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第33回 自民分裂選挙で見えてきた 政界一大再編劇の裏の裏 (2005/07/29)
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投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 18:41:33: Dh66aZsq5vxts
 

(回答先: 第32回 IT後進国の旗を振る民放、NHK ネットと放送の融合に待ったなし! 投稿者 ROMが好き 日時 2008 年 12 月 06 日 18:36:42)

第33回 自民分裂選挙で見えてきた 政界一大再編劇の裏の裏 (2005/07/29)
http://web.archive.org/web/20051227015605/nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050729_uranoura/

2005年7月29日

 衆議院における郵政民営化法案の採決をめぐって、自民党の内部から51名という大量の造反者が出た。参議院で、もし同法案が否決されたりしたら、衆院を解散すると小泉首相は繰り返し明言している。そして、総選挙になったら造反者は公認せず、各選挙区に対立候補を立てて戦うとまで宣言したあたりから、政局は、一気に解散総選挙ぶくみの展開になってきた。

 
自民党大敗で予測不能な大戦国時代が到来
……………………………………………………………………
 週刊誌は早々と、解散、総選挙になった場合の議席予測をはじめているが、いずれも自民党の大敗を予測し、民主党政権が成立する可能性を語っている。民主党政権といっても、「民主党中心の連立政権」か、「民主党単独政権」かでは、ちがいが大きすぎるほど大きい。

 現有議席数は、

 自民党 251
 民主党 175

 である。「週刊文春」(8月4日号)では、宮川隆義(政治広報センター社長)が、

 自民党 198
 民主党 241

 と予測している。民主党は過半数を一つこえる単独過半数となるから、民主党単独政権ができるという見解だ。

 「週刊ポスト」(8月5日号)では福岡政行(白鴎大学大学教授)が、普通にいっても、

 自民党 221〜201

 の議席しか取れないと予測し、「サラリーマン増税」に対する怒りが爆発すれば、一挙に、

 自民党 160〜170

 に転落するだろうと予測している。最悪の場合は、

 150議席以下

 まで落ちるだろうと予測している。

 自民党がそこまで落ちれば、当然、民主党の単独政権かというと、そういうわけでもない。

 福岡氏の予測は、自民党の分裂を前提としている。

 分裂の一つの可能性は、郵政民営化反対派の一方の中心、亀井派の亀井静香・元政調会長と同派のナンバー2、平沼赳夫・前経済産業相に、もともと彼らと親しい関係にある石原慎太郎東京都知事が合流して立ち上げる、亀井・平沼・石原新党(あるいは新生自民党)である。

 
next: サラリーマン増税も自民党に逆風…
http://web.archive.org/web/20051227015605/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050729_uranoura/index1.html

サラリーマン増税も自民党に逆風
……………………………………………………………………
 もう一つの分裂の可能性は、衆院における郵政反対派の中心人物だった綿貫民輔・前衆院議長が、選挙になったら、自民党の外に出て新党を作るようなことはしないが、公認が得られなければ、無所属で出馬して、反小泉の旗をかかげて戦うとはっきり公言しており、造反者の中にそれに賛同する人々が少なくない(約20名)ことだ。

 この2つのグループ(亀井・平沼・石原新党と綿貫グループ)は合わせて30〜50名になると見られ、先の福岡の予測、221〜201名は、それだけの人数を現有議席から引いたものである。

 これらのグループは、民主党ではないから、民主党の議席増には必ずしも直結しない。しかし、自民党から造反組、新党結成組が抜けて闘う分裂選挙になれば、同一の選挙区の民主党候補が漁夫の利を得ることは火を見るより明らかで、自民党大敗の予測になる。

 この漁夫の利にプラスして、このところ急速に盛りあがってきたサラリーマン増税に対する国民の怒りが加わると、自民党は歴史上はじまって以来の地すべり的大敗を喫することになるだろうというのが、福岡氏の「自民党最悪150議席以下」という予測の根拠である。

 その場合、民主党がどれくらい勝つのか、亀井・平沼・石原新党がどれくらい勝つのか、綿貫グループがどれくらい勝つのかは、今から予測することは全く不可能(そもそも、亀井・平沼・石原新党が本当にできるのかどうかも、いまから予測することは不可能)である。

 いま確実なことは何もいえないが、もしこのまま解散総選挙になり、自民党が分裂(ないし分裂選挙を闘う)ということになると、自民党は大敗北し、その後の政局は、いまから予測不可能な、大戦国時代の到来ということになるだろう。

 一言でいうなら、93年から96年にかけて起きた「政権交代と政権再編時代」の再到来ということになるのではないか。

 
政界をゆるがす一大再編劇が本当にはじまる
……………………………………………………………………
 宮沢内閣の最末期、自民党が分裂し(小沢・羽田グループが独立して新生党を結成)、宮沢内閣不信任案を通し、総選挙で自民党を大敗させ、日本新党など8党派による連合政権を樹立(細川内閣)したあの時代の再現ということである。

