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http://www.tokyo-jc.or.jp/kankyo/2003/mini_seminar_4_3.htm
第4回環境ミニセミナー
原発の実態-3
＜原発を諦める６つの理由＞
１）コスト
政府は、発電コストを5.9円と発表している。ただし、これらのコストには、多くの潜在コストは含まれておらず、次世代へのつけとなることは明らかです。
実際のコストを推定するために、日本原子力発電株式会社（原発を専門とする会社）の発電コストを計算した（山本寛氏）。1995〜99年までの平均で10.21円/kwh。この会社は自己資本率が高く、一般電力会社並の金利負担を上乗せすると、推定発電単価は12円弱。さらに公的負担金（交付金、広告費、研究費等）約1.2円/kwh、廃炉の費用、損害賠償保険料、再処理および最終廃棄物処分費用が本来上乗せされなければならない。
・原発建設に関するコスト（公的交付金、他不明な補助金が存在）
北陸電力が2006年３月運転開始予定の志賀原発２号機（出力135.8万ＫＷ，石川県）の総事業費は、計画当初の4500億円からコスト削減で切り詰めても3870億円。最新鋭のＬＮＧ（液化天然ガス）火力である東電品川火力発電所（出力114万ＫＷ、東京都の総事業費が約1,500億円だから、原発の新設費用は火力の２倍以上になる。東電幹部は、「原発の新設は、短期では採算は合わない」と打ち明ける。（朝日新聞2003.2.21）
「もんじゅ」は出力28万ＫＷの発電用を兼ねた原子炉。計画では建設費360億円であったものが、1995年のナトリウム火災事故までに、直接出費だけで約5,900億円にふくらんだ。高速増殖炉の開発全体では、1兆524億円。プルトニウム燃料の開発を含めると、1兆5,959億円の税金が投入された。その間発電で得たものは、6億円。
高速増殖炉から出た使用済み核燃料の再処理は、商業技術的に不可能だが、もし再処理してプルトニウムを取り出そうとすれば、ウランの市場価格の数十倍になる事が判明している。
・バックアップのための火力発電所と弱点を補う揚水発電所の建設
火力発電と原発：（5.9円に含まれない）
原発は事故や故障で運転を止めることが頻繁にあります。そのとき他の発電所が代わって発電をしないと大停電になります。その為、原発建設には必ずバックアップ電源として原発の容量に見合うだけの火力発電所が同時に建設され、低出力で運転しながら待機することになります。1990年以降の実績から2010年までの計画まで、火力発電所の電源供給力は、常に原発の３倍程度に保たれています。原発推進と共に火力発電所を減らすことはできないのです。
揚水発電所：（5.9円に含まれない）
原発を増やすと、火力発電所だけでなく「揚水発電所」も増やすことになります。
原発のように出力調整ができない大型の発電所を動かすとき、発電量と使用量のバランスを取るため、電気が余るときの蓄電（35％のロスを生じる）の役割として揚水発電が必要になる。ただし、揚水発電は２つの大型ダムで構成されており、建設には大変な環境破壊と大量のＣＯ２を排出します。建設費は、原発そのものの建設費の約２倍。全国に25施設を越える。
・効率の悪さ（原発はエネルギーロスが大きい。送電線のロス。）
まず原発で発生する熱エネルギーが電気エネルギーに転換されるのは33％程度。（残りは温排水という形で海に捨てられ直接地球を温める）さらにその中から原発自身を運転するのに、5〜6％消費される。そして残りは、遠隔地への送電で5〜7％のロスがあります。
・放射性廃棄物関連施設に関する建設コスト（5.9円にほとんど含まれていない）
ウラン１トン中の放射能は、100ギガベクレル。ウランを燃やせば、1トンあたり放射能は、１億倍に増大する。（100億ギガベクレル）
高レベル廃棄物をガラス個化体として金属キャニスター容器に入れ、300〜1,000ｍの地層に埋め１万年管理する計画。ステンレス性のキャニスターは長くて数十年以内に部分的な損壊が発生するおそれがある。金属は最終的にはぼろぼろに腐食しガラス固形体は漏れ出す。
