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固くなったソフトドームツイーターやスピーカーのエッジを回復させる方法〜ビスコロイドの代替品はあるか
http://www.asyura2.com/09/revival3/msg/1225.html
投稿者 中川隆 日時 2022 年 3 月 28 日 07:11:41: 3bF/xW6Ehzs4I koaQ7Jey
 

(回答先: 古いアンプやスピーカーにはリスクが有る 投稿者 中川隆 日時 2018 年 4 月 01 日 01:02:26)

固くなったソフトドームツイーターやスピーカーのエッジを回復させる方法〜ビスコロイドの代替品はあるか
公開:2018/02/01  
https://souzouno-yakata.com/audio/2018/02/01/28305/


 かつてスピーカーのエッジやソフトドーム振動板にはビスコロイドが塗られていた。 これは長年が経つと乾いて硬くなってしまう。ネットを見ると、これを復元したいと考えている人がけっこういる。しかしビスコロイドはもう入手できない。そこで代替品を検討してみた。


ビスコロイドとは何か
今は何が塗られているのか
ソフトドームとエッジの補修方法
1.軟化させる
2.上から塗る
ビスコロイドの代替品を見つける
1.試料を作る
2.テスト方法
3.実験結果
補修の注意点
ブレーキフルードの注意
ダンプ材の枯れを数字で管理する
ビスコロイドとは何か
 ビスコロイドというのは社名のことで、1925年デュポンが買収して1977年までデュポン・ビスコロイド社として存続していたという[Wiki]。ビスコロイドはセルロースを原料とする製品を生産していたというのでこれと何か関係があるらしい。

 よく似た名前の物質に「ビスコース」がある。これはセルロースから作られる黄色い粘り気のある物質で、レーヨンやセロファンの原料になるもの[Wiki]。これもダンプ剤としてスピーカーに使われた例があるようだ。ビスコロイドの正体は、このビスコースかもしれない。



 同じセルロース由来の物質に「ピロキシリン」があり液体絆創膏の主成分になっている。但しこちらは硬化すると樹脂状の塊になり粘性はない。

今は何が塗られているのか
 今作られているソフトドームやエッジには何が塗られているのだろう。

 調べてみると、ダイアボンド工業のデービーボンド5508[2]という商品が見つかった。これはアクリルゴムに可塑剤を配合して軟化させたもの。これに近い代替品で一般に入手できそうなものは残念ながら無い。

ソフトドームとエッジの補修方法
1.軟化させる
 乾燥しただけなので、溶剤を加えて元に戻せると一番いい。この溶剤の候補にブレーキフルードがあり、既に多くの人が試していて一定の成果を挙げているが、接着剤への影響や長期安定性について十分検証されていない。

2.上から塗る
 世間ではビスコロイドの替わりにいろんなものが試されている。ダンプ材が乾いてしまったソフトドームにダンプ材を塗ったら高音が良く出るようになったという報告があるが、いきなり塗るのではなく事前にテストしたものを塗りたい。

ビスコロイドの代替品を見つける
 塗りに使えそうなダンプ材を集めて特性を調べてみた。候補は、

 セメダインスーパーX、ボンドG17クリア、ボンドGクリア、酢酸樹脂エマルジョン(木工用ボンド)、ピロキシリン(液体絆創膏コロスキン)。

 スーパーXは手元にホワイトしかなかったのでこれで実験。木工用ボンドは以前紹介したコーンの質量調整材[3]。JBLのE110にも塗られている。

1.試料を作る
 候補の材料についてスティック形の硬化物を作る。

スティック形の試料を作っている様子 コロスキンを使って試料を作っている様子

 スティック形の試料を作っている様子。紙の上に塗布して固まるのを待ち、水でふやかして分離する。コロスキンとボンドG17はヒケが多いので4〜5回重ね塗りする必要がある。