 昨日から、私の住む小石川周辺では、

 「政権交代の決意/日本一新/日本版二大政党制いよいよはじまる」

 なとど大書された、地元議員(中山よしかつ)と小沢一郎がならんだ、できたばかりのポスターが街のあちこちに貼りめぐらされている。同じ選挙区を地盤とする元自民党代議士(深谷たかし)のポスターもあちこちに貼りめぐらされ、すでに選挙戦がはじまったかのような空気ができあがりつつある。

 
next: あのとき、1955年の保守合同以来…
http://web.archive.org/web/20051117071649/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050729_uranoura/index2.html

 あのとき、1955年の保守合同以来、38年にわたってつづいた自民党一党独裁体制を終わらせたのは、なんといっても、政界きっての荒業師、小沢一郎の腕力によるところが大きかったことはいまも記憶に鮮明だ。

 だからだろう、小沢を主役とする民主党の新しいポスターを見ていると、あのころの記憶がよみがえってきて、これは本当に政界をゆるがす一大再編劇が本当にはじまるにちがいないという気がしてくる。

 小沢はよく知られているように、輝いていたのは、細川・羽田内閣までで、その後、自民党の策士たちに手玉に取られ、仕掛ける政界工作は失敗に次ぐ失敗で、仲間の支持を次々に失い、新しい党派を作ってはそれをつぶすことの繰り返しだった。

 ついに2003年になると、一時は自民党と組んで連立政権まで作った自由党をつぶして、民主党に(吸収)合併されて今日にいたっていることはよく知られている通りだ。

 これまで小沢は、民主党の中心的幹部の一人ではあっても、かつてのように、自民党と正面対決して一歩もゆずらず、政界大再編に持ちこんだ当時の輝きはとうに失っていた。そして、どちらかといえば、しょぼくれた一時代前の流行政治家の風情すらただよわせていた。

 しかし、時代の風が、あの嵐の時代を彷彿とさせせるものに変わったとたん、新しいポスターの小沢の不敵な面がまえが妙に頼もしいものに見えてくる。

 私は基本的に小沢という政治家があまり好きではないし、これまでの彼の政治的軌跡を振り返ったときに、そこに、国政を導く政治的指導者としてはあまりにも大きな人間的な欠陥があるのではないかと疑わざるをえない。側近がネコの目のようにクルクル変わり、あれほど次々に新しい政治的党派を作ってはそれをつぶすという行動に走ってきた背景には、なぜか仲間の人心を掌握しきれないという人間的な欠陥があると思う。しかしそれでも、このように大きな政治の転換点では、小沢の腕力に期待するところが大きくならざるをえない。

 おそらくこれからの数カ月間、政治は小沢と小泉首相が互いに権謀術数をめぐらしての死闘として展開されていくにちがいあるまい。多分それは、外部からはよく見えないだけで、すでにはじまっているのだろうと思う。

 
政局の裏の構図は「小泉対小沢」
……………………………………………………………………
 つい先日報じられたことだが、公明党の冬柴幹事長が、日本記者クラブで講演し、仮に郵政民営化法案が参院で否決され、総選挙になり、民主党が第一党になった場合、「政治の安定のためにそれしかないということになったら、民主党との連立にちゅうちょしない」

 と語ったという。

 この発言を聞いたとき、私は、小沢の仕掛けがすでにだいぶ進んでいるなと思った。

 次の選挙で、自民党が敗北することはほとんど確実と思われるが、だからといって、民主党が単独政権を樹立できるほどの大勝をかち得るとも思わない。

 
next: いちばんありそうなことは…
http://web.archive.org/web/20050812003931/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050729_uranoura/index3.html

 いちばんありそうなことは、自民党も民主党も単独政権を樹立できるほどには勝てず、公明党がどちらにころぶか(自公連立か、民公連立か)で政権の行方がきまるという、公明党がキャスティング・ボートを握るケースである。

 あの93年前後の激動の時代、小沢が政局をほとんど思うがままに仕切ることができた背景には、小沢が創価学会の池田会長との間にすら直通のパイプを持ち、公明党の強い支持を得ていたということがある。

 いまの小泉政権の基盤の一つは、公明党との間に築かれた強い連帯関係にあり、小泉首相を倒すためには、その連帯関係を断ち切る必要があるということが誰の目にもはっきりしている。多分、小沢は、またも激動の時代がはじまることを見こして、そこにとっくに手を突っ込みはじめているのではないか。先の冬柴発言が示しているのはそういうことではないか、そう私には思えた。

 また一方では、小沢は、郵政民営化反対派の一方の雄である綿貫前衆院議長が次の政局のキーを握る人物となることを見越して、すでに早くから、旧経世会時代の縁を利用して、よしみを通じあっているともいわれている。

