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「核融合爆発は・・最少臨界量を必要としない」【「エネルギーと安全保障」日本語版】純粋水爆のサイズは自由自在。
http://www.asyura2.com/0601/war84/msg/151.html
投稿者 たけ(tk) 日時 2006 年 8 月 31 日 00:37:10: SjhUwzSd1dsNg
 

(回答先: 元陸軍下士官の神浦元彰氏はこない言ふとるね 投稿者 Kotetu 日時 2006 年 8 月 30 日 22:37:55)

下記の記事は結構理論的に説明されていると思います。

この中に「核融合爆発は、プルトニウムのような核分裂性物質の連鎖反応によって起こる爆発と異なり、最少臨界量を必要としない。」とあります。たけ(tk)流にまとめてみました。

(1)核融合エネルギーを取り出すために必要な水素の量の理論的最小値は水素原子2個だろう。(「人間が起こすもっとも一般的な核融合反応において、核融合で放出されるエネルギーの大半に関与しているのは、水素の二つの同位体元素、重水素(デュウテリウム:D)と三重水素(トリチウム:T)である。」)。しかしもちろん、水素原子一つを加速器で加速して核融合を可能になるまで爆縮するような方法では、それを作り出すためのエネルギーは膨大であり、一つの核融合から取り出されるエネルギーは微々たるものでる。

(2)従来の水爆では、爆縮のために核分裂爆発を利用した。

(3)しかし、核分裂爆発を利用しない爆縮の方法も可能であり、それを純粋核融合/純粋水爆という。「あらゆる爆縮閉じ込め核融合方式は、二つの基本的要素からなる。それは燃料ペレットとドライバーである。燃料ペレットには燃料、一般的には重水素とトリチウムの混合物と、その他の成分が含まれる。ドライバーとは、ペレットにエネルギーを与え、これを核融合反応の開始に必要な高密度、高温に圧縮するためのものである。ドライバーの種類として検討されてきたものには、重イオンビームと軽イオンビーム、化学的爆発物、電磁エネルギー源などがある。」

(4)核融合反応のサイズはさまざまであるので、包括的核実験禁止条約(CTBT)で禁止される「核爆発」とみなす基準が、さまざまに提案されている。それ未満の核融合であれば、合法的な核融合エネルギーということになる。

(5)超小型水爆は、高性能爆縮装置によって純粋核融合装置を兵器利用可能なサイズまで小型化すれば可能である。その出力エネルギーはさまざまに設定可能であろう。

(6)下の論文が書かれたのは「October, 1998」となっているので、2006年現在においてはすでに兵器サイズの純粋水爆が開発されていてもおかしくはない。もちろん軍事機密であるから、開発すみであってとしても、それを確認するのは困難である。

(7)なお、純粋水爆の問題点は大量の中性子を放出して、その殺傷力の範囲が広範囲に渡ってしまうことにある。しかし、おそらく、中性子の放出方向に志向性をもたせることができると思われる。
すなわち上方だけに放出すれば地上への放出を制限することができるだろう。

(8)仮にWTCでTNT火薬1トン相当の純粋水爆が使われたとして、中性子の指向性を制御しなかったとすると、それの推定致死範囲は「約500平方メートル」の「数百」倍の「推定致死半径」になってしまう。500平米→半径15m→半径が200倍→300mとして、建物から半径300m以内にいる人が中性子で死んでしまうことになる。それだと純粋水爆を使ったことがすぐにバレてしまう。しかし、中性子の指向性を制御していれば、純粋水爆を使用したことがすぐにバレるということはないだろう。

----

http://www.ieer.org/ensec/no-6/no6jap/fusion.html

IEER | 「エネルギーと安全保障」日本語版

純粋核融合兵器?