試料を台紙から剥がして並べたところ

 作成中の試料の一部。上から木工用ボンド、スーパーX、Gクリヤー、コロスキン。両サイドの羽根を切って太さをできるだけ揃える。

 臭いがしなくなったら硬化完了。通常完成まで1週間程度かかる。


2.テスト方法
試料の試験と評価方法を示した模式図 テスト方法。図のように試料を机の端に固定して先端をたわませ、離したときの振動をよく観察する。

 振動数は材料の硬さによって違う。このテストではx2/x1に注目する。減衰の高いものほどx2/x1が小さく、tが短い。

 図の例では、減衰はA<B<Cの順になる。

 高い減衰を持つ材料は元の位置まで戻らずx3が残る場合がある。


3.実験結果
 結果は次の通り。減衰は温度に大きく依存するので温度別に評価した。

各種ダンピング材の特性と適合

減衰
(5℃) 減衰
(常温) 減衰
(80℃) 硬さ エッジ
ダンプ ソフトドーム
ダンプ エッジ
補修
木工用ボンド
(酢酸樹脂) (硬化) ◎ ◎ かなり硬い × × ×
セメダインスーパーX
(変性シリコン) 〇 〇 △ 柔らかい ◎ △ 〇
ボンドGクリヤー
(スチレンブタジエンゴム) 〇 〇 〇 硬い △ × ◎
コロスキン
(ピロキシリン) 〇 〇 〇 かなり硬い △ × ×
ボンドG17
(クロロプレンゴム) ◎ ◎ ◎ 普通 ◎ ◎ ◎

 ダンプ材はG17がベストでありビスコロイドの代用に使えそうだ。溶剤で十分希釈して塗りに使う。完全乾燥には時間がかかる。

 ダンプ材の次候補はセメダインスーパーX。ソフトドームにはやや不適だが、エッジなら問題ない。柔らかい物性がf0の低減に寄与するだろう。これも溶剤で希釈して塗る。但し固まると以後の補修はできないので注意したい。



 スピーカーのエッジ補修では黄色いG17よりもGクリヤーやスーパーXの方が綺麗に仕上がる。スーパーXはクリアやブラックもあるので使い分けたい。

 溶剤はラッカー薄め液が使いやすい。

補修の注意点
  ソフトドームはダンプ材を塗る量が難しい。沢山塗ればその分減衰が増えるが、重くなって能率が落ちる。様子を見ながら薄塗りを重ねていくのが無難[4]。

ブレーキフルードの注意
 ダンプ材を溶かすというこの液体、ダンプ材だけ溶けて接着剤は溶けない・・そんな都合のいいものだろうか。そこで、今回作った試料を使って影響を調べてみた。

ブレーキフルードの影響を調べる実験の様子 ブレーキフルードの影響を調べているところ。比較のためエチレングリコールを用意。

 結果、ブレーキフルードはダンプ材だけでなく接着剤も溶かすことがわかった。塗りすぎたり他の部に付かないよう扱いに注意したい。

 エチレングリコールの方はどの素材に対しても影響がないよう見えた。


 ブレーキフルードの成分にポリグリコールエーテルとある。これはおそらくポリエチレングリコールモノエーテル[Wiki]であってエチレングリコールとは違う。

ブレーキフルードとエチレングリコールに対する影響(24hr)

ブレーキフルード エチレングリコール
木工用ボンド
(酢酸樹脂) △
(膨潤) 〇
セメダインスーパーX
(変性シリコン) ×
(膨潤) 〇
ボンドGクリヤー
(スチレンブタジエンゴム) △? 〇
コロスキン
(ピロキシリン) ×
(膨潤・ゲル化) 〇
ボンドG17
(クロロプレンゴム) △
(溶解) 〇
注:精密な秤がないので、上記は見た目と感触だけの評価。

ダンプ材の枯れを数字で管理する
 エッジにブレーキフルードを塗った、柔らかくなった、成功!という話は多くあるが、できればその効果を数字で把握して管理したい。

 インピーダンス特性を測れば、ダンプ材の枯れが f0c(共振周波数)やζm(減衰比)などに表れる。測り方は以前紹介した通り[5]。ダンプ材が枯れてくるとf0cが上昇しζmが下がることでわかる。但し温度によっても変わるので、注意が必要。

 ソフトドームを補修する際も、聴感ではなく音圧特性を測りながら塗っていことで試行錯誤を減らしてベストな状態に早くたどり着けるに違いない。

<参考購入先>
ソフトドームのスピーカー

<関連記事>
3.低音の出ないスピーカを改造する
5.スピーカーのインピーダンス特性を簡単に測る方法
スピーカーの選び方(ジャンル別)
スピーカー(JBL S3100)のエッジを交換する

<参考文献>
2.ダイアボンド スピーカー用ダンプ剤
4.かないまるの個室ホームオーディオ


https://souzouno-yakata.com/audio/2018/02/01/28305/  

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コメント
1. 中川隆[-13419] koaQ7Jey 2022年3月28日 07:14:24 : yLyxuEx3MU : cnZrM3pSdTBWNE0=[1] 報告

ビスコロイドって何者だ(その正体をさぐってみた)?

