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ネバダ・レポートの評価
http://www.asyura2.com/0401/dispute16/msg/676.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 20 日 16:50:54:Mo7ApAlflbQ6s
 

(回答先: bakaでもわかる「あっしら経済学」- その13 「Nevada Economic Report 2/15,3/1」 投稿者 baka 日時 2004 年 3 月 20 日 10:48:39)


bakaさん、こんにちわ。


「Nevada Economic Report 2/15,3/1合併号」の記事の冒頭に書かれている『米国の10年国債利回りは、実態より2%以上も低くなっているが、この原因は日本のドル買い介入によってもたらされたものである』の数字部分の正確度はともかく、「日本が事実上、米国の低金利を支え続けている」は確かです。

ただ、日本国債の低金利が日銀の“超金融緩和策”に支えられているように、米国国債もそのような政策により低金利を維持できないわけではありません。
米国で日本と同じような“超金融緩和策”をとると、米国経済の性格とドルの国際基軸通貨性から、バブル・インフレ・ドル安といった問題が生じます。

日本は「長期デフレ不況」と「不良債権=過剰債務問題」があるため、“超金融緩和策”をとっても銀行から先に円が供給される額がほとんど増加しませんが、米国はまだその段階ではないので、国債のみならず株式などへの投機や消費(輸入依存)にも流れ出すことになります。
経常収支の赤字増加は、世界に国際基軸通貨であるドルが堆積することを意味するものですから、さらなるドル安を促すとともに国際商品の価格上昇(インフレ)につながります。

これが、バブル・インフレ・ドル安といった問題が生じる根拠です。
バブルは国際金融家(“彼ら”)が制御できる事象なので“彼ら”が損失を食らうことはありませんが、インフレやドル安は、“彼ら”にも制御できる事象ではなく、ドルを基軸に利益を考えている“彼ら”の金融資産価値を目減りさせることになります。(それを避ける手立てと条件は“彼ら”の手にあります)

金利が上昇しても、“彼ら”は基本的に利子所得生活者ですから不都合はなく、金利上昇はドル高要因ですから、金融資産価値のかさ上げになり喜ばしいことです。

問題は、実体経済がよくないなかで金利が上昇すると、それを引き金に経済が瓦解する可能性があることです。
債務に依存して消費に励むという米国の経済構造は、金利上昇がそのまま消費縮小につながります。また、フロー(所得)の落ち込みや伸び悩みという状況で金利が上がれば、債務履行不能(破産)者が増加し、金融機関が膨大な不良債権を抱えることになります。
さらに、誤った経済理論がはびこっているために錯誤されていますが、金利上昇は物価上昇(インフレ)の誘導要因です。しかし、フロー(所得)の落ち込みや伸び悩みという状況では、インフレが実現できないため、企業収益の落ち込みというかたちという別のかたちで現われ、それが企業向け貸し出しの不良債権化にまでつながっていくことが考えられます。


日本政府がこの1年2ヶ月でドル買い介入を通じて30兆円分の米国債を購入したことで、上述のような“悲劇”が米国で起きることを抑制したと言えます。
一言で言うなら、「ドル買い介入で、金利上昇やドル安を抑制しながら米国のGDP規模を維持したことにより、ブッシュ政権を支えた」ことになります。
(それが、日本の輸出企業の利益や生産活動の活発化を通じて勤労者の所得増加にも貢献したことは認めます)

日本のドル買い介入がなければ、金利を上昇させないために、財政赤字を縮小するか増税するか(ミックスでも加)という政策を採らざるを得ません。これは、直接的にGDPの縮小をもたらします。

米国政権が「ドル高を望む」というのは、上述の説明でわかるように、ウソではなく本心です。
日本からの還流ではなく、連邦準備銀行の“超金融緩和政策”で赤字財政を補填する(国債サイクルを維持する)というかたちになれば、暴落とも言えるドル安になると推測しています。
いったん発行(貸し出し)したドルが日本から還流しそれが使われることで、インフレも抑制され、ドル安にも歯止めがかかっているのです。

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レポートで面白かったのは締めくくりの部分ですね。

「金融をこれでもかという程に緩和し、株価を維持してきた日米両国ですが、一旦歯車が狂い始めれば、一気にこの協調体制は崩壊する事になります。
では、この歯車が狂い始める切っ掛けは一体何でしょうか?
≪ブッシュ大統領の再選断念≫と≪テロ≫だと思っています。
早ければ、この4月、遅くとも7月にはブッシュ大統領は、再選をあきらめるでしょう。」


ブッシュ政権が2期目を追求しないという見方は共有することができます。
ブッシュ政権は、今年の大統領選で、わざわざ負けることはしないけど策を弄して勝つことはしないのではないかと予測しています。(必要であれば、策を弄して(インチキで)勝てるはずです)

レポートの表現を借りると、ブッシュ政権は、“ご苦労様、もう先制攻撃の振り回しはいりませんので、お引取り下さい”と御役御免を通告される(されている)と思っています。(垢と恥にまみれたブッシュ政権では、世界戦略の次の段階にスムーズに移行できないと“彼ら”は考えていると想像しています)


>そうなれば、金利を引き下げておく必要などありません。
>政権を引き継ぐ民主党が“困る”経済状況を作れば良いのです。
>即ち、低金利を維持するために使ってきた日本に、“ご苦労様、もう介入はいりませ
>んので、お引取り下さい”と御役御免を通告すれば良いのです。

