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「有事が来るぞ」(1)備えれば憂い生む−−−−生活者から見た有事法研究
http://www.asyura2.com/0403/dispute17/msg/980.html
投稿者 竹中半兵衛 日時 2004 年 5 月 20 日 09:38:27:0iYhrg5rK5QpI
 

一年前に成立した有事三法について、ネット検索をしてゆくと、生活者としての一個人が有事法を辛口論評しているサイトにゆきあたった。

残念ながら本日衆議院通過見込みの「有事関連七法」への言及はありませんが、全体的にわかりにくい「有事法」が実際にはどのように適用されてゆくのか、創作活動(ネット小説)にもエネルギーを注入している著者(HP製作者)の想像力もたくましく、わかりやすく解説されています。

以下自己レスでコピペ・紹介します。

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紹介HP

かわもと文庫
http://www5a.biglobe.ne.jp/~katsuaki/index.htm

所収の「世相百断」http://www5a.biglobe.ne.jp/~katsuaki/sesou00.htm

に掲載されている「有事がくるぞ」(1-8)(世相百断51話-59話)。

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【世相百断 第51話】有事が来るぞ(1) 備えれば憂い生む
http://www5a.biglobe.ne.jp/~katsuaki/sesou51.htm


有事が来るぞ(1) 備えれば憂い生む


 備えあれば憂いなし……。

 小泉純一郎という人はキャッチフレーズのうまい政治家だとつくづく思う。苦い薬を不透明なオブラートにくるんで、苦いと思わせずに手もなく国民に飲ませてしまう。しかし苦い薬が良薬なら、のちのち名宰相と歴史に名を残すだろうが、これが国民にとってとんでもない劇薬だとしたら、どうなるのだろうか。有事法制関連三法という、小泉内閣が不透明なオブラートにくるんで国会を通過させた今回のとんでもない薬、国民だけでなく、かなりのメディアまでもが手もなくするりと飲み込まされてしまったが、この薄気味悪い薬が良薬か毒薬か、きちんと見分け、毒薬なら腹の中に呑み込まず、早く吐き出さなければ命にかかわるかもしれない。

 備えあれば憂いなし……。

 いったい小泉内閣は何を憂え、どんな事態にどう備えようとしているのか。

 備えとして有事法制がくるぞ、と言っているわけだから、まずは有事とは何かをはっきりさせておかねばいけない。

 いつの間にか定着してしまったこの「有事」という言葉、「平時」に対する言葉で、つまりは非常時、緊急時、「戦争などの一大事」(大辞林)を指す。

 小泉内閣は、「有事」に備えて法律をつくれば「憂いなし」と言っているのだが、ではもう一歩突っ込んで考えてみると、有事=戦争として、どんな有事が日本を襲うというのだろうか。

 世界有数の軍事力を保持し、日米安保条約のもとで緊密な軍事協力をアメリカ合州国と結んでいる日本を、あからさまな軍事力で侵略しようとする国など、ほんとうに存在するのだろうか。

 かつて冷戦時代には、ソ連が仮想敵国だった。そのソ連は崩壊し、現在のロシアはG8に参加するまでに西側諸国と緊密な関係を保っている。世界が小さくなり、経済的に緊密な関係が各国を結んでいるなかで、ロシアも中国も、自国の経済発展を至上命題とするかぎり、大規模な軍事力を使用した国家間紛争など望まないことは明らかだ。

 では現在仮想敵国と目されている北朝鮮はどうか。

 たしかに北朝鮮は政治的な挑発を繰り返してきた。しかしこれは経済的な困窮を打開するために、威嚇によって現実的な利益を関係国から引き出そうとしているだけであって、もし威嚇が本格的な戦争に発展してしまったら、北朝鮮が得るものは何もなくなってしまう。たとえ弾道ミサイルを日本に打ち込んだにしろ、それは数十倍の反撃によって北朝鮮が灰燼に帰す結果を生み出し、現体制の崩壊を招くのみだからだ。こんなこと、北朝鮮を政治的に追い込みすぎ、彼らを自暴自棄にしないかぎり、現出しない。

