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原油流出事故は「文明崩壊」のシグナルか? ピークを越えてしまった「複雑系」社会|山本達也
http://www.asyura2.com/09/eg02/msg/232.html
投稿者 上葉 日時 2010 年 7 月 09 日 07:58:04: CclMy.VRtIjPk
 

(回答先: 自然エネルギーを過大評価するな! たくさんあるだけでは、問題は解決しない|山本達也 投稿者 上葉 日時 2010 年 7 月 09 日 07:53:02)

原油流出事故は「文明崩壊」のシグナルか? ピークを越えてしまった「複雑系」社会 JBpress(日本ビジネスプレス)
http://jbpress.ismedia.jp/articles/-/3916


原油流出事故は「文明崩壊」のシグナルか?
ピークを越えてしまった「複雑系」社会
2010.07.08(Thu) 山本 達也
日本経済・解体新書

米国ルイジアナ州沖のメキシコ湾で起きた深海油田事故は、1989年にアラスカ沖でタンカーが座礁した際に流出した25万バレルを大きく上回る大惨事となった。2010年4月20日の事故発生から6月末までの流出量が270万バレルを超えたという試算もあり、間違いなく米国史上最悪の原油流出事故という汚名が年表に記されるだろう。

 この事故は、地球が直面する深刻な状況を浮き彫りにした。石油によって支えられている「現代文明」が崩壊に向かい始めた「シグナル」ではないか――。決して大袈裟な認識ではない。その理由を説明しよう。

 実は、人類は未だに「エネルギーをつくり出す技術」を手にしていない。我々が持っているのは、自然界から「エネルギーを取り出す技術」に過ぎない。取り出すにもエネルギーが不可欠である。少量で済むのか、逆に大量に使う必要があるのかはケースによって様々である。

 こうしたエネルギーの回収効率は、EPR(Energy Profit Ratio)あるいはEROI(Energy Return on Investment)と呼ばれる指標で示すことができる。EPRは、回収エネルギー(Eout)/投入エネルギー(Ein)という単純な割り算になる。したがって、回収エネルギーよりも投入エネルギーが多くなれば(EPRが1を下回るならば)、そのエネルギーにはもはや価値はない。

 我々が自然界からエネルギーを取り出すのは、そのエネルギーを社会で使うことが目的である。社会が使うことのできる余剰エネルギー(Enet)こそがそれぞれの時代の文明を形成する。言い換えれば、文明とはまさに余剰エネルギーのことなのだ。

 地球で生成された石油のうち、EPRから見てエネルギーとして「取り出す価値のある」量は全体で2兆バレル程度と言われる。既に我々はその半分、約1兆バレルを使ってしまった。まだまだ大量の石油が眠っているが、エネルギーとして取り出す価値があるのは残り約1兆バレルに過ぎず、しかも前半の1兆バレルに比べてはるかに採掘が困難な場所に存在する。

 これをリンゴの木に例えてみよう。下半分のリンゴは、人間が手を伸ばすだけで採ることができる。しかし、上半分のリンゴを手に入れるにはハシゴをかけたり、木に登ったりして採らなくてはならない。万一バランスを崩せば、木から落ちて大怪我をすることもある。





 サウジアラビアなどの陸上油田や大陸棚にある比較的水深の浅い油田は、下半分のリンゴである。もはやそれを採り尽くしつつあり、現在では深海や極地など採掘のより困難な油田を必死に開発している。今回事故を起こした油田は、メキシコ湾の深海約1500メートルにある。上半分のリンゴを採ろうとして木から落ちてしまい、重傷を負ったのが今回の事故なのだ。

 過去、人類は採掘しやすい石油から採掘してきた。後に残るものほどそれが難しくなり、EPRの値も低くなる。米国の経験によると、1930年代の油田は穴を掘るだけで勢いよく原油が噴き出したため、EPRは100以上を示した。ところが70年代には30程度、現在では11〜18程度まで低下していると推計される。

 ニューヨーク州立大学のホール教授(Charles A. S. Hall)らの試算によると、全世界規模でのEPRの概算は1992年で26だったが、99年には35まで上昇した。しかしその後は減少に転じ、2005年時点では19にまで低下しているという。今後さらに「上半分のリンゴ」に頼らざるを得なくなれば、EPRは一段と低下することになる。

 ホール教授らは2008年の論文でEPRの視点から経済モデルを作成し、コンピューターを使ってシミュレーションを発表。その際、EPRが2030年に10、2050年では5程度にまで低下すると仮定している。そして、コンピューターは次のような近未来図を描き出した。

 これからはエネルギー取得のための投資が増大し、社会が「自由裁量」で使える消費が極端に少なくなっていく――。つまり、対策を先延ばしにすればするほど裁量の余地は狭まり、その段階で「石油後」の世界を構想しようにも身動きが取れなくなるのだ。

