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纏まりのないレスで恐縮しています。
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投稿者 如往 日時 2005 年 8 月 13 日 04:38:09: yYpAQC0AqSUqI
 

(回答先: Re: 形而上から形而下へと円環する考察 投稿者 馬場英治 日時 2005 年 8 月 12 日 22:37:22)


 馬場さん、早速のレスをありがとうございます。


 >ブック・ナビの(雄)氏は三浦雅士の「青春の終焉」の書評の中で,「この世代はやがて60歳を迎え、社会関係から半ば放逐される(あるいは解放される)。そのとき、彼らの炎は発火するのか。しないのか。するとしたら、どのような姿でなのか。それがこの集団に対する僕の興味であり、自身よく分からない自分に対する興味でもある。」と書いています.また,ある人はこの我らが世代を「最後のロマン主義者」と形容しました.このような文脈において,如往さんと私は多分同じ問題意識を共有していると言えるでしょう.

 我らが世代は1930年代生まれの世代からは不信感をもって睨まれていましたね。今日でも意志の疎通のないまま対立関係が継続しているような気がしてなりません。「最後のロマン主義者」は必ずや発火すると想いますし、今は深く沈潜しながらそのときを待っているのではないでしょうか。そして、我々は如何なる原理によって導かれるべきか、その一点に焦点を合わせて情況を注視していると感じています。少なくとも、現70〜75歳代の退出の状況をじっくりと眺めていると思われます。

 >私も吉本の本には大きな影響を受けていますが,吉本の思想そのものより,むしろ吉本の「功罪」という視点から見ていますので,評価は時間とともに変動します.明らかに吉本の数冊の書籍がなければ,70年代の全共闘ないし新左翼運動というのはおそらく存在しなかったか,存在したとしてもかなり異なる様相のものとして展開されることになったはずです.その意味で,最終的な評価は留保しつつ,現時点における私の評価は「無責任野郎」という厳しいものにならざるを得ません.

 友人の中にも吉本隆明を「無責任野郎」と評する者が散見されます。覚醒(悟り)の淵に誘(いざな)われたのにも拘わらず、後は自分で探せと言われたときの落胆の模様が彼らの心象風景には大きな影を落としていると想われますし、その幾分かは私も共有しています。

 >別の言い方をすると,吉本の評価は「全共闘運動の評価」によって変化し得る関数と言えるかもしれません.「全共闘運動はまだ総括が終わっていない」という見方からすれば,吉本の思想家としての評価はまだ定まっていないと言うべきでしょう.もちろん,全共闘運動の評価がプラスならプラスというほど単純なものではありませんが.

 吉本隆明という関数が今日でも生息し続けているとしたら、我々の世代の所与によるところが大きいでしょう。ただし、その関数に対置すべきものをなかなか見出せなかった我々側の怠慢もあったと思われます。

 >(もし私が読み損なっているのでなければ)如往さんの把握は正しいと思いますが,それは幻想ではなく,システムでなくてはならないというのが,現在の私の立場です.
 >私はある意味で『共同的資本主義論』の執筆を打ち切ってしまったと見て頂いてよいのですが,それはなぜかというと,結局において人間が変わらない限りどんなシステムを設計しても同じだということです.逆に言えばたとえば私は現行法制の条文を一行も変えることなく理想社会を建設することさえ可能であると思っています.厳正に法を執行することさえできれば,現行法制はそれほど欠陥のあるものではありません.これはたとえば,私がスーツを補修しながら着続けているみたいなことじゃないかなと思っています.もちろん蝶が脱皮するように,新しいスーツを手に入れることができればベストですが.

 共同幻想もしくは共同目標(Vision)=新たなシステムの構築ということで諒解しています。しかし、馬場さんの智慧熱も尽きてしまいつつあるのかも知れないとそんな想像が脳裡を過ぎり、心ならずも少し寂しい心地になりました。(極々私的な愚痴であります。)

 >私がもっとも重視しているのは「公正」と「正義」です.しかも,これは基本的に経済的関係性における公正と正義に集約可能なのではないかと思っています.私はまだ成案を持っているわけではありませんが,司法とは独立に経済的関係とくに国家ないし共同体の経済行為における公正を担保する第4権力のようなものが必要なのではないかと思っています.つまり,3権分立ではなく,4権分立システムです.

