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広島平和記念公園とパールハーバーの姉妹協定 被爆者らはなぜ懸念するのか(東京新聞)
http://www.asyura2.com/09/news8/msg/1285.html
投稿者 蒲田の富士山 日時 2023 年 7 月 06 日 00:43:29: OoIP2Z8mrhxx6 ipeTY4LMlXiObY5S
 

2023年7月1日 17時00分

https://www.tokyo-np.co.jp/article/259885?rct=tokuhou

 広島市の平和記念公園が、旧日本軍の真珠湾攻撃を伝える米パールハーバー国立記念公園と姉妹協定を結んだ。「戦争の始まりと終焉しゅうえんの地」の連携を掲げるが、発表はわずか1週間前で市民との議論はほとんどなかった。きっかけは、核廃絶でなく核抑止を認めた先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)。原爆投下を正当化し、新たな核使用に道を開きかねないと、被爆者らが懸念するのはなぜなのか。(木原育子、中沢佳子)
 日米姉妹公園協定 広島市が米内務省と6月29日に締結。在日米大使館によると、若い世代に向けた平和教育の推進に加え、歴史的建造物や景観の復元に必要な資料や、観光運営に関する経験を共有した交流事業に取り組む。日米での同様の協定締結は2016年、岐阜県関ケ原町にある関ケ原古戦場と、南北戦争の激戦地だったゲティズバーグ国立軍事公園の「姉妹古戦場協定」以来2例目。

◆「真珠湾を忘れるな」
 パールハーバー国立記念公園は米ハワイ州・オアフ島にある。1941年12月8日、旧日本海軍の空母艦載機部隊がこの地の米海軍基地などを奇襲し、太平洋戦争が始まった。
 米側は戦艦などを失い、2400余人が死亡。ルーズベルト大統領は「宣戦布告なき卑劣なトレチャラス・アタック(だまし討ち)だ」と演説。「リメンバー・パールハーバー」(真珠湾を忘れるな)は長く米国民の合言葉になった。
 国立記念公園には、撃沈された戦艦アリゾナの真上に浮かぶように立つ「アリゾナ記念館」や、真珠湾攻撃に関する資料がある「ビジターセンター」がある。毎年、攻撃を受けた12月7日(ハワイ時間)午前8時前に追悼集会を開催。2016年にはオバマ米大統領(当時)の広島訪問に続き、安倍晋三首相(同)が12月下旬に訪れた。
 「太平洋戦争を戦った兵士たちの聖地のような場所」と話すのは、同公園の写真集を昨年出版した長崎出身の写真家・尾辻弥寿雄さん(78)=横浜在住=だ。

◆「戦勝誇示」と取れる展示も…
 アリゾナからは、80年以上たった今も燃料の油が漏れ出す。ゆらゆらと海面に漂う光景が「アリゾナの涙」と呼ばれ、大切にされていることなど「日本人として身がすくむような思いもあった」。公園周辺の岸壁には、1945年9月2日に東京湾で降伏文書調印が行われた戦艦ミズーリが保存展示されている。
 印象的だったのは、広島の平和記念公園の「原爆の子の像」のモデルで、原爆症で12歳で亡くなった佐々木禎子さんが病床で折った千羽鶴の1羽が展示されていたことだという。
 「米国兵士がいかに活躍したかという勇ましい展示も多い中、平和を希求する折り鶴の展示は光った。リメンバー・パールハーバーの中に、ノーモア・ヒロシマ・ナガサキが入り込み、和解への一歩を感じた」
 今回協定を締結した広島市も、戦争の始まりと終焉に関係する公園の提携を強調。ただ、広島原爆の8月6日以降も、9日の長崎原爆や、14〜15日の埼玉・熊谷の空襲など被害は全国で続いていた。
 同公園を訪れたことがある琉球大名誉教授の高嶋伸欣のぶよしさん(81)は「全体的には死者を悼む場所という感じはなかった」と語る。
 例えば公園の岸壁に保存展示されている「潜水艦ボーフィン」。船体には、撃沈した旧日本軍の艦船の数の日の丸が描かれていた。「塗料がはがれるなどの劣化もなく、塗り直して大切にしているようだった。今も勝利を誇示している印象を受けた」。ミズーリやボーフィンは広島との姉妹協定に含まれないとみられるが、「日の丸の1つには、1500人近くが犠牲になった学童疎開船の対馬丸も含まれる。大変傷ついた」という。