ハイシャム・ゼリフィ、アージャン・マキージャーニ

オリジナル: "Pure Fusion Weapon?", Science for Democratic Action VOL.6-4

<内容>
爆縮閉じ込め核融合
核軍縮・核不拡散にとっての意味
核融合研究はCTBT違反か?
結論
勧告

45年前、核分裂(原子核の分裂)と核融合(原子核の融合ないし結合)が熱核兵器、より一般的には「水爆」と呼ばれる兵器に取り入れられたとき、核兵器の性質は質的な大変化をとげた。これまで、水爆の核融合爆発の引き金を引くために必要な高温と高圧を生み出せるのは核分裂爆発だけだった。このため現代の熱核兵器はすべて「一次の」核分裂によって、「二次の」核融合爆発を起こさせるものである。しかし、核兵器設計者たちは長い間、純粋核融合兵器、つまり核分裂による起爆を必要としない兵器がより「望ましい」と考えていた。核分裂物質の降下物(フォールアウト)を生み出さないことがその理由の一部である。

純粋核融合兵器の科学的実行可能性はまだ証明されていないが、もし技術的ハードルが乗り越えられたら、戦争の道具としての核兵器利用に根本的転換が起こり、そこから新たな核拡散の危機が生じるとともに、完全かつ永続的な核軍縮を達成する機会まで根本的に損なわれる恐れがある。

核融合爆発は、プルトニウムのような核分裂性物質の連鎖反応によって起こる爆発と異なり、最少臨界量を必要としない。よって純粋核融合兵器の製造からはごく少量の放射能しか生まれず、かつ放射性降下物も生み出さないので、通常爆弾と核爆弾との区別が明瞭でなくなってくる。とはいえ殺傷力でいえば、これは中性子の放射や爆発力の大きさからみて、途方もない兵器であることに違いはない。

たとえば、TNT火薬1トン相当の爆発力をもつ純粋核融合兵器の致死面積は、同じ爆発力をもつ通常爆弾の数百倍である。この理由は、純粋核融合兵器の殺傷力が爆発そのものよりも強烈な中性子放射によるものだからである。実際、小型の純粋核融合兵器の爆発力単位あたりの致死半径は、大型核分裂兵器のそれよりはるかに大きい。[注1]たとえば、TNT火薬1トン相当の広島型原爆の破壊面積は約500平方メートルだが、これは、TNT1トン相当の純粋核融合爆弾の推定致死半径の数百分の一にすぎない。この軍事的計算は、核不拡散と核軍縮にとって深刻なマイナスの意味をもつであろう。

爆縮閉じ込め核融合(ECF)[注2]

核融合反応では2つ軽い原子核の結合によってエネルギーが放出される(この反対に、核分裂では重い原子核が分裂したときにエネルギーが放出される)。エネルギー放出の根拠は核分裂の場合と同じで、最初に存在する原子核が核反応生成物より重いため、質量の差がエネルギーとして発現するのである。

純粋核融合兵器が(核融合エネルギーと同様に)これまで作られなかったのは、核分裂という引き金なしにエネルギーの純出力をもたらせるほど大量の核融合反応を起こせる条件が、きわめて作りにくかったためである。至近距離では、プラスの荷電をした原子核は互いに電気的に反発する(反対向きの)力を生み出す。核融合反応が起こる確率が十分に高くなるだけ原子核同士を近づけるには、この反発力を克服しなければならない。これは、燃料を太陽内の温度と同じかそれ以上の高温に加熱することによって達成される。これによって、反発力を克服できるほど大きな運動エネルギーを原子核に与えるのである。[注3]

人間が起こすもっとも一般的な核融合反応において、核融合で放出されるエネルギーの大半に関与しているのは、水素の二つの同位体元素、重水素(デュウテリウム:D)と三重水素(トリチウム:T)である。[注4]重水素は、非放射性同位元素で、原子核は1個の陽子と1個の中性子をもつ。トリチウムの原子核は、1個の陽子と2個の中性子からなり、高い放射性をもつ。[注5]この二つの同位体元素間の核融合反応から、ヘリウム原子核であるアルファ粒子と中性子が生み出される(下図参照)。


[図タイトル]重水素−トリチウム融合反応
[図左上から時計廻りに]重水素/D/アルファ粒子/ヘリウム(He4)/n/中性子/T/トリチウム[囲みの中]中性子/陽子[下の解説]エネルギー増加:約450倍
  D + T → 4He + 中性子

D-T核融合反応1回あたりの総エネルギー放出量は17.6MeVであり、そのほとんどは中性子の運動エネルギーである。水爆のレベルまでは至らないが、爆縮閉じ込め核融合実験施設では相当数の核融合反応が得られている(1012〜1013中性子/shot)。

