある程度時間が必要」(捜査本部)という。また、事件のあった五月八日以降、認知した変死体についても、これまでに似ている人物などはいないとされる。


2001年6月13日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 支店長が犯人顔「思い出せない」

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は十三日午前、重いやけどを負い弘前大学医学部付属病院に入院中の鳥居義尚支店長(30)から事情を聴いた。捜査員は公開されているコンピューターグラフィックス(CG)の似顔絵を初めて示したが、鳥居支店長は「(犯人の顔は)よく思い出せない」と答えたという。捜査本部は「まだ本格的な聴取はできない状態」と話し、容体の回復を待ってあらためて詳しい状況を聴きたい−としている。

 鳥居支店長は事件当時、犯人と間近で約四分間と一番長く応対。犯人の特徴や犯行状況をよく知っているとみられる。捜査本部は集中治療室から一般病棟に移った五月二十八日以降、主治医と相談しながら聴取を試みてきた。

 十三日の事情聴取は、主治医の承諾を得て、数分間にわたり行われた。捜査員が似顔絵を示し、「犯人の顔を覚えていますか」と問い掛けたところ、鳥居支店長は「よく思い出せない」「疲れた」などと答えたという。

 カラー版のCG似顔絵は、救助された女性従業員二人の証言を基に作成された。捜査本部はCG似顔絵のチラシ三十万部を印刷し市民に情報提供を呼び掛けているが、鳥居支店長に見せるのは今回が初めて。

 鳥居支店長は十四日、皮膚移植の再手術が予定されている。捜査本部は「現在の似顔絵を用いた捜査方針に変更はない」とし、CGの修正のないことをあらためて示した。鳥居支店長が聴取できる容体になった場合、再び事情を聴くことにしている。


2001年6月17日(日)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件、捜査網にぬかりは?

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」で従業員五人が死亡、四人が負傷した強盗殺人・放火事件は、五月八日の事件発生から六月十七日で四十日が経過した。日中の通行量の多い通りに面した店舗で、素顔をさらしての大胆な犯行。弘前署と県警の捜査本部は現在も二百五十人体制で捜査しているが、犯人の行方はようとしてつかめない。犯人は捜査の網の中にいるのか。その“網の目”にぬかりはないのか。取材記者で話し合った。(弘前強盗殺人・放火事件取材班)

 A 単刀直入に、犯人はなぜ捕まらない?

 B とにかく遺留品や目撃証言など手掛かりが少なすぎるようだ。

 C 一方で犯人は水色のつなぎ服だったとか、逃走に軽自動車を使った、津軽弁を話していたなどの情報があるが…。

 D 逃走手段は軽自動車のように伝えられているが、断定できたわけではない。服も脱げば分からない。

 A 津軽弁とされるなまりはどうなのか。

 E なまりは、秋田県北、中弘南黒、西北五、東青の捜査員や署員に110番通報に入っていた犯人の声のテープを聞かせて確認したようだ。津軽弁の専門家に聞いたが、「金を出せ。出さねば火をつける」だけでは地域の特定は難しい。「だせ」なら割と街の人、「だへ」なら郡部、と微妙に異なるそうだ。

 A 検問で確認されなかったことと合わせ、津軽弁が、犯人を弘前市か周辺の人と絞り込む根拠の一つになるのか。

 B そう思う。現在の捜索範囲は津軽地方一円。当初よりやや広げたが、県南や県外の捜査はあまり力を入れていない。

 A 似顔絵は二種類作製されたが。

 F ごく短時間しか見ていない女子従業員の証言を基にしている割にはコンピューターグラフィックス版の顔はあまりにリアル。捜査の幅を狭めたのではないか。

 B ある程度あいまいな所があった方が想像力が働くとの見方は強い。

 E 似顔絵を含めて犯人に関する情報が限定されすぎた感はある。

 A 犯行は金目当てかえん恨か。

 D 犯人のみぞ知るだ。ただ、武富士は三階まで狭く急な階段を上り下りしなくてはならない。金目当てなら武富士でなくても、良かったはず。近くに他の消費者金融もある。えん恨ならば、武富士に対してなのか、金融業界に、あるいは、個人に対してなのか。非公開の110番テープに何らかのヒント(発信)があっていい。