まさか、お菓子のビスコ(なつかしいな)を思い浮かべる者はいないだろうが、後半のコロイドから多少は察しがつくかも知れない。ところが、これほど有名なものなのに、調べてみると正体についての記述はどこにも見つからない。もともと外来品なのだから英語で検索するにもスペルがわからずにいろいろ思いつくスペルで検索したあげくに辿り着いたのはViscoloidという社名で米国化学メーカー大手デュポン社に1925年に買収され1977年までデュポン・ビスコロイド社として存在していたことがわかった。

前身となったビスコロイド社は当時米国最大のセルロイド製品メーカーとして有名だったようだ。そこで、買収側のデュポンは、ビ社が生産するセルロイドの主原料ピロキシリンが目的で同社を吸収した。ここから、話が少々ややこしくなるがピロキシリンという名にピンときた方が少なからず居るかも知れない。

以外と身近なところにある物質で接着剤の原料の他に最近では液体包帯(コロスキン、サカムケアなどの商品名で流通)の主原料として用いられている。ピロキシリンは別名ニトロセルロースと言い、一種の化学繊維である(詳しくはネットで検索すればいくらでも出てくる)。

このピロキシリンをエタノールとジエチルエーテルで溶かして出来るのがコロジオンで前述の液体包帯の主成分だ。ちなみに、このコロジオンとはフランス人化学者メナール(Louis Menard) が1850年ころに発明し、1860年代には戦場において液体包帯として活用されたそうだ。

さて、これがどうしてエッジに塗られたビスコロイドと結びつくのか? 原料の検索とは別にアルテックの資料を紐解くとコーン紙張り替えのマニュアルが出てきた。そこには、この塗布剤の部品番号が記されており、その説明に有機溶剤ベースのドープ材とあった。そう、あの塗布材は何なのかとあちこち探した挙げ句に見つけたのがドープ材というキーワードだったのだ。始めはダンプ材などで探していたが、いまいち目的の情報に辿り着けず、あるところで見つけたのがドープというキーワードであった。ドープ材ですぐ思い浮かぶのは航空機に塗布するあれだが、同じようなものである。

スピーカーにおける塗布の目的は、大きく分けると2つあり、一つはダンピング、そしてもうひとつは密閉性を保つことだ。まだウレタン等の素材が無い時代には所謂フィックスドエッジか布エッヂが主流であった。ご存じのように布は通気性があるので特に密閉箱などにおいては都合が悪い。そこでビスコロイドを塗って密閉性を上げるのである。また、フィックスドエッヂにおいては、所謂コーン鳴きを防ぐ意味でのダンピング材として使用された。なるほど、ドープ材とはよく言ったものだ。

そして、とある古いラジオの修理に関して書かれたサイトに、それはあった。エッジにドープ材としてコロジオンを塗布との記述だ。かなり遠回りをしたが、想像するにアレはビスコロイド社のコロジオン(もしくは、それに類するもの)で社名がその代名詞になったのではないかと想像する。

その使用目的からいってコロジオンはその性質が当時の素材の中で最も適していたのであろう。もっとも、その後に色々な化学物質が誕生し、今やビスコロイドを塗布したスピーカーなど見かけないのは言うまでもない。エッヂ部分を薄く漉いたフィックスドエッヂが破れてしまった時は、コロスキンを塗って直して(治しての方が似合うか?)やると良い。

事実、米国のある掲示板でアルテックの古いスピーカーのエッヂ補修に液体バンドエイドを使用したら調子が良かったとの記事があった。なお、乾ききって硬化してしまったエッヂは溶剤で溶かすのもよいが、思い切って切除して最新のエッヂに張り替えると低音再生が蘇ることだろう。

http://www.ceres.dti.ne.jp/~takojin/Speakers/monologue.htm#%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E8%80%85%E3%81%A0%EF%BC%88%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93%E3%82%92%E3%81%95%E3%81%90%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%9F%EF%BC%89%EF%BC%9F

2. 中川隆[-13418] koaQ7Jey 2022年3月28日 07:15:42 : yLyxuEx3MU : cnZrM3pSdTBWNE0=[2] 報告
・今の時代に鹿皮偏重というのはどうか?

