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4.2 コメント(暴露された核の闇市場が問うもの) 大庭里美(アボリション2000グローバル評議員)
http://www.asyura2.com/0403/genpatu2/msg/243.html
投稿者 ネオファイト 日時 2004 年 6 月 21 日 11:22:06:ihQQ4EJsQUa/w
 

(回答先: 2004年日本物理学会第59回年次大会 社会的責任シンポジウム 現代の戦争と物理学者の倫理とは 投稿者 ネオファイト 日時 2004 年 6 月 21 日 11:20:17)

暴露された核の闇市場が問うもの 大庭里美(アボリション2000グローバル評議員)

ブッシュ大統領は今年2月11日「大量破壊兵器の脅威に対抗する新たな方策」と題した演説を行った。前半はイラン、イラク、北朝鮮を非難し、「テロとの戦争」に世界的な団結を呼びかけるものであるが、後半は異例の長さでいわゆる「平和利用」による核拡散の問題をとりあげている。
「最近、大量破壊兵器関連の設備や専門的知識が闇市場を通じて別の道筋での拡散が明らかになってきた。これらを扱う業者の動機は欲望あるいは狂信、あるいはその両方である。それらの兵器のパーツや計画を非合法に入手するためには、何百万ドルを支払う得意先がいる。かれらは核兵器プログラムを急ぐ必要があるのだ。そして恐るべき技術と専門的知識が市場に流れ、それを最も欲しがっているテロリストの手に最終兵器が渡ることもありうるのだ。」
そして、ブッシュはパキスタンのカーン博士とそのネットワークについてかなりのスペースを割き、世界の40の核供給国に対して「ウラン濃縮と再処理技術と設備をまだ全面的規模で保有していない国に対しては輸出を拒否すべきである。これは、国々が新しく核兵器製造のための核分裂性物質生産手段を開発への試みを(ママ)防ぐ手段となるだろう。皮肉にもNPTを非合法な兵器製造のために歪曲して解釈し、核物質と設備を入手するための手段として核拡散に利用することは許されない」と語った。
国際原子力機関IAEAのエルバラダイ事務局長も、2月12日ニューヨーク・タイムズで「自滅からの救出」というタイトルで、核の闇市場の実態への驚きを表明するとともに21世紀に対応できるNPT体制の強化に地球的な対応の必要性を強調した。
エルバラダイは輸出制限の普遍化、抜け穴の除去、制限の法制化、条約に基づいた管理などの必要性を主張しながら、それに「すべての国に平和的確技術の権利を保障しながら」と付け加えている。
なぜこのような事態になったか、そもそものはじまりはアイゼンハワーの「アトムズ・フォア・ピース」であった。「演説に続いて起こった熱狂的な広報活動」、それは日本にも届きマスコミを挙げての原子力博覧会となる。IAEAは熱心な原子力のセールスマンではなかったのか。チェルノブイリの被害をいまだだに否定しているのは、IAEAの科学者たちである。

民生利用を通じての核拡散については、今になって米国やIAEAから指摘されるまでもなく、すでに民間の科学者やNGOが指摘してきた。インドの核物理学者スレンドラ・ガデカー博士は、「エネルギーから兵器への道」(1998年)と題した論文の中で、そのことを鋭く展開している。彼は直接的なアプローチ、同盟と言う方法での核兵器保有への道に続いて、次のようにきっぱりと書いている。「しかし、どの方法よりも優れているのは、エネルギー利用という迂回路である。この場合必要なのは、その国の関心は核兵器には全く無関心で、『平和利用』のみを目的としており、発展のためにこのすばらしいエネルギー源を絶対にあきらめることはできないと、偽善的に宣誓しさえすればよい。専門知識とノウハウを取得し、訓練された大規模な幹部グループを養成して、その国は核燃料サイクルの様々な段階の能力を、独自に開発をすすめ、そうすることによって核兵器プロラグラム(ママ)のあらゆる要素の整備が可能となり、公然と核武装するかどうかと言う決定は、全面的に国家の指導者に握られることになるのだ。すべての境界線上にある国、および境界線上とは考えられていないいくつかの国が、多かれ少なかれこのエネルギー・ルートをたどって来ている。」

昨年ジュネーブで行われたNPT再検討会議第2回運営検討委員会(PrepCom)にアボリション2000のメンバーとして参加し、各国代表のスピーチを聞くチャンスがあった。187締約国のうち数カ国の演説を聴いたり、ドラフトを読んだりして、イランを含めその大半がNPT第4条の「平和利用の権利」を強く主張していることに驚いた。日本の代表ももちろんその中の一人であった。
日本政府は、核分裂物質生産禁止条約の締結を主張しながら、使うあてのない大量のプルトニウムを保有し、高裁判決を無視してまで高速増殖炉もんじゅの運転再開を追及し、ウラン濃縮も行っている。また国際核融合実験炉(ITER)の誘致にも力を入れ、フランスと建設地を争っている。
「平和利用」とはその誕生から「偽善と偽りに忠実な虚構であった」(ガデカー)。その目的はひとつには、平和時における核兵器プログラムの維持・加速に社会的認知を与えること、もうひとつは、冷戦下で宣伝を有利に展開することであった。しかし、それによって、産業界・商業界と、政治・軍事・科学複合体の間にあらたな連結が作られたのであった。

パグウォッシュ会議のような科学者の高邁な理想と「原子力の平和利用」はどこで折り合いをつけられるのだろうか?「日本のプルトニウムは原子炉級だから兵器にはならない」といわれるが、プロトニウムはプルトニウムである。ましてや、38トンという大量の日本のプルトニウムには、原子炉での具体的な用途は今見えないのである。

日本では「核兵器を廃絶するには、まず原発はさておいて、兵器の問題だけに絞る」という主張が主流のようだが、それでは現在の核拡散問題に対応できない時代遅れの発想であるといわねばならない。1995年に発足した核廃絶地球ネットワーク「アボリション2000」は、世界各地で精力的に活動を続け、この4-5月にはニューヨークでの第3回NPT PrepComに結集する。アボリション2000の活動の基本は11項目からなる設立宣言と1997年のモオレア宣言である。その宣言は核兵器のみでなく核エネルギーからの脱却をも目指している。多数のグループが緩やかにつながりながら、国連や先進的な政府と連携し、核保有国に圧力をかけ続けている。物理学者の方たちは専門家としてこのような市民の運動を支えていただきたいと願っている。

参考:
ブッシュの演説"New Measures to Counter the Threat of WMD"
http://www.whitehouse.gov/news/releases/2004/02/20040211-4.html
レンドラ・ガデカー博士、「エネルギーから兵器への道」(1998年、訳 大庭里美)
WISE/NIRS Nuclear Monitor 日本語版 No.2(2004年3月)
アボリション2000ホームページ: http://www.abolition2000.org

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