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日本の市民メディアは消滅してしまうのだろうか(中)
http://www.asyura2.com/09/idletalk38/msg/413.html
投稿者 パイプライン 日時 2010 年 3 月 31 日 23:58:15: mqQUVKm/jkdw2
 

(回答先: 日本の市民メディアは消滅してしまうのだろうか(上) livedoorニュース 投稿者 パイプライン 日時 2010 年 3 月 31 日 00:03:06)

 


http://news.livedoor.com/article/detail/4691928/
PJニュース
2010年03月31日16時26分 / 提供:PJオピニオン

【PJニュース 2010年3月31日】(上)からのつづき。次に市民メディアの収益モデルという側面から見ていきます。市民メディアとて、すべてタダで運営できるわけではありません。『JanJan』の休刊理由には「第1は、急激な広告収入の落ち込みにより社業を支えるだけの収入の見通しが立たなくなったことです。弊社の事業にご理解をいただける広告主を探しておりますが、この不況下でいまのところは困難を極めており、明確な見通しが立つまでの間は休業すべきと判断致しました」と記されていました。

市民メディアをビジネスモデルとして考えた場合、果たして成立するものなのでしょうか。結論から言えば、答えは「ノー」です。その理由を説明していきましょう。市民メディアはジャーナリズムというマーケットで、どのようなポジショニングを持った媒体なのでしょうか。組織を運営していく以上、コストがかかります。このコストを回収するための収入が必要になります。その際に、収入を得るために想定される収入源にターゲットを当てたコンテンツ提供をするのがメディア経営のセオリーです。

ここで、縦軸に情報の性質を、横軸に読者ターゲットを取った場合の図を作り、ジャーナリズムを扱うメディアの性格を示してみようと思います 。情報の性質を表す縦軸の両極端には理性と情動を置きます。そして、ターゲットを表す横軸の両極端にはマスとニッチを置きます。

理性的でマスをターゲットにしたメディアの代表格は新聞です。逆に情動的でマスをターゲットにしたメディアの代表格はテレビです。ラジオはテレビと比べて規模で劣りますが情動的でマスなメディアといえましょう。新聞の収益モデルは広く浅い読者層から購読料を徴収する一方で、販売部数に裏付けられた不特定多数に向けた広告を掲載することによる広告収入によって経営を成り立たせています。テレビの場合は新聞の広告モデルのみで成立しています。両者とも広告収入が落ち込み、存続の岐路に立たされているのは周知の通りです。

『週刊現代』や『アエラ』、『日経ビジネス』などといったジャーナリズム雑誌は理性的でニッチ市場をターゲットにしたメディアです。ターゲットの読者とそれに呼応する広告主をがっちり掴んで比較的安定している雑誌がある一方で、想定しているターゲットのニーズが掴みきれずに販売部数の落ち込みが激しく、休刊の判断に迫られている雑誌があるなど、このカテゴリーのメディアの経営はまさに明暗が分かれている状況です。

さて、ネットのニュースサイトはというと昨今、ニュース記事を大量に掲載するヤフーやライブドアといったポータルサイトは、情動的でマスをターゲットにした性格が強いメディアです。これはニュース画面のトピックスの取り上げ方を見れば一目瞭然です。残念ながら現状はアクセス数が稼ぎやすいエンタメ記事やスキャンダル記事、スポーツ記事を多く取り上げる傾向が強くあります。

ヤフーニュースでは「コソボ独立は無かった」と、そのニュース担当者が自虐的に語る現状を顧みれば納得してもらえるかと思います。こうしたポータルサイトの本質は商業サイトでありジャーナリズムを本業とはしていません。ニュースを強力な客寄せの道具として使っているのです。「でも、広告収入で経営を成り立たせている新聞とて同じではないか」という議論もありますが、取材編集というジャーナリズムの根源的な部分を全面的に負担しているわけではありません。

記事を安く購入してそれをエサに、莫大なトラフィックを背景に利益を得るというのがヤフーのビジネスモデルです。ヤフーは新聞社や市民メディアなどのジャーナリズム・コンテンツ提供者に対して、記事購読料を安く抑える代わりに、トラフィックを還元する」などといって価格交渉を行いますが、これは詭弁です。情報独占的な立場を利用して、コンテンツ提供者にダンピングを強いているのです。昨年、「表現の自由」への配慮が不十分で、国会提出が見送られた情報通信法案では、ポータルサイトの独占状況に対処する項目が含まれていたほどです。

そして、市民メディアはというとどうでしょう。理性的な記事もありますし、情動的な記事もあります。マスをターゲットにした政治論議もありますし、ニッチな閑話休題や身辺雑記もあります。つまり、まったくポジショニングができていないメディアなのです。巨大掲示板のように大きなアクセスを稼げれば話は別ですが、広告収入を得ようにも、広告主からはターゲティングができていないというひと言で、断られてしまうのが関の山です。

また、例え大きなアクセスが稼げるようになったとしても、広告収入を得るのは困難です。広告主にとって、何が飛び出すか分からないようなメディアに広告を打つのは危機管理上も大きな問題となります。例えば、「環境テロ団体」シーシェパードにパタゴニアというスポーツ品メーカーが広告を出したことがあります。シーシェパードの常軌を逸した行動が激しくなるにつれ、過去そこに広告を打ったパタゴニアの企業のイメージダウンは計り知れないといわれています。

投稿記事に編集を入れているとはいえ、市民メディア編集部は原則、各市民記者の法の範囲内での主義主張に対しての検閲をすることはできません。読むに耐えうる記事であれば掲載します。そうでなければそれこそ、市民メディアのレゾンデートルを失ってしまいます。市民メディアの広告主はパタゴニアと同じような状況にいつ陥るか分からないため、広告を積極的に打つのは難しいでしょう。

また、アクセスを稼げるからといってエンタメ系の記事を多く掲載することは、そもそも市民メディアが市民メディアでは無くなってしまいます。一時期、PJニュースでは芸能人の取材記事を多く掲載したことがありました。確かにアクセスが上がり、PJニュースの認知度が高まりました。しかし、この一方で、一部のPJや読者から「エンタメ記事を載せるのは市民メディアの理念に反する。PJ各々が地域に根ざした地道な報道ができなければ、意味がない」という趣旨の声が多く届きました。

こうした理由から市民メディアが広告収入に頼った経営をするのは困難です。では、購読料収入はというと、これはフリー・無料が常態化してしまったネット界では非常に困難なのが現状です。同じような状況はマスメディアの「調査報道」の分野で特に顕著です。調査報道は報道機関あるいはジャーナリストが地道な調査を繰り返して、社会に問うべき問題点を掘り起こすジャーナリズム分野です。これは経済が上向きの時によく行われますが、景気が悪くなるととたんに切り捨てられる分野でもあります。

米国ではこの調査報道を大手マスメディアに代わってNPOなどが担当するケースが増えてきています。同時に、NPO組織的な市民メディアも地域報道の分野で活躍しています。これを支えているのが、企業や一般市民などによる寄付と、それを利便化させる寄付税制です。日本には寄付税制を枠組みとしたNPO・NGOへの資金提供の仕組みが整備されていないのが現状です。

さて、では収入源を見込むことが困難な市民メディアであれば、支出を最小限にとどめるしか、今のところ方法はありません。最小限のコストで運営しつつ、地道に取材した原稿の本数を増やして存在感を高め、それにしたがって市民メディアの趣旨に賛同していただける少額な広告主を多数集めるような経営手法が求められていると思います。【つづく】

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パブリック・ジャーナリスト 小田 光康

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