あらゆる爆縮閉じ込め核融合方式は、二つの基本的要素からなる。それは燃料ペレットとドライバーである。燃料ペレットには燃料、一般的には重水素とトリチウムの混合物と、その他の成分が含まれる。ドライバーとは、ペレットにエネルギーを与え、これを核融合反応の開始に必要な高密度、高温に圧縮するためのものである。ドライバーの種類として検討されてきたものには、重イオンビームと軽イオンビーム、化学的爆発物、電磁エネルギー源などがある。

核融合エネルギーとドライバーエネルギーとの比をエネルギー利得という。どんな核融合方式でも、科学的実行可能性を証明するには1のエネルギー利得が必要とされる。エネルギー利得が1未満である場合は、エネルギーの損失が起こり、その核融合方式は実用に堪えない。

純粋核融合兵器の製造のために科学技術が乗り越えなければならない基本的な課題が二つある。一つは、科学的実行可能性の確立である。二つ目は、発射可能な兵器として十分小型にすることである。カリフォルニアに建設中の国立点火施設(NIF)と、フランスのボルドー近郊で建設中の同種の施設(レーザーモジュール、LMJ)は、純粋核融合の科学的実行可能性の確立をめざす施設である。これらが使用するレーザービームは、兵器に使えるほど小型化はできないが、1を上回るエネルギー利得を得ることを目標にしている。燃料ペレットがもし点火されたら小規模な核融合が起こることになる(点火や核融合の定義については、この後を参照)。これらのレーザー核融合実験から得る教訓は、兵器利用できるほど小型化することが潜在的に可能なドライバーを使った他の実験に活かせる。たとえばNIFの実験は、高エネルギーのキャパシター、または化学物質と電磁エネルギーを組み合わせ、兵器利用可能な程度にコンパクトにできるドライバーを使った実験の最適ターゲット設計に活かせるであろう。この種の装置を用いた実験は、ニューメキシコのロスアラモス国立研究所およびサンディア国立研究所で実施されており、前者のものはロシアとの共同研究である。これらの試みを総合した一つの結果として、純粋核融合兵器の設計が大きく推進される可能性がある。

核軍縮・核不拡散にとっての意味

科学的実行可能性はまだ証明されていないが、純粋核融合爆発はそれを研究すること自体が深刻な問題を生起させる。少なくとも、このことは、核兵器の持続的開発や軍備増強の目論みに危険信号を発するものである。核軍縮・核不拡散の努力への影響はすでに甚大である。インドが包括的核実験禁止条約(CTBT)調印を拒否したのも、部分的には、核兵器保有国がこの種の研究をしていることへの反応である。それに続いて同国が地下核実験を行う決定をしたのも、CTBTは核不拡散と核軍縮を推進する無差別的措置であったのに、核不拡散のみを意図したものに変貌したとの同国の結論と部分的に関係がある。さらに、一部の核融合研究は、後述するようにCTBT違反であると思われる。

この他にも潜在的問題として:
核兵器設計者の前々からの目標だった純粋核融合兵器が完成する可能性があること。
米国が(恐らく他の核兵器保有国も)新式の核分裂−核融合兵器の設計開発を行うこと。
米国が新世代の兵器や既存の設計による核融合兵器の修正型をテストするため、「最高国家利益[Supreme National Interest]」条項をよりどころにCTBTから離脱する可能性があること。
核融合の物理学的情報やコンピュータコードが拡散すること。というのは、これらの研究施設の大半は非軍事的研究部門を併せもっているからである。(たとえば国立点火施設では宇宙物理学実験も行われるし、ドイツや日本のような非核保有国ではまるで機密の保てない施設で実験が行われている。

核兵器維持管理計画のための米国の公式計画書が明らかにしたところでは、米エネルギー省(DOE)は新型核兵器の設計能力を維持・行使する計画である。必要なデータさえそろえば、DOEの兵器に関する科学者が、純粋核融合の少なくとも予備的設計調査を行うことは大いに予想されることである。DOEの理屈では、科学者を惹きつけておくには、先進的な施設をもつばかりでなく、彼らに設計技能をふるう機会を提供することが欠かせないのだという。[注6] 我々はDOEが純粋核融合兵器の設計意図を否定したことには注目している。しかし、DOEで行われている技術的作業は、純粋核融合の研究開発と両立し得るものであるゆえ、この種の兵器への道を開く可能性がある。

様々な核融合爆発計画のために、そのエネルギーとしての潜在的な利用可能性が主張されてきた。しかし、エネルギー装置は、エネルギー問題解決のための他のアプローチと比較した場合の長所に基づいて正当化されるべきで、しかも、これらの装置は、研究が結実するまでには巨額の費用と非常に長期にわたる(数十年もしくはそれ以上)枠組みを必要とするのであるから、なおさらそのことがいえる。エネルギー問題に対処するには、爆縮閉じ込め核融合方式よりずっと有望な手法が存在する。[注7]

核融合研究はCTBT違反か?