 そもそも、日本が大規模な軍事侵略を受ける可能性など、遠い未来はともかく、慌てふためいて法律をつくらないと憂れうべき事態になるほどの近未来には起こりえない。

 百歩譲って、そういう事態が起こったとき、今回の有事法制関連三法がなかったら日本は有効な防衛ができないのか。

 改正前の自衛隊法でも、こうした武力攻撃があった場合はもちろん、そのおそれのある場合にも内閣総理大臣は自衛隊に出動を命ずることができた。

 
内閣総理大臣は、外部からの武力攻撃(外部からの武力攻撃のおそれのある場合を含む。)に際して、わが国を防衛するため必要があると認める場合には、国会の承認(衆議院が解散されているときは、日本国憲法第五十四条に規定する緊急集会による参議院の承認。以下本項及び次項において同じ。)を得て、自衛隊の全部又は一部の出動を命ずることができる。ただし、特に緊急の必要がある場合には、国会の承認を得ないで出動を命ずることができる。(改正前の自衛隊法 第七十六条第一項)


 防衛庁長官も、出動命令が出されると予測される場合は、出動待機命令を出すことができた。


長官は、事態が緊迫し、前条第一項の規定による防衛出動命令が発せられることが予測される場合において、これに対処するため必要があると認めるときは、内閣総理大臣の承認を得て、自衛隊の全部又は一部に対し出動待機命令を発することができる。(改正前の自衛隊法 第七十七条)


 さらに、上記の防衛出動命令が発せられた場合、海上保安庁を自衛隊の指揮下に入れ、防衛にあたらせることもできた。


内閣総理大臣は、第七十六条第一項又は第七十八条第一項の規定による自衛隊の全部又は一部に対する出動命令があつた場合において、特別の必要があると認めるときは、海上保安庁の全部又は一部をその統制下に入れることができる。(改正前の自衛隊法 第八十条)


 もちろん、こうして出動命令を受けた自衛隊は必要な武力を行使することもできた。 


第七十六条第一項の規定により出動を命ぜられた自衛隊は、わが国を防衛するため、必要な武力を行使することができる。(改正前の自衛隊法 第八十八条)


 つまりメディアが言うように、「日本が武力攻撃を受けた際などに自衛隊を中心に対応する法的枠組み」がなかったわけではない。

 では、日本が近未来に大規模な武力侵略にあう危険性などないなかで、今回の改正で有事法制はどう変わったのか。

 大きな変更点は二つある。

 第一は、有事の範囲をこれまでの「武力攻撃の発生」と「武力攻撃のおそれ」に加え、「武力攻撃が予測される事態」にまで拡大した点だ。

 今回新たに制定された「武力攻撃事態等における我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全の確保に関する法律」(武力攻撃等事態法)では、有事法制が発動するのは、1、武力攻撃事態 2、武力攻撃予測事態となっている。そして「武力攻撃事態」の定義は、


武力攻撃が発生した事態又は武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態をいう。(第二条第二号二)


 さらに、「武力攻撃予測事態」の定義は


武力攻撃事態には至っていないが、事態が緊迫し、武力攻撃が予測されるに至った事態をいう。(第二条第二号三)


 とされ、武力攻撃が発生していなくても、「明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」だと判断されれば、「武力攻撃事態」だと認定することができるのみならず、「武力攻撃が予測される」と有事法制が発動される仕掛けになっている。そして「明白な危険」とは何か、「武力攻撃が予測される事態」とは何か、どんな基準でそれを判断するのか等の判断基準はすこぶる明確性を欠く政府説明がなされているだけである。

 つまり有事の対象を広げたことで認定基準が緩やかかつあいまいになった。現に武力攻撃が発生していなくても、いや、「武力攻撃事態」にさえならない「予測されるに至った」状態でも、前倒しで有事法制を発動することが可能になった。

 うがった見方をするなら、かなり恣意的な判断で有事法制を発動できる可能性が広がった。

 第二は、今回の自衛隊法改正で、総理大臣が出動命令を出すことを防衛庁長官が予測すると、自衛隊は展開予定地で陣地構築のため、個人の土地・家屋を含めた日本の国土を自由に使えるようになったことだ。

 つまり我が国への攻撃が"予測"された段階からもう、「自衛隊の部隊を展開させることが見込まれ、かつ、防備をあらかじめ強化しておく必要があると認める地域があるときは」内閣総理大臣の承認を得て陣地などの防衛施設を構築できるようになる(改正自衛隊法 第七十七条の二)。