>ここで、全ての歯車が狂い始め、延命策は、そこで途切れます・・・。
>その後は、米国は独自の政策を執り行い、日本など関係ないという態度をとるでしょう。
>日本から見れば、米国は同盟国であり、パートナーでしょうが、米国から見れば、日
>本は単なる“しもべ”にしか過ぎないのですから。

共和党と民主党があたかもほんとうに対立していると見方に立つ解釈ですね。
そのような虚構を前提にした予測は確実に外れます。
もちろん、別のことを意図した同じ政策が採られる可能性はありますが、それは“彼ら”の狙いであり、民主党対共和党という見かけの政治対立とは無縁の話です。

米国権力機構が今後の世界戦略でも牽引車を担うことは間違いないので、このシナリオは当分の間ありえないと思っています。
対外軍事活動を“円滑”に進めるためには、資金とそれなりの国民支持が不可欠です。
それらを台無しにするような政策は採らないと考えるのが妥当です。

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>では、このような買い支えがいつまで続けられるのでしょうか?


奇態を演じる辛さを厭わなければ、ペーパーマネーを使ってやっていることですから、いつまでも続けれます。
米国債は日本国債と違ってAAAだそう(笑)ですから、資産評価としても問題ないはずです。これは冗談として、ドルが国際基軸通貨という性格を放棄(喪失)するまで、すなわち、米国連邦政府が対外債務をデフォルト宣言するまで続けられる、と推測しています。
外為特別会計での制限は、政府が保有する(外為特別会計にある)米国債を日銀に売却すればクリアできることですから障壁にはなりません。
(政府よりも日銀のほうが“彼ら”の意に従います(笑))


>この膨大な資金で、米国債を買い支えましても、世界は既に金利上昇ムードに入って
>きており、先般イギリスが再度の利上げをしましたが、今後、米国、日本も必ず金利
>が上昇してきます。

>今後世界が金利上昇期に入れば、米国10年国債の利回りは、8%まであっという間
>に上昇していくでしょう。
>そうなれば、日本の10年国債の利回りも、現在の1.3%から急上昇し、3%、
>4%という水準にまで上昇せざるを得ない状況に陥ります。

米国は金利が上昇する可能性がありますが、日本は「デフレ不況」と「超金融緩和策」が一体化していることで、金利の上昇は押さえ込めるというか、金利の上昇圧力はほぼないと言えます。


>このような状況の中、一旦日本がこの米国債買い支えを取りやめた場合、いったいど
>うなるでしょうか?

上述の内容を参考にしてください。


>世界が金利引き上げ競争に入る直前まで来ている今、日本政府・日銀が今年70兆円
>を超える新規の米国債を購入し終えた後、一体どうなるでしょうか?
>悪夢のような金利急騰・国債暴落がまっています。
>勿論、また補正予算を組んで、ドル買い介入資金枠を作るでしょうが、債券市場が一
>旦動き出せば、その巨大な市場ゆえ、誰も止めることは出来ません。

この部分は“煽り”のようですが、杞憂と言える内容です。

まず、米国で金利が上昇したとしても、日本で金利が上昇するわけではありません。
そうならば、日本政府及び輸出企業が喜ぶ円安−ドル高傾向がタダで得られるだけの話です。

政府保有の米国債は、額面通りで評価すればいいだけの話ですから、市場で低利の既発米国債の価格が暴落しても気にすることはありません。
日米の金利差が広がれば広がるほど円安−ドル高誘引になりますから、保有米国債の円での評価はアップするかもしれません。

問題があるとしたらレポートも指摘しているように、日本の金融資産が米国に逃避することですが、“超金融緩和策”である限りどうこう心配する必要はありません。
(株式投機をしている人たちは別です)

それよりも、現状の米国で金利の急激な上昇が起これば、国債暴落といったレベルを超えて、米国経済そのものの瓦解を心配するのが筋です。

>日本の銀行の国債保有は昨年9月末時点で93兆円を超えてきており、今では100
>兆円を超えてきているかも知れません。
>この100兆円が<暴落>すれば、銀行の自己資本などあっという間に吹き飛んでし
>まうどころか、経営が成り立たない事態に陥ることになるのです。

保有する国債に時価会計制度を適用すること自体が間違いというかバカな話です。
高いときに売って含み益を得ることはかまいませんが、国債は国家が表記通りに利息を支払い額面通りに償還するものですから、評価を市場価格で見る必要はありません。
損失は売ったときに評価されればいいものです。
(国債は、紙くずになるかもしれなかったり、ある価格で買う人がいるかどうかが不確定な株式やデフォルトになる可能性もある民間の債券とは異次元のものです)

国債にもどうしても時価会計を適用するとしても、日銀が、銀行保有国債をすべて買い取ればこの問題はクリアできます。


>日銀がドルを買っているのは、ただ米国の為だけでなく、日本の低金利維持政策の発
>動であったという事が、これでお分かり頂けたと思います。
><ドル暴落を防ぐ>というマスコミ受けする言葉ではなく、本当は<日本国債の暴落
>を防ぐ>為にも、政府・日銀はドルを買い続けなくてはいけないのです。
>そして、これが途切れた時、悪夢のような<国債暴落>が待っています。

くだらないオチですね。
ドル買い介入をしなくても、「デフレ不況」とペーパーマネーでの“超金融緩和策”が一体化した日本は、キャピタ・フライトを考慮しても、低金利を維持することができます。


最後に、ここでの説明は経済論理に基づくものですから、政府や日銀が売国奴であったり無能であれば、できる対応を怠るかたちで“破壊行為”が行われることがあることをお断りしておきます(笑)

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