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親鸞 激動篇 最後の新聞小説として ― 五木寛之-c
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投稿者 上葉 日時 2010 年 12 月 28 日 19:48:58: CclMy.VRtIjPk
 

中日新聞(2010年12月1日)より、一部抜粋。
 朝刊連載小説「親鸞 激動篇」(五木寛之・作、山口晃・画)が来年一月一日からスタートする。二〇〇八年九月から本紙朝刊に連載され刊行後、ベストセラーになった「親鸞」をさらに展開。中世の激流の中で生きた浄土真宗の開祖・親鸞の姿が、流刑後の越後から関東へと、その足跡を追いつつ、ダイナミックに描かれていくことになりそうだ。高まる期待を前に、作者の五木寛之さんに、連載への意気込みをつづってもらった。

最後の新聞小説として ― 五木寛之
 新聞の連載小説にとりかかる前は、いつも緊張する。半世紀ちかく小説を書いてきたにもかかわらず、いまでもそうである。
 急に体重がへったり、不眠がつづいたりする。はたして最後まで完走できるだろうか、と不安になることもしばしばある。
 新聞小説とは、その日その日の真剣勝負だ。連載中は、後で手直しをしたり、加筆するわけにはいかない。
 正直いって、作家にとっては苦しい仕事である。しかし、それにもかかわらず新聞連載が近づくと、体の奥に激しく燃えるものがある。
 それは、キザな表現だが、新聞小説というものへの愛とでもいえるような、個人的な思い入れなのではあるまいか。
 明治以来、紅葉、漱石をはじめとして、新聞小説は長い歴史をきざんできた。
 往時のことは想像するしかないが、私の少年時代もまた、戦後の新聞小説の黄金時代だた。毎朝、新聞がくるのを待ちかねて、食い入るように小説欄をむさぼり読んだものである。
 そんな時代は、すでに過ぎ去ったかのように見える。しかし、私の心のなかには、消えることなく新聞小説への夢が生きつづけていた。
 あの時代の熱気を、もう一度、新聞紙上に再現してみたい。ひそかにそう思ってきた。
 蟷螂の斧、という古い言葉がある。おのれの微力をかえりみずして大敵に挑戦することだ。人に言えば笑われるかもしれない。だが、毎日、その物語りを待ちかねて読んでくださる読者がわずかでもいてくれたならば、作者冥利につきると言うべきではあるまいか。
 親鸞を小説に書くということは、難しい仕事である。まして日々の新聞連載となればなおさらだ。
 しかし、中世に生きた一人の人間像を思い描く視点からすれば、それはじつに興味津津たる世界である。主人公だけではない。親鸞をとりまく多くの群像がいる。風景や、町のにぎわいや、流行などもある。
 歴史の真実は学問にまかせて、私は荒唐無稽な人間たちのドラマを書いてみたい。物語りを紡ぐということは、古来、大道芸人の語りものの王道だ。こんども思いきり想像力を駆使して、道ゆく人びとの足をとどめるような物語りを、と夢みている。
 今回の小説で描こうとするのは、親鸞の生涯のなかでも、もっとも謎につつまれた時代だ。最後の新聞小説のつもりで、全力投球するしかない。不安とたかぶりをおぼえつつ、連載の開始をまっている。


「親鸞」(2008年9月〜09年8月連載)のあらすじ。
 貴族から武士へと政権が移る、激動の平安時代末期。下級貴族の家に生まれた親鸞は早くに両親を失い、伯父に育てられる。八歳のときに出会った男たちが、親鸞の人生を変えていく。彼らは社会の底辺でたくましく生きていた。
 九歳で出家。比叡山に入山し、過酷な修行に励んだ。しかし、命がけで修行をしても納得のいく結果を得られない。煩悶する日々。
 二十年の修行を経て、親鸞は山を下りる決意をする。都の六角堂で百日間参籠するのだ。そこで親鸞は美しい女性に出会い、恋心が芽生える。だが同時に、十年前に出会った女性から思わぬ告白を受け、身をゆだねられる。二人には、悲劇的な結末がまっていた。
 参籠から九十五日目、憧れの女性が告げた不思議な言葉に導かれ、親鸞は法然の門下に入る。法然は念仏の教えを説いて、民衆から熱く支持されていた。親鸞、二十九歳。自らの道を見定め、充実した日々が始まる。だが、それも束の間であった。
 民衆を駆り立てる念仏の教えは朝廷から弾圧され、一門断罪。法然、親鸞も流罪になる。三十五歳の親鸞は、流刑地・越後に向かった。


波乱の時代 越後から関東へ
〈作家の言葉〉
私の少年時代は、新聞小説の黄金時代だった。いまでもあの頃の日々を忘れることができない。毎朝、ページをめくるのがもどかしい思いで、連載小説に熱中したものだった。新しい物語りのスタートにあたって、いま一度、とひそかに心に誓っている。歴史でもなく、研究でもない。一日一会(いちにちいちえ)の物語りを書くつもりだ。ご愛読ください。
五木 寛之氏(いつき・ひろゆき)
 1932年、福岡県生まれ。戦後、朝鮮半島より引き揚げ、のち早稲田大学露文科に学ぶ。66年「さらばモスクワ愚連隊」で直木賞、76年「青春の門 筑豊篇」ほかで吉川英治文学賞を受賞。81年より休筆して龍谷大学に学ぶ。2002年菊池寛賞、04年仏教伝道文化賞、10年「親鸞」で毎日出版文化賞特別賞。
〈画家の言葉〉
挿絵というのはまあ、おまけのようなものです。おまけですから必ずしも要る訳ではないのですが、あったらちょっとうれしい訳です。で、中にはおまけを楽しみにしてくれる人も居たりして、おまけの付けがいもあるというものです。そんなおまけではありますが、作る方はこれで割と真剣なのです。皆様、どうぞおまけもお楽しみに。
山口 晃氏(やまぐち・あきら)
 1969年、東京で生まれ、群馬県桐生市に育つ。96年、東京芸術大学大学院美術研究科絵画専攻(油絵)修士課程修了。2001年、第4回岡本太郎記念現代芸術大賞優秀賞。日本の伝統的手法と現代風俗とを融合させた作品などが国内外で高く評価され、幅広い分野で制作活動を展開中。08年9月からの連載「親鸞」の挿絵も担当した。







中日親鸞キャンペーン
http://shinran.chunichi.co.jp/
「親鸞 〜激動編〜」来年年明けより、連載スタート! « 中日新聞比良専売店 柴土新聞店
http://hira-chunichi.com/?p=107
中日新聞:9月から新連載小説「親鸞」 五木寛之・作:中日新聞からのお知らせ(CHUNICHI Web)
http://www.chunichi.co.jp/article/release/CK2008071202000090.html

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『親鸞』五木寛之〈上巻〉無料公開|講談社
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