 C 逆の見方もある。三階だから火を付けるまで目立たず行動できる。

 E 武富士の元従業員の話によると、返済期日は通常、給料日の三日後。事件が発生した五月八日は、四月下旬の返済期日が大型連休を挟んでずれ込み、返済の督促も行われていたはずだという。この人は「督促に対して恨みに感じる人は多い」とえん恨説を信じている。

 A 犯行の計画性は?

 F その点が一番分からない。事件前に不審な男や車両は目撃されていない。素顔をさらしてつなぎ服という目立つ格好…。計画的ではないように思えるが、ガソリンは用意している。

 B 犯人をとらえたはずの防犯カメラは焼失。開店時から数人の来店客がいたのに、だれも不審人物を見ていない。偶然と偶然がこうも重なり合うものなのか。

 D 捜査幹部が「このような残虐な事件は並の神経では起こせない。ヤクザや取り立てに追われるとか、よっぽどの状態でない限り、このような凶行に及ばないのでは」と話していたが。

 F 瞬間的に激高し犯行に及んだのか。包丁等ではなくガソリンを持参したのは、身近にガソリンがあり、その上、ガソリンの威力を認識している人物なのか。変質者だって視野にある。

 A 犯人は今どこに。

 B 人目を避けひっそり閉じこもっているのかも。

 E しかし、それでは生活できない。金に困っている。事情を知る人が食事を運んだり、かくまってはいないか。

 D 人と全く接触せずに暮らすのは不可能。もし犯人が地元の人間なら、「似ている」とか「事件後姿が見えない」などの情報の中にいてもおかしくない。捜査本部の“消去法の捜査”の網にはまだ掛かっていないのか。見落としはないのか。

 C 県外に逃げた可能性もある。出稼ぎ者のように居住の中心が県外だったり、長距離トラックの運転手のように頻繁に県外に出かけてもおかしくない人なら、地元の近所付き合いがあまりなくても不自然ではない。

 B 現場フロアに九人も従業員がいたこと、店舗出入り口が一カ所しかなかったことを犯人は知っていたのだろうか。もし知らなければ、結果のあまりの重大さに衝撃を受けているのは犯人自身だ。

 A これほどの残忍な犯罪。本社にも多くの情報が寄せられており、県民の関心は高い。犯人逮捕を−の願いだ。何としても解決したい。


2001年6月23日(土)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件弘前署長が概要明かす

 「水色のつなぎ服」は犯人と最も長く接した支店長の証言。現場から走り去ったとみられる緑色のワンボックスカー乗っていた男が犯人の可能性が強い−。弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」で発生した強盗殺人・放火事件で、捜査本部の五十嵐正幸弘前署長(副捜査本部長)は二十二日、事件の概要についてこう述べた。同市で開かれた県山岳遭難防止対策協議会弘前支部の定期総会での発言、事件の状況の一部は既に示されているが、捜査幹部が公の場で、事件直後の従業員の証言などを詳しく明らかにしたのは初めて。

▽証言による犯人の服装

 (大やけどを負ったが、助かった)支店長は「空色(水色)のつなぎ」、同じく助かった女性従業員一人は「紺色のウインドブレーカー」もう一人は「薄いねずみ色」、または「カーキ色の作業服上下」と述べた。三人の証言がまちまちだったが、一番長く犯人を見ているのは支店長。従業員二人は一瞬しか見ていない。病院に入ってすぐの支店長に聞いたところ、「空色のつなぎ」と語った。ただ、現在の支店長は話を聞ける状況にない。