核融合研究を包括的核実験禁止条約に照らしてみたときの合法性は、複雑で未解決の問題である。ここには二つの中心的問題がある:条約文言の解釈と、「核爆発」の厳密な定義づけである。

<CTBTの文言>
包括的核実験禁止条約の第I条はこのように述べている:
締約国はいかなる核兵器の実験的爆発またはいかなる他の核爆発も実施しないこと、ならびに、いかなる場所においても、その司法権または統制のもとで、これらのいかなる核爆発も禁止ならびに防止することを約束する。
締約国はさらに、いかなる核兵器の実験的爆発またいかなる他の核爆発の実施も、実現させたり、奨励したり、これに何らかの方法によって参加することを止めることを約束する。

米国政府は、先の公式声明でも、米国上院議会に本条約の批准を求めたときも、ECF実験は本条約の対象外だと言明している。米国のこれまでの立場は、非核保有国による「核爆発装置」の使用を禁止した核不拡散条約の解釈に基づくものである。しかしCTBTはこれよりさらに踏み込み、あらゆる国家の「平和的核爆発」を含むあらゆる「核爆発」を禁止し、あらゆる国家の兵器開発を制限することを意図したものである。

CTBTの交渉では、一部の核分裂爆発を認めるかどうかをめぐり大きな議論があった。当初、米国は、CTBTが核爆発エネルギーをTNT火薬4ポンド相当まで生み出す水爆実験を許容することを望んでいた。しかし米国は1995年にこの立場を変え、「ゼロ核エネルギー」条約とすることを主張し、それが条約に採択された。残念ながらこの定義はなされなかったものの、水爆に関する交渉記録には、TNT火薬4ポンド相当を十分に下回わるべきであることが明記されている。その結果、CTBT締約国は水爆実験の実施を禁じられている。しかしながら、米国とロシアは、プルトニウムと通常の爆発物を含む「未臨界」実験であれば、条約のもとでも継続が許されると考えており、その根拠は、プルトニウムが臨界に達しないことである。

我々の調査した限り、NIFやLMJ、その他すべての核融合を起こせる施設は、たとえTNT火薬2〜3ポンド相当であっても、CTBTのもとでは違法である。CTBTは爆発の禁止とともに予防も義務づけているため、これらの施設は建設自体が違法である。締約国はさらに、いかなる核爆発も「実現させたり、奨励したり、これに何らかの方法によって参加すること」を禁じられている。これらの施設の意図は核爆発の実現である。これらの装置がトリチウム燃料を使用しないということが、CTBTのもとで法的義務を伴って、恒久的に、確実に約束されない限り、これらの建設は合法化できない。しかしながら、その約束がなされるとしたら、全体の目的が点火達成にあるこれらの装置は無用なものとなる。
[表]主要な慣性閉じこめ核融合施設と運転パラメータ

(運転中および計画中の施設)

場所
ドライバー
運転パラメータ
1ショットあたりの中性子生産

サンディア国立研究所(米国)
PBFA-II(軽イオンビーム)
36 ビーム
100 TW(設計)
10 TW (1988実績)
不明

サンディア国立研究所(米国)
z-ピンチ
2MJ
290 TW
140eV temp.
D-T ターゲット未使用

サンディア国立研究所(米国)
X-1(z-ピンチの後継)(概念設計)
16MJ
1000 TW
予測値不明

ヨーロッパ
点火施設用重イオン設計

(HIDIF)(概念設計)
48ビーム
1MJ
27TW
予測値不明

ローレンス・リバーモア国立研究所(米国)
NOVAレーザー
10ビーム
〜40〜70kJ
〜100TW
108〜 3.6 x 1013

ローレンス・リバーモア国立研究所(米国)
国立点火施設(NIF)
192ビーム
1.8MJ
〜360TW
1019(最大20MJ イールドシナリオでの予測値)

大阪(日本)
GEKKO-XII
12ビーム
15−30kJ
0.1−10 ナノセカンド
1013

大阪(日本)
Kongoh(設計中)
92ビーム
300kJ
100TW
?

