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「りそな問題」は事後処理がどうなるかがポイント − 今回の措置が竹中アイデアか金融庁(財務省)アイデアかが分かれ道 −
http://www.asyura.com/0304/dispute10/msg/475.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 19 日 17:32:26:

(回答先: あっしら氏の説明を聞きたい 投稿者 未来 日時 2003 年 5 月 19 日 12:45:51)


未来さん、こんにちわ。


>今回のりそなHDに対する公的資金注入(国有化)はどのようなものなのか、日本経
>済に与える影響はどういったものなのか、国民に与える影響はどうなのか、そしてこ
>のメガバンクの国有化とは我々日本人にどのような未来を予告しているのだろうか、
>またその他のメガバンクは平気なのであろうか。


Q1:公的資金注入(国有化)はどのようなものなのか

旧あさひ銀行と旧大和銀行を中核とするりそなHDへの公的資金注入は、破綻前に行なわれるということで、現段階では“大騒ぎ”する内容ではないと思っています。
(あくまでも現段階で見えている範囲の話であり、その先も既定のはずですから、それがどのようなものなのかが問題になります)

今回の公的資金注入がいつ頃から政府内でスケジュール化されていたかはわかりませんが、過剰債務銀行に破綻銀行を加えたりそなHDが「デフレ不況」のなかで過少資本(自己資本比率未達成)もしくは破綻に追い込まれることは、官民ともに織り込み済みだったはずです。
(昨年秋の預金保険法改正で、スケジュール化ができるようになったと言えます)

今回の公的資金注入は、98年・99年の「予防的公的資金注入」や破綻銀行処理のための公的資金注入とは異なり、実質国有化でありながら民間銀行として存続させるという「特別支援行」措置です。

前例のないかたちでの公的資金注入が、りそなHDが今後どうなるかの予測を難しくしています。


Q2:日本経済に与える影響はどういったものなのか、国民に与える影響はどうなの

特別支援として破綻前の銀行に公的資金が注入される前例ができたことで、ある種の安堵感が生まれたと思っています。

一時的であっても預金が封鎖されたり取り付け騒動が起きるかたちではなく、歩いている銀行に“栄養補給”を行なう前例ができたことで最悪の金融不安は払拭されたという見方ができます。
(97年以降の日本経済の動きのなかで銀行財務が損なわれていることは衆知の事実ですから、「りそな」が過少資本に陥ったことは驚くべきこととは受け止められないはずです)

日本経済を注視している人たちの関心は、公的資金注入そのものではなく、「りそな」が今後どのように処理されるかということだと思います。

リージョナル(地域)銀行として「りそな」を再生させる政策をとるのか、オーバーバンキング(銀行過剰)を緩和するために「りそな」を消滅させていく政策をとるのか、はたまた、りそなHD再生というか銀行経営ルネッサンスという名目で外資に支配権を引き渡すことになるのかという行く末に関心を抱いています。

政府部内も、「りそな」の今後については最終的な決定が出ておらず、綱引きが行なわれていると見ています。


Q3:メガバンクの国有化とは我々日本人にどのような未来を予告しているのだろうか、その他のメガバンクは平気なのであろうか

「りそな」が過少資本状況に陥った最大の要因は、「繰り延べ税金資産」をどれほど認めるかという会計処理の取り扱いです。
B/S上、資本の側はそのような問題ですが、資産の側はそれほど問題になっていないようです。
「りそな」の貸し出し資産を精査すると、債務過剰(破綻)に陥っている可能性もあると思っています。

これは、ほとんどの銀行が赤字決算で「繰り延べ税金資産」によって自己資本を“過大に”評価しているたり貸し出し資産に“甘い”評価がなされている現状に照らしたとき、ほとんどのメガバンクが過少資本状態と認定される可能性があることを意味しています。

「バブル崩壊」以後の日本の銀行は、基本的に「国家管理」に置かれています。
これは、存続(合併も含め)も破綻も政府の意向によって決まるということです。

破綻させても日本経済に決定的な打撃を与えない銀行は間隔をおきながら破綻させるが、日本経済に決定的な打撃を与える銀行はなんとか存続をはかるというのが、政府の基本的スタンスだと見ています。

東京三菱・三井住友・みずほ(・UFJ)という正真正銘のメガバンクではなく、「国内行」としてリージョナル銀行を目指す「りそな」が初の「特別支援行」の対象になったということも意味があると思っています。
たとえば、みずほを「特別支援行」にすると、みずほの競争力が飛躍的に高まり、東京三菱・三井住友の収益を毀損することになり、東京三菱・三井住友がおかしくなる可能性もあります。


※ この考え方からいくと、次の「特別支援行」はみずほではなくUFJということになります。

【「りそな問題」の事後処理に関するいくつかの予測】

● 今回の「りそな」への公的資金注入は、竹中アイデアか、金融庁(財務省)アイデアか

「りそな問題」を考えるときのいちばんのポイントは、今回の公的資金注入が、竹中大臣のアイデアなのか、金融庁(財務省)のアイデアなのかです。

官僚機構を掌握していない竹中氏ではなく、金融庁(財務省)のアイデアだと臆断しますが、問題が表に出たことで政治の荒波にさらされることになるので、「りそな問題」が金融庁(財務省)のシナリオ通りに処理されていくかどうかは予断を許しません。


金融庁(財務省)のシナリオは、「りそな」をリージョナル(地域)銀行として再生させるものだと思っています。
管理下に収めた「りそな」を地方銀行の全国ネットの中核に置き、中小企業向け金融・個人向け金融の再生をはかりたいと考えているはずです。
(地銀の再編も金融庁(財務省)のめざす方向で可能になります)