▽CGの似顔絵

 コンピューターグラフィックス(CG)の似顔絵は、助かった女性従業員二人の証言をもとに作成した。その後二人には、さまざまな参考の写真を見せているが、(1)目がぱっちり(2)髪の生え際が一直線で、こめかみで直角に曲がっている(3)ほおに縦じわ(4)あごが細い−などの特徴のある人の写真を見せると、「似ている」という。

▽ワンボックスカー

 事件直後に緑色の軽ワンボックスカーが立ち去ったという目撃者は三人。車を止めた場所などはまちまちだ。しかし、緑色のワンボックスカーということは一致している。「あれは私の車だ」と名乗り出る人がいない以上、現場から立ち去った車に乗っていた男が、犯人であろうとは思っている。緑色のワンボックスカーの捜査は98−99%終了している。

▽事件発生直後の状況

 助かった人の話しでは、火が足元にはうように入ってきて、黒煙が充満。吸った途端、気が遠くなった。ある人(生存者)は逃げた時、だれかにぶつかって転び、そのまま床をはって助かった。足元に火が来て、高い所に上がった人は、酸欠状態で気を失ってしまい逃げきれなかったのでは。

 −最後に五十嵐署長は「この事件は三人の目撃者がいることが強み」と強調、あらためて協力を訴えた。情報提供は弘前署内の捜査本部(0172-32-0111、フリーダイヤル0120-30-7990)へ。


2001年6月24日(日)
-------------------------------------------------------------------------------- 似顔絵似た人物の消息確認急ぐ

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部に寄せられた千件を超す似顔絵に関する情報の中で、消息が把握できない人物が、三分の一程度に上ることが二十三日、分かった。県内に明確な生活の本拠(居所)がない者の犯行−との見方も出ており、捜査本部は、これら対象者の周辺関係者の聞き込みなど、“不明者”の追跡にも全力を挙げている。

 事件に関する情報は、捜査本部にこれまで二千七百件寄せられているが、うち公開した似顔絵に似ている人物については、県内外から千百件余りの情報提供がある。情報は、住所や氏名、職業などをはっきりと明示するものもあるが、一方で「いま何をしているのか分からない」「名前、住所などがはっきりしない」などの断片的な情報が数多く含まれている。

 捜査本部は、氏名、住所などが判明している人物について、アリバイなど確認を進めているが、情報のうち、現在、確実な消息を把握できない人物は約三分の一ある。捜査本部は、犯人がこの中に含まれる可能性もあるとみて、そのほかの捜査とともに、これら不確実な消息の人物の周辺について聞き込みなど追跡捜査をしている。

 似顔絵捜査に関連し、周辺市町村の金融機関、パチンコ店、コンビニなどから借り受けた防犯ビデオ千五百本に、似た人物がいないかどうかの解析も継続。人相、身体的特徴がやや似た人物の画像を従業員に見せ照合しているが、これまでに、犯人像に一致するような人物は出ていないという。


2001年6月29日(金)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士捜査本部、周辺の声に耳

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件は、捜査の長期化がいわれる中、弘前署と県警の捜査本部は犯人割り出しに最大限の力を入れている。似顔絵にある犯人の男の特徴的な「髪型」、犯行に使用された「ガソリン」についても、なお粘り強い捜査を続行中。捜査員が足を使い聞き耳を立てる理髪店は、地域の情報屋さん。ガソリンスタンドも車や利用者に注目する所。周辺の声を拾った。

<髪 型>

 犯行時の犯人を描いた似顔絵は、手書き、コンピューターグラフィックス(CG)ともに角刈り風で、白髪交じりの短髪。特に前髪が立っているのが実に特徴的。犯人の髪型は「不自然ではない」(弘前市、A店)や「珍しい」(相馬村、B店)など、その見方はさまざまだ。