 これからの数カ月間の政局は、いつどのような急激な展開があるかわからない不透明な時代を迎えるが、こういう場面では、これまでどれだけ多くの修羅場をくぐってきたかの政争キャリアの差がものをいうことになる。そうなると、民主党では、小沢の右に出る者はまずいないだろうから、政局の基本構図は、小泉対小沢ということになるだろう。

 
郵政民営化法案が可決されても解散総選挙に
……………………………………………………………………
 その小泉首相が、いま何を考えているか、それを考える上で、大きなヒントになる記事が、「週刊現代」(8月6日号)に出ていた。それは、小泉首相ときわめて近い関係にある政治評論家、浅川博忠が書いた“小泉「私は新生自民党を作る」―首相と32年間の交流がある評論家が明かす純一郎流『政界再編』” という記事である。

 このサブタイトルにあるように、浅川は学生時代からの小泉首相の友人で、小泉首相に関する本をすでに4、5冊は書いている人物で、その多くを私は読んでいるが、「小泉がいま何を考えているかは、いつでもだいたい読み取れる」という浅川の豪語は、ほぼウソではないだろうと思っている。

 
next: 以下、浅川による小泉首相のいま考えていることだが…
http://web.archive.org/web/20050812005210/http://nikkeibp.jp/style/biz/topic/tachibana/media/050729_uranoura/index4.html

 以下、浅川による小泉首相のいま考えていることだが、小泉首相は、強行突破策しか考えていないという。強行突破とは、参議院で郵政民営化法案が否決されたら、解散総選挙にもちこむということだが、選挙の結果は、自民、公明合わせれば、過半数を取れるものと小泉首相は思っているらしい。

 そして、ここからが驚くべきところなのだが、小泉首相は、郵政民営化法案が可決されても、解散総選挙に持ちこむつもりなのだという。

 可決されてなぜ解散総選挙なのかというと、郵政民営化法案可決を、小泉改革最大の実績として、これこの通り、小泉改革を実現したじゃないですかと国民の前に誇り、選挙に打って出れば、小泉首相は大勝を博すにちがいないと思っているのだという。

 そしてこの選挙で大勝したら、かつて中曽根首相が任期の終わりの選挙で勝ったときにそうしたように、自分の自民党総裁としての任期を1年引きのばしてしまう。その上で、憲法改正と中央官庁組織の縮小(小さな政府作り)という大課題に取り組んでみせるのだという。

 その1年の政治過程において、旧来の自民党の政治構造は完全に解体して組み直してしまう。そして、新しい自民党、小泉自民党を作りあげるのだという。

 そして、憲法改正を正面切って取り上げると、民主党が憲法改正に賛成派と反対派に割れるのが必至だから、賛成派は小泉自民党(あるいは新しい別の党名の党)の中に取りこんでしまって、磐石の政治体制を作るのだという。

 
「21世紀の伊藤博文」を目論む小泉首相
……………………………………………………………………
 ここからは、私の推測だが、その政治体制は旧来の自民党とは名称も組織もちがったものになるから、もう自民党総裁の公選改定(3選を限度とする)に縛られることはなくなる。

 すると小泉首相は日本の歴史上最長の任期をつとめる首相となり、さらに新しい憲法を作った首相として、「21世紀の伊藤博文」とたたえられるような大政治家になるということなのだろう。

 だが、そのような野望を抱いているのが本当だとして、それが実現するかどうかは大いに疑問である。

 郵政民営化法案が可決されるにせよ、否決されるにせよ、解散総選挙となったとき自民党が勝てるかどうか。それも総裁任期1年引きのばしを可能にするほどの大勝ができるかどうかというと、先に述べたように現在の大方の観測は逆なのである。

 もちろん選挙は水ものであるからやってみなければわからないし、やってみたら意外に自民党が強くて、民主党が軽くはねとばされ、民主党内部の政変のほうが先に起きるという展開だってあるだろう。

 いずれにしろ、これから1〜2週間の日本の政治は、8月15日の靖国参拝問題を含めて、目が離せない日々が続きそうだ。

 
立花 隆

 評論家・ジャーナリスト。1940年5月28日長崎生まれ。1964年東大仏文科卒業。同年、文藝春秋社入社。1966年文藝春秋社退社、東大哲学科入学。フリーライターとして活動開始。1995-1998年東大先端研客員教授。1996-1998年東大教養学部非常勤講師。

 著書は、「文明の逆説」「脳を鍛える」「宇宙からの帰還」「東大生はバカになったか」「脳死」「シベリア鎮魂歌―香月泰男の世界」「サル学の現在」「臨死体験」「田中角栄研究」「日本共産党研究」「思索紀行」ほか多数。講談社ノンフィクション賞、菊池寛賞、司馬遼太郎賞など受賞。

 

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