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労働生産性
http://www.asyura2.com/08/idletalk33/msg/455.html
投稿者 彼岸楼 日時 2008 年 10 月 11 日 23:04:17: njbqC.Mf1PyZ2
 

(回答先: アメばた会議でスレッドを立てました。 投稿者 ワヤクチャ 日時 2008 年 10 月 11 日 07:44:14)


 ワヤクチャさん、こんにちは、横レスにて失礼いたします。
 只今、当方は時間的に余裕がなく今回の議論に参加ができかねている状態ですので、こちらに投稿させていただいたような次第です。尚、“アメばた会議”への転載は投稿の宛先が不明瞭になり、何かと紛らわしい事態が生じることが予想されますので、本稿はワヤクチャさんや阿修羅住人の諸氏にとっての参考程度のものとして受け留めていただければ幸甚に思います。


 ワヤクチャ氏と最大多数の最大幸福氏&東京音頭氏&考察者k氏との間にある齟齬の原因は“労働生産性”に関する不理解乃至は視座の欠如によるものが大きいのではないでしょうか。以下は、四名の方々の遣り取りに感じたことを極々簡単に纏めてみたものですが、経営者側の視点に偏っているとして、労働者側の立場を捨象した考察だと論難の対象にもなり得るかも知れません。けれども、問題の根本的な解決のためには労働者側にとっても企業経営を構造的に認識することは必要不可欠であると思っています。重要なことは企業経営の持続性を担保する中で“労働生産性”の所産である果実(剰余価値)を如何に労働者が手にするかであり、分配の公正性を勘案するのにあたって果して国境という媒介項(パラメータ)が今日的事由となり得るのか、最早多くの企業がそれには全く拘ってはいない現状を鑑みる必要もあるでしょう。

 ところで、“労働生産性”が同等と想定可能ならば、コミュニケーションの円滑性(文化・言語の同一性)等の事由(メリット)によって同国人の雇用を優先するのは人事政策上も当然の帰結でありましょう。しかしながら、“労働生産性”の向上(=競争力の強化)の追求のためには、必ずしも同国人の雇用に拘らなくなっているのが今日の企業経営の在り様(よう)です。さらに、雇用対象が結果的に中国人か、韓国人か、アジア人か、欧米人であるかは、主に供給と需要の関係によるのであり、大企業の思惑も絡んだ国の政策によっても大きな影響を受けることになります。

 さて、ワヤクチャ氏の勤務先であるコ−プは云うまでもなく民業です。また、その限りではワヤクチャ氏は“労働生産性”についてはご承知のことと想われます。何故なら、“労働生産性”を使用者側に認知させようと迫るのがまさしく労働運動なのですから。“インター”の精神は私も十分理解できますが、それはさておき正規職員経験の浅い方や公務員的な職業経験が長い方に“労働生産性”について理解していただくにはもう少し細緻な説明が必要だと考えます。

 おそらく、民間企業で凌ぎを削っておられる最大多数の最大幸福氏による外国人労働者の排撃はご自身の“労働生産性”について充分意識された、すなわち実体験に基づいたものだと想われますが、少なからざるアジア人(中国人)への反感が事物の洞察の眼を曇らせているように見受けられます。米英国人の外国人労働者について最大多数の最大幸福氏はどう捉えられるのでしょうか。彼等は日本人を見下しているだけではなく中国人よりも余程ドライで、しかも高い報酬を得ています。

 さらに、教職で(準)公務員の境遇にある東京音頭氏にとっては“労働生産性”は経験上も馴染みの薄い言葉(概念)かも知れません。民間の学校では一例として進級率(担当クラス学生の次年への持ち上がり人数)が教師の“労働生産性”の指標となります。民間の企業活動においては外国人雇用の問題もやはり“労働生産性”を基準にして捉える外はなく、今やその供給圏が地球全域にまでに拡大してしまっている現状にあるのは周知の如くです。

 そして、郵便局長(以前職業については婉曲に触れられてはいました。)であった考察者k氏が体験上も“労働生産性”についてどの程度認識されていたのか定かではありませんが、少なくとも業務上の“労働生産性”に纏わる指標は存在したのではと想われます。けれども、官業であったとは謂え、郵政事業には予算(売上)があったはずですから、実際上は算入が難しかったのかも知れませんが、少なくとも労働者側が“労働生産性”を試算(算定)することはできたのではないかと推察しています。

 想定した“労働生産性”に適格性があるのならば、雇用にあたって邦人あるいは外国人であるかに拘らないのが企業の人事政策の現況であり、外国人労働者の雇用が直ちに邦人雇用に際しての阻害要因になっていると断じることには多少無理があると考えます。寧ろ“労働生産性”の適格性において同等ならばコミュニケーションの円滑性という利点からも同国人を優先的に採用するのは至極当然な判断でありましょう。
 次に、求められる“労働生産性”が限定的な労働力の領域(需要)が拡大していること自体が問題なのであり、外国人労働者の存在が邦人の雇用を阻害し低賃金化をも惹起している要因になっていると断じることはできないと考えます。企業は外国人労働者の雇用を勘案して賃金を設定することはありません。寧ろ、最大限邦人の雇用を照準にしているはずですが、“労働生産性”が限定的な労働力領域の場合には自ずと限度があり、邦人にたいする優遇措置を組み込むことについても限定的なものにならざるを得ません。

 私が外国人労働者の受け入れ(雇用)業務に携わっていたのは約20年前のことです。事務系の管理職は米英国人、開発担当の技術職は清華大学や哈爾浜工業大学等の大学院卒者若しくは大学院生といった構成でしたが、彼等中国人労働者や研修生は必死でした。何故なら、当時は日本での就労・就学経験は本国でのキャリアパスにはならないために、帰国した折りには誰もが日本での稼ぎを元手に起業することを考えていたようですし、滞在時の生活は非常に倹しくその多くが共同生活を送っていました。因みに企業や公共団体(教育機関)が直接(第一次)の受け入れ窓口になる場合には最低賃金の規定はあったと記憶しています。

 出稼ぎ先に日本を選ぶのは彼等外個人労働者の自由であり、帰国して優雅に暮らしたとしてもそれは非難されるべきことではないでしょう。否、寧ろ私が知る限りでは兄弟や両親を養うために日本に出稼ぎに来ていたのであり、その多くが文化革命世代の子弟達でしたし、それは極最近まで続いていた傾向であったようです。
 日本人は外国人労働者を受け入れることができた国情をその控え目な心根からも慶ぶべきことだと自認してもよいのではないでしょうか。その一方でそうばかりは謂ってはいられない現状はありますが、この期に及んで徒に外国人労働者の排撃に転じるのは却って前段で示したような寛容性を毀損することにもなりかねないと思います。

 総じて労働者が取り組むべきテーマは“労働生産性”の向上であり、如何にそれを使用者側に認知させるかでしょう。そして、後者に関して外国人労働者の存在が負の契機となっているのかどうか、さらに具体的且つ精緻な分析の必要性を感じますし、それが成されぬままでは上滑りの応酬に終始することになるのではないか、またしてもそんなことが懸念されます。

 Auf Wiedersehen.


 <参考URL>
 労働生産性とは〜exBuzzwords用語解説
 http://www.exbuzzwords.com/static/keyword_573.html
 生産性
 http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%94%9F%E7%94%A3%E6%80%A7
 財団法人社会経済生産性本部−労働生産性の国際比較(2007年版)
 http://activity.jpc-sed.or.jp/detail/01.data/activity000847.html
 どうして日本の労働生産性は低いのだろう−企業ポルノ
 http://d.hatena.ne.jp/T-norf/20080515/JPProductivity


 

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