 弘前市のC理容店は「珍しい髪型。角刈りに梳(す)きばさみを入れたようだ。手間がかかり、料金は高め」と分析。一方で「似顔絵の髪型はそれほど難しくない。ただ、かなり髪が硬い人だろう」(同市・D店)、「白髪の人は髪が厚い(太い)場合が多く、立っていても不思議でない」(同市・E店)との意見もある。

 藤崎町のF店は「流行的な髪型だろう。頻繁に床屋で髪を整えている人では。若づくりな感じがある」と推理する。青森市のG店は「自分が手を付けたとすれば、絶対忘れない頭」と語る。

<ガソリン>

 弘前市や周辺市町村にあるガソリンスタンド店員が言う。「ほぼ毎日、農家が四、五回(買いに)来る」(尾上町、H店)。「五月の草刈りの季節を過ぎてから、購入者は減っている」(弘前市、I店)店もある。

 店側は、客が消防法令にかなった「金属製のガソリン携行缶」を持参した場合のみ、ガソリンを販売するルール。だが郡部では、なじみの客、近所に住む客、頻繁に購入する客などに対し、エンジンオイルなどの缶でも販売する店もあるという。

 藤崎町のあるリンゴ農家は「(農機具の)ガソリンは少ししか使わないので、その都度買いに行く」。「携行缶で保管している」(尾上町、田舎館村、藤崎町の複数の農家)。

 ガソリンはまた、農家以外の自動車・建設機械整備、中古車販売、解体・車両部品取扱など、さまざまな業者も日常の仕事に使用している。弘前市のある整備会社は「元の塗装をはぐ時、粉やグリースを落とすのに(ガソリンを)使う」などと話しており、常備している業者も多いという。

 しかし、これまでの聞き込みでガソリン関連の情報は入っていないとされる。

 ◇

五十嵐弘前署長、解決に向け協力要請

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、捜査本部副本部長の五十嵐正幸弘前署長は二十八日、同市で開かれた弘前地区防犯協会通常総会の席上、被害者が受けた心の傷や事件の概要について語り、あらためて解決に向けて協力を呼び掛けた。

 同協会の顧問として出席した五十嵐署長は、あいさつで事件について触れた。その中で「軽傷で退院した人も、心に大きな傷を負っている」と話し、負傷した従業員が受けた事件の衝撃が今も消えていない−と指摘。「われわれも、できるだけそっとしている」と続け、被害者の心情に配慮した捜査を進めていること」を明らかにした。

 また犯人の年齢について、目撃した従業員の証言に「四十−四十五歳。あるいはそれ以上」と幅があることを説明し、必ずしも四十−四十五歳に固執していないことを示唆。服装の目撃証言も一致していない事情から「(着衣が)これだという決め手はない」と語り、あらためて捜査への協力を要請した。


2001年7月8日(日)
-------------------------------------------------------------------------------- 入院中武富士支店長から事情聴取

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は七日までに、重いやけどを負い弘前大学医学部付属病院に入院中の鳥居義尚支店長(30)から再度事情を聴いた。捜査員が示した公開中の手書きとコンピューターグラフィックス(CG)の両方の犯人の似顔絵に対し鳥居支店長は「全体的に似ている」と応答。入院後初めて似顔絵が犯人の特徴をとらえていることを認めるとともに、「犯人を見れば分かる」とも証言した。事件発生から八日で丸二カ月。捜査本部は直接かつ最も長く犯人と接触した支店長の証言による似顔絵の精度に自信を深め、引き続き捜査に全力を挙げる。

 七日午後に弘前署で行われた記者会見で、五十嵐正幸署長が明らかにした。事情聴取は六日午後、同病院内で行われ、鳥居支店長は寝たままの状態で、約三十分間聴取に応じた。

 捜査員から、二種類の似顔絵を示された鳥居支店長ははっきりした意識で「両方とも全体的に似ている。特にあごや、髪の立ち上がりが似ている」と答えた。「どちらの似顔絵がより似ているか」については、回答は得られなかったという。同支店長への聴取は六月十三日にも行われたが、この時CG似顔絵を見せられた支店長は体調が必ずしも十分な様子ではなかったとされ「よく思い出せない」と答えていた。