 さらにこの陣地構築に際しては、自衛隊は海岸、森林、公園、都市、道路などに関する法律に縛られずに超法規的に行動できるようになる。適用が除外されたり特例が認められたりする法律を列挙してみると、消防法、医療法、漁港漁場整備法、建築基準法、港湾法、土地収用法、森林法、道路法、土地区画整理法、都市公園法、海岸法、自然公園法、道路交通法、河川法、首都圏近郊緑地保全法、近畿圏の保全区域の整備に関する法律、都市計画法、都市緑地保全法等々があり、運用次第ではやりたい放題のことができるようになる。

 超法規的行動で陣地を構築できるようになるだけではない。展開予定地域内で武器を使用することもできるようになる(改正自衛隊法 第九十二条の三)。

 まだ敵の影すら見えない、出動命令が出るという予測だけでこれだけ多くの法律の適用外の行動ができるだけでなく、武器の使用もできるのだから、市民生活との兼ね合いからみれば実質的には防衛出動しているの同じことになる。

 一方にこれらの法規の中で生活している市民がいて、もう一方にこうした法規に縛られない行動をする軍事組織が同じ市民のなかに防衛出動で入っていく。当然ながら市民の財産権や人権との摩擦が起こる。摩擦というより、自衛隊による市民の財産権や人権への重大な侵害が起こる。それらがどんな形であらわれてくるかはあとから詳しくみていくつもりだが、"予測"が恣意的にできることを考えれば、運用によっては非常に危険な状態に市民を巻き込む、非常に危険な法律なのがおわかりいただけるだろう。

 近未来に日本が軍事侵略される現実的な可能性などないなかで、もしなんらかの意図・理由で武力攻撃が予測されると総理大臣が判断し、自衛隊が出動するようなことになれば、それは暮らしを守るどころか、民主的な市民社会と暮らしを破壊する方向に動く。

 半年前に国会に提出された有事法制関連三法案は、有事の定義が不明確だ、国民保護法制が後回しになっているなど、その杜撰な内容が問題になり、継続審議となった。それ以前にまず、なぜいま有事法制が必要なのかという根源的な問題をこそ議論しなければならなかったのだが、今国会でもそこは素通りし、しかも問題点の根本的な改善もなされないまま、あっけなく衆参両院を通過した。与党と民社党の修正合意により、これに自由党もくわわって、実に9割の賛成を得ての国会通過・成立である。

 これに対して、メディアからも根本的な反対・疑問の声はあがらない。同盟をはじめとする労働組合・国民の側からも大規模な反対運動は起こらない。まさに戦前を思わせる翼賛政治。この国の平和と民主主義が根本のところで文字どおり根腐れしていることをひしひしと感じる。

 法律は、成立してしまえばその意図とは無関係に独り歩きし、状況の変化に応じてとんでもない力を発揮し、ことと次第によっては国民に塗炭の苦しみを味わわせるとことは、戦時中の治安維持法その他の非人権的な法律とその結果の国民の知る権利や批判する権利などの剥奪、それに伴う無謀な戦争への一気呵成のなだれ込みと敗戦という結果でこの国の人々はよくわかっているはずなのに、歴史に学ぼうとしない悲しさか、また同じことを繰り返そうとしている。

 ましてや、今回の有事法制関連三法はその中身を知れば知るほど、「備えあれば憂いなし」は大嘘、「備えれば憂い生む」という内容なのだが、こういう法律を国民を騙すような説明で強引に成立させてしまった政府も政府だが、政府というのはもともと、国民を騙すもの。こういう危険な法律に見るべき反対行動もせず、やすやすと成立させてしまったのみならず、騙されたことにも気づかずにこの政府への支持率がまだ50%以上ということは、この国の人々が自分の人権や暮らしを守る力を失ってしまったということにほかならない。市民の感受性がすっかり鈍磨し、自ら墓穴を掘っていることすら感じなくなっているということにほかならない。

 この国の人権も民主主義も、今や風前の灯である。

 こんな法律をやすやすと通させてしまって、いざこれらの法律が本性を現わしたとき、人々はどうやって暮らしと人権を守るつもりなのだろうか。

(2003年7月6日)


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