 このシミュレーションの結果は、石油をベースとして築き上げてきた現代の社会システムの崩壊を予兆しているのではないか。

 ハーバード大学のファーガソン教授(Niall Ferguson)は歴史学者としての視点から、過去の帝国主義や現在のグローバル経済のような「複雑系」社会に内在するリスクを分析している。

 1粒の砂が砂山全体を崩すことがあるように、ほんの些細な歯車の軋みがきっかけとなり、一気に崩壊へと向かう恐れがあるという。世界的なEPRの低下が、ある時点で特定の社会の崩壊を引き起こすほどの決定的な影響を与える可能性は十分に考えられる。

 また、ユタ州立大学の考古学者であるテインター教授(Joseph A. Tainter)は、ローマ帝国を含む過去に崩壊した24の社会を分析した上で、たいへん興味深い考察を示している。教授によると、「文化的複雑性の歴史は、人類の問題解決の歴史」であり、「歴史を通して、人類が直面したストレスと挑戦は往々にしてより複雑になる戦略によって解決されてきた」(下線筆者)

 そして、「社会という問題解決のためのシステムは、長期間、複雑性とコストを増しながら発展し、やがてシステムは補助的なエネルギーの増加を必要とするようになるか、あるいは崩壊する」という。





 この図が示すように、複雑性が増えると見返りも増えるが、ある時点でピークを迎えてしまう。その後も、社会は複雑性を増しながら問題解決を目指すのだが、事態はますます悪化していく。

 テインター教授はこの様子を「複雑性は利益を生むが、損失も与える。その破壊的な潜在能力は、社会経済の複雑性への出費の増大が利益を減らし、ついにはマイナスの見返りになった歴史的事例を顧みれば明らかである」として説明している。

 つまり、過去の経験に照らし合わせる限り、「より複雑化させることで問題解決を求めようとするアプローチ」は限界にぶつかってしまう。特に、投入する補助エネルギーが制約される世界では問題の解決策が見つからない可能性が高い。

 エネルギー問題に関しては、「技術が解決してくれる」という楽観的な見方もある。しかしその場合の「技術」とは、往々にして「より複雑でより高度な技術」である。ところが歴史は、高度な複雑化が逆に文明崩壊の引き金になることを教えている。

 そうだとしたら、「高度な技術による問題解決」というアプローチから一旦離れ、社会のシステムをよりシンプルに「単純化」させることで問題解決の糸口を模索すべきではないか。

 受け入れ難いほど厳しい現実に直面すると、人間は悲しむよりも先に現実を受け入れることを「拒絶」したり、「怒り」に似た感情がこみ上げたりする。「石油ピーク論」をめぐる論争にも似たところがある。自らの頭で考えること自体を拒否し、石油ピーク論を語る専門家に対して敵意をむき出しにする人々が存在する。

 この点、カリフォルニア州立大学のダイヤモンド教授(Jared Diamond)は『文明崩壊』(草思社)で過去に崩壊した文明の共通点として「失敗の連鎖」を指摘している。それによると、(悪い事態の)予測に失敗→(その意味や真相を)認めることに失敗→克服のための試みに失敗→最終的に問題解決に失敗――という過程を辿るという。

 つまり、崩壊した文明の本当の問題は、誰も将来を見通すことができず、危機的な状況に陥ることを予測できなかった点にあるのではない。過去の文明でも危機に対して警鐘を鳴らした人は存在したが、社会全体がそれを認めることに失敗し、その結果として克服のための試みが行えなかったわけだ。

 同様のことは、前述したテインター教授も「人間の意識や行動パターンを改めることこそが困難であり、ここに過去の文明社会が崩壊へと突き進んでいった原因があるだろう」と指摘している。文明崩壊の真の要因は、一人ひとりの認識や行動パターンを変えられないことにあるのだ。

 翻って、我々が暮らす「現代文明」はどうであろうか。崩壊していった過去の文明と同じ道を歩んではいないだろうか。未来の歴史家は我々の文明を地球から消えた他の文明と並べて「ワン・オブ・ゼム」(one of them)にしてしまうのか――。「拒絶」や「怒り」から速やかに脱却し、まずはこの受け入れ難い現実を「認める」ところから始めなくてはならない。




◆関連書籍
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文明崩壊 滅亡と存続の命運を分けるもの (下): ジャレド・ダイアモンド, 楡井 浩一
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4794214650/asyuracom-22  

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コメント
 
01. 2010年7月09日 17:55:14: AQqyLULhMc
社会のシステムをよりシンプルに「単純化」させることで問題解決に成功した例などが全く示されていない。
この解決策については同意しかねる。

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