竹中大臣の思いは、経営責任及び株主責任を明確化し、その上で「りそな」を活かすか“別物”にするかを決めるべきというものでしょう。


● 公的資金の注入額

当初1兆円と言われていた公的資金の注入額が2兆円に膨らみ、自己資本比率が10%を超えるとも言われています。

貸し出し債権も甘く評価されているはずですから、2兆円でぎりぎり自己資本比率4%をクリアするかどうかだと思われます。
さらに、「デフレ不況」が続く限り、貸し出し債権のなかから新たな不良債権が生まれます。

「りそな」を再生させるためには、最低でも現段階の不良債権の80%は処理する必要があると思っています。「りそな」の要注意債権までの不良債権額が5兆円だとすると、4兆円ほどの公的資金注入が求められます。

二度三度という公的資金注入は国民的合意を得られないので、「りそな」の再生を本気で考えるのなら、ここで一気に公的資金を注入すべきです。

このような意味で、「りそな」の不良債権の確定と公的資金の注入額がいくらになるかは重要な問題です。


● 「りそな」の経営者責任

りそなの代表取締役は総退陣するようですが、残余の取締役から代表取締役を選出し、金融庁から派遣する「経営監視チーム」とタッグを組むかたちになるかどうかに関心を持ちます。

代表権がない「りそな」の取締役たちも経営責任を負っていることはまちがいないので、「りそな」を“別物”にしたい勢力は、経営者の総退陣と新たな経営者の選出を主張するはずです。

個人的には、「経営監視チーム」が派遣された段階で、「りそな」の取締役はすべて辞任し、新しい経営陣にするほうがいいと思っています。(旧取締役の一部は再任されても可)

経営者責任をあいまいにしたまま再生をめざすと、それが常に問題視され、足を引っ張られることになります。


● 「りそな」の株主責任

株式市場の現状から、減資を行なって「りそな」の株主責任を明確にするという政策はとりづらいでしょう。

「りそな」が減資されることになれば、銀行株の下落に拍車がかかることになります。

近代経済の道理から言えば「りそな」は“お取り潰し”のはずなのに、銀行という理由だけで国家が救済するわけですから、株主責任を曖昧にすれば、資本主義でも社会主義でもないデタラメな政策ということになります。(社会主義なら救済しても株主保護はありません)

個人的には、「りそな」は100%減資を行なって、株主責任を明確にすべきだと思っています。

しかし、これは、旧長銀(新生銀行)や旧日債銀(あおぞら銀行)と同じように、「りそな」が外資の手に渡る可能性を秘めた政策です。
(注入公的資金をすべて普通株にすれば避けられますが、過少資本状態や破綻した銀行を国有して長期的に経営するというコンセンサスは得られていません)

「りそな」を“別物”にしたい勢力は、減資と公的資金の限定的株式化を主張するはずです。

金融庁(財務省)は、それを避けるために、株式市場に混乱を起こさないということや「りそな」は破綻したわけではないということを大義名分に減資を行なわないように仕向けると予測しています。
(注入公的資金のある割合は普通株に転換して既存株主の権利を薄めることにはなるでしょう)

不良債権処理の道筋を政治的に明確化していないツケとして、株主責任問題が政治的に利用されることになります。


● 「りそな」の今後

予断は許しませんが、「りそな」は、金融庁(財務省)管理下のリージョナル銀行として再生の道を歩み始めると見ています。

しかし、「デフレ不況」が続くなか、しかも2兆円ほどの公的資金注入でそれが可能かは疑問です。
もう一つ、金融庁の「経営監視チーム」は、「りそな」が他のメガバンクの領域を侵さないよう監視する役割も担います。
身軽になった「りそな」が東京三菱・三井住友・みずほ・UFJなどの領域に入り込むと、それらの銀行がおかしくなりかねません。


「りそな」対する公的資金の注入が半端であれば再び危機的状況に陥り、その時には、外資に売り渡されることになるでしょう。
(日本でリテイル業務を行ないたい外資は、大掃除された「りそな」は魅力的な銀行です)


今回の「りそな問題」は、存続させながら不良債権処理を進める政策がうまくいくかどうかという不良債権処理の一つのテストケースになるはずです。

「りそな」が巧くいけば、次にUFJ、そして最後にはメガバンク3行を同時に処理するつもりでしょう。

しかし、そのような不良債権処理策がうまくいく前提はデフレが解消されることです。

デフレを解消しない限り、今回のような公的資金注入は、“過去”の不良債権を処理するだけで、新たな不良債権の発生によって元の木阿弥になるだけではなく、デフレリスクを恐れる銀行は貸し出しの増加も抑えので不況も解消しません。
(デフレ下で貸し出しを増加させるのは誤った銀行経営です)

銀行の貸し出し(「信用創造」)がデフレの大きな要因であることは間違いないのですが、銀行に手を突っ込むことでデフレを解消したいというのなら、個別にだらだらではなく一気に40兆円ほどの公的資金を注入して主要銀行をすべて国有化し、国家管理下で貸し出しを拡大していくしかありません。
行政指導で平均預貸率を90%以上(かつては100%超)に復活させれば、デフレに歯止めがかかります。
(国債サイクルは日銀の資金供給という現状の方法(実質的日銀引き受け)で維持できます)

このような手法が安定的に通用するのも、貿易黒字が維持されるここ2、3年だと思っています。


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