ボルドー(フランス)
レーザーメガジュール
1.8ビーム
120TW
NIFと同域

VNIIEP(ロシア)
Iskra-5
12ビーム
15kJ
025 ナノセカンド

典拠:Daniel Schirmann and Mike Tobin,1996; Andr’ Pierre Hurni, 1998; Guillermo Velarde, Yigal Ronen, and Jos’M. Martnez-Val, eds , 1993; R. A. Lerche and M. D. Cable, 1996; Neal Singer, 1998. 参考情報の完全版は、IEERが提供している『危険な熱核の冒険[Dangerous Thermonuclear Quest]』を参照。


「核爆発」の定義づけ
CTBT第I条を明確化するためには、核爆発とは何かの定義が必要である。超臨界爆発による放射性物質の生産は、いかに少量であっても、既存のあらゆる核兵器同様、明らかに違法である。しかしこれを基準にしてしまうとたとえば未臨界反応など、他の種類の核反応による爆発力に制限を設けられない。このように厳密な定義づけは大変難しい問題である。

爆発とは、放出される総エネルギー量、エネルギー密度、それにエネルギー放出時間の相互作用である。時間因子は恐らくもっとも定義しやすいものであろう。爆発の反応時間について厳密な定義はないが、我々は安定状態と爆発状態を区別する合理的な数値を1ミリセカンド(1000分の1秒)とする。[注8]なぜなら、起こりうる軍事的帰結としての核爆発は、1ミリセカンドよりずっと短時間だと予想されるからである。核爆発を定義するには、これ以外にも物理学的な基準が必要になる。

臨界[Criticality]:上述したように、米国は、核分裂性物質の核爆発を定義する基準として、臨界の閾値を用いている。この定義によれば、ネバダ実験場で行われた高性能爆弾と核分裂性物質を用いた未臨界実験は、CTBTのもとでも容認されることになる。

特別のエネルギー放出[Specific Energy Release]:1958年から1961年の実験モラトリアムに関する1987年のロスアラモス報告には、「核爆発は、まだ公式に定義されたことがないが、我々は、1グラムあたり約1キロカロリーの高性能爆弾そのものに匹敵するか、またはそれ以上の特別の核分裂エネルギー放出とするのが合理的な定義であると考える。」とある。[注9]換言すれば、ある爆発方法で核エネルギー放出があっても、放出エネルギーが起爆に用いたエネルギー以上でなければ、それは本当の核爆発ではない。

点火:とくに核融合爆発を定義する場合、有益なもう一つの基準が点火である。これには二通りの定義がある:
燃料ペレット内に自己伝搬性の燃焼波[self-propagating burn wave]が生まれること。これは核分裂爆発における臨界の概念といくぶん類似した概念である。[注10]
エネルギー利得。換言すると、燃料ペレットの核融合エネルギー放出が、ドライバーのエネルギー量と等しいかそれを上回ること。[注11]

我々は、ECFシステムで1エネルギー利得をもって達成されたものを核爆発とする、という定義を、CTBT遵守のために最低限必要なものとして採用するよう提案する。この提案の利点は、特定の科学技術や恣意的な爆発力だけでなく、エネルギー使用とエネルギー生産の比較に基づいていることである。条約を遵守するなら、核融合反応によるエネルギー放出は、ドライバーから燃料ペレットへのエネルギー入力未満でなければならない。この場合、純粋核融合の科学的実行可能性を確立する条件は得られない。

点火を基準に考えた核融合の定義はどれも、CTBTの文言に適ってはいても、純粋核融合兵器の開発に通じる抜け穴をかなり残してしまう。というのは、1をわずかに下回るエネルギー利得、つまり点火閾値よりわずかに低いエネルギー利得でも、兵器応用のための多くの研究を行うことができるからである。したがって、新兵器開発を禁じるためには別の制限も設けておいた方がよいだろう。以下に紹介する二つの制限は、核兵器問題についての経験を有する専門家の提案によるものである:

ガーウィンの条件[The Garwin limit]:この提案は、各種の米国政府機関で長く核兵器問題のコンサルタントをつとめたリチャード・ガーウィンによるもので、中性子生産の上限を1014中性子/shotとするというものである。これは高性能爆弾0.1グラムに相当する。磁化標的核融合実験(1013の中性子)や、報じられるところではロシアでの高性能爆弾研究(1014の中性子)がすでにこの数値に接近していることからみて、これは核融合実験の評価が完了するまで計画を凍結させるのに有効であろう。[注12]この提案は、NIFのような施設における実験に対しても、禁止とはいかないでも制限を加えるものである。

キダーの条件[The Kidder limit]:引退した元LLNL上級兵器科学者で、レーザー核融合研究の先駆者の一人であるレイ・キダーは、高性能爆弾に直接または間接に駆動されるシステムにおけるトリチウム使用の禁止を提案している。点火もしくは燃焼をD-T燃料ペレット内で起こさせるよう設計された施設では、D-D反応など他の核融合反応を1回のshotで十分な数だけ起こすのは難しいことから、トリチウムがなければ、燃料ペレット内での目標を達成できないと思われる。[注13]恐らく高性能爆縮装置は純粋核融合装置の小型化のかぎを握っているのだろう。これは、純粋核融合兵器開発に不可欠のステップである。この潜在的可能性ゆえに、高性能爆縮と組み合わせたトリチウムの使用禁止という提案がなされたのである。とはいえ、この禁止措置は、レーザー装置やイオンビーム装置研究、さらに純粋核融合兵器の開発に潜在的に寄与するサンディアのワイヤーアレイZピンチオール[wire-array z-pinch-all]には、何の制限も加えない。このワイヤーアレイZピンチは、兵器利用可能なサイズまで小型化できる潜在的可能性を多少もっている。(see "Dear Arjun" column)

これらの制限は、それぞれ重大な抜け穴を残しはするが、二つを総合すれば、核融合研究の一部継続を認めつつも、核融合兵器の開発を合理的に予防することができるだろう。あらゆる核融合エネルギーを放出しない磁気封じ込め核融合と、リバモア研究所のNOVAレーザーのような既存のレーザー施設での大半の実験は継続が認められる。しかし、新たな施設や計画中の施設の多くは違法とされる。

結論

我々は、NIFやLMJのような施設はCTBTのもとでは違法であることを示す記録の技術的評価を行ったが、CTBTのいう核融合爆発とは何かについて、公的な解釈は何ひとつ示されていなかった。そのため、米国その他の国々は、自分たちのもつ計画を、CTBTのもとでも合法であるかのように進行させてきた。CTBT再検討会議において、この条約のいう核爆発とは何であるかを定義し、その定義に基づき研究を制約する公式見解を打ち出すことが必要である。その際には、CTBTには新兵器開発を制限する明瞭な意図があるということに加え、上述した諸事実も考慮に入れるべきである。現在、米国がしているような解釈は、他の数カ国にも共通するものだが、明らかに容認できない。NIFやLMJにおける爆発は違法と思われる。これらが容認されてしまったら、CTBTは、純粋核融合に何の制限も設けないことになり、それは長期的にみて、この条約の基盤を大きくぐらつかせ、条約そのものを恐らく無意味なものにしてしまう。

NIFや磁化標的核融合装置のような施設や実験は、CTBTだけでなく軍縮プロセスをも脅かす。もしこの施設で点火が証明されたら、兵器研究施設とエネルギー省(もしくは他国のこれに相当する機関)は、研究を続行し、新世代兵器の予備的設計活動が行えるよう相当強い圧力をかけてくるだろう。点火の達成は、これらの活動が政治的に支持され膨大な資金を得る可能性を一層高めることになる。

たとえ実際に兵器が製造されなくても、これらの活動により、核兵器保有国にこの種の研究を続けさせようとする内外勢力が、CTBTを深刻な危機に陥れる恐れがある。こうした圧力が、国内では、今の世代の兵器実験の再開にとどまらず新兵器の実験にも道を開く恐れがある(旧兵器や、恐らく危険性が高く信頼性の乏しい兵器と取り換えるために)。核兵器保有国が新たな核融合兵器の設計活動を行うとなれば、国外からは、軍縮に向かう動きが逆転したと受け取られるであろう。このシナリオは、このニュースレターの他の頁で述べたように、インドとパキスタンの核実験により、すでに現実のものとなっている。

