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2千票差の実相―参院選新潟選挙区(新潟日報)
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投稿者 烏滸の者 日時 2016 年 7 月 14 日 21:22:11: hk3SORw2nEVEw iUef9YLMjtI
 

2千票差の実相 参院選新潟選挙区 <上>  
2016年7月12日 新潟日報[1面]  


 参院選で与党は改選過半数の61議席を上回り、全国的には経済政策「アベノミクス」の追い風が吹いた形となった。最激戦区の一つとして注目を集めていた新潟選挙区(改選数1)では、野党統一候補で無所属元職の森裕子氏(60) =民進党、共産党、社民党、生活の党推薦=が、自民党現職の中原八一氏(57)=公明党推薦=をかわし、返り咲いた。定数削減によって110万票余を与野党が奪い合った未知の激戦は、わずか2千票が明暗を分けた。党を挙げた組織戦を挑んだ自民党が、野党共闘の前によもやの敗退を喫した大接戦の実相を探った。


    自 民 党     

緩む県連、党本部激怒
    終盤猛追も一歩届かず


 「党を挙げての選挙戦だったが、地元の力で勝利を勝ち取れるような基盤づくりが今後の課題になる」
 参院選新潟選挙区で、中原氏の落選が確実となった10日深夜。人影がまばらになった陣営選対事務所(新潟市中央区)で、塚田一郎参院議員が敗戦を総括した。
 党本部が監督する「挙党選挙」は、6月13日に始まった。自民党県連との打ち合わせで来県した党本部の茂木敏充選挙対策委員長の怒声がきっかけだ。


 「新潟は何もしていないじゃないか」「他の選挙区はもっとやっているぞ」「選挙の司令塔は誰だ」
 県連選対の戦略や獲得目標票数が定まっていないなど、党本部が指定した「重点区」のお粗末な実情を知り、強い危機感を抱いた茂木氏は、塚田氏を選対副本部長に指名。以後、塚田氏を県連との窓口役とし、党本部が主導する形で運動を展開した。

◆            ◆

 「経験したことがない」。 重鎮の県連幹部が口をそろえるほど、党本部の注力はすさまじかった。「一度の来県で 5千票増える」と言われる安倍晋三首相は3度来援。菅義偉官房長官や谷垣禎一幹事長、小泉進次郎農林部会長ら幹部が続々と応援に訪れた。
 徐々に県連選対は引き締まった。県議や市町村議が後援会組織をフル回転させ、基盤となる保守層の支持固めに奔走。党本部とは別に、中原氏が所属する二階派も秘書団を多い日で6人送り込み、企業・団体の支援取り付けに動いた。
 「自分の選挙より動いた」と話す県議、市町村議もおり、「大劣勢からのスタート」(選対本部長・星野伊佐夫県連会長)だった選挙戦は最終盤になって「相手と並んだ」とみられた。党本部の世論調査でもわずかに相手を上回った。
 にもかかわらず、当選には一歩届かなかった。
◆            ◆

 新潟日報社などが10日に実施した参院選の県内出口調査では、中原氏の強みや弱みが如実に表れた。
 森氏は推薦を受けた民進党、共産党支持層の9割超、社民党支持層の8割超を固めた。一方、中原氏は自民党支持層は9割近くをまとめたが、 推薦を受けた公明党支持は7割台にとどまっていた。
 県内比例票の政党別得票総数では、自民党は約48万6千票、公明党は約9万2千票を獲得。この票数がそのまま選挙区に流れていれば、森氏を上回る57万8千票に達する計算になるが、足元の支持層を固め切れなかった。無党派の支持は約30%にとどまり、約65%の森氏に差をつけられた。
 「党本部に、おんぶに抱っこだったのかもしれない」。10日深夜、選挙戦のまとめ役を担った沢野修総務会長は敗北を受け、声を振り絞った。
 一方で党本部が実質的に戦いを仕切ることで、大物弁士ばかりに注目が集まり、候補本人へのアピールに直結しなかったという声もある。
 誤算はまだある。投票率が60%近くに上がり、無党派層に浸透した森氏が伸びた。沢野氏は「最大でも55%だと考えていた」と打ち明ける。
 森氏との票差は約2千票。選対本部長の星野氏の地元長岡市では約4千票及ばなかった。陣営幹部は振り返る。「2議席から1議席に減っても、自民党なら大丈夫という雰囲気が最後まであった。負けてようやく目が覚めたときには、遅かった」


2千票差の実相 参院選新潟選挙区 <中>  
2016年7月13日 新潟日報[1面]  

     野  党     

JA・保守層切り崩し
   緩い連携 抵抗感薄める


 10日、参院選新潟選挙区(改選数1)で全ての投票箱が閉じて3時間半後。待ちわびた森裕子氏(60)当確の報が入り、野党4党の県幹部らが集まった事務所は歓喜に包まれた。わずか2279票差。「奇跡的な勝利」(森氏)だった。
 「3年前の前回選の野党候補の票を集めれば勝てる」―。 森氏が4月下旬に野党統一候補に決まり、共産党も含む初めての共闘ができて、陣営のムードは上り調子だった。しかし、現職中原八一氏(57)を立てる自民党が6月22日の公示直前から猛烈な総力戦に出たことで雰囲気は一変、次第に危機感と焦りに包まれるようになった。
 7月初め、さらなる上積みが必要と判断した森陣営はこれまでにない動きに踏み出す。幹部がひそかに地域農協 (JA)を回り始めたのだ。
 接戦を制する鍵は保守層の切り崩しと踏んだ陣営は、狙いを「環太平洋連携協定(TPP)への反発が強い農業票」に定めた。県内JAグループの政治組織は中原氏推薦を決めていたが、森陣営幹部は「TPPに反対する」と訴えて回った。農業者への直接の呼び掛けも強めた。短期間の運動ではあったが、次第に森氏支持の意思を内々に示してくるJA幹部も現れた。
 農業票の動きを象徴するのが、中山間地のコメ農家を多く抱える上越市だ。農業関係者に太いパイプを持つ陣営幹部が中心になって、民主党政権の看板政策だった戸別所得補償制度の復活も訴えた。
 上越市が入る衆院6区は、TPP担当の内閣府副大臣を務める自民党・高鳥修一氏の地盤。ある農業法人経営者は「高鳥氏はTPPに反対していたのに、署名式にまで出席した。周りの農家はみんなが怒っていた」と漏らす。4月の市議選で勢力を伸ばした共産党なども活発に動き、共闘効果に農家票を上乗せできたことで、県内最多の約8千票差をつけた。

