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「松本サリン事件」:犯行開始時刻よりずっと前から中毒症状自覚者が多数いた! [麻原国選弁護人渡辺脩氏著作より]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/272.html
投稿者 あっしら 日時 2004 年 3 月 13 日 05:57:16:Mo7ApAlflbQ6s
 


オウム麻原被告の国選弁護人である渡辺脩氏の著作『麻原を死刑にして、それで済むのか? − 本当のことが知らされないアナタへ −』(三五館・1300円・04年2月29日初版発行)から、「松本サリン事件」での麻原被告有罪という判決に対する疑問を取り上げてみたい。

95年の“オウム騒動”のときにダダ漏れで溢れた捜査当局のリーク情報は、現在なお人々の記憶の中心を占めているものだと思われるが、それは事実・思惑・操作・ひっかけなどが虚々実々が混ざり合った“お話”レベルのものでしかない。

起訴され公判が行われ判決が出た今では、検察が挙証し主張している起訴事実が正しいのかどうかのみが問われる対象である。
極端に言えば、麻原被告が“真犯人”であったとしても、検察の主張が誤りであれば無罪になってしかるべきなのである。
(被告や弁護人そして埒外にいる我々は、“真犯人”を探す必要はなく、被告が有罪か無罪かだけを考えればいい。“真犯人”を見つけ出し裁きにかけるのは、警察や検察の責任である)

タイトルにした「犯行(サリン撒布)時刻よりずっと前から中毒症状自覚者が多数いた」という事実は95年当時にも一部で取り上げられたことだが、「麻原裁判」で弁護人がその事実を取り上げても検察側がなんら反論しなかったというところに、この裁判の異常さが如実に示されていると思う。


まず、『麻原を死刑にして、それで済むのか?』から、検察の公訴事実の概要を引用する。(P.117)

「 起訴状によると、麻原被告は、村井秀夫、新實智光、遠藤誠一、中川智正、中村昇、橋本悟、富田隆らと共謀の上、これら七人の実行犯たちに、一九九四(平成六)年六月二七日午後一〇時四〇分ころ、松本市深志一丁目三一二番地地所駐車場で、運転してきた噴霧車であるワゴン車の噴霧口から気化したサリンを噴出させ、約一五分間にわたり、約一二リットルのサリン容積をほぼ全量撒布し尽くさせ、サリン中毒により、七名を死亡させ、一八名に傷害を与えて、殺人罪・殺人未遂罪を犯した」

起訴状の犯行実施部分を要約すると、“94年6月27日午後10時40分から午後10時55分前後に噴霧車を使ってサリンを撒布した”ということになる。
(河野さん宅の裏にあった池がサリンの“発生源”であったわけではない)

この、“午後10時40分から午後10時55分前後に噴霧車を使ってサリンを撒布した”という事実の主張に大きな疑念が提示されている。
それは、サリンが撒布されたとされる時間よりもずっと早い時間帯にサリンの中毒症状を感じたひとたちが存在していたことである。

『麻原を死刑にして、それで済むのか?』P.128より:

「 六−松本サリン事件のナゾ

 以上のような問題点のほかに、実は、検察官論告が主張している松本サリン事件そのものを根底から揺るがすような事実が発生していたのでる。
 弁護側提出の「松本市有毒ガス調査報告書」によると、松本サリン事件後に周辺住民を対象としたアンケート調査で、松本サリン事件で発生したとされているような症状を感じた人たちが、@六月二七日の午後八時から午後九時までの間に五人、午後九時から一〇時までの間に八人、A翌二八日午前六時から午前一一時にかけて多数の人々がいて、もう一つのピークを形づくっていた−というのである。
 検察官主張の公訴事実によれば、松本サリン実行行為は「六月二七日午後一〇時四〇分頃から一五分間」だったということになっている。
 そうすると、@の一三人は実行行為の終了前二時間五五分〜一時間五五分の間に松本サリン事件の被害者同様の症状に襲われ、Aの人々は実行行為後七時間以上も経ってから同様の症状を感じた―という報告者どういうことになるのだろうか。
 @の人々の症状は、松本サリン事件の実行行為と因果関係が成り立たない。
 Aの人々の症状も、村井たちが撒布のサリンはすでに希薄化しているものとみるしかないから、松本サリン事件の実行行為との因果関係は否定されるべきである。
 こうなってくると、松本サリン事件の実行行為によって発生した症状と、その実行行為が原因とは見られない症状とをどこで区別できるのか。
 その区別ができない以上、松本サリン事件の被害者を、そうでない被害者から区別して特定することができないのであるから、七人に対する殺人罪・一八人に対する殺人未遂という松本サリン事件の公訴事実が成立しないことになるのだ。
 検察官は、この「松本市有毒ガス調査報告書」に対して、何の反論もしていない。
 こういう事実を無視して、「実行犯」に有罪を言い渡せるものだろうか。多くの「実行犯」たちは、それぞれの裁判で「殺意はなかった」といった主張はしているものの、この事実について提起し、因果関係について争わなかったのか、次々と極刑が言い渡されている。
 松本で亡くなった被害者たちは、本当に「実行犯」たちが撒いたとする「サリン」でなくなっただろうか。それとも「別働隊」がどこかにいて、その「犯人」たちによって撒かれた何物かによって亡くなったのだろうか。
 この状況は、被害者特定の問題というだけでなく、松本サリン事件で本当はいったい何が起こっていたのかというもっとも根本的な疑問を生み出してくるのである。」


『麻原を死刑にして、それで済むのか?』に、肝心の犯行開始時刻(午後10時40分)から翌午前1時ころまでに中毒症状を感じた人(たち)のデータがなく、そのような人(たち)がいたかいなかったのかという説明もないのは残念である。

翌朝午前中になって中毒症状を自覚した人たちが多くいたというのは、「松本サリン事件」と呼ばれている事件が、東京地下鉄毒ガス事件同様、サリン(だけ)ではない神経性毒ガスの撒布により引き起こされた可能性を示唆している。
東京地下鉄毒ガス事件でも、ずいぶん時間が経過してから自覚症状を訴える人が多かったことから、出血などの非サリン症状と合わせ、サリンではなく同じ有機リン系神経ガスでもソマンやタブンが撒布された可能性が高いと推測した研究者が海外を中心にけっこういた。

このことから、翌朝に中毒症状を感じた人が多くいたことは、直接にその時間近くに毒ガスの撒布が行われたことを意味するわけではなく(犠牲者も出て大騒動の最中でありそのような犯行はきわめて困難である)、サリン以外の神経ガスが撒布されたことを示唆していると思う。

やはり重大な問題は、検察が主張するサリン“撒布開始時刻前”に神経ガスの中毒症状を自覚した人たちが13人もいたことである。

撒布されたサリンガスが“タイムマシン”に乗って時間軸を遡ったという説明は現在の法廷では通用しないから、オウムがサリンを撒布するより先に、誰かが神経ガスを撒布したことと推測せざるを得ない。

これだけではオウムの「実行犯」や麻原被告が無罪だとは言えないが、“偶然にも”、同じ地域で数時間前に同じような神経ガスを撒布したオウム以外の誰かがおり、そいつ(ら)は罪を問われることなく放置されたままになっていることになる。

それでも、オウムの「実行犯」は罪を認めているのだから有罪だという論が成り立つことも認めるが、別の手によっても神経ガスが撒布されたのなら、死亡した方々や中毒症状に罹った人たちがオウムの撒布したサリンが原因でそうなったのかは不明ということになる。オウムのサリンは純度が低く毒性は弱く噴霧車の能力も劣っていたが、別の実行犯の神経ガスが純度が高く効率的に撒布されたという可能性もあるからである。
(翌午前に中毒症状を自覚した人たちは、オウムのサリンではない可能性が高い)