 4権分立システムというのはどのように素描され得るのか想像がつきません。政治的関係性においては「公正」あるいは「正義」を同心円の中心に据えてその倫理的体現者に超越的な権力を付与する構図が考えられますが、経済的関係性においてはどのような形態になるのか、いつか提示していただければと希望しています。

 >菅直人四国お遍路霊場巡りのもう一つの動機】で出エジプト記について少し書きました.http://www.asyura2.com/0505/idletalk14/msg/454.html その続きがあります.モーゼは60万のイスラエルの民を導いてヨルダンの畔まで辿り着きますが,約束の地に入ることはできません.モーゼの死後その事業を引き継ぐのはモーゼの従者ヌンの子ヨシュアです.ヨシュアは軍事指導者です.つまり,ヨシュアは難民を軍団つまり武装勢力として再編成し,ヨルダンを越えた約束の地に進入して異邦人の街を個別に撃破しながら領土を拡大します.それはほぼ例外なく(神の名のもとに)敵に対するすさまじい殲滅戦として行われました.これはある種のクレンジング(民族浄化)に他なりません.もし,自己保存力が唯一絶対のモメントであるとすれば,このような軍事行動を正当化するしかないのではないでしょうか?

 分子生物学的及び人間行動学的知見では自己複製の慣性的エネルギー運動や自己保存力のベクトルが他者の排除を前提とするものでないとの見解には達していると想われます。

 >私はむしろコミュニケーションを重視しています.万物は互いにコミュニケートしていると見れば,人類史が生命誌に包含されるという見方に一致するのかもしれませんが.

 馬場さんのコミュニケーションの概念が定かではないので何とも申し上げられませんが、寄生や共生や捕食関係をも構成しかつ包摂するコミュニケーション全般と捉えてよろしいのでしょうか。

 >地球を単なる利用すべき「資源」以上のものと見る見方には賛同しますが,それ自体を名前を持った1個の能動的生命体であると認識するのはかなり無理があると思います.

 地球は単に1個の能動的生命体であるとする認識の対象ではなく、自己複製をモメントにして生命が生成した磁界であり、それ自体が多様な生命で構成される生命体という側面を有する“Matrix”です。つまり、“地球というMatrix”との一体感から出発しようということです。
魂や霊の存在を認めぬ、その意味では頗る形而下に拘っている人間が“地球というMatrix”の媒介辞を措定したことの契機は、愚民党氏が転載した連合赤軍による一聯の事件に関する記事にありました。彼等の魂や霊には直接の隣接感はなくても、彼等の身体性を受けとめるべきものは究極的には“地球というMatrix”ではないかと、何故ならそのために彼等は心身を捧げたのだから、私はそう考えずにはいられなかったのです。

 >そうですね.私は基本的につねに形而下で考えていると思いますので,如往さんとは関心の持ちようがかなり違うような気もするのですが,私の場合には「神との関係」というのはそうそう一言で済ますわけには行かないようなところもあり,また誤解を招く虞すらありますので,もう少し時間が熟するのを待ちたいと思います.まぁうまいこと釣って頂ければ,それもまた一興とは思いますが...

 「過ぎ越しの祝い方」から今回の「出エジプト記」への円環に触れて、馬場さんの深奥の疵は刻印されたままではないかと妙に共感を覚えたものでした。勿論、これは私の妄想ですが、多分私が同じような屈折した心象風景と対峙したことに起因しているのかも知れません。
 何故か一抹の寂しさと悔恨に堪えぬ想いが錯綜していますが、馬場さんとの応答の機会に恵まれたことが私にとってこの上ない喜びであることに何ら変わるところはありません。

 また、会いましょう。

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