勧告

以下の勧告は、総合的に実施し、純粋核融合兵器の開発を防止することを意図したものである:
CTBTを遵守するために、核融合とは核融合燃料の点火のことをいう、と定義すべきである。これによって、点火を達成すべく設計されたあらゆる施設の計画、建設、ならびにあらゆる点火実験は禁止される。これらはCTBTの文言を満たすために最低限必要なことと思われる。NIFおよびLMJは建設を中止すべきである。
核融合の総エネルギー出力は1014中性子/shotを上限とすべきである(リチャード・ガーウィンの提案による)。これによって、点火より下のレベルにとどまりつつ、ドライバーエネルギーと核融合エネルギーの出力を高め、兵器関連の情報を得ようとする試みを防止することができる。
高性能爆弾を用いたあらゆるシステムにおけるトリチウム使用を禁止すべきである(レイ・キダーの提案による)。

「エネルギーと安全保障」日本語版[Energy & Security Japanese index]
Energy & Security Index
IEER ホームページ [IEER Home Page]
Institute for Energy and Environmental Research

コメントはmichele@ieer.org までお寄せください。

Comments to Global Outreach Coordinator: michele@ieer.org
Takoma Park, Maryland, USA
Posted October 30, 2001
Updated October 31, 2001


[注1]
核兵器が大型化するにつれ、爆発力単位あたりの破壊面積は減じていく。

[注2]
この記事では、純粋核融合を起こせる様々な閉じ込め方式すべてに「爆縮閉じ込め核融合」(ECF)という通称をあてた。

[注3]
スペースの制約からここではやむをえず核融合を単純化して説明した。プラズマ物理学や、さらにいえばプラズマの定義もここで述べたよりずっと複雑で精密なものである。しかし懸案の問題を理解するにはここに述べた核融合の説明で十分である。より詳しい説明は以下の報告書にある:『危険な熱核の探求[Dangerous Thermonuclear Quest.]』。

[注4]
原子核を表すのにここでは元素の化学記号を用いたが、それは、核融合が起こる温度ではすべての原子が、自由電子と原子核、すなわちプラズマに変換するからである。

[注5]
トリチウムの比放射能は約9,600キュリーである。

[注6]
H. Zerriffi and A. Makhijani, The Nuclear Safety Smokescreen,(IEER, May 1996.)を参照。

[注7]
温室効果ガス排出削減のためのエネルギー選択肢に関する記事は、Science for Democratic Action, Vol. 6 No. 3.を参照。 A. Makhijani and S.Saleska, "The Nuclear Power Deception" (IEER, 1996), chapter 9.も合わせて参照されたい(まもなくApex Pressより単行本化の予定)。

[注8]
Richard L. Garwin "The Future of Nuclear Weapons Without Nuclear Testing," Arms Control Today, Vol. 27, No. 8 November/December 1997, p. 9.
ガーウィンは爆発状態を安定状態と分ける適切な数値として1ミリセカンドを提案している。

[注9]
Robert N. Thorn and Donald R. Westervelt, "Hydronuclear Experiments" (Los Alamos, NM: Los Alamos National Laboratory, LA-10902-MS, DE87007712, February, 1987), p. 4.

[注10]
John Lindl, "Development of the Indirect-Drive Approach to Inertial Confinement Fusion and the Target Physics Basis for Ignition and Gain" (Lawrence Livermore National Laboratory preprint, publication numbers UCRL-JC-119015 and L-19821-1, November 1995), p. 6. Published in Physics of Plasmas, Vol. 2, No. 11, (November 1995), pp. 3933-4023.

[注11]
National Research Council, Commission on Physical Sciences, Mathematics, and Applications, Committee for the Review of the Department of Energy's Inertial Confinement Fusion Program, "Review of the Department of Energy's Inertial Confinement Fusion Program: The National Ignition Facility" (Washington: National Academy Press, 1997), pp. 10-11.

[注12]
Suzanne L. Jones and Frank N. von Hippel, "The Question of Pure Fusion Explosions Under the CTBT," Science and Global Security, Vol. 7, 1998, pp. 5-6.

[注13]
Ibid., p. 5.

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