それ以上に、住宅地に神経ガスを撒布したものたちが誰かもわからないまま野放しになっていることが大問題である。

「松本毒ガス事件」がオウム以外の誰かによっても引き起こされていたということは、『「坂本一家殺害事件」:現役公安幹部の告白:「オウムとは別の存在」 4日午前3時ではなく3日午後8時過ぎが犯行時刻! [95年10月3日号「週刊プレイボーイ」]』( http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/204.html )でも語られている、オウムが加わったことは事実だが「別働隊」がいるという話の信憑性を高めるものである。

「松本毒ガス事件」を企てて動機として、オウム施設の土地売買及び土地賃貸借をめぐる民事訴訟の妨害が持ち出されているが、意味がなかったり釣り合いがとれなかったりのことやバカバカしい動機でも愚かなことをする者はいるので、ここでは省略する。

最後に、「松本毒ガス事件」後に警察やメディアが河野義行氏を長期にわたって“犯人扱い”したことについて、『麻原を死刑にして、それで済むのか?』P.130:

「 麻原裁判の法廷では、長野県科学捜査研究所の担当者が、松本サリン事件で撒布された毒ガスがサリンであると判明したのは事件後二、三日のうちであり、六月末には警察に分かっていたというのである。
 それなら、なぜ、サリンを造れないことがはっきりしていた河野義行さんを被疑者とするような人権侵害の捜査を延々と続けたのか。
 科学者は、サリンの原料になる薬品類を現金で大量に買いつけた者を捜査すれば容易に犯人をとらえることができるはずだと指摘していたのである。
 警察は、そういう捜査をいったいいつから始めたのか。
 ここにも、警察による松本サリン事件の真相隠しの疑惑が強烈に浮かび上がってくるのである。」


長野県警上層部は、河野さんが毒ガス撒布に無関係である(能力がない)ことを知っていながら、配偶者が神経ガス中毒症状で寝たきりになっていた河野さんを翌年3月のオウム強制捜査まで被疑者として過酷な取調べを行わせ、メディアにも様々なリーク情報を垂れ流すというとんでもない状況を放置していた。
河野さんが、他に捜査対象を向けなければならなくなる事態を避けるための“防波堤”として使われたという推測はできるが、そのような犯罪行為が“ごめんなさいで済むのなら警察はいらない”のである。

今からでも遅くない。長野県警がなぜ9ヶ月間も河野さんを被疑者として過酷な状況に置いたのかその理由を明らかにさせるべきである。


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★ 坂本一家殺害事件スレッド

『本当のことが知らされないアナタへ:「坂本弁護士一家殺害事件」で見せた神奈川県警のデタラメな対応 [麻原国選弁護人渡辺脩氏の著作より]』
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/158.html

このスレッドには下記の転載ものが含まれています。

岡崎被告は、91年に犯人はと問われ、「オウム真理教ではない。そんな単純なものではない。ある謀略機関だ」 [江川紹子氏『横浜弁護士一家拉致事件』]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/182.html

「坂本一家殺害事件」:現役公安幹部の告白:「オウムとは別の存在」 4日午前3時ではなく3日午後8時過ぎが犯行時刻! [95年10月3日号「週刊プレイボーイ」]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/204.html

「坂本一家殺害事件」:大マスコミ書き立てる「リーク情報」ここがおかしい! [97年6月23日号「週刊現代」:野田峯雄氏]【4日午前3時の犯行ならバレバレの現場】
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/213.html

「坂本弁護士一家殺害事件」:実行行為を自白した岡崎証言の重大な疑問点 [麻原国選弁護人渡辺脩氏]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/189.html

岡崎被告は犯行自白開始後も神奈川県警の許可を得て10日間の「中国旅行」 [渡辺脩氏/和多田進氏『麻原裁判の法廷から』]
http://www.asyura2.com/0403/nihon12/msg/181.html


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