ブッシュ政権はアフガニスタンでの戦争に敗北した

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投稿者 あっしら 日時 2001 年 12 月 07 日 04:28:35:

今日のアフガン南部3州の引渡し合意により、ブッシュ政権に対して、目に見えるかたちで、今回の戦争=戦略の勝ち負けを決してしまうような事態がもたらされたと言えるだろう。

今回のカンダハル引渡し合意を知ったラムズフェルド長官の気持ちとしては、「2日前までカンダハルを絶対に死守すると言って兵士に徹底抗戦するよう呼びかけていたオマル師がなぜ突然明け渡しを決めてしまったんだ。基地までつくり、海兵隊を1500名以上も投入して準備を進めてきたのに...。そして、アメリカのおかげで戦うことができた反タリバン勢力が、なんで突然オマル師の自由と尊厳を認めた生存まで合意してしまったんだ。タリバンを全滅と言えるほど殺戮して後顧の憂いを減らそうと思っていたのに...。もちろん、合意内容なんかちゃんとカイザル氏から結果報告を受けて知ってるけれども、それについての対応はそれなりの時間をかけて検討しなければ決められない。アフガニスタン人というのはわけがわからん」というものじゃないでしょうか。

CNNの報道内容とくに評論家の話から推測すると、「オマル師が自由の身で生き残ったら、そのカリスマ性でまたまた兵士達を集め、ゲリラ戦をおっぱじめるんじゃないか」と恐れているって感じですね。正しいけど...。
だからこそ、拠点のカンダハルにタリバン兵士を集結させて、オマル師ともども全滅させたかったのだ。今回の合意で、それを完遂する機会をまったく失ってしまった。

今回の合意がアフガニスタン勢力のあいだで完全に履行され、アメリカがそれを認めてしまえば、その時点で、『アメリカは戦いには勝ったけれど戦争に負けた』ということになるだろう。
それは、お金で支配できないうえに強い反米意識を持つタリバン勢力の脅威がアフガニスタンにずっと残ることを意味し、パイプラインを敷設しそれを安全に維持してくことなんか不可能になってしまうからである。
また、アメリカが合意を拒否したとしても、反タリバン勢力が、合意は男で戦士が交わした合意だ、口出し御無用と反論すれば、パシュトン人勢力との全面的な戦闘をする決意をするか、じゃあお好きにと言うしかないだろう。
アメリカ人記者が質問していたように、カルザイ氏は国際的に認められたアフガニスタン暫定政権の首相である。そういう人間が交渉を経て合意した事項をアメリカが否定もしくは無視した軍事行動を起こせば、アフガン国内および国際社会で様々なあつれきと問題を引き起こしてしまうだろう。
もちろん、カルザイ氏に対するアメとムチでの締め付けで、なんとかオマル師の“首”を取ろうとするだろう。
カイザル氏の合意内容に関する説明で唯一含みがある「テロの非難とテロの放棄」を宣言することがオマル師自由の条件(ザイーフ大使はこの条件を否定)ということにこだわり、様々な難癖を付けて身柄引渡しを迫っていくだろう。

しかし、「テロの非難とテロの放棄」なんぞ、“定義”の問題であり、オマル師も躊躇なく宣言できるであろう。それでも、ブッシュ政権は強硬かつ執拗にオマル師の身柄引渡しを求め続けるだろう。

しかし、オマル師の“首”を取れば、タリバン的運動が再発しないと判断しているのなら大甘と言える。また、オマル師の“首”を取ったりしようものなら、大量のタリバン兵士が自由の身となった状況では、さらにアメリカへの怨念を増幅し、より激しい反米活動をアフガニスタンで生み出してしまうことになる。これらのことは、ブッシュ政権だってわかっているはずだ。
オマル師の“首”は、あれだけタリバンの酷さを煽ってきたのだから、アメリカ国内向けのパフォーマンスとしては意味を持つだろう。そのためだけに、オマル師の身柄を求め続けることになる。それを放棄したら、メディアと国民から、なんのための戦いなんだという謗りを受けるだろう。

オマル師問題だけでなく、北部ではドスタム将軍が「暫定政権」ボイコットを決定している。カンダハルの明け渡し合意がなかったとしても、ブッシュ政権は、ドスタム将軍のこのような動きに、危険な先行きを認識し、その対処法を考えていたはずである。ドスタムならなんとか・・・と思っていたかもしれないが。


今日が、アフガニスタン戦争で最大の曲がり角を迎えた日と言えるだろう。

しかし、どっちにしても、稚拙なブッシュ政権では、はじめから、アメリカに、アフガニスタンでの“勝利”をもたらすことはできかったのだ。

ブッシュ政権が“非文明国”と勝手に思い込んでいたアフガニスタン人は、アメリカ人に対して“政治的駆け引き”で大きく勝ったのである。

あれだけの大虐殺を犯しながら、ブッシュ政権は、表には出さないだろうが、惨めな敗北感をすぐに噛みしめることになる。
表向きには、アメリカ及び同盟国の正義の戦いにより、アフガンに平和と安定がもたらされ、自由と民主主義が築かれようとしているといった類の偽善の言葉が出されるであろう。そして、我々は偉大な戦いに勝利したと宣言するだろう。

もちろん、もう一つの標的であるウサマ・ビン・ラディン氏は残っているが、それも、アメリカ及び世界に向けたパフォーマンスという意味しかもたない。まさか、アフガンでアメリカが何もできないんなら、ウサマのことはもういいんですとは言えないだろうから。それをおくびにでも出したら、ブッシュ政権は崩壊する。

ブッシュ政権の敗北という判断は、中央アジアの石油・天然ガス資源をアフガニスタンのパイプライン敷設を通じてインド洋まで運び出す条件を得ることが今回の戦争の戦略と見た場合のもので、公言しているウサマ・ビン・ラディンの捕捉が戦略というのであれば、まだ決しているわけではない。

ブッシュ政権とシャロン政権の常軌を逸した大虐殺行動が、これを契機に停止することを何より期待したい。




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