キャニスターは、地上で冷えるまで数10年間保管する。保管料は、六ケ所村の日本原燃実績では、１本8.5億円と有価証券報告書にある。2027年までにたまる4万本で計算すると、34兆円。地層処分コストは、通産省報告によれば、約3兆円。運転期間を３０年とすると、毎年1,000億円。
・廃炉のコスト（5.9円に項目として含まれているが過小評価と言われている）
老朽化した原発が廃止されると、施設全体が放射性廃棄物となる。１基あたり、解体するだけで50万トンもの放射性廃棄物が発生する。
廃炉の費用は、政府の試算では100万ＫＷクラスで、263億円とされて発電コストに織り込まれているが、実際は過小評価といわれている。フランスのスーパーフェニックスの解体予算は2,800億円であり、一般に、建設費と同じくらいとかかると言われている。
また、廃炉にかかる費用は、単価計算で１キロワットあたり20銭含まれてるが、実際にはどれくらいかかるかわかっていない。日本初の実験用発電炉が1986年から解体撤去作業に入っているが、すでに300億円かかっている。アメリカのエネルギー省では、核施設の放射能汚染を除去する費用を今後75年間で2,650億ドルと見積もっている。（過去において核開発につぎ込んだ費用総額が、2,000〜3,000億ドル。）さらに核廃棄物を何万年も管理していくコストは、コスト計算にはまったく含まれていない。
・ウランの濃縮、再処理コスト（5.9円に項目として含まれているが過小評価）
現在日本の電力会社は、フランスとイギリスに再処理を委託。費用は使用済み核燃料１トンあたり1億9,000万円。それに輸送費がかかる。フランスから運ぶのに「あかつき丸」を使ったが、政府は輸送費は8,300万円と言っている。それ以外に、１度しか使わないと言われている船を60億円かけて改造している。合わせると少なく見積もって1トンあたり2億円。1トンの使用済み核燃料から得られるプルトニウムの値段は、2,700万円、ウラン253は、3,400万円。あわせて6,000万円で、これだけで1億4,000万円の損。
商業用再処理工場は、アメリカ･ドイツが断念し、フランスとイギリスも日本からの発注分が終了した時点で、経営の見通は立たなくなってきている。
日本での再処理工場のコストは、当初予算では7,600億円。しかし耐震性が見直され、２倍以上の1兆8,800億円にふくらみ、99年には、2兆1,400億円まで増額された。実際にはもっとかかると言われている。ちなみに5.9円では、国内処理で計算されている。
・廃棄物一時保管、最終処分のコスト（5.9円にほとんど含まれていない）
将来的なコスト増要因として懸念されるのが、使用済み核燃料の再処理などのバックエンド（後処理）事業だ。総合自然エネルギー調査会で費用負担の検討が始まるが、45年までに約30兆円という試算もある。高レベル放射性廃棄物を地下に埋める最終処分は「数万年の安全を考えないといけない事業」で、不透明なコストを抱えることになる。（朝日新聞2003.2.21）
・事故が起きた場合の処理にかかるコスト（5.9円にほとんど含まれていない）
科学技術庁（当時）が1960年に行った調査。（環境新聞1998年8月5日）16万キロワットの原発から２％の放射能が漏れた際の人的、物的災害の公衆損害額。賠償額は、当時の国家予算の約2.2倍（3兆7,000億円）。ただし急性障害のみ。晩発生障害への補償や農業・漁業権の損害、事故処理にかかる費用などは含まれない。新聞の見出しに「絶望的人数400万人」「現在なら10兆円」とかかれる。当時世界一の保険会社、英国のロイズ社に依頼したが断られる。その時の調査とされている。
損害賠償は日本では、日本原子力保険プールから１件当たり600億円。（ドイツでは2500億円）それを超えると国会決議で補助金が出ることになっている。結局は税金で救済する。本来は、電力会社がそれをカバーできる保険料を払い、電気料に上乗せする必要がある。
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- 第4回環境ミニセミナー 原発の実態、その他の記事 taked4700 2011/1/09 19:39:01
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