ここで改めてスピーカーエッジの役割について整理してみよう。まずは、振動板をフレームの中心に保つ支持機能があげられる。また、振動板の前後運動を円滑に行い、同時に横方向の揺れを制御するサスペンションとしての役目。これらは、振動をしやすくするための機能だが、一方で不要な振動を制御するという意味ではダンパーの役目も担う。そして、最後はキャビネット内の空気が不要に漏れないようにするためのシールドの役目も担う。このようにエッジには複数の機能を同時に満たすことが期待されている。

これだけ多くの役割を担い、もっとも負担のかかる部分なだけにスピーカーの破損で最も多いのがこの部分である。特に70年代後期から80年代中期にかけてのウレタン製のものは、所謂加水分解を起こして、ボロボロになってしまうので厄介だ。そこで、修理にあたってはこの部分を張り替えることになるのだが、その素材として一部で鹿皮が礼賛されていると聞いて驚いた。なぜならば、かつて鹿皮が用いられた時代(戦前のことだ)のスピーカーとウレタンエッヂ全盛期のスピーカーでは、設計が全く違うということである。大まかにいうと後者の方がストロークが大きいものが多く、これらのスピーカーと鹿皮の相性は良いとは思えない。それが証拠に現行品では鹿皮を使っているメーカー製品など見たことがない(職人さんのハンドメイドによる少量生産品を除く)。それなのに、鹿皮に換えることで音が劇的に良くなる、鹿皮こそがベストだ、などという宣伝文句は誤解を招く。 確かに、鹿皮に交換すれば、劇的に音は変わる。それを「変わる=良い」「劇的に変化=劇的に改善」と謳うのはいかがなものか? もし、元の音が気に入っていて(修理してまで使うのだから普通はそうだろう)、その音を復活させたくて修理したいというのなら、止めるべきだ。そうとう大昔のユニットでオリジナルが鹿皮ならともかく現代のユニットに鹿皮は合わない*注。概ね音の傾向としては、豊かな低音が貧弱になることであろう。その理由は、現在売られている鹿皮の殆どは非成型品でエッジのスタイルとしてはストレートエッヂにならざるをえない。更に、鹿皮自体は多少の伸縮性があるが、ウレタンのロールエッヂと比較したら殆どリジッド状態となり、振動板の運動を制限してしまい当然ながら、f0も上昇する。唯一、メリットとして考えられるのは、エッジ自体の固有振動が少ないので不要な付帯音が少ないことくらいか。この特性を取り上げて、低音がスッキリとして自然な響きになると称しているようだが、設計時の音とはかけ離れたものになることは確かだ。もしも、オリジナルの低音がだぶつき気味で、もっと締まりのある低音を望んでいるとしたら、試す価値はあるかも知れぬ。

元通りに修理したいのであれば、メーカーに修理に出して純正部品に交換するのがベストだ。しかし、既にメーカーが消滅したり、製造終了から時間が経っているので部品が入手できないものが多いのも事実だ。だが、最近ではサイズを伝えればほぼピッタリのウレタンエッヂが入手できる。エッヂを交換する際は、音の変化することに留意して素材を選ぶことが肝要だ。

*注:戦後まもない、まだ国産スピーカーの殆どがフィックスドエッヂだった頃、エッジ部分をナイフで切り取って鹿皮に換えるというのが流行ったそうです。当時は、エッジ部分を薄く漉く技術や、そこに塗るダンピング材も良いものが無かったのでしょう。ほぼリジッド状態のエッヂを鹿皮に交換することでエッヂは柔軟性に富み、f0は低下し豊かな低音を再生できたと言われています。

http://www.ceres.dti.ne.jp/~takojin/Speakers/monologue.htm#%E3%83%93%E3%82%B9%E3%82%B3%E3%83%AD%E3%82%A4%E3%83%89%E3%81%A3%E3%81%A6%E4%BD%95%E8%80%85%E3%81%A0%EF%BC%88%E3%81%9D%E3%81%AE%E6%AD%A3%E4%BD%93%E3%82%92%E3%81%95%E3%81%90%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%9F%EF%BC%89%EF%BC%9F

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