 今回の事情聴取の結果から、五十嵐署長は当面似顔絵を修正することは考えていないことを表明した。鳥居支店長の容体については、痛みのため、聴取に応じるのが容易ではないようだ−と指摘し、本格的な聴取にはなお時間を要する−との見方を示した。

 一方、現場から走り去ったとされる軽ワンボックスカーの捜査は、緑色の対象車両約千八百台のうち約千七百台について終了。当初、該当車種とみられたスバルの「サンバーディアスクラシック」については、転売され行方が分からなくなった車両など、数台が所在不明だが、五十嵐署長は「残る数台に該当車両がある可能性は少ない」とした。軽自動車の塗色登録が自己申告制になっていることや、「(登録後に)塗装替えしている車もある」ことから、緑と青色系統に該当車両がない場合は、全車種に対象を広げる方針だ。

 一方、解析を終えた防犯ビデオ千百本については、「生存者(支店長を除く)に見せ確認した」とし、現段階で該当がないことも明らかにした。

2001年8月8日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 「武富士事件」長期化の様相呈す

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件は八日、未解決のまま発生から三カ月を迎えた。犯人の似顔絵公開、身体的特徴や津軽弁、現場から走り去った軽自動車の目撃情報などから、早期解決も予想された。しかし、捜査状況は厳しく、事件は長期化、難航化の様相だ。事件を検証する。

検証1 捜査協力

 弘前署と県警の捜査本部は、金目当ての犯行との見方の一方で、犯人が融資・返済など何らかのトラブルがあった可能性も視野に入れ、被害に遭った武富士をはじめ、消費者金融業界に聞き込みを行った。

 しかし、「顧客情報は個人情報。個人のプライバシーにかかわるため、信用情報の厳重な管理が必要」(ある消費者金融会社)など、業界からの全面的な協力は得られていないのが現状のようだ。顧客自身からも電話等で、強い要望があったとされる。武富士弘前支店内部が全焼し、支店内の書類などが失われたことも、大きな痛手。一カ月以上をかけた微物等の鑑識は終了した。果たして証拠品はないのか。

検証2 逃走車

 事件直後、ビル駐車場から走り去った軽ワンボックス車について、捜査本部は目撃情報から緑、青などの車両を捜査。さらに幅を広げている。車種にもとらわれていない。本部は「車で走り去った人物が『自分は無関係』と名乗り出ない以上、軽ワンボックス車は容疑車両」と繰り返す。

 が、車が犯人本人の所有ではなく協力した人物の車、あるいは、犯人が現場すぐそばの側道に車、バイクなどを止め、そこまで走って逃走した線はないのか。容疑者が果たしてビルの駐車場に止めるのか。二階のビデオ店などに入った車の可能性はないのか。目撃情報はない。犯人の逃走手段は、それだけ不確定な部分が多い。

検証3 逃走経路

 捜査当局は事件認知直後、幹線道路を中心に管内十一カ所を含む県内四十五カ所に緊急配備を敷いた。隣県などには依頼しなかった。車や犯人の特徴が判明し次第、現場警察官に次々に伝えた。が、通過車両から、該当する人物は出ていない。

 弘前支店は、住宅が並ぶ市北部にある。城下町・弘前の特性だが、周辺には細かい生活道路が縦横に広がる。土地勘のある者ならば、信号のある国道・県道といった幹線道を避け、農道など入り乱れた道路をつたい、弘前市外地に逃走することは容易だったといえる。

 「初動捜査に問題はない」とする捜査本部。しかし、事件直後、これら小路の存在を十分認識していたのかどうか。即時即応の判断となるが、重要な決め手にはなりうる。ただ、同本部「警察官の人数から、検問することは不可能」と物理的な限界に理解を求めるが…。