◆               ◆

 肝心の野党4党の支持固めは慎重を期して進めた。合同選対は設けず、党ごとに票を積み重ねる緩やかな連携に。代表者が定期的に会合を開いて運動内容などを共有する形とした。
 特に野党第1党の民進党内に、共産党との共闘に反発が強くあったためだ。民進党は合同選対がないことで「同じ組織に入ったわけではない」と、支持者に理解を呼び掛けた。
 民進党の大渕健県連幹事長は「最大公約数的な形で、ハレーションを起こすことなく最善を尽くせた」と振り返る。新潟日報社などの出口調査で森氏は民進支持層の95%を固め、無党派層などにも広く浸透した。
◆               ◆

 過去に例のない野党共闘が奏功した森陣営だが、微妙なバランスでできた枠組みが、たまたまうまく働いて結果が出たともいえる。一歩間違えば枠組みが瓦解し、批判合戦に陥りかねない恐れもあった。
 市民団体が各党の仲介役を担ったものの、当初から「船頭不在」が指摘されていた。各党の支援態勢にも温度差があり、日程などをめぐって陣営内で意見が対立することもあった。
 森氏の得票は約56万票で、前回選の野党候補の合計58万票には達しなかった。文字通り薄氷の勝利だ。
 参院の定数減により、県内の国政選挙は全てが「1人区」になった。今回の野党統一候補の選任までには多大な労力と長い時間を要しており、いつ解散があるか分からない衆院選にうまく応用できるかは不透明だ。


2千票差の実相 参院選新潟選挙区 <下>  
2016年7月14日 新潟日報[3面]  

    知 事 選    

敗北の自民 対応に影
  責任論、党内の攻防左右


 参院選新潟選挙区が投開票された10日夜、泉田裕彦知事の姿は、自民党現職・中原八一氏の選挙事務所にあった。 午後9時前、県庁からほど近い事務所に入った。「なぜ、いまさら」―。周囲はいぶかった。
 10月の知事選に4選出馬の意向を示している泉田氏。参院選が始まった6月22日には中原氏と、野党統一候補の元職・森裕子氏の出陣式や第一声にそれぞれ副知事を派遣、あいさつをさせた。ただ自身は双方の応援に入らず、7月初旬にはプラジルと米国に出張。選挙期間中の外遊は前回2013年参院選に続いてのことだ。
 それが開票日には、中原氏の選挙事務所に早々に入った。テレビの出口調査で優勢が伝えられ、泉田氏に近い県議らが招いたとされる。「少しでも早く顔を出し、知事選で力を貸してほしいという意思表示だ」。ある中堅県議は読み解いた。
 13日の記者会見で来訪の真意を間われた泉田氏は「知事選が近く、個人の思いはあるが知事としては差し控えたい」と明確にしなかった。
 泉田氏の後援会は自民党、民進党、公明党、社民党の県組織に推薦を要請している。中でも自民党は初当選から泉田氏を強力に支えてきた。
 「選挙で応援しないのに、のこのこやってきた。こそくなやり方だ」。選挙事務所に来た泉田氏を複雑な思いで見る県議もいた。結局、中原氏は落選。約2時間半を所在なさげに過ごした泉田氏は、足早に事務所を後にした。

◆               ◆

 参院選で野党に競り負けた影響は、自民党の知事選対応にも影を落とす。
 敗戦から一夜明けた11日、 星野伊佐夫県連会長は報道陣から知事選に向けた党内協議をいつするのかと間われ、断言した。「7月はしない。お盆が終わった頃からだ」。これまで「参院選後」としてきたスケジュールを失送りした。
 背景にうかがえるのは、参院選敗北の「責任論」回避だ。選対本部長として臨んだ星野氏は現有議席を失った上、地元長岡市で森氏に約3700票差をつけられた。
 自民党内には知事を推す勢力と、多選の弊害や市町村長との関係の悪さを理由に、泉田氏続投に反対する勢力のさや当てが続いている。星野氏は泉田氏に近く「後ろ盾」ともいえる存在。知事選対応の先延ばしは参院選の責任論とともに、知事交代論をかわす「時間稼ぎ」とささやかれる。
 星野氏の責任論が党本部、県連内で強まれば、県議団内の「反泉田派」が勢いを増すのは必至。党内の駆け引きは激しくなりそうだ。
◆               ◆

 森氏を立て、参院選に勝利した野党の知事選対応は当面様子見となりそうだ。
 民進党は泉田氏側から推薦を求められたが、党本部推薦は3期までとしており、距離を置く。泉田氏に対立候補をぶつけてきた共産党は、今回も擁立を模索する。泉田氏に理解を示すことの多い社民党も対応は未定だ。参院選に続く「共闘」のムードはない。
 知事選は9月29日に告示、10月16日に投開票される。森氏56万票、中原氏55万8千票。2千票差が明暗を分けた参院選を終え、今度は知事選をにらんだ攻防が本格化する。
 

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