◆核の『抑止』に立った広島ビジョンの追認
 ドイツ首脳はドレスデン空襲の被災地への米英関係者訪問の際、ナチスの加害への言及を繰り返しているが、真珠湾を訪問した安倍氏は日米同盟を強調した。高嶋さんは「これでは日米の戦いに終始し、アジアへの加害から目を背けていることにつながる。真摯しんしな反省なき和解は戦争責任を曖昧にするだけだ」と話す。
 今回の姉妹協定には、広島県原爆被害者団体協議会の佐久間邦彦理事長(78)も「被爆者の思い、『広島の心』に反する」と強く反発する。「二度と原爆被害を繰り返してはいけない。それには核兵器をなくすしかない。その思いを原点に、廃絶を訴え続ける被爆者の気持ちを踏みにじる」
 佐久間さんは生後9カ月の時、爆心地から約3キロの自宅で被爆し、「黒い雨」を浴びた。「被爆者は被爆の瞬間に苦しんだだけじゃない。生きている間、あの記憶にさいなまれ、放射能の影響と闘い続けている。戦争が終われば苦しみも終わり、ではない」
 市は姉妹協定をG7サミットの声明「広島ビジョン」実現の第一歩、と喧伝けんでん。だが、佐久間さんは「ビジョンは核の『廃絶』ではなく、『抑止』に立っている。協定はその追認になる」と問題視する。

◆「戦争の始まりと終焉の地」は米国が描いた物語
 同協議会を含む地元の市民団体は27日、市に締結の保留を求めた。要請書は「広島ビジョンの礼賛の一翼を広島市が担う」と批判。協定で何をするのかも定かでないとし、佐久間さんは「市民や被爆者の議論を経ず、あまりに早急だ」と訴える。
 市が二つの公園を「戦争の始まりと終焉の地」と表現した点も、佐久間さんは見過ごせない。「原爆投下が戦争を終わらせたと米国は主張するが、違う。終戦後の世界をどうリードするかを見据えた戦略の一環で、米国は原爆を落とした」
 前広島市長の秋葉忠利さん(80)も「始まりに真珠湾攻撃があったから広島に原爆が落ちた、という考えにつながりかねない。そんな米国の描いたストーリーが前面に出された協定を結べば、広島が原爆の使用と米国の核政策を正当化することになる」と危ぶむ。

◆市は「和解の架け橋」強調するが…
 しかも、協定は米政府側からの提案。秋葉さんは「米国は自国の核政策に広島を広告塔として利用しようとしている」とし、市が提案をのんだことに厳しい目を向ける。「協定は広島市民には全くない発想。議会にはかることも、市民の意思を確認することもなく、勝手に決まった」
 被爆者で広島原爆資料館元館長の原田浩さん(83)は、「原爆投下は一般市民を無差別に狙った大量殺傷。真珠湾攻撃は奇襲だったとはいえ、軍に対する攻撃。2つを横並びに考えることはできない」と強調。協定は、犠牲者の鎮魂のために造られた平和記念公園の意義を損なうと訴える。
 市は協定の狙いを「未来志向で平和と和解の架け橋の役割」としている。しかし、原田さんは「未来を志向するというなら、過去の検証が欠かせない。しかし、原爆投下がどんな意味があるのか、核兵器をなぜ市民に使ったのか、うやむやのままだ」とくぎを刺す。
 2016年、オバマ氏は平和記念公園で「核なき世界」への決意を表明した。「だがその後、核をなくす具体的な行動に移っていない」と原田さん。ウクライナ危機を踏まえて核抑止を認めた広島ビジョンに続く流れに違和感を唱える。
 「広島サミットでは核兵器について、その存在を前提に、いかに平和をつくるかという視点で語られた。決して使ってはいけないという私たちの思いとは異なる。今の政治をつかさどる人たちは、原爆投下がどんなに悲惨なことを招いたか、目が向いていない」

◆デスクメモ
 広島市は4月に米側の打診を受け、サミット後の6月には市長訪問も受けていたが、公表していなかった。歴史を見れば、論争になりがちで、慎重な検討が必要だと分かったはず。「はだしのゲン」の教材からの削除といい、被爆樹木の誤伐採といい、被爆地で何が起きているのか。(本)

【関連記事】被爆者団体「怒りに震える」「広島開催の意図はどこに」 G7の核軍縮文書を批判  

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