検証4 犯人

 犯人が顔を隠さなかった理由は、見解が分かれる。「弘前市周辺で、自分を知っている者はいない−という自信」「衝動的に犯行を思いつき、変装する時間がなかった」「(捕まるのを)覚悟の上で、犯行」などだ。

 当初、表情、声などから年齢は四十代とされた。が、比較的若い人物の可能性はないか。「金に困っているはず、違う犯罪に手を染める可能性がある」とされたが、現在、それもない。自宅で普通に暮らす若者などの線はないか。犯人像は、依然、想像の域だ。


2001年8月8日(水)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士事件3カ月目に焦燥感も

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、発生から三カ月となった八日、捜査本部長の木村哲・県警刑事部長が弘前署で記者会見した。同本部長は、未解決で三カ月を迎えた事態について「着実に、漏れのない慎重な捜査を行っている。」とした。また、捜査方針に変更がないことを明言する一方で「火災で証拠資料がほとんどないことが、捜査にとって痛いと感じている」と焦燥感もにじませた。

 捜査本部に寄せられた情報は七日現在、約三千六百件。「今も一日に十数件寄せられ、ほとんどが新しいもの。六割は県内、残りは東京など関東方面からの情報」という。

 似顔絵に似た人物の情報は約千六百人で、千人の捜査を終了。残る六百人は捜査継続あるいは未了で、中には、所在が分からない人物もいる。

 入院中の鳥居義尚支店長(30)に事情を聴いたが、「特に似ていると思われる人物の写真十数枚の中に、犯人らしき人物はいなかった」という。防犯ビデオ約千五百本の解析は終了したが、手掛かりは得られなかった。

 捜査員の県外派遣については「必要に応じ、捜査本部の捜査員を派遣し、対象となった県外の人物十数人のアリバイ捜査などを行った」と語った。捜査の対象となった県外の人物は、津軽弁を使う本県出身者が多い。

 車についての捜査は、県内の軽ワンボックス車四万六千台のうち、青森ナンバーの全車両約二万七千台を抽出、これまで約二万一千台の捜査を終了。「緑、青色の車はほぼ調べ終えた。別の色の登録で、実際は緑や青だったということもあり、捜査対象を全車両に拡大した」と説明した。

 車には、所有者・使用者が不明のものが数十台あり、確認を急いでいる。県内を走行する県外ナンバー車についても捜査しているほか、八戸ナンバーであっても、緑色の車は調べている。


2001年8月30日(木)
-------------------------------------------------------------------------------- 武富士支店長に数十人の写真見せる 

 弘前市の消費者金融「武富士弘前支店」の強盗殺人・放火事件で、弘前署と県警の捜査本部は二十九日、県内外の似顔絵に似ている人物数十人の写真を、入院中の店長に見せていることを明らかにした。しかし、これまでに犯人とみられる該当者は出ていない。捜査本部長の木村哲・県警刑事部長が同日、県警本部で行われた記者懇談会で明らかにした。

 事件発生から百十日余り経過したが、捜査本部にこれまで寄せられた事件関連情報は、三千八百五十一件。

 このうち、似顔絵に似ている人物の情報は約千七百人(件)分あり、七割に当たる千二百人については、事件と関係がないことを確認するなど捜査を終了。同本部は、残る五百人の継続捜査を進めている。

 また入院中の鳥居義尚店長(30)に対し、似顔絵に似ている対象者の写真を数十枚見せているが、「これだというものはない」(木村本部長)とされる。写真の人物は、県内の在住者がほとんどだが、県外の人物も一部含まれている。

 容疑車両の軽ワンボックス車については、約二万七千台の捜査対象車のうち、一万六千台の確認を終えた。捜査本部は、店長の事情聴取のほか、消費者金融